貝塚市の昆虫
自然遊学館が貝塚市で記録した昆虫は3,000種を超えていますが、現在も毎年、外来種もふくめて新しい種が記録されているので、実際に何種が生息しているのかは不明です。せんごくの杜や馬場といった里山的景観が残されている地域はもとより、二色の浜から国の天然記念物のブナ林がある和泉葛城山までのさまざまな環境が多くの昆虫種の生息を可能にしているものと考えられます。
以下、昆虫の各目(各グループ)ごとに、形態や生態の特徴、およびリストを中心に簡単に紹介しています。画像に関しては、エリア別の昆虫のページに掲載していますので、そちらの方もご覧ください。
カゲロウ目
有翅のグループでは、系統的に最も古いと考えられ、トンボ目とともに、左右の翅を背側で合わせるだけの古いタイプの翅をもつグループです(旧翅類)。幼虫は水生で、成虫は陸生です。流水(河川)にも止水(池や水田など)にも生息しますが、種数では流水性のものの方が上回ります。
自然遊学館では、近木川を中心に水生昆虫を調査し、カゲロウ目の幼虫が上流から下流まで種を入れ替えながら生息していることが分かりました。その他、上流域において青柳正人氏とともにライトトラップで成虫を採集し、これまでに確認された種は、11科42種になっています。
トビイロカゲロウ科:トゲエラカゲロウ属、ヒメトビイロカゲロウ、ナミトビイロカゲロウ
カワカゲロウ科:キイロカワカゲロウ
モンカゲロウ科:フタスジモンカゲロウ、モンカゲロウ
ヒメシロカゲロウ科:ヒメシロカゲロウ属
マダラカゲロウ科:クロマダラカゲロウ、オオマダラカゲロウ、シリナガマダラカゲロウ、エラブタマダラカゲロウ、クシヒゲマダラカゲロウ、フタコブマダラカゲロウ、ヨシノマダラカゲロウ、アカマダラカゲロウ
ヒメフタオカゲロウ科:ヒメフタオカゲロウ、マエグロヒメフタオカゲロウ
コカゲロウ科:フタバコカゲロウ、ヒュウガコカゲロウ、シロハラコカゲロウ、トツカワコカゲロウ、サホコカゲロウ、タマリフタバカゲロウ
ガガンボカゲロウ科:ガガンボカゲロウ
フタオカゲロウ科:オオフタオカゲロウ
チラカゲロウ科:チラカゲロウ
ヒラタカゲロウ科:オビカゲロウ、ミヤマタニガワカゲロウ、オニヒメタニガワカゲロウ、キブネタニガワカゲロウ、ヒメタニガワカゲロウ、クロタニガワカゲロウ、シロタニガワカゲロウ、トラタニガワカゲロウ、キイロヒラタカゲロウ、タニヒラタカゲロウ、ウエノヒラタカゲロウ、エルモンヒラタカゲロウ、ユミモンヒラタカゲロウ、ナミヒラタカゲロウ、サトキハダヒラタカゲロウ、キョウトキハダヒラタカゲロウ

