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本堂彩色の復原作業

更新日:2020年05月28日

彩色はぎ取り作業の写真

彩色はぎ取り作業の様子

はぎ取り作業後に現れた再建当初の彩色の写真

再建当初の彩色(はぎ取り作業後)

願泉寺本堂の内陣の柱や天井などには、様々な彩色(文様)が描かれています。現状の内陣の彩色は、香などの煤(すす)によって黒ずんでいますが、当時は極彩色に彩られていたと考えられます。

内陣に描かれている彩色を調査したところ、現状の彩色の下に、さらに古い時期の彩色が描かれていることが判明しました。古い段階の彩色は、再建当初の1663年(寛文3年)に描かれたものと推測されます。本堂は、過去に何度も修理が行われていることが文献などで判明しており、内陣に描かれた現状の彩色は1811年(文化8年)頃のものと考えられています。

今回の半解体修復事業の目的である再建当初の姿を再現するためには、塗り替えられた現状の彩色をはぎ取る必要があります。

これまで彩色(寛文期)を復原するためには、現状の彩色(文化期)を彫刻刀などの刃物で削り取る方法やビニール製のシールに彩色を付着させる方法がありました。シールに付着させる方法は、化学薬品が付着して彩色(文化期)を傷める可能性があることやシール自身が劣化するため長期保存には向いていませんでした。

今回のはぎ取り作業に採用した、膠(にかわ)と和紙を使用する方法は最近開発された技術です。その手順は、塗り替えられた彩色の上に和紙を膠で貼り付け、さらに薄い白布を膠で貼り重ねます。2~3時間ほど膠を乾かし、生乾きの状態で彩色が付着した和紙をはぎ取ります。この方法の利点は、化学薬品などではなく自然素材を使用することで文化期の彩色を傷めずに、長期保存することができることです。さらに膠がお湯に溶ける特性を活かし、和紙に付着した彩色を別の板などに転写することも可能となりました。

最新のはぎ取り技術によって文化期に塗り替えられた彩色も、建物と共に末永く残していくことができるようになりました。

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