工場立地法について

更新日:2021年01月27日

工場立地法とは

工場立地法は、工場立地が環境の保全を図りつつ適正に行われることを目的として、生産施設、緑地および環境施設それぞれの敷地面積に対する割合等を定め、一定規模以上の工場を新設又は変更する際に事前の届出を義務づけています。

届出対象となる工場(特定工場)

●業種:製造業、電気・ガス・熱供給業者(水力・地熱・太陽光発電施設を除く)

●規模:敷地面積9,000平方メートル以上(所有地、借地のいかんを問わず、工場の用に供する土地の全面積を指す)

    又は

建築面積の合計3,000平方メートル以上(生産施設以外の施設(事務所、研究所、倉庫等)を含む。水平投影面積による)

規制の内容

工場の敷地面積に対し、生産施設面積に上限を設けるとともに、一定割合以上の緑地等の環境施設設置を義務づけています。

・生産施設面積率:敷地面積の30%から65%以下(業種による)

・緑地面積率 :敷地面積の20%以上

・環境施設面積率:敷地面積の25%以上(緑地を含む)※うち、15%以上は敷地の周辺部に配置

届出の種類

下記(1)、(2)については原則、工事着工の90日前(最短で30日前)までに届出が必要です。(3)、(4)、(5)については遅滞なく届出が必要です。

(1)新設届(法第6条1項、附則第3条1項)

・特定工場を新設する場合

・敷地面積又は建築面積の増加により特定工場となる場合

・既存施設の用途変更により特定工場となる場合

・既存工場が初めて届出をする場合

(2)変更届(法第8条1項)

・敷地面積が増加又は減少する場合

・生産施設面積が増加する場合(スクラップ&ビルドを含む)

・緑地面積又は環境施設面積が減少する場合

・製品を変更する場合

(3)氏名等変更届(法第12条1項)

・名称(個人の場合は氏名)又は所在地(住所)を変更する場合

(※代表者氏名変更のみの場合は届出不要)

(4)承継届(法第13条3項)

・特定工場の譲受け、借受け、相続、合併又は分割により地位を承継した場合

(5)廃止届

・廃業又は特定工場でなくなった場合

届出が不要な行為

1.生産施設以外の施設(事務所、研究所、倉庫等)のみを新増設する場合

2.生産施設の撤去のみを行う場合

3.修繕に伴って増加する生産施設面積の合計が30平方メートル未満の場合

4.緑地、環境施設面積が増加する場合(緑地、環境施設面積の減少を伴う場合は届出が必要)

5.特定工場に係る緑地又は緑地以外の環境施設の移設であって、当該移設によりそれぞれの面積の減少を伴わないもの (周辺の地域の生活環境の保持に支障を及ぼすおそれがないものに限る。)

6.10平方メートル以下の緑地を削減する場合(保安上等の理由により緊急に行う必要がある場合に限る)

生産施設

◆生産施設とは(施行規則第2条)

1. 製造業における物品の製造工程(加工修理工程を含む)、電気・ガス・熱供給業における熱発生工程を形成する機械または装置が設置される構築物

2. 製造工程等を形成する機械または装置で上記の建築物の外に設置されるもの

 

◆生産施設面積率

●第一種(30%)

化学肥料製造業のうちアンモニア製造業及び尿素製造業、石油精製業、コークス製造業並びにボイラ・原動機製造業

●第二種(40%)

伸鉄業

●第三種(45%)

窯業・土石製品製造業(板ガラス製造業、陶磁器・同関連製品製造業、ほうろう鉄器製造業、七宝製品製造業及び人造宝石製造業を除く。)

●第四種(50%)

鋼管製造業及び電気供給業

●第五種(55%)

でんぷん製造業、冷間ロール成型形鋼製造業

●第六種(60%)

石油製品、石炭製品製造業(石油精製業、潤滑油・グリース製造業(石油精製業によらないもの)及びコークス製造業を除く。)及び高炉による製鉄業

●第七種(65%)

その他の製造業、ガス供給業及び熱供給業

緑地

◆緑地とは(施行規則第3条)

1. 樹木が生育する区画された土地または建築物屋上等緑化施設であって、工場または事業場の周辺の地域の生活環境の保持に寄与するもの

2. 低木または芝その他の地被植物(除草等の手入れがなされているものに限る。)で表面が被われている土地または建築物屋上等緑化施設

 

※緑化工事は原則として生産施設の運転開始までに終了する必要があります。

 

◆緑地面積率

敷地面積の20%以上(うち、建築物屋上等緑化施設(他の施設と重複する緑地)は敷地面積の5%以内で算入可能です。)

 

◆屋上緑化、壁面緑化、駐車場緑化等について

建築物屋上等緑化施設(屋上緑化、壁面緑化)及び重複緑地(駐車場緑化、藤棚の下の駐車場・広場、配管下の芝生)は、合計で緑地面積率の25%以内で緑地として算入可能です。

壁面緑化については、水平延長に1mを乗じた面積を算入します。

なお、重複が認められるのは緑地のみで、環境施設は他の施設と重複しても算入されません。(例:倉庫屋上の広場 等)

 

◆緑地として認められるもの

(1)苗木床

(2)花壇

(3)いわゆる雑草地であっても、植生、美観等の観点から良好な状態に維持管理されているもの

※ただし、(1)(2)については、地面や壁面等に固定されており、容易に移設することができないものに限る。

 

◆緑地として認められないもの

野菜畑、温室、ビニールハウス

環境施設

◆環境施設とは(施行規則第4条)

施設の用に供する区画された土地(緑地と重複する部分を除く。)で工場又は事業場の周辺の地域の生活環境の保持に寄与するように管理がなされるもの。

1. 次に掲げる施設の用に供する区画された土地(緑地と重複する部分を除く。)

イ 噴水、水流、池その他の修景施設

ロ 屋外運動場

ハ 広場

二 屋内運動施設

ホ 教養文化施設

へ 雨水浸透施設

   ト 太陽光発電施設

チ 上記のほか工場又は事業場の周辺の地域の生活環境の保持に寄与することが特に認められるもの

2. 太陽光発電施設のうち建築物等施設の屋上その他の屋外に設置されるもの

(緑地または前号に規定する土地と重複するものを除く。)

 

※駐車場は環境施設としません。

 

◆環境施設面積率

敷地面積の25%以上(緑地を含む)

工業団地特例

工業団地の共通施設として適切に配置された緑地等がある場合は、工場立地法上の準則を考えるにあたって、各工場等の敷地面積に応じて比例配分し、各工場の敷地面積や緑地面積等に加算することができる場合があります。

工業集合地特例

従来からの事業活動の過程で一団の土地に複数の工場が集中して立地している地域で、計画的に整備された緑地があるとき、当該緑地の整備費用の負担割合に応じて緑地を比例配分し、各工場の緑地として算入することができる場合があります。

関係法令

届出様式