シロタニガワカゲロウの幼虫

ナミヒラタカゲロウ
トンボ目
幼虫は水生で、成虫は陸生の捕食者です。成虫は空中で餌を捕まえます。カゲロウ目とともに古いタイプの翅を持っていますが(旧翅類)、翅胸が発達し、前翅と後翅を別々に動かせるなど、歩行よりも飛翔に特化しています。近年、水辺環境の悪化とともに、レッドリストにあげられる種が増えていて、例えば、大阪府レッドリストで準絶滅危惧に指定されているナツアカネは、2006年以降、確認がありません。
貝塚市内では、11科78種が確認されています。
イトトンボ科(9種):モートンイトトンボ、キイトトンボ、ベニイトトンボ、ホソミイトトンボ、アジアイトトンボ、アオモンイトトンボ、クロイトトンボ、セスジイトトンボ、ムスジイトトンボ
モノサシトンボ科(1種):モノサシトンボ
アオイトトンボ科(4種):アオイトトンボ、オオアオイトトンボ、ホソミオツネントンボ、オツネントンボ
カワトンボ科(3種):ハグロトンボ、ミヤマカワトンボ、アサヒナカワトンボ
ムカシトンボ科(1種):ムカシトンボ
ムカシヤンマ科(1種):ムカシヤンマ
サナエトンボ科(15種):ミヤマサナエ、ヤマサナエ、フタスジサナエ、オグマサナエ、タベサナエ、オジロサナエ、ダビドサナエ、クロサナエ、ヒメクロサナエ、ヒメサナエ、アオサナエ、オナガサナエ、コオニヤンマ、タイワンウチワヤンマ、ウチワヤンマ
ヤンマ科(11種):サラサヤンマ、コシボソヤンマ、ミルンヤンマ、ネアカヨシヤンマ、カトリヤンマ、ヤブヤンマ、オオルリボシヤンマ、マルタンヤンマ、ギンヤンマ、クロスジギンヤンマ、オオギンヤンマ
オニヤンマ科(1種):オニヤンマ
エゾトンボ科(6種):コヤマトンボ、オオヤマトンボ、トラフトンボ、エゾトンボ、ハネビロエゾトンボ、タカネトンボ
トンボ科(25種):ハラビロトンボ、シオカラトンボ、シオヤトンボ、オオシオカラトンボ、ヨツボシトンボ、ショウジョウトンボ、コフキトンボ、タイリクアカネ、ミヤマアカネ、ナツアカネ、スナアカネ、アキアカネ、ヒメアカネ、マイコアカネ、マユタテアカネ、リスアカネ、ノシメトンボ、コノシメトンボ、ナニワトンボ、ネキトンボ、オオキトンボ、ベニトンボ、コシアキトンボ、ウスバキトンボ、ハネビロトンボ、チョウトンボ

ムカシトンボの幼虫

ナニワトンボ
カワゲラ目
カワゲラ目は、左右の翅を背の上に折りたためる新しいタイプの翅をもち(新翅類)、バッタ目を含む直翅類に近い仲間です。幼虫は水生で、成虫は陸生です。大型種の幼虫ほど、肉食性が強い傾向があります。近木川を中心とする河川の水生昆虫の調査では、ほぼ上流だけで確認されています。
貝塚市内でこれまでに、9科23種(最低でもの値)が確認されていますが、種まで同定できているものは、ノギカワゲラ、オオヤマカワゲラ、カミムラカワゲラ、オオクラカケカワゲラ、ケフカオナシカガエラなどわずかにとどまっています。

