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近木川の昆虫

更新日:2021年02月10日

水生昆虫 カゲロウ目

ガガンボカゲロウ。フタオカゲロウ科。体長15ミリメートル前後。カゲロウの仲間の成虫はふつう、体が細く、後翅が小さく、長い尾毛を持つのが特徴です。カゲロウの仲間は、幼虫は水生で鰓を持ち、成虫は陸生で翅を持ちます。成虫は、左右の翅を背中で立てたまま合わせるようにして、翅を閉じます。ガガンボカゲロウの成虫は、体色が黄褐色で、腹部の左右に、黒斑が入ります。尾毛は2本です。春から夏にかけて出現します。幼虫は、うすい褐色で円筒形の体型をしていて、腹部の側面から鰓が出ます。山地の細流に生息します。この画像は、広い葉の縁に止まっている1個体の成虫を撮影したもので、左向きです。

ガガンボカゲロウ

クロタニガワカゲロウ。ヒラタカゲロウ科。体長12ミリメートル前後。体色は黒色で、腹部の各節に白色の斑紋が入ります。カゲロウの仲間は、成虫の体型に関しては、それほど差がありませんが、幼虫の体型には、生息場所への適応のため、かなり変異があります。ヒラタカゲロウ科の幼虫は、和名の通り、平らな体形をしていて、腹部各節の側部から丸い鰓が張り出し、流れの中で、石にへばりつくようにして生活しています。クロタニガワカゲロウの幼虫も平らな体形で、褐色に複雑な紋が入ります。川の上流域に生息し、石に表面に生えた藻類を食べます。春に成虫が出現します。この画像は岩の上に止まっている1個体の成虫を撮影したもので、左向きです。

クロタニガワカゲロウ

ナミヒラタカゲロウ。ヒラタカゲロウ科。体長10ミリメートル前後。体色は黒色で、腹部の各節に白色の横帯が入ります。幼虫は平らな体型で、黒い褐色です。川の上流域に生息し、石に表面に生えた藻類を食べます。春に成虫が出現します。この画像は岩の上で、落ちた針葉樹の枯れ葉の上に止まっている1個体の成虫を撮影したもので、左向きです。

ナミヒラタカゲロウ

フタスジモンカゲロウ。モンカゲロウ科。体長15ミリメートル前後。体色は黄色で、腹部の節に逆八の字の褐色の細い線が入ります。前翅は透明で、尾毛は3本です。幼虫は細長い体型で、川の上流域から中流域の流れの緩やかな場所に生息し、砂泥にU字型の穴を掘って生活します。初夏に成虫が出現します。この画像は、夜間のライトトラップの白い布に飛んできた1個体の成虫を撮影したもので、左上向きです。

フタスジモンカゲロウ

ヨシノマダラカゲロウ。マダラカゲロウ科。体長8ミリメートル前後。体色は黒い褐色で、翅は透明です。マダラカゲロウ科の幼虫は、カゲロウの仲間としては、がっしりとした体型で、鰓は、腹部各節の背面の両側に張り付くように生えます。ヨシノマダラカゲロウの幼虫は黒い褐色で、川の上流域に生息し、頑丈な前脚で、他の水生昆虫を捕まえて食べます。他の晩春から初夏にかけて成虫が出現します。この画像は、石の上にいる1個体の成虫を、斜め前から撮影したもので、やや右向きです。

ヨシノマダラカゲロウ

チラカゲロウの幼虫。チラカゲロウ科。体長17ミリメートル前後。体色は赤褐色で、翅は透明です。幼虫は濃い褐色で、背中側に白い線が1本通ります。河川の上流域から下流域まで生息し、流れの中から有機流化物を漉しとって食べるそうです。成虫は、春と秋に出現します。この画像は、採集した1個体の幼虫を白いトレイに入れて背中側から撮影したもので、右上向きです。

チラカゲロウの幼虫

マエグロヒメフタオカゲロウの幼虫。フタオカゲロウ科。体長10ミリメートル前後。体色は褐色で、翅はほぼ透明です。幼虫は流線形の体型で、褐色にまだら模様があります。3本の尾毛の中央に黒帯が入ります。鰓は、腹部各節の左右に出ます。幼虫は、川の上流域の流れが緩やかな場所に生息し、付着藻類を食べます。成虫は早春に羽化します。この画像は、採集した1個体の幼虫を白いトレイに入れて背中側から撮影したもので、右下向きです。

