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貝塚市の植物

更新日:2024年03月14日

自然遊学館が記録してきた貝塚市の植物は1,200種ほどになっています。この中には、一般の方から寄せられた情報が多数含まれています。ご協力いただいた方々に感謝致します。これからも外来種の侵入以外にも、調査が進めば種数は増えると思います。

植物の種数の多さは、貝塚市に二色の浜・近木川河口から和泉葛城山までの様々な環境があるからです。このページ、あるいはエリア別のページでも、すべての植物の種を説明できるわけではありませんが、代表的な植物を、海から山に向かって大まかに説明していきます。


二色の浜で一番目につく景観はクロマツ林でしょう。砂浜にはコウボウムギ、コウボウシバ、ハマヒルガオ、ハマボウフウ、ハマダイコン、ハマゴウ、ツルナ、オカヒジキといった海浜植物が見られます。

近木川河口では1998年から10年間ほどイセウキヤガラの群落が見られましたが、現在はヨシ原になっています。その他、絶滅危惧種としては、2012年から2年間だけイソヤマテンツキの数株が見られました。

ハマボウフウ。セリ科。海岸の砂地に生える多年草。根は地中に直下し、肉質で光沢のある葉が地面を這いながら広がり、春から夏にかけてその中央に白い集合花をいくつか付けます。葉は食用とされることがあります。画像は、大きな1株を撮影したもので、中央に集合花が写っています。左右の下側には、ハマヒルガオの花も1個ずつ写っています。

ハマボウフウ
大阪府レッドリスト、絶滅危惧1類

ハマゴウ。シソ科。海岸に生える落葉低木。茎は砂の上や中を長く這い、根を下ろします。 枝は斜めか直立し、高さ60センチメートルほどになります。夏に紫色の花が咲きます。和名は、浜のお香の意味で、葉や実に独特の香りがあります。画像には、7個ほどの花序と多数の葉が写っています。

ハマゴウ
大阪府レッドリスト、絶滅危惧2類

コウボウムギ。カヤツリグサ科。砂浜に生える多年草。根茎は砂中に長く伸び、所々の節から茎を地上に出します。花茎は高さ20センチメートル位になり、硬くて直立し、晩春から夏にかけて、先端に太い淡い黄緑色の穂を一つ付けます。画像の中央には大きな穂が写っていて、その周りにも小さな穂がいくつか写っています。

コウボウムギ
大阪府レッドリスト、絶滅危惧2類

ハマヒルガオ。ヒルガオ科。海岸の砂地に生える多年草です。地下茎を長く伸ばし、茎は砂の上に伸び、ハート型の葉を付けます。春にピンク色の花が咲きますが、秋に咲くこともあります。画像は、2輪の花が咲いているところを写したもので、その周りに葉と蕾が写っています。

ハマヒルガオ


街中や公園、川の下流や中流に沿った場所では、ナルトサワギク、コセンダングサ、セイヨウカラシナ、オオアレチノギク、ヒメムカシヨモギ、ヘラオオバコ、ヒメジョオン、オランダミミナグサ、ナガミヒナゲシ、アレチウリ、ネズミホソムギ、セイバンモロコシといった外来種が目立ちます。例えば、汽水ワンドの北側の斜面で行ってきた調査では約半数の種が外来種でした。

ナルトサワギク。キク科。1年草か多年草。マダガスカル原産の外来種で、冬季の含め1年中、黄色い花を咲かせているのが特徴です。キク科なので、花茎に先に付く1個の花に見えるのは、頭状花という小花の集合です。筒状花の先と舌状花とも黄色です。画像は、街中の空き地に生えた群落を撮影したもので、多数の頭状花が写っています。

ナルトサワギク
特定外来生物

アレチウリ。ウリ科。1年草。つる植物。北アメリカ原産の外来種です。8月から9月にかけて葉腋から花序が出ます。雌花は淡緑色で球状に多数が集合して付き、雄花は黄白色で総状に付きます。実には多数のトゲがあり、触るととても痛いです。画像には、中央に1枚の葉、左下に幾つかの実が写っています。

アレチウリ
特定外来生物


丘陵地の里山的な景観を残している場所では、コナラやクヌギは残っていますが、アカマツは枯れ木や樹勢が衰えた木が目立ちます。草本としては、キンラン、ギンラン、ナルコユリの仲間、タツナミソウの仲間、タチツボスミレなどが生えています。また、一部の林では、コナラやクヌギに代わって、クスノキやヤマモモなどの陰樹や竹林が優勢に成りつつあります。

ギンラン。ラン科。多年草。茎は直立して高さ10~30センチメートルになり、春に茎先に白い花を数個付けます。花弁があまり開かず、複雑な形をしています。画像には、中央に2本の茎と花が写っています。その両側の幅広の葉はギンランのものではなく、ギンランの葉はやや細長く、基部が茎を覆うように付きます。

ギンラン
大阪府レッドリスト、準絶滅危惧

タツナミソウ。シソ科。多年草。茎は直立し、高さ20~40センチメートルになります。春、茎先に筒部の長い紫色の花を穂状に付けます。花の形は、基部から筒部が直立し、口が横向きに開き、それぞれの花の口が上下に並びます。画像には、3本の茎と、その先に咲いた花が写っています。