オオヤマカワゲラ属の幼虫

フサオナシカワゲラ属
バッタ目
後脚が跳躍に適したように発達したグループ。大まかに分けると、キリギリスの仲間、コオロギの仲間、バッタの仲間に分けられます。キリギリスの仲間とコオロギの仲間は、細長い触角が特徴で、左右の翅を使って発音するものが多く、卵は個別に土中や植物組織内に産まれます。バッタの仲間には丈夫で短い触角をもち、前翅と後脚を使って発音するものがいます。
自然遊学館が所蔵する貝塚市内産のバッタ目標本は、15科102種です。このうち、海浜性のヤマトマダラバッタは、大阪府下では二色の浜が最後の生息地で、1978年が最後の確認となっていて、大阪府レッドリストで絶滅種に指定されています。絶滅危惧1類はカヤコオロギ1種で、2008年の確認が最後になっています。
コロギス科:コロギス、ハネナシコロギス
カマドウマ科:マダラカマドウマ、モリズミウマ、ハヤシウマ、コノシタウマ、カマドウマ、ヒメキマダラウマ、チビクチキウマ
キリギリス科:ヤブキリ、キリギリス、ヒメギス、コバネヒメギス、カヤキリ、クサキリ、ヒメクサキリ、シブイロカヤキリ、クビキリギス、ホシササキリ、ウスイロササキリ、オナガササキリ、ササキリ、ハヤシノウマオイ
ササキリモドキ科:ムツセモンササキリモドキ、ササキリモドキ、セスジササキリモドキ、ヒメツユムシ、ヒトコブササキリモドキ
ツユムシ科:ツユムシ、アシグロツユムシ、セスジツユムシ、エゾツユムシ、ホソクビツユムシ、ヒメクダマキモドキ、サトクダマキモドキ、ヤマクダマキモドキ、ヘリグロツユムシ
コオロギ科:エンマコオロギ、タイワンエンマコオロギ、クマコオロギ、タンボコオロギ、モリオカメコオロギ、ハラオカメコオロギ、ミツカドコオロギ、ツヅレサセコオロギ、ナツノツヅレサセコオロギ、コガタコオロギ、クマスズムシ
マツムシ科:クチキコオロギ、マツムシ、アオマツムシ、マツムシモドキ、カヤコオロギ、スズムシ、カンタン、ヒロバネカンタン
ヒバリモドキ科:ヤマトヒバリ、カヤヒバリ、キンヒバリ、クサヒバリ、キアシヒバリモドキ、ウスグモスズ、ウンモンナギサスズ、ナギサスズ、ヤチスズ、マダラスズ、シバスズ、ヒゲシロスズ
カネタタキ科:カネタタキ
アリツカコオロギ科:サトアリツカコオロギ、テラニシアリツカコオロギ
ケラ科:ケラ
ノミバッタ科:ノミバッタ
ヒシバッタ科:トゲヒシバッタ、ハネナガヒシバッタ、ニセハネナガヒシバッタ、コバネヒシバッタ、ハラヒシバッタ、ヒメヒシバッタ、モリヒシバッタ
オンブバッタ科:オンブバッタ、アカハネオンブバッタ
バッタ科:ダイリキフキバッタ、ヤマトフキバッタ、キイフキバッタ、ツチイナゴ、ハネナガイナゴ、コバネイナゴ、セグロイナゴ、ショウリョウバッタ、ショウリョウバッタモドキ、ナキイナゴ、ヒロバネヒナバッタ、ヒナバッタ、イナゴモドキ、ツマグロバッタ、マダラバッタ、ヤマトマダラバッタ、トノサマバッタ、クルマバッタ、クルマバッタモドキ、イボバッタ

カヤコオロギ

ナギサスズ
ナナフシ目
体が棒状で、動作は緩慢な、植食者のグループです。植物の枝に擬態していると考えられています。卵も植物の種子に似ています。
貝塚市内ではナナフシ科4種(トゲナナフシ、ニホントビナナフシ、エダナナフシ、ナナフシモドキ)が確認されています。トゲナナフシは蕎原から和泉葛城山山頂にかけての標本がほとんどで千石荘のものが少し、ニホントビナナフシ(有翅)は山地性とは言えない種ですが、当館の標本は和泉葛城山のみ、エダナナフシはほとんどが蕎原から山頂にかけてで秬谷のものが少し、ナナフシモドキはせんごくの杜から水間・馬場にかけての標本があります。

ニホントビナナフシ(左:オス;右:メス)

エダナナフシ
ハサミムシ目
腹部尾端にハサミ(尾鋏)を持つグループです。ハサミは尾毛が変化したもの。雑食性。メスは土中に穴を掘って産卵し、卵や仔虫の世話をします(=亜社会性)。
貝塚市内では4科9種が確認されています。
ハサミムシ科:ヒゲジロハサミムシ、ハマベハサミムシ、イソハサミムシ、キアシハサミムシ
オオハサミムシ科:オオハサミムシ
クロハサミムシ科:クロハサミムシ、ミジンハサミムシ
クギヌキハサミムシ科:エゾハサミムシ、コブハサミムシ
ハサミムシ科の中では、イソハサミムシだけは分布が海岸に限られています。オオハサミムシは近木川河口や二色の浜の砂浜に生息しています。クロハサミムシはヒトクチタケというキノコの中から得られた標本がほとんどです。エゾハサミムシとコブハサミムシの標本は、和泉葛城山で得られたものです。