マエグロヒメフタオカゲロウの幼虫

オオフタオカゲロウの幼虫。フタオカゲロウ科。体長15ミリメートル前後。体色は褐色で、翅はほぼ透明です。幼虫は流線形の体型で、うすい褐色にまだら模様があります。鰓は、腹部各節の左右に出て、第1、2腹節の鰓は、それぞれ2対になります。幼虫は、川の中流域から下流域の流れが緩やかな場所に生息し、付着藻類を食べます。成虫は、春から夏にかけて出現します。この画像は、採集した1個体の幼虫を白いトレイに入れて背中側から撮影したもので、左上向きです。

オオフタオカゲロウの幼虫

オオマダラカゲロウの幼虫。マダラカゲロウ科。体長14ミリメートル前後。体色は褐色で、腹部は、各節の前縁は色が、うすくなって、縞模様に見えます。翅は透明です。幼虫はがっしりとした体型で、鰓は腹部の背面に乗る形になります。体色は、赤褐色に、それに近いさまざまな色の斑紋がまだら状に入ります。幼虫は、川の上流域から下流域の流れが緩やかな場所に生息し、他の水生昆虫を捕まえて食べます。成虫は春に出現します。この画像は、採集した1個体の幼虫を白いトレイに入れて背中側から撮影したもので、左上向きです。

オオマダラカゲロウの幼虫

シリナガマダラカゲロウの幼虫。マダラカゲロウ科。体長13ミリメートル前後。体色は褐色で、翅はほぼ透明です。幼虫は3本の尾毛が長いのが特徴です。幼虫は川の下流域の流れが緩やかな場所に生息します。成虫は春に出現します。この画像は、採集した1個体の幼虫を白いトレイに入れて背中側から撮影したもので、左向きです。

シリナガマダラカゲロウの幼虫

シロタニガワカゲロウの幼虫。ヒラタカゲロウ科。成虫の体長は12ミリメートル前後です。体色は、うす黄色で、翅はほぼ透明です。幼虫は平らな体型をしていて、褐色です。頭部の前縁に、4個の白色の小班があり、尾毛は3本です。川の上流域から中流域に生息し、石に表面に生えた藻類を食べます。成虫は、春から夏にかけて見られます。この画像は採集した1個体の幼虫を白いトレイに入れて背中側から撮影したもので、右向きです。

シロタニガワカゲロウの幼虫

ナミヒラタカゲロウの幼虫。ヒラタカゲロウ科。成虫の体長は10ミリメートル前後です。体色は黒色で、腹部の各節に白色の横帯が入ります。幼虫は平らな体型で、黒い褐色です。ヒラタカゲロウの仲間は特に、鰓が腹部の側面から広く張り出します。尾毛は2本です。川の上流域に生息し、石に表面に生えた藻類を食べます。春に成虫が出現します。この画像は採集した1個体の幼虫を白いトレイに入れて背中側から撮影したもので、右向きです。

ナミヒラタカゲロウの幼虫

エルモンヒラタカゲロウの幼虫。ヒラタカゲロウ科。成虫の体長は10ミリメートル前後です。体色は、うす黄色で、翅は透明です。幼虫は平らな体型で、褐色です。鰓が腹部の側面から広く張り出し、尾毛は2本です。川の上流域から中流域に生息し、石に表面に生えた藻類を食べます。春と秋に成虫が出現するそうです。この画像は採集した1個体の幼虫を白いトレイに入れて背中側から撮影したもので、左向きです。

エルモンヒラタカゲロウの幼虫

水生昆虫 トンボ目

ハグロトンボ。カワトンボ科。成虫の体長は53から68ミリメートルです。とても細長い体形をしています。翅は雌雄ともに黒色です。オス成虫は、腹部背面が金緑色です。メス成虫は、腹部が黒い褐色です。成虫期は春から秋ですが、夏に多く見られます。水中の植物に産卵します。トンボの仲間は、陸生の成虫も、水生の幼虫も、捕食者です。幼虫は、川の中流域から下流域にかけて生息します。この画像は、1枚の細い葉に止まっている1個体のオス成虫を撮影したもので、右向きです。翅は、背面の上で閉じて止まっています。

ハグロトンボ

ハグロトンボの幼虫。細長い体形で、脚が長く、体色は褐色です。3枚の尾鰓が長いのも特徴です。川の中流域から下流域の流れが緩やかな場所に生息します。この画像は、採集した1個体の幼虫を白いトレイに入れて撮影したもので、左向きです。

ハグロトンボの幼虫

アサヒナカワトンボ。カワトンボ科。成虫の体長は42から57ミリメートルです。細長い体形をしています。光沢のある緑色の体色をしています。ふつう翅は透明ですが、橙色型と呼ばれる色を帯びた翅を持つタイプが出現することもあります。成虫は、春から夏にかけて、渓流沿いで見られます。幼虫は、川の上流域に生息します。この画像は、葉に止まっている1個体を横から撮影したもので、左向きです。翅は、背面の上で閉じて止まっています。

