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貝塚市のカタツムリ

更新日:2024年03月14日

貝塚市には自然度の高さの指標にされるカタツムリの仲間が確認されています(22科75種、2018年末まで)。標高858mの和泉葛城山には日本ではほぼ南限とされるブナの天然林があり、保水力のある林には多くのカタツムリの仲間が生息しています。

近木川の流域には東手川、蕎原、馬場、水間、せんごくの杜といった山地から丘陵地の環境があり、ここには自然度の高い場所が残されていてカタツムリが住んでいます。ため池が多く点在する平野部や市街地にある社寺林の森や民家の植え込みにもカタツムリの仲間はいます。自然遊学館のある埋立地や沖側にある人工島の草原にも生息しています。

以下に紹介する貝塚市のカタツムリのリストは、『貝塚市のカタツムリ -貝塚市に住む陸産貝類-』(児嶋格著、2017)に基づいたものです。

ギュリキマイマイの産卵。オナジマイマイ科。殻高23ミリメートル前後。殻幅43ミリメートル。殻は大型で右巻き、黒褐色から黄褐色です。軟体部には黒まだら模様があります。丘陵地から山地にかけて生息します。画像は、落葉を敷いて飼育している1個体が産卵したところを撮影したもので、右向きに頭を出しています。下側に白い卵が30個ほど、上側に2個ほどが写っています。

ギュリキマイマイの産卵

画像には、飼育容器の底に敷いた落ち葉の上に、ギュリキマイマイのふ化後の個体が20匹程度写っています。軟体部を出しているものと、出していないものがいます。

ギュリキマイマイのふ化後の個体

 

前鰓類(ぜんさいるい)   

殻にフタがあり、触角は1対、目は触角の付け根にあります(例外あり)。肺(外套腔)で空気呼吸します。オスとメスがいます。基本的に右巻きですが、ヒダリマキゴマガイは左巻きです。

ヤマキサゴ科
ヤマキサゴ
モミジヤマキサゴ

ヤマタニシ科
イノウエヤマトガイ・・・大阪府レッドリスト、絶滅危惧2類
ヤマタニシ
アツブタガイ
ミジンヤマタニシ

ヤマクルマガイ科
ヤマクルマガイ

アズキガイ科
アズキガイ・・・大阪府レッドリスト、準絶滅危惧

ムシオイガイ科
ミヤコムシオイ

ゴマガイ科
ヒダリマキゴマガイ
ゴマガイ

カワザンショウガイ科
ウスイロオカチグサ

イノウエヤマトガイ。ヤマタニシ科。殻高4.5ミリメートル前後。殻幅5ミリメートル前後。右巻きの殻の周りに毛状の突起があり、革質の蓋を持ちます。腐植の進んだ土壌の落葉内にすみます。丘陵地に生息します。画像は、倒木上を手前に向かって移動中の1個体を撮影したもので、灰色の軟体部が見えています。

イノウエヤマトガイ
大阪府レッドリスト、絶滅危惧2類

アズキガイ。アズキガイ科。殻高11ミリメートル前後。殻幅4.5ミリメートル前後。殻は右巻きで深紅色、丸い蓋があります。落葉の中にすみますが、夏には木に登ることもあります。丘陵地から山地に生息します。画像は、1個体が倒木の表面上を、触角を出しながら、左側に向いて移動しているところを撮影したものです。

アズキガイ
大阪府レッドリスト、準絶滅危惧

 

有肺類(ゆうはいるい)   

殻にフタはなく、触角は2対(大触角と小触角)、目は大触角の先にあります。ナメクジ類は殻を持っていません。肺で空気呼吸します。雌雄同体で、2匹がお互いに交尾器を挿入し合います。基本的に右巻きですが、キセルガイ科は左巻きです。