オオハサミムシ

エゾハサミムシ
カマキリ目
幼虫も成虫も、鎌状になった前脚を使って餌を捕食します。頭部と前胸が比較的自由に動くことも特徴です。交尾の際にメス成虫の背に乗ったオス成虫が食われることがあります。卵は卵嚢として参下されます。
これまでに貝塚市内で2科7種が確認されています。大阪府には8種のカマキリが生息していて、貝塚市で見つかっていないのは、ウスバカマキリ(大阪府レッドリスト・絶滅危惧1類)だけです。
カマキリ科:オオカマキリ、チョウセンカマキリ、ハラビロカマキリ、コカマキリ、ヒナカマキリ
ヒメカマキリ科:ヒメカマキリ、サツマヒメカマキリ
この中で、カマキリ科の最初の4種は比較的、目にする機会があると思います。この4種の中では、ハラビロカマキリだけが樹上性で、草原にもいますが樹上が主な生息場所です。
ヒナカマキリは成虫になっても翅が生えない小型のカマキリで、大阪府レッドリストにおいて準絶滅危惧に指定されています。
ヒメカマキリとサツマヒメカマキリも小型のカマキリで成虫には翅があり、両種は形態が似ています。ただし生活史(=1年をどう過ごすか)は異なり、ヒメカマキリは他のカマキリと同じく卵越冬、春にふ化、夏に発育し、秋に成虫になって交尾・産卵という生活史を送るのに対して、サツマヒメカマキリは幼虫で越冬し、初夏に成虫になり交尾・産卵するという生活史を送ります。

オオカマキリ

ヒナカマキリ
ゴキブリ目
頭部が下を向き、前胸背が頭部を覆います。長い触角も特徴です。雑食性。卵は卵鞘として産下され、卵胎生(=母親の体内で卵がふ化して、幼虫として産下される)の種もいます。貝塚市内では4科8種が確認されています。
オオゴキブリ科:オオゴキブリ
ゴキブリ科:クロゴキブリ
チャバネゴキブリ科:ヒメクロゴキブリ、チャバネゴキブリ、モリチャバネゴキブリ、キスジゴキブリ、ツチゴキブリ
マダラゴキブリ科:サツマゴキブリ
オオゴキブリは腐朽材の中で親子が一緒に生活している種で(亜社会性)、水間・馬場から蕎原にかけて標本が得られています。クロゴキブリは家屋内にも野外にも生息しています。チャバネゴキブリ科の5種の中では、チャバネゴキブリだけが家屋内で見られます。ツチゴキブリは二色の自然生態園で得られた1個体のみで、あまり生態が分かっていない種です。

オオゴキブリ

ツチゴキブリ
シロアリ目
枯木、腐朽木、木材を摂食する真社会性のグループです。真社会性というのは、親世代と子世代が同居し、親が子の世話をし、さらにコロニー(集団)内に、自らは繁殖しないで、他個体の世話、採餌、巣の清掃、巣の防衛をする個体がいることが特徴です。
自然遊学館が所蔵する貝塚市産の標本は、ヤマトシロアリ1種だけで、二色から和泉葛城山山頂まで市内のほとんどで確認されています。家屋の材に巣をつくるイエシロアリの標本は当館にはありません。

ヤマトシロアリ(有翅型)
チャタテムシ目
小型種ばかりのグループです。系統的には(進化の順序では)カメムシ目に近いのですが、噛むタイプの口をしています。当館の標本に関しては、雑木林の樹上にいる個体数の多いものや、家屋内で見られる無翅のもの(コナチャタテの仲間)でさえ、同定できていません。
これまで貝塚市内では4科9種が確認されています。科さえ不明のものは含めていません。
ウロコチャタテ科:属種不明
ケチャタテ科:キモンケチャタテ、ハグルマチャタテ
ケブカチャタテ科:ウスベニチャタテ
チャタテ科:オオスジチャタテ、オオチャタテ、カバイロチャタテ、スジチャタテ、リンゴチャタテ
この中では、スジチャタテを見る機会が多く、中には幼虫の集団を見たという方もいるかもしれません。