アサヒナカワトンボ

アサヒナカワトンボの幼虫。やや細長い体形で、体色は褐色です。川の上流域に生息します。この画像は、採集した1個体の幼虫を白いトレイに入れて撮影したもので、左向きです。

アサヒナカワトンボの幼虫

ミヤマカワトンボ。カワトンボ科。成虫の体長は64から78ミリメートルです。とても細長い体形をしています。光沢のある深い緑色の体色で、翅は褐色です。成虫は、春から秋にかけて、渓流沿いで見られます。幼虫は、川の上流域に生息します。この画像は、川の水面に出た石の表面に止まっている1個体の成虫を横から撮影したもので、左向きです。翅は、背面の上で閉じて止まっています。

ミヤマカワトンボ

ムカシトンボ。ムカシトンボ科。体長45から56ミリメートル。体は、トンボ目としては太く、サナエトンボ類やヤンマ類のように黒色と黄色の部分があり、翅は透明で、イトトンボ類のように前翅と後翅がほぼ同じ形をしています。捕食者。幼虫は山地の渓流に生息し、春に羽化します。この画像は、草に掴まって止まっている1個体を撮影したもので、翅を閉じてぶら下がるように止まるのもムカシトンボの特徴です。

ムカシトンボ(鈴子勝也さん撮影)

ムカシトンボの幼虫。この画像は、採集した2個体の幼虫を白いトレイに置いて背中側から撮影したものです。両個体とも頭が上です。左側の幼虫は若い幼虫で、体部の中央が黒く、その前後は白色のツートンカラーで、右側の幼虫は羽化前の幼虫で、全身が暗褐色です。幼虫期間が7年ほどと長く、同じ時期に、様々なサイズの個体が採集されることがあります。

ムカシトンボの幼虫

ムカシトンボの羽化殻。この画像は、石に掴まって羽化した後の脱皮殻を撮影したもので、頭部が上です。ムカシトンボは比較的、水辺から離れて羽化することが知られています。

ムカシトンボの羽化殻(鈴子佐幸さん撮影)

オニヤンマ。オニヤンマ科。体長90から110ミリメートル。日本最大のトンボです。体色は、黒色の地色に、黄色の細い横縞や斑紋が入ります。複眼は緑色で、翅は透明です。成虫期は初夏から秋までで、池や川、林縁などを直線的に飛ぶ姿が見られます。メス成虫が、体を垂直に立てて、上下しながら産卵する様子は印象に残ります。幼虫は、主に川の本流に流れ込む細流などに生息します。この画像は、直立した枯れ茎の右側にぶら下がるように止まっている1個体の成虫を撮影したものです。

オニヤンマ

オニヤンマの幼虫。オニヤンマの幼虫は、全身が褐色で、複眼が小さく、下唇側片のギザギザが大きいのが特徴です。この画像は、採集した1個体の幼虫を白いトレイに置いて撮影したもので、右向きです。

オニヤンマの幼虫

ヤマサナエ。サナエトンボ科。体長63から69ミリメートル。胸部は黄色に数本の黒帯が入り、腹部は黒色に黄色の斑紋が入ります。腹部の先が少し幅広になります。翅は透明です。成虫は春から夏にかけて、主に渓流沿いで見られます。幼虫は、主に河川の中流域に生息します。この画像は垂れ下がった葉に止まっている1個体の成虫を撮影したものです。

ヤマサナエ

ヤマサナエの幼虫。ヤマサナエの幼虫は、全身が褐色で、主に河川の中流域に生息します。この画像は、採集した1個体の幼虫を白いトレイに置いて撮影したもので、右向きです。

ヤマサナエの幼虫

ダビドサナエ。サナエトンボ科。体長42から49ミリメートル。胸部背面には黒色に黄色の斑紋がいくつか入ります。胸部側面は黄色から黄緑色に、2本の黒色の筋が入ります。腹部はほぼ黒色ですが、各節に小さな黄色い斑紋が入ります。翅は透明です。成虫は春から夏にかけて出現します。幼虫は、川の中流域から上流域に生息します。この画像は、葉に止まった1個体の成虫を背面から撮影したもので、左上向きです。翅は広げた状態です。以下、注釈です。次に紹介する3種のサナエトンボの仲間であるヒメサナエ、クロサナエ、ヒメクロサナエは、お互いに似ていて、胸部背面と側面の黄斑や黒条の配置の違いで見分けます。

