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貝塚市内の竜(龍)にまつわる寺院と神社
<孝恩寺(こうおんじ)>

写真2 木造難陀竜王立像

貝塚市木積(こつみ)にある孝恩寺は、「釘無堂」(くぎなしどう)の呼び名で有名な国宝孝恩寺観音堂(本堂)と、重要文化財の彫刻(仏像)・絵画(板絵)を所蔵することで知られています。これらの文化財は、奈良時代に僧行基が創建したと伝えられる観音寺という寺院の文化財を引き継いだものです。このうち、彫刻と絵画は境内に建つ文化財収蔵庫※2に安置されていますが、彫刻20躯(く)の中には木造難陀竜王立像(なんだりゅうおうりゅうぞう)【写真2】と木造跋難陀竜王立像(ばなんだりゅうおうりゅうぞう)の2躯の竜王像がのこされています。いずれも平安時代前期9世紀の制作とされる像で、全国的にも類例の少ない竜王像を代表する優品です。高龗神社を祀る和泉葛城山の麓にあたる木積の地に伝わるものであることから、和泉葛城山の竜神信仰と関係して制作されたのではないかと考えられています。
注2 孝恩寺文化財収蔵庫の見学は、毎年春と秋のお彼岸の時期にそれぞれ10日間程度開催しています。詳しくは孝恩寺ホームページ(QRコード)でご確認ください。
<願泉寺(がんせんじ)>

写真3 表門の飛竜の彫刻

写真4 高龗神社(脇浜戎大社)手水舎の竜と恵比寿をかたどった吐水口
貝塚市中町にある願泉寺は、地元では「ぼっかんさん」として親しまれている貝塚寺内町(じないまち)の中心寺院です。願泉寺には、本堂・太鼓堂とともに国の重要文化財に指定されている表門に竜の彫刻が施されています。表門をくぐる際に目に飛び込んでくるのが、長押(なげし)という部材の上に備えつけられた竜の彫刻【表紙上写真】で、左手に宝玉を持った竜がこちらを見下ろしています。
平成7(1995)年に発見の虹梁(こうりょう)という部材の上に3組の獅子の彫刻が施されているのが確認できます。他の三方にも同じく空想上の動物の彫刻が配置されており、側面南側には2組の飛竜の彫刻【写真3】が施されています。いずれも建物を装飾する意味合いはもちろんのことですが、水の神である竜と四方に霊獣を配することで、建物を火災から守り、また建物の四方を守るという意味が込められているものと思われます。
以上、貝塚市内の竜にまつわる4つの寺院と神社を、竜にまつわる伝説やそこにのこる竜にまつわる文化財と合わせて紹介しました。今回紹介した以外にも、手水舎(ちょうずや)の吐水口(とすいこう)【写真4】など、いずれの寺社にもまだまだ竜をかたどったものがのこされています。竜は「昇り竜(のぼりりゅう)」という言葉があるように、その天高く昇る姿から運気を上昇させる縁起のよい動物とされています。皆さんも12年に一度の辰年に、今回紹介した寺社を訪ねて文化財に親しむとともに、運気アップも兼ねていろいろな竜を探してみませんか。
新たに追加指定した古文書は、学術研究に広く提供し、貝塚市の歴史を掘り下げていく文化財として、今後は古文書講座のテキストや郷土資料展示室での展示などに活用していく予定です。
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更新日:2024年06月25日