スジチャタテの幼虫の集団
カメムシ目
吸うタイプの口が特徴です。ヨコバイ亜目とカメムシ亜目に分けられ、カメムシ亜目の前翅の基部は革質化しています。セミ科やアブラムシ科を含むヨコバイ亜目は植物の汁液を吸う植食者で、カメムシ亜目も植食者が多いのですが、アメンボ科やサシガメ科、あるいは水生のタイコウチ科のように捕食者も含みます。臭腺があるのはカメムシ亜目で、ヨコバイ亜目にはありません。
ヨコバイ亜目
現在までに、23科167種が確認されています。大阪府レッドリスト種としては、絶滅危惧2類のテングオオヨコバイ、準絶滅危惧のハルゼミとエゾゼミの計3種が確認されています。ハルゼミとエゾゼミは和泉葛城山の山頂付近では毎年、鳴き声を聞くことができますが、テングオオヨコバイの記録は、蕎原から山頂にかけて、散発的なものです。
主な科のリスト
セミ科:クマゼミ、アブラゼミ、ツクツクボウシ、ミンミンゼミ、ニイニイゼミ、ヒグラシ、ハルゼミ、エゾゼミ、チッチゼミ
アワフキムシ科:マツアワフキ、シロオビアワフキ、モンキアワフキ、ハマベアワフキ、ヒメシロオビアワフキ、コガタアワフキ、ヒメモンキアワフキ、ホシアワフキ、マダラアワフキ、ミヤマアワフキ、テングアワフキ、クロフアワフキ
カメムシ亜目
現在までに、33科226種が確認されています。大阪府レッドリスト種としては、準絶滅危惧のムモンミズカメムシ、ヤスマツアメンボ、コオイムシ、ヒメミズカマキリ、ミズカマキリ、オオミズムシの計6種が確認されています。
開館以来、縁があった種としては、アブラギリにつくオオキンカメムシ、2004年に大阪府初記録となったキマダラカメムシ、2015年に隣市から持ち込まれた個体が国内初記録の外来種となったクスベニヒラタカスミカメがあげられます。オオキンカメムシは、2005年が最後の確認年となっています。キマダラカメムシは、その後、2011年まで記録がありませんでしたが、ここ数年は確認数がかなり多くなっています。
主な科のリスト
カタビロアメンボ科:ケシカタビロアメンボ、ホルバートカタビロアメンボ、ナガレカタビロアメンボ
アメンボ科:シマアメンボ、コセアカアメンボ、ヤスマツアメンボ、ヒメアメンボ、ハネナシアメンボ、アメンボ、オオアメンボ
サシガメ科:アシナガサシガメの一種、クロバアカサシガメ、アカシマサシガメ、ビロウドサシガメ、クロモンサシガメ、クビアカサシガメ、モモブトトビイロサシガメ、トビイロサシガメ、トゲサシガメ、オオトビサシガメ、ヒゲナガサシガメ、アカサシガメ、ヨコヅナサシガメ、ヤニサシガメ、シマサシガメ
ツノカメムシ科:アオモンツノカメムシ、ベニモンツノカメムシ、ヒメツノカメムシ、エサキモンキツノカメムシ、モンキツノカメムシ、エゾツノカメムシ、セアカツノカメムシ、ハサミツノカメムシ、オオツノカメムシ、ヒメハサミツノカメムシ
カメムシ科:ハナダカカメムシ、オオクロカメムシ、イネクロカメムシ、アカスジカメムシ、キマダラカメムシ、フタテンカメムシ、シロヘリカメムシ、エゾアオカメムシ、ブチヒゲカメムシ、タマカメムシ、トゲシラホシカメムシ、シラホシカメムシ、ムラサキシラホシカメムシ、マルシラホシカメムシ、ミヤマカメムシ、トゲカメムシ、ナガメ、ウシカメムシ、チャバネアオカメムシ、アオクサカメムシ、ミナミアオカメムシ、ヨツボシカメムシ、ツヤアオカメムシ、ツマジロカメムシ、イチモンジカメムシ、ツノアオカメムシ、トホシカメムシ、クチブトカメムシ、シモフリクチブトカメムシ、アオクチブトカメムシ、チャイロクチブトカメムシ、シロヘリクチブトカメムシ、ルリクチブトカメムシ