ダビドサナエ

ヒメサナエ。サナエトンボ科。体長38から46ミリメートル。胸部背面には黒色に黄色の斑紋がいくつか入ります。胸部側面は黄色から黄緑色に、1本の黒色の筋が入ります。腹部はほぼ黒色ですが、各節に小さな黄色い斑紋が入ります。翅は透明です。成虫は春から夏にかけて出現します。幼虫は、川の上流域に生息します。この画像は、シダの葉に止まった1個体の成虫を背面から撮影したもので、左下向きです。翅は広げた状態です。

ヒメサナエ

クロサナエ。サナエトンボ科。体長40から49ミリメートル。胸部背面には黒色に黄色の斑紋がいくつか入ります。胸部側面は黄色から黄緑色に、2本の黒色の筋が入ります。腹部はほぼ黒色ですが、各節に小さな黄色い斑紋が入ります。翅は透明です。成虫は春から夏にかけて出現します。幼虫は、川の上流域に生息します。この画像は、広い葉に止まった1個体の成虫を背面から撮影したもので、左上向きです。翅は広げた状態です。

クロサナエ

ヒメクロサナエ。サナエトンボ科。体長39から45ミリメートル。胸部背面には黒色に黄色の斑紋がいくつか入ります。胸部側面は黄色から黄緑色に、1本の黒色の筋が入ります。腹部はほぼ黒色ですが、各節に小さな黄色い斑紋が入り、中には基部から後端まで連続した帯になることもあります。翅は透明です。成虫は春から夏にかけて出現します。幼虫は、川の上流域に生息します。この画像は、広い葉に止まった1個体の成虫を背面から撮影したもので、右下向きです。翅は広げた状態です。

ヒメクロサナエ

コオニヤンマ。サナエトンボ科。体長78から92ミリメートル。サナエトンボ科の中では日本最大の種です。誤解を招きやすい和名なのですが、ヤンマ科でもなく、オニヤンマ科でもありません。胸部側面は、黄色から黄緑色の地色に、黒色の太い2本線が入り、黒色の腹部各節の背面にはしっかりとした黄色の帯が入り、オニヤンマのように、黒色と黄色の縞模様になります。翅は透明です。成虫は夏に多く見られます。幼虫は、川の上流域から下流域にかけて生息します。この画像は、採集した1個体の翅を左手でつまんで横向きに撮影したもので、頭は右側です。

コオニヤンマ

コオニヤンマの幼虫。コオニヤンマの幼虫は、とても平らで幅広の体形で、長い脚を持ち、体色は褐色です。川の上流域から下流域にかけて生息します。川の流れが緩やかな場所に溜まった落葉に隠れるのに適しています。この画像は、採集した1個体の幼虫を撮影したもので、頭は上側にあります。

コオニヤンマの幼虫

オジロサナエの幼虫。サナエトンボ科。体長41から46ミリメートル。胸部背面には黒色に黄色の斑紋がいくつか入ります。胸部側面は黄色から黄緑色に、V字の黒色の筋が入ります。腹部はほぼ黒色ですが、各節の背面に黄色い帯が入ります。翅は透明です。成虫は春から秋にかけて出現します。幼虫は、川の上流域から中流域に生息します。この画像は、採集した1個体の幼虫を白いトレイに置いて、背面から撮影したもので、左向きです。体色は褐色で、三角形の触角を持ち、脚が短いのが特徴です。

オジロサナエの幼虫

ミルンヤンマの幼虫。ヤンマ科。体長65から79ミリメートル。胸部側面は黄色から黄緑色に、1本の太い黒色の筋が入ります。腹部はほぼ黒色ですが、各節の背面に黄色い帯が入ります。翅は透明です。成虫は初夏から秋にかけて出現します。幼虫は、川の上流域から中流域に生息します。この画像は、採集した1個体の幼虫を白いトレイに置いて、背面から撮影したもので、右向きです。体色は褐色です。

ミルンヤンマの幼虫

コシボソヤンマの幼虫。ヤンマ科。体長65から79ミリメートル。胸部側面は黄色から黄緑色に、1本の太い黒色の筋が入ります。腹部はほぼ黒色ですが、各節の背面に黄色い帯が入ります。翅は透明です。成虫は初夏から秋にかけて出現します。幼虫は、川の上流域から中流域に生息します。この画像は、採集した1個体の幼虫を白いトレイに置いて、背面から撮影したもので、右向きです。体色は褐色です。