オカモノアラガイ科
ナガオカモノアラガイ・・・大阪府レッドリスト、準絶滅危惧
ヒメオカモノアラガイ

ミジンマイマイ科
ミジンマイマイ

キセルガイモドキ科
キセルガイモドキ・・・大阪府レッドリスト、絶滅危惧1類

キセルガイ科
ツムガタギセル
コシボソギセル・・・大阪府レッドリスト、絶滅危惧1類
ウスベニギセル
エルベルギセル
コスジギセル
シリオレギセル
ゼイギセル
カギヒダギセル・・・大阪府レッドリスト、絶滅危惧1類
ホソヒメギセル
オオギセル・・・大阪府レッドリスト、絶滅危惧1類
コンボウギセル
ナミギセル
ナミコギセル
カスガコギセル・・・大阪府レッドリスト、絶滅危惧1類

オカクチキレガイ科
オカチョウジガイ
ホソオカチョウジガイ
トクサオカチョウジガイ

ナタネガイ科
カトウナタネガイ

コハクガイ科
ヒメコハクガイ
コハクガイ

イシノシタ科
ノハラノイシノシタ

ナメクジ科
ヤマナメクジ
ナメクジ

コウラナメクジ科
チャコウラナメクジ

ホソアシヒダナメクジ科
イボイボナメクジ・・・大阪府レッドリスト、情報不足

ベッコウマイマイ科
カサキビ
ヒメカサキビ
オオウエキビ
ハリマキビ
トガリキビ・・・大阪府レッドリスト、絶滅危惧1類
スジキビガイ・・・大阪府レッドリスト、絶滅危惧1類
キビガイ
ヒメベッコウガイ
コシダカシタラガイ
ウメムラシタラガイ
マルシタラガイ
ウスイロシタラガイ・・・大阪府レッドリスト、絶滅危惧2類
オオクラヒメベッコウ
ナミヒメベッコウ
ヒラベッコウ
ウラジロベッコウ
キヌツヤベッコウ

ナンバンマイマイ科
コベソマイマイ
ニッポンマイマイ属
マルニッポンマイマイ
シメクチマイマイ
ケハダビロウドマイマイ・・・大阪府レッドリスト、絶滅危惧2類

オナジマイマイ科
フチマルオオベソマイマイ
クチマガリマイマイ
オオケマイマイ
チャイロオトメマイマイ
オトメマイマイ
アワジオトメマイマイ
ウスカワマイマイ
ギュリキマイマイ
イセノナミマイマイ
ナミマイマイ
クチベニマイマイ

タワラガイ科
タワラガイ

キセルガイモドキ。キセルガイモドキ科。殻高30ミリメートル前後。殻幅8ミリメートル前後。殻は右巻きで黄褐色。桐の木の周辺にすむようですが、個体数は少ないです。山地に生息します。画像は、落葉状にいる1個体を撮影したもので、白い軟体部(頭部)を出して、右に向かって移動中です。

キセルガイモドキ
大阪府レッドリスト、絶滅危惧1類

オオギセル。キセルガイ科。殻高40ミリメートル前後。殻幅10ミリメートル前後。殻は左巻きで、黒褐色から黄褐色。卵胎生。山地に生息します。画像は、落葉上にいる1個体を撮影したもので、白い軟体部(頭部)を出して、左に向かって移動中です。注釈として、ふつうカタツムリの仲間の殻は右巻きですが、キセルガイ科は左巻きです。細長い殻も特徴です。

オオギセル
大阪府レッドリスト、絶滅危惧1類

ウスイロシタラガイ。ベッコウマイマイ科。殻高2.5ミリメートル前後。殻幅3ミリメートル前後。殻は右巻きで、とても薄い。アオキやシュロの葉の裏で見つかります。丘陵地から山地に生息します。画像は、葉の裏にとまっている1個体を撮影したもので、軟体部は出していません。

ウスイロシタラガイ
大阪府レッドリスト、絶滅危惧2類

ケハダビロウドマイマイ。ナンバンマイマイ科。殻高10ミリメートル。殻幅20ミリメートル。右巻きの殻の表面に、毛が密生した突起があります。倒木の下などにすみます。丘陵地に生息します。画像は、採集した1個体を白いバットに置いて撮影したもので、軟体部を出して、右に移動中です。

ケハダビロウドマイマイ
大阪府レッドリスト、絶滅危惧2類
(児嶋格氏撮影)