エゾゼミ

オオキンカメムシ
アザミウマ目
翅が細く、翅脈を欠き、翅の周縁から毛が生えているのが特徴です。吸うタイプの口を持つ植食者で、多くの農業害虫を含みますが、当館にあるのはカキクダアザミウマ1種だけです。カキクダアザミウマは、柿の葉を巻いたカキハベリマキフシという虫こぶをつくります。
アミメカゲロウ目
レース模様の翅が特徴です。咬みタイプの口をしていて、大きな顎を持つ種もいます。蛹のステージがある完全変態類の中では、原始的なグループであると考えられています。
貝塚市内では、10科36種が確認されています。ヘビトンボ亜目(2科4種)、アミメカゲロウ亜目(7科31種)、ラクダムシ亜目(1科1種)の3亜目は、それぞれ独立した目として扱われることもあります。
ヘビトンボ亜目
ヘビトンボ科:タイリククロスジヘビトンボ、ヤマトクロスジヘビトンボ、ヘビトンボ
センブリ科:センブリ属
アミメカゲロウ亜目
ツノトンボ科:オオツノトンボ、ツノトンボ
クサカゲロウ科:アカスジクサカゲロウ、アミメクサカゲロウ、イツホシアカマダラクサカゲロウ、カオマダラクサカゲロウ、クモンクサカゲロウ、クロヒゲフタモンクサカゲロウ、スズキクサカゲロウ、セアカクサカゲロウ、フタモンクサカゲロウ、マツクラクサカゲロウ、ヨツボシクサカゲロウ
クシヒゲカゲロウ科:クシヒゲカゲロウ
ヒメカゲロウ科:アシマダラヒメカゲロウ、チャバネヒメカゲロウ、ホソバヒメカゲロウ、ミドリヒメカゲロウ、ヤマトヒメカゲロウ
カマキリモドキ科:キカマキリモドキ
ウスバカゲロウ科:ウスバカゲロウ、コウスバカゲロウ、コカスリウスバカゲロウ、コマダラウスバカゲロウ、ホシウスバカゲロウ、マダラウスバカゲロウ、モイワウスバカゲロウ
ヒロバカゲロウ科:カスリヒロバカゲロウ、スカシヒロバカゲロウ、ヤマトヒロバカゲロウ
ラクダムシ亜目
ラクダムシ科:ラクダムシ
ヘビトンボ亜目は、幼虫が水生の捕食者で、成虫は陸生です。アミメカゲロウ亜目は、ほとんどの幼虫が陸生の捕食者で、オオツノトンボ、セアカクサカゲロウ、クシヒゲカゲロウ、キカマキリモドキなどが採集例の少ない種です。ラクダムシは山地の標本もありますが、二色の浜のクロマツの幹での幼虫の採集例もあります。幼虫は陸生の捕食者です。

ラクダムシ

オオツノトンボ
コウチュウ目
前翅が革質化して、後翅と腹部を保護するのが特徴です。当館には800種近くの貝塚市産標本がありますが、調査が進めば、更に種数は増えると思います。科数は70を超えていて、その中で種数が多い科は、ハムシ科87種、オサムシ科77種、カミキリムシ科77種、ゾウムシ科62種、コガネムシ科48種、テントウムシ科31種などで、その他、馴染みのある科としては、ゲンゴロウ科14種やクワガタムシ科10種などとなっています。
大阪府レッドリスト種としては、絶滅危惧2類のアカマダラハナムグリ、クロカナブン、ムネアカセンチコガネ、オオミズスマシ、ミズスマシ、準絶滅危惧のウスイロシマゲンゴロウ、オニクワガタ、トウカイコルリクワガタ、ドウガネブイブイ、ヒメボタル、ヘイケボタル、セダカテントウダマシ、ジュウサンホシテントウ、シロジュウゴホシテントウ、セダカコブヤハズカミキリ、情報不足のシジミガムシ、トラフコメツキ、ルリツヤハダコメツキの標本がありますが、近年の記録は少なくなっています。

オニクワガタ

アカマダラハナムグリ
シリアゲムシ目
頭部は下方に伸び、咬むタイプの口をしています。シリアゲムシ科のオス成虫は、腹端に把握器があり、それを上げている姿が和名の由来です。
貝塚市内では、2科8種が確認されています。
ガガンボモドキ科:トリバガガンボモドキ
シリアゲムシ科:キアシシリアゲ、キシタトゲシリアゲ、スカシシリアゲモドキ、プライアシリアゲ、ホソマダラシリアゲ、ミスジシリアゲ、ヤマトシリアゲ
シリアゲムシ科の中では、スカシシリアゲモドキとヤマトシリアゲを目にする機会が多いと思います。ほとんどの標本が、馬場・木積・三ツ松から和泉葛城山山頂にかけてのものです。