コシボソヤンマの幼虫

コヤマトンボの幼虫。エゾトンボ科。体長70から80ミリメートル。胸部側面は、光沢のある濃い緑色に、1本の黄色の筋が入ります。腹部はほぼ黒色ですが、各節に黄色い紋が入ります。翅は透明です。成虫は春から秋にかけて出現します。幼虫は、主に川の中流域に生息します。この画像は、採集した1個体の幼虫を白いトレイに置いて、背面から撮影したもので、頭はこちら向きです。体色は褐色です。脚がとても長いのが特徴です。

コヤマトンボの幼虫

水生昆虫 カワゲラ目

ノギカワゲラ。ヒロムネカワゲラ科。体長10ミリメートル前後。成虫は、前胸背板が褐色で、翅は半透明の褐色です。脚の腿節が黄色であるのが特徴です。幼虫は川の上流域から中流域にかけて生息し、春から夏にかけて成虫が出現します。この画像は、葉に止まっている1個体の成虫を背中側から撮影したもので、左向きです。以下、注釈です。カワゲラの仲間の成虫は陸生で、細長い体型をしていて、左右の翅が背中の上で重なるように折りたたまれて、腹部を覆います。水生の幼虫の口は前に向き、鰓のある場所は、グループによって違います。大型種の幼虫は、他の水生昆虫を捕食します。小型種の幼虫は、藻類や水生植物を食べます。成虫はふつう、水を飲むくらいだと言われています。近木川で、カワゲラの仲間が見られるのは、ほとんど上流域です。

ノギカワゲラ

フサオナシカワゲラ属。オナシカワゲラ科。体長5ミリメートル前後。オナシカワゲラの仲間は、成虫も幼虫も、カワゲラの仲間としては小型で、細長い体型をしています。フサオナシカワゲラ属は、何種類か含まれていると思われます。幼虫は、頸部に総状の鰓を持つのが特徴です。この画像は、地面に止まっている1個体の成虫を撮影したもので、左向きです。全体的に、黒っぽい色をしています。

フサオナシカワゲラ属

フタツメカワゲラ属。カワゲラ科。体長20ミリメートル前後。フタツメカワゲラ属も、何種類か含まれていると思われます。成虫の頭部と胸部は、黄色の地色に、種特有の黒色の模様が入ります。この画像は、苔のマットの上にいる1個体の成虫を撮影したもので、左向きです。翅は、ほぼ透明です。

フタツメカワゲラ属

コガタフタツメカワゲラ属。カワゲラ科。体長15ミリメートル前後。コガタフタツメカワゲラ属も、何種類か含まれていると思われます。成虫の頭部と胸部は、うすい黄色の地色に、種特有の黒色の模様が入ります。この画像は、葉の上にいる1個体の成虫を撮影したもので、右向きです。翅は、ほぼ透明です。

コガタフタツメカワゲラ属

オオヤマカワゲラ。カワゲラ科。体長30ミリメートル前後。大型のカワゲラです。体は黒い褐色で、翅は茶褐色です。幼虫は川の上流域に生息し、他の水生昆虫を食べます。成虫は春に出現します。この画像は、葉の上に止まっている1個体を背中側から撮影したもので、左向きです。

オオヤマカワゲラ

クラカケカワゲラ属。カワゲラ科。体長30ミリメートル以下。クラカケカワゲラ属も、何種類か含まれていると思われます。幼虫は川の上流域に生息します。この画像の成虫は、体が黒色で、翅は茶褐色、脚は脛節が黄褐色です。葉の上に止まっていて、右向きです。

クラカケカワゲラ属

オビシタカワゲラ属。シタカワゲラ科。成虫と幼虫とも、小型で、細長い体型をしています。オビシタカワゲラ属も、何種類か含まれていると思われます。幼虫は主に川の上流域に生息します。この画像の成虫は、体と翅が黒色で、脚は茶褐色です。岩の上に止まっていて、右下向きです。

オビシタカワゲラ属

フサオナシカワゲラ属の幼虫。オナシカワゲラ科。体長5ミリメートル前後。オナシカワゲラの仲間は、成虫も幼虫も、カワゲラの仲間としては小型で、細長い体型をしています。フサオナシカワゲラ属は、何種類か含まれていると思われます。幼虫は、頸部に総状の鰓を持つのが特徴です。この画像は、採集した1個体の幼虫を白いトレイに入れて撮影したもので、左向きです。全身、褐色です。

フサオナシカワゲラ属の幼虫

ミドリカワゲラモドキ属の幼虫。アミメカワゲラ科。体長10ミリメートル以下。ミドリカワゲラモドキ属も、何種類か含まれていると思われます。この画像の幼虫は、褐色で、濃淡の模様があり、脚は黄褐色です。採集した1個体の幼虫を白いトレイに入れて撮影したもので、左向きです。

