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更新日:2020年06月01日

和泉櫛一式(嫁入り道具)の写真

写真3 和泉櫛一式(嫁入り道具) 摂河泉文庫蔵

近代のものですが、貝塚の住民が嫁入り道具として持参した和泉櫛の一式【写真3】には、横櫛以外の様々な形の櫛が納められています。これらの櫛は日本髪を結うための代表的な櫛で、その用途や形状を紹介します。

1.足形(あしがた) 日本髪を結う際に細部を整えるために使われた櫛。長い柄に対して斜めに櫛の部分が付き、櫛には短い歯が入っており、貝塚ではナギナタと呼ばれます。

2.鬢出し(びんだし) 日本髪を結う際に髪の左右を膨らませるために使われた櫛。足形に比べて柄が短く、櫛の部分が長方形で歯が長く、貝塚ではフカバと呼ばれます。

3・4・5.筋立(すじたて) 髪の毛筋を整えるために使われた櫛。長い柄の先に小さな櫛が付いたもので、小櫛の部分が二等辺三角形に近い形のものはシナガワ(3・4)、丸みを帯びた形のものはハマグリ(5)と呼ばれます。

6.髪上げ(かみあげ) 日本髪を結う際に髪を持ち上げるために使われた櫛。先端が鎌状になっているため、貝塚ではカマと呼ばれます。

7.簪(かんざし) 櫛ではなく髪飾りとして使われた装身具。このような直線状のものはイッポンと呼ばれます。

このように日本髪を結うために様々な形の櫛が作られた和泉櫛は、紹介した筋立(3・4・5)のように歯や櫛の形状が異なるものが作られたことで、その種類は次第に増えていきました。さらに近代になると、洋髪の結い方に合わせた櫛も作られ、その種類はより豊富なものとなりました。


つげさんのモチーフとなっている櫛は丸い形の横櫛ですが、ルーツにあたる和泉櫛は今回その一部を紹介したように様々な種類があります。こうした様々な和泉櫛を知っていただき、本市の伝統工芸「和泉櫛」の奥深さを感じていただくことで、新しい「和泉櫛」のシンボルである「つげさん」とともに、「和泉櫛」が末永く親しみのある存在として継承されていくことを願ってやみません。

展示解説図録販売のお知らせ

展示解説図録『貝塚市の伝統工芸 和泉櫛ヒストリー~つげさんのルーツを訪ねて~』の表紙の写真

展示解説図録『貝塚市の伝統工芸 和泉櫛ヒストリー~つげさんのルーツを訪ねて~』

令和元年度郷土資料展示室特別展「貝塚市の伝統工芸 和泉櫛ヒストリー~つげさんのルーツを訪ねて~」の開催にあわせて、展示解説図録を刊行しました。定価300円で、社会教育課(貝塚市教育庁舎1階)および社会教育課郷土資料室(市民図書館2階)にて販売しています。和泉櫛について、より詳しくお知りになりたい方はぜひお買い求めください。

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ファックス:072-433-7053
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