ヤマトシリアゲ
ノミ目
成虫は刺すタイプの口をしていて、無翅ですが、後脚による跳躍力に優れています。温血動物に寄生し、雌雄とも、その血液を吸います。雌雄で体サイズに大きな差があります。幼虫は咬むタイプの口をしていて、寄生性ではありません。貝塚市産の標本は、ネコノミ1種だけです。
ハエ目
後翅が小さなこん棒状(=平均棍)になり、翅が前翅2枚だけに見えるのが特徴です。幼虫は無脚か(いわゆるウジムシ)、あっても真の脚ではなく擬脚。貝塚市内産の標本は、41科188種になりますが、同定できていない標本も多く、最も相調査が遅れているグループです。種数の多い科としては、ハナアブ科48種、ガガンボ科16種、ユスリカ科14種、ムシヒキアブ科13種などとなっています。

ミスジガガンボ

ハチモドキハナアブ
チョウ目
翅に鱗粉が生え、ストロー状の口を持つグループです。
チョウ類は、貝塚市内で5科81種が確認されています。このうちヒメヒカゲは、大阪府レッドリストで絶滅種に指定されていて、当館には1950年代後半から1960年代前半にかけての寄贈標本があります。
アゲハチョウ科:ジャコウアゲハ、キアゲハ、ナミアゲハ、クロアゲハ、オナガアゲハ、ナガサキアゲハ、カラスアゲハ、ミヤマカラスアゲハ、モンキアゲハ、アオスジアゲハ
シロチョウ科:キタキチョウ、スジボソヤマキチョウ、モンキチョウ、ツマキチョウ、モンシロチョウ、スジグロシロチョウ
タテハチョウ科:ヒメウラナミジャノメ、ウラナミジャノメ、ジャノメチョウ、ヒカゲチョウ、クロヒカゲ、サトキマダラヒカゲ、ヤマキマダラヒカゲ、ヒメジャノメ、コジャノメ、ヒメヒカゲ、クロコノマチョウ、ミドリヒョウモン、クモガタヒョウモン、メスグロヒョウモン、ウラギンヒョウモン、ウラギンスジヒョウモン、ツマグロヒョウモン、イチモンジチョウ、アサマイチモンジ、ホシミスジ、コミスジ、ミスジチョウ、サカハチチョウ、ルリタテハ、キタテハ、ヒオドシチョウ、アカタテハ、ヒメアカタテハ、イシガケチョウ、スミナガシ、ゴマダラチョウ、コムラサキ、オオムラサキ、アサギマダラ、テングチョウ
シジミチョウ科:ゴイシシジミ、ウラギンシジミ、ムラサキシジミ、ムラサキツバメ、ウラゴマダラシジミ、アカシジミ、ウラナミアカシジミ、ミズイロオナガシジミ、ミドリシジミ、オオミドリシジミ、トラフシジミ、コツバメ、ベニシジミ、クロシジミ、ウラナミシジミ、ヤマトシジミ、ルリシジミ、ヤクシマルリシジミ、サツマシジミ、ツバメシジミ、クロマダラソテツシジミ
セセリチョウ科:ミヤマセセリ、ダイミョウセセリ、アオバセセリ、イチモンジセセリ、チャバネセセリ、オオチャバネセセリ、コチャバネセセリ、ホソバセセリ、キマダラセリ

