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更新日:2020年02月05日

地域の文化財を守り伝えよう-釘無堂とぼっかんさんの修理から-

文化財建造物は、永年の風雨などの経年劣化、火災や地震などの災害を乗り越えて、守り伝えられてきました。日本の文化財建造物は、西洋の石造やレンガ造の建物と異なり木造のものが多く、柱などの部材の腐朽(ふきゅう)や火災の被害の心配があり、早めの手当や定期的な修理が不可欠です。今年度は、市内の国宝と重要文化財の修理が行われており、それぞれの修理の状況を紹介します。

国宝孝恩寺観音堂の修理

木積(こつみ)の国宝孝恩寺観音堂は、鎌倉時代後期に建て直されたと伝えられ、所蔵する平安時代ごろの仏像とともに、戦国時代の戦火をのがれて守り伝えられてきました。
観音堂は、大正5(1916)年に解体修理が行われましたが、100年以上が経過して経年劣化や風雨による傷みが見られるようになってきました。そのため、令和元年9月から令和4年1月まで修理工事を行っていきます。

屋根は瓦の割れやずれのため、強い雨の時には雨漏りも発生しており、屋根の瓦を全部おろして、再利用できるものを選別し、瓦の葺き替えを行います。壁は、隙間ができてぐらついているため、下地から修理して漆喰(しっくい)の塗り直しを行います。堂の周囲には縁(えん)と呼ばれる廊下が巡りますが、軒下が狭く雨や日光にさらされて板が割れたり風化したりしていますので部材の取替えを行います。床板や建具などについても不具合を確認して補強や部材の取替えを行っていきます。

また、文化庁はこれまでの大地震の被害を受け、国宝・重要文化財建造物を守るため、耐震診断を実施し、耐震補強の工事を行うように文化財所有者に推奨しています。そのため、観音堂についても、修理工事を行うとともに、耐震診断を行っております。
令和元年12月から、観音堂の内部の仏像などや周囲の植木の移動を行い、周囲の足場を設置しており、今後は屋根から瓦を降ろす作業へと工事は進んで行きます。

瓦がずれている状態の写真

瓦のずれ

瓦の欠損状況の写真

瓦の欠損状況

瓦のずれ、落下が確認できる箇所の写真

瓦のずれ、落下

建物内から壁のすき間が確認できる写真

壁のすき間(建物内)

壁の漆喰がはがれている状態の写真

壁の漆喰のはがれ