ミドリカワゲラモドキ属の幼虫

オオヤマカワゲラ属の幼虫。カワゲラ科。体長30ミリメートル前後。大型のカワゲラです。茶褐色の体に、濃淡のまだら模様が入ります。幼虫は川の上流域に生息し、他の水生昆虫を食べます。採集した1個体の幼虫を白いトレイに入れて撮影したもので、右向きです。

オオヤマカワゲラ属の幼虫

クラカケカワゲラ属の幼虫。カワゲラ科。体長30ミリメートル以下。茶褐色の体と脚に、濃淡のまだら模様が入ります。幼虫は川の上流域に生息し、他の水生昆虫を食べます。採集した1個体の幼虫を白いトレイに入れて撮影したもので、右向きです。

クラカケカワゲラ属の幼虫

水生昆虫 カメムシ目

シマアメンボ。アメンボ科。体長6ミリメートル前後。川にだけ生息するアメンボです。近木川では、主に上流域の水面で、幼虫と翅のないタイプの成虫が見られます。灰色から黄褐色の地色に、黒色の斑紋や帯がまだら状に入ります。体の大きさに比べて、中脚と後脚が非常に長く、水面をすばやく移動します。ストロー状の口吻で、水面に落ちた他の昆虫などの体液を吸います。この画像は、水面に浮かんだ1個体の成虫を背面から撮影したもので、左上向きです。

シマアメンボ

水生昆虫 アミメカゲロウ目

ヘビトンボ。ヘビトンボ科。体長40センチメートル前後。トンボの仲間ではなく、クサカゲロウやウスバカゲロウに近い仲間です。体は細長く、黄褐色です。翅は大きく透明で、少し黄色の斑紋が入っています。翅は、背中側で完全に重ねられることはありません。成虫は主に夏に見られます。成虫は、大きな顎を持っていますが、樹液や水などを飲む程度だと言われています。幼虫は水生で、他の水生昆虫を大きな顎で捕まえて食べます。この画像は、木の幹にいる1個体を背中側から撮影したもので、左向きです。

ヘビトンボ

ヘビトンボの幼虫。頭部と前胸背板は赤褐色で、腹部は褐色です。大きな顎を持ち、腹部の各節側面から両側に、突起状に鰓が出ます。水生で、他の水生昆虫を大きな顎で捕まえて食べます。画像は、採集した1個体を白色のトレイに置いて撮影したもので、左向きです。

ヘビトンボの幼虫

ヤマトクロスジヘビトンボ。ヘビトンボ科。体長40センチメートル前後。体は細長く、褐色がかった色をしています。翅は大きく半透明でまだら模様をしています。成虫は主に夏に見られます。成虫は、大きな顎を持っていますが、水や樹液を飲む程度だと言われています。幼虫は水生で、他の水生昆虫を大きな顎で捕まえて食べます。この画像は、枯れ木に止まっている1個体を横から撮影したもので、右向きです。

ヤマトクロスジヘビトンボ

ヤマトクロスジヘビトンボの幼虫。頭部と前胸背板は黒い褐色で、腹部は褐色です。大きな顎を持ち、腹部の各節側面から両側に、突起状に鰓が出ます。水生で、他の水生昆虫を大きな顎で捕まえて食べます。この画像は、採集した1個体を白色のトレイに置いて撮影したもので、左向きです。

ヤマトクロスジヘビトンボの幼虫

タイリククロスジヘビトンボ。ヘビトンボ科。体長40センチメートル前後。体は細長く、褐色です。翅は大きく半透明でまだら模様をしています。成虫は主に夏に見られます。成虫は、大きな顎を持っていますが、水や樹液を飲む程度だと言われています。幼虫は水生で、他の水生昆虫を大きな顎で捕まえて食べます。この画像は、葉の上に止まっている1個体を横から撮影したもので、右向きです。ヤマトクロスジヘビトンボと、よく似ていますが、翅脈の違いで見分けることができます。

タイリククロスジヘビトンボ

水生昆虫 コウチュウ目

ゲンジボタル。ホタル科。体長15ミリメートル前後。前胸背板はピンク色で、前翅は黒色です。成虫は5月から6月にかけて出現します。成虫は水を飲むだけです。夜間に腹部後端を発光させて、オスとメスで交信し、交尾します。メスは岸辺の苔マットなどに産卵します。幼虫は水生で、川に生息し、淡水貝の巻貝であるカワニナを食べます。この画像は葉の上にいる1個体の成虫を撮影したもので、左向きです。

ゲンジボタル

ゲンジボタルの発光。この画像は、暗闇の中、葉の上で発光している1個体の成虫を撮影したものです。腹部後端が黄色く光っている以外は、他の部分も植物も黒いシルエットで写っています。