ウラナミアカシジミ

イボタガの幼虫
ガ類に関しては、故黒子浩博士(元当館館長)によって、42科739種のリストが整理されています(黒子、2003)。それ以降の採集も含めて、大阪府レッドリストの指定種は、エゾヨツメ、ブナアオシャチホコ、イボタガ、スゲドクガ、ウアスアオリンガ、ヤマトホソヤガ、マイコトラガ、アサマキシタバ、ヨシノキシタバ、キシタアツバで、いずれもランクは準絶滅危惧です。
貝塚市の蛾類目録(黒子浩、2003) (PDFファイル: 394.7KB)
トビケラ目
系統的に(進化の順序で)、チョウ目に近く、成虫は、多くのガ類と同じように夜行性で、翅を折りたたんで止まります。翅からは鱗粉ではなく、毛が生えているのが特徴です。幼虫は水生で、その多くは、糸をはいて葉の小片や、砂や小石を合わせて、巣を作ります。
現在までに、自然遊学館の水生昆虫調査と、青柳正人氏との共同調査(ライトトラップ)の結果、貝塚市内で記録されたトビケラ目は26科67種になっています。
ナガレトビケラ科:ヒロアタマナガレトビケラ、クレメンスナガレトビケラ、レゼイナガレトビケラ、ミジカオナガレトビケラ、トランスクィラナガレトビケラ、ムナグロナガレトビケラ、ヨシイナガレトビケラ
カワリナガレトビケラ科:ツメナガナガレトビケラ
ヒメトビケラ科:Hydroptila属
ヤマトビケラ科:アルタイヤマトビケラ、イノプスヤマトビケラ
ヒゲナガカワトビケラ科:ヒゲナガカワトビケラ
カワトビケラ科:ツダコタニガワトビケラ、ミミタニガワトビケラ、タニガワトビケラ、キソタニガワトビケラ、ツダタニガワトビケラ、ナベワリタニガワトビケラ、Wormaldia rara
クダトビケラ科:モリシタクダトビケラ、Tinodes aonensis、ヒガシヤマクダトビケラ、ミヤコクダトビケラ
キブネクダトビケラ科:クロクダトビケラ、キブネクダトビケラ
イワトビケラ科:Neureclipsis属、キソイワトビケラ、オンダケミヤマイワトビケラ
アミメシマトビケラ科:アミメシマトビケラ
シマトビケラ科:ガロアシマトビケラ、ナミコガタシマトビケラ、Diplectrona aiensis、キブネシマトビケラ、オオシマトビケラ、シロズシマトビケラ、オオヤマシマトビケラ、ウルマーシマトビケラ
マルバネトビケラ科:マルバネトビケラ
トビケラ科:ゴマフトビケラ
カクスイトビケラ科:ハナセマツツツトビケラ、マルツツトビケラ
カクツツトビケラ科:コカクツツトビケラ、カスガカクツツトビケラ、クマノカクツツトビケラ、サトウカクツツトビケラ、オオカクツツトビケラ
エグリトビケラ科:ウスバキトビケラ、Apatania属、コガタクロバネトビケラ
クロツツトビケラ科:クロツツトビケラ
ニンギョウトビケラ科:ニンギョウトビケラ
ヒゲナガトビケラ科:ナガツノヒゲナガトビケラ、カモヒゲナガトビケラ、アオヒゲナガトビケラ、ハモチクサツミトビケラ、セビセトトビケラ
ホソバトビケラ科:ホソバトビケラ
アシエダトビケラ科:クチキトビケラ属、コバントビケラ属
フトヒゲトビケラ科:フタスジキソトビケラ、ヨツメトビケラ
ケトビケラ科:Gumaga属
カタツムリトビケラ科:Helicopsyche属
ツノツツトビケラ科:ツノツツトビケラ

コカクツツトビケラ属の幼虫(上)と筒巣

ニンギョウトビケラ
ハチ目
丈夫な膜状の翅を持つグループです。大きく、ハバチ亜目(広腰亜目)とハチ亜目(細腰亜目)に分けられます。
形態に関して、ハバチ亜目は「腰」がくびれず、産卵管はノコギリ状であるのに対して、ハチ亜目は「腰」がくびれ、産卵管が針状で、毒腺を持つものもいます。
生態に関して、ハバチ亜目は単独性で、幼虫は植食者です。ハチ亜目は単独性から真社会性まで、社会生活の程度が多様で(真社会性の代表は、アシナガバチ、スズメバチ、アリ、ミツバチの仲間)、食性も植食者、捕食者、捕食寄生者を含みます。
当館が所蔵する貝塚市産標本は、23科235種ですが、ハエ目と並んで、相調査が進んでいないグループです。
ハバチ亜目は58種、ハチ亜目で種数が多いのはアリ科58種とスズメバチ科25種ですが、ハチ亜目に関しては、同定できていない標本が多数あります。
大阪府レッドリスト種としては、情報不足のクロマルハナバチが採集されています。

ホシアシブトハバチ

シダクロスズメバチ
大阪府貝塚市のハバチ亜目(吉田浩史・岩崎拓、2012)『貝塚の自然第14号』より (PDFファイル: 460.8KB)
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更新日:2024年03月14日