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更新日:2025年09月30日

調査の現場から 紙野(かみの)家住宅主屋と別邸の調査

紙野家住宅別邸と主屋の外観

紙野家別邸(左)と主屋(右)

本市では、文化財の調査を継続的に実施するとともに、特に重要な価値が認められたものについて文化財指定や登録による保存と活用を行っています。今回は、国登録有形文化財になることが決定した紙野家住宅主屋と、これに隣接して建つ同住宅別邸をご紹介します。

紙野家住宅主屋と別邸は近木町(こぎちょう)に所在する建築です。周辺は1945年(昭和20年)の貝塚空襲によって焼失した地区で、どちらの建物も戦後に再建されたものです。

まず主屋ですが、1951年(昭和26年)に再建された木造二階建の建築です。その特徴は伝統的な意匠を取り入れた、凝ったデザインにあります。特に玄関は、船底天井(ふなぞこてんじょう/中央が高く、見上げると船の底のように見える天井)とし、組子障子(くみこしょうじ/幾何学模様を組み込んだ障子)のあるカウンターを備えるなど上質な空間となっています。また二階の窓の下部には、お寺などで見られる格狭間(こうざま)という文様を飾っており、通りを歩く人の目を引きます。所有者から国の登録有形文化財として保存・活用を図りたいという依頼をいただき、令和6年に調査を実施した上で、文化庁に書類を提出したところ、登録基準(一)「国土の歴史的景観に寄与しているもの」に該当すると評価され、今年7月18日(金曜日)に開催された国の文化審議会において、国登録有形文化財(建造物)となることが決定しました。

別邸は1948年(昭和23年)に再建された木造平屋建の建築です。所有者から主屋に引き続き調査の依頼を受け、今年8月から本格的な調査に着手したばかりですが、三畳の茶室と路地(茶庭)を備えた風雅な建物です。今後も引き続き調査を進め、国登録有形文化財(建造物)を目指します。

なお、国登録が決定した主屋については、次号で詳しく紹介する予定です。

觀鵞堂(かんがどう) ぼっかんさんの古文書講座

願泉寺本堂

願泉寺本堂の外観

9月13日(土曜日)に「觀鵞堂 ぼっかんさんの古文書講座」(第1回)を貝塚御坊願泉寺、貝塚市教育委員会の共催で行いました。

タイトルにある「觀鵞堂」は願泉寺書院に掲げられている扁𠄀額(へんがく)から採ったものです。また「ぼっかんさん」は、江戸時代を通じて貝塚寺内町の領主であり、願泉寺の住職を代々務める「卜半(ぼくはん)」家への親しみをこめた愛称です。今回の第1回を含め、願泉寺と貝塚寺内にまつわる古文書を、年度内に6回の講座で読み進めていく予定です(日程は8頁をご確認ください)。内容の詳細については、次号以降で順次紹介していきます。ふるってご参加ください。

本堂の公開
講座当日は、普段非公開の本堂を参拝できます。(午後1時から1時50分まで)

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