タツナミソウ


ため池や水辺の植物の減少が著しい中、せんごくの杜のアンペライ群落は一定の面積を保っています。山麓の小さな池に生えていたナガエミクリやフトヒルムシロは、群落が消滅してしまったかもしれません。その他、2002年に石才の池でオニバスが確認されたことがありました。

アンペライ。カヤツリグサ科。多年草。横に伸びた地下茎から細長く先の尖った葉を多数出し、湿地に群落を形成します。花期は春から夏にかけてです。カヤツリグサ科の草本は花弁を持たず、鱗片が重なった小穂という構造の中に複数の花を含みます。画像は、水面から出た極めて多数の葉を写したものです。

アンペライ
大阪府レッドリスト、絶滅危惧1類

ナガエミクリ

ナガエミクリ
大阪府レッドリスト、絶滅危惧2類


蕎原から和泉葛城山の山頂にかけては、面積的にはスギ・ヒノキの植林が広い範囲を占めますが、貝塚市内で植物の種数が最も多い地域です。集落から川沿いや登山道沿いにかけては、木本として、ツブラジイ、コショウノキ、リョウブ、ミヤマウコギ、ヤマアジサイ、コバノミツバツツジ、タムシバ、タカノツメ、ミヤマシキミ、ツリバナ、キブシ、ウリハダカエデ、アカシデ、イヌシデなど、草本としては、ユキワリイチゲ、ミヤコミズ、キツリフネ、ヒメレンゲ、イワタバコ、チゴユリ、ミカエリソウ、ニリンソウ、シハイスミレ、テイショウソウ、イズミカンアオイ、ヤマジオウ、ユキザサ、エイザンスミレ、セトウチホトトギスなどが見られます。

山頂のブナ林は国の天然記念物に指定されていますが、本数は減少傾向にあり、樹勢が衰えてヤドリギによる寄生が目立つ木も幾つかあります。

コショウノキ。ジンチョウゲ科。常緑小低木。春先、昨年の枝先に白色で筒状の花を数個、咲かせます。筒は先で4裂し、芳香を発します。実は夏に赤く熟し、辛味があります。画像の中央には、10枚ほどの葉と、枝先に咲いた白い花の塊が写っていて、右下にも枝先の葉と花が写っています。

コショウノキ
大阪府レッドリスト、準絶滅危惧

コバノミツバツツジ。ツツジ科。落葉低木。高さ3mほどになります。早春、枝先に、花冠が5裂したピンク色の花を咲かせます。葉は枝先に3枚が輪生します。トサノミツバツツジとともに、早春の登山道で目立つ花です。画像には多数の花が写ってします。手前の7個ほどにピントが合って、バックの花はピントがぼけています。

コバノミツバツツジ

ミヤマシキミ。ミカン科。常緑低木。葉は楕円形で光沢があります。春、房状に多数の小さな白い花を咲かせます。冬に成る赤い実は登山道で目立ちます。画像は、斜面に生えた5本ほどの木を撮影したもので、枝先に花が写っています。

ミヤマシキミ

ツリバナ。ニシキギ科。落葉低木か小高木。春に5弁の白い花を垂れ下がるように咲かせ、秋に実が紅色に熟します。画像には、枝先の多くの葉と、ぶら下がった4個の実が小さく写っています。

ツリバナ

ユキワリイチゲ。キンポウゲ科。多年草。早春に白い可憐な花を咲かせます。白い花弁のように見えるものは咢片で、10枚前後あります。画像は、6個の花を咲かせた群落を撮影したもので、背景の斜面の一部には石積みがされています。

ユキワリイチゲ
大阪府レッドリスト、準絶滅危惧

ミヤコミズ。イラクサ科。1年草。秋に、小さな花を多数、葉腋に咲かせます。おしべは白色で、めしべは緑色で、花弁はありません。茎が赤味がかっているのも特徴です。画像は、20枚ほどの葉と、いくつかの花序を撮影したものです。

ミヤコミズ
大阪府レッドリスト、絶滅危惧2類

イワタバコ。イワタバコ科。多年草。根が岩場に張り付いて伸び、葉が岩から出ているように見えます。夏に葉の間から花茎が伸び、その先に紫色で5裂した花が咲きます。画像は、20個ほどの花がこちらを向いて咲いている様子を撮影したものです。葉も少し写っています。

イワタバコ

セトウチホトトギス。ユリ科。多年草。秋に紅紫色の斑が入った花を咲かせます。花の形は独特で、花被片(花弁と咢)が開き、太い花柱が立ち、花柱の先から花糸が広がりながら垂れ下がります。画像は、崖から生えた株に10個ほどの花が咲いているところを撮影したものです。

セトウチホトトギス
大阪府レッドリスト、準絶滅危惧

春のブナ林。画像は、和泉葛城山の山頂付近のブナ林の春の様子です。春から夏へ向かう時期なので、緑が深くなり、早春とは違って、やや林内が暗くなっています。

春のブナ林

秋のブナ林。画像は、和泉葛城山の参照付近のブナ林の秋の様子です。ブナ以外にも、ハゼノキの仲間やカエデの仲間の紅葉が見られます。

秋のブナ林

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