ゲンジボタルの発光

ゲンジボタルの幼虫。幼虫の体色は褐色で、各節に1対の黄褐色の斑紋が入ります。水生で、淡水貝の巻貝であるカワニナの軟体部を消化液で溶かして食べます。頭部が小さいのは、カワニナの殻と蓋の隙間に、突っ込みやすくするためだと思われます。この画像は、採集した1個体の幼虫を白いトレイの上に置いて撮影したもので、上向きです。体を右にひねっています。

ゲンジボタルの幼虫

マルヒラタドロムシ属の幼虫。ヒラタドロムシ科。体長4ミリメートル前後。成虫は丸っこい体型で、前胸背板と前翅は黒色です。成虫は春に出現します。幼虫は水生で、円盤のような形をしています。腹部の下面に総状のエラがあります。この画像は、川底から拾い上げた石にへばり付いていた2個体の幼虫を背中側から撮影したもので、左側に写っている個体は左向きで、右側に写っている個体は上向きです。

マルヒラタドロムシ属の幼虫

水生昆虫 ハエ目

ガガンボ科の幼虫。成虫は、蚊を大きくしたような体型です。ハエ目なので、前翅はふつうですが、後翅は平均棍と呼ばれる小さな棒状になっています。成虫は、水を飲む程度です。幼虫は水生で、脚がない芋虫のような体型をしています。水中ではデトリタスと呼ばれる生物遺体の分解途中のものを食べているのだと思います。この画像は、採集した1個体の幼虫を白いトレイに入れて撮影したものです。体色は、うすい褐色で、頭は左にあります。

ガガンボ科の幼虫

ユスリカ科の幼虫。成虫は、蚊と同じような体型ですが、水を飲む程度です。ハエ目なので、前翅はふつうですが、後翅は平均棍と呼ばれる小さな棒状になっています。幼虫は水生で、細長い体型をしています。水中ではデトリタスと呼ばれる生物遺体の分解途中のものを食べているのだと思います。この画像は、採集した1個体の幼虫を白いトレイに入れて撮影したもので、体色は赤色で、頭は左にあります。

ユスリカ科の幼虫

ユスリカ科の幼虫。成虫は、蚊と同じような体型ですが、水を飲む程度です。幼虫は水生で、細長い体型をしています。この画像は、採集した1個体の幼虫を白いトレイに入れて撮影したもので、体色は白色で、頭は左にあります。ユスリカ科の幼虫は、種類を判定するのが、とても困難です。

ユスリカ科の幼虫

水生昆虫 トビケラ目

ヒゲナガカワトビケラ。ヒゲナガカワトビケラ科。体長15ミリメートル前後。前翅は褐色の地色に、濃淡の斑紋が入ります。触角が前翅より長いのが和名の由来です。成虫は春から秋にかけて出現します。幼虫は、細長い体型で、体色は褐色です。川の上流域から下流域まで生息し、大きな石の表面に、糸を吐いて、何個かの小さな石を固めて、巣を作ります。隙間に網を張って、流下してきた藻類や生物由来の分解途中の有機物などを食べます。この画像は、葉に止まっている1個体の成虫を背中側から撮影したもので、右向きです。以下、注釈です。トビケラの仲間の成虫は、ほとんど摂食しないと思われます。翅は腹部の背中側に沿うように三角屋根状にたたみます。幼虫は、ガ類と同じように、口の近くにある腺から糸を吐くことができます。

ヒゲナガカワトビケラ

ナミコガタシマトビケラ。シマトビケラ科。体長5ミリメートル前後。前翅は、濃淡のある褐色の細かいまだら模様です。成虫は春から秋にかけて出現します。幼虫は、細長い体型で、体色は、うすい緑褐色です。川の上流域から下流域にかけて生息し、石の隙間に網を張って、流下してきた藻類や生物由来の分解途中の有機物などを食べます。この画像は木の幹に止まった1個体の成虫を手前側から撮影したもので、頭がやや右にあります。

ナミコガタシマトビケラ

ニンギョウトビケラ。ニンギョウトビケラ科。体長11ミリメートル前後。前翅の色は、明るい褐色です。春から秋にかけて成虫が出現します。幼虫は、川の中流域から上流域に生息し、小石を糸でつづって、筒巣を作ります。この画像は、葉の上に止まった1個体の成虫を撮影したもので、左向きです。

ニンギョウトビケラ

ヨツメトビケラ。フトヒゲトビケラ科。体長18ミリメートル前後。翅の色は黒色で、オスの中には、それぞれの翅の先の方に、やや大型の白色の斑紋を持つ個体もいます。成虫は、6月から8月にかけて出現し、昼に活動します。幼虫は、川の上流域に生息し、小石を糸でつづって、筒巣を作ります。この画像は、葉の上に止まった1個体の成虫を撮影したもので、左向きです。

