現在の位置

5ページ

更新日:2024年06月25日

市内の古文書調査から 澤金毘羅(こんぴら)講共有文書

金毘羅講の幟

講の幟(のぼり)

貝塚市澤には江戸時代から続く講組織である金毘羅講(朝日講)があります。講とは寺社や霊場に参詣し、あるいはその維持のために奉加寄進(ほうがきしん=神仏に対する寄付)する目的で作られた組織です。村の代表が寺社にお参りをしてお札(ふだ)を授かり、村に戻って講の加入者にお札を配るしくみが取られていました。
澤金毘羅講は、そうした講の一つで、「こんぴらさん」の愛称で親しまれている金刀比羅宮(ことひらぐう、香川県仲多度郡琴平町(なかたどぐんことひらちょう))に参詣するための講です。金刀比羅宮は航海の安全や豊漁祈願など海にまつわる信仰に加え、五穀豊穣・商売繁盛・病気平癒などの御利益(ごりやく)があるとして古くから信仰されてきました。
澤金毘羅講共有文書は、講で持ち回る木箱に納められ、受け継がれてきました。天保15(1844)年の勘定帳をはじめ、明治・大正・昭和と書き綴られた出納帳簿、土地や金銭の証文など113点が確認されました。また、幟(のぼり)【右写真】は「金毘羅大権現」(金刀比羅宮の旧称)へお参りする講の旗印として、古文書とともにのこされたものです。近年、市内各所において講に加入する人が減少し、その活動の維持が難しくなっている中、貴重な調査となりました。

珍しい古文書再利用の形

廣海(ひろみ)家文書 畳の中敷きに用いた古文書を発見

畳中敷き文書

畳の上敷きをめくると現れた
古文書を貼り合わせた中敷き

貝塚市西町の旧家廣海家において、畳と畳の上敷きとの間に古文書を中敷きとして加工して敷き詰められたものが、いくつかの部屋から発見されました。このような形で古文書が利用される例を目にするのは、市内の調査では初めてです。
廣海家は江戸時代後期から明治時代にかけて、米穀・肥料商として廻船を操り北海道・東北・北陸などで取引した商家で、数多くのこる帳簿や書簡類76,026点が平成18(2006)年に貝塚市指定文化財となっています。また、文久元(1861)年に建てられた主屋(しゅおく)を含む8棟の建造物が平成15(2003)年に国登録有形文化財となっています。
江戸時代以降、襖(ふすま)の下張りなどで古文書が再利用される事例は数多く確認さ
れ、廣海家においても多数の襖下張り文書を調査・整理してきました。当時高価な和紙を最後まで使い切るというリサイクルの観点が貫かれていたと考えられます。中敷きとしての利用も、そうした観点に加えて、クッション性があり、畳が傷まないように保護する目的で使われたものと推測されます。
今後、中敷きとして貼り合わされている古文書を解体し、その内容を明らかにしていきます。

この記事に関するお問い合わせ先

教育部 文化財保存活用室

電話:072-433-7126
ファックス:072-433-7053
〒597-8585
大阪府貝塚市畠中1丁目17番1号 本館5階

メールフォームによるお問い合わせ