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近木川の説明

更新日:2010年06月24日

近木川の地図

 標高858メートルの和泉葛城山を源流とする近木川は、春日橋で本谷と東手川が合流し、水間寺の下流側で支流の秬谷川と合流し、大阪湾まで流れ下ります。源流から河口まで全長約18キロメートルの二級河川です。貝塚市の面積約44平方キロメートルのうち、近木川の流域面積は約27平方キロメートルを占めます。自然遊学館がこれまでに行った調査で、近木川全体では、オイカワ、カワムツ、タカハヤ、ドンコ、ウキゴリ、アカザ、メダカなど20種以上の淡水魚が確認されています。

 近木川の河口には自然の干潟が形成され、ヤマトオサガニやケフサイソガニなどのカニ類をはじめとする甲殻類が多く生息しています。そして、さまざまな留鳥、夏鳥、冬鳥が干潟を餌場として利用しています。春や秋には、旅鳥のシギやチドリの仲間が飛来し、冬にはカモ類やカモメ類が多数飛来します。

 河口に近いヨシが生えた干潟には、クロベンケイガニ、ハマガニ、アカテガニのほか、希少種のハクセンシオマネキが生息しています。ヨシ原では、オオヨシキリやセッカなどが春から夏にかけて繁殖に利用し、オオジュリン、アオジ、ウグイスなどが越冬のために利用しています。

 潮の影響を受ける部分(感潮区間)では、カワアナゴ、シラウオ、アベハゼ、テナガエビなど、意外に多くの生きものが生息しています。そこでは、アユやウナギも確認されていますが、本来なら上流へと移動する魚も、川に設けられた井堰のため、遡上が妨げられているものと考えられます。

 これら河口付近の生きものの豊富さとは対照的に、近木川の下流から中流にかけては、近年やや改善がみられるものの水質は依然悪く、そこに生息している水生昆虫や水生動物は限られていて、ミズアブやユスリカの幼虫、ミズムシ、スジエビ、ミシシッピーアカミミガメやクサガメなど、汚れに強い生きものが目立ちます。

水質が良好な上流部では、ムカシトンボ、ニシカワトンボ、ミヤマカワトンボ、ダビドサナエ、オオヤマカワゲラ、ヘビトンボ、ゲンジボタルを含む多様な水生昆虫群集が維持され、サワガニ、カワムツやカワヨシノボリなどの魚、カジカガエル、タゴガエル、ブチサンショウウオなどの両生類、市街地や丘陵地で見られない鳥類・哺乳類が生息しています。春から夏にかけて渓流沿いに聞こえるカジカガエルの美しい鳴き声は、貝塚市の自然もまだまだ捨てたものではないことを感じさせてくれます。

 井堰が設けられて魚類の移動が妨げられている近木川ですが、モクズガニのように生活史の中で下流から上流、上流から下流へと移動する種も生息していますし、水生昆虫のように幼虫時に下流に流されて成虫時に遡上するものもいます。また、チョウやトンボの成虫のように、岸に生えた緑に沿った「移動路」として近木川を利用するなかまもいます。

 近木川と同じく和泉葛城山を源流とする津田川は、下流の一部が市域に属します。津田川下流は水質が悪く、水生昆虫は非常に少ないですが、津田川やその支流でメダカやドジョウが確認されています。

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