ヨツメトビケラ

ヤマガタトビイロトビケラ。エグリトビケラ科。体長15ミリメートル前後。翅の色は褐色です。成虫は秋に出現します。幼虫は、川の上流域に生息し、小枝や細い落葉を糸で綴り合せて、筒巣を作ります。この画像は、葉の上に止まった1個体の成虫を撮影したもので、右向きです。

ヤマガタトビイロトビケラ

ヒゲナガカワトビケラの幼虫。ヒゲナガカワトビケラ科。幼虫は、細長い体型で、体色は褐色です。川の上流域から下流域まで生息し、大きな石の表面に、糸を吐いて、何個かの小さな石を固めて、巣を作ります。隙間に網を張って、流下してきた藻類や生物由来の分解途中の有機物などを食べます。この画像は、採集した1個体を白いトレイの上に置いて側面から撮影したもので、頭は右側にあり、腹部を下に曲げています。

ヒゲナガカワトビケラの幼虫

コガタシマトビケラ属の幼虫。シマトビケラ科。幼虫は、細長い体型で、体色は、うすい褐色です。川の上流域から下流域にかけて生息し、石の隙間に網を張って、流下してきた藻類や生物由来の分解途中の有機物などを食べます。この画像は、採集した1個体を白いトレイの上に置いて側面から撮影したもので、頭は上側にあり、腹部を逆C字型に曲げています。

コガタシマトビケラ属の幼虫

ナガレトビケラ属の幼虫。ナガレトビケラ科。ナガレトビケラの仲間は何種類かいます。いずれも細長い体型で、筒巣は作りません。ほとんどが川の上流域に生息します。この画像は、採集した1個体の幼虫を白いトレイの上に置いて、側面から撮影したもので、左側に頭があります。この幼虫は、頭部と前胸が褐色で、それより後ろの部分は白色です。

ナガレトビケラ属の幼虫

コカクツツトビケラ属の幼虫。コカクツツトビケラ属の幼虫。若齢幼虫は、砂粒を糸で綴り合せて筒巣を作り、老齢幼虫は落葉の切片で筒巣を作ります。成長の境目の時期には、口に近い方が落ち葉で、腹側が砂粒の筒巣になります。この画像は、白いトレイの上側に採集した1個体の幼虫を置き、下側に1個の筒巣を置いて撮影したもので、いずれも左側に頭と筒巣の入口があります。

コカクツツトビケラ属の幼虫(若齢幼虫は砂粒で筒巣を作り、老齢幼虫は落葉の切片で筒巣を作ります。写真の筒巣はその移り変わりの時期のものです)

グマガトビケラ属の幼虫と筒巣。ケトビケラ科。体長6ミリメートル前後。翅の色は黒い褐色です。成虫は春から夏にかけて出現します。幼虫は、川の中流域から上流域にかけて生息し、細かな砂粒で、やや曲がった筒巣を作ります。この画像は、白いトレイの上側に採集した1個体の幼虫を置き、下側に1個の筒巣を置いて撮影したもので、いずれも左側に頭と筒巣の入口があります。

グマガトビケラ属の幼虫と筒巣

マルバネトビケラ属の幼虫と筒巣。マルバネトビケラ科。体長10ミリメートル前後。翅は、褐色に複雑な白い斑紋が入ります。成虫は春と秋に出現します。幼虫は川の上流域に生息し、細い落ち葉を乱雑に綴り合せて、筒巣を作ります。この画像は、白いトレイの上に、筒巣を中央に置き、その右側に幼虫を置いて、撮影したものです。幼虫の頭は上向きです。

マルバネトビケラ属の幼虫と筒巣

ニンギョウトビケラの幼虫。ニンギョウトビケラ科。幼虫は、川の中流域から上流域に生息し、小石を糸でつづって、筒巣を作ります。この画像は、めくった石の裏側に付いていた筒巣8個が、頭を上側にして並んでいる状態を撮影したものです。

ニンギョウトビケラの幼虫

カタツムリトビケラ属の幼虫。カタツムリトビケラ科。体長3ミリメートル以下。翅は褐色で、とても小さいトビケラです。幼虫は、細かな砂粒を使って、右巻きのカタツムリの殻の形をした巣を作ります。川沿いの、たえず湧水か細流が流れる岩肌やたまり水に生息します。この画像は、岩肌にいる5個体を背面から撮影したものです。

カタツムリトビケラ属の幼虫

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