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和泉葛城山ブナ林は国の天然記念物指定100周年

和泉葛城山ブナ林との なが~い おつきあい
貝塚市文化財保護審議会委員
和泉葛城山ブナ林保護増殖検討委員会委員 田中 正視
小学生の頃山や自然に興味があり、泉南市の自宅から一人で和泉葛城山や大阪周辺の山によく登りました。ブナ林へは、バスで蕎原まで行き、何度も通いました。当時は、和泉葛城山周辺の山頂付近では木が生えていないところも多くあり、現在と比べると山は荒廃している状況でした。
中学、高校と興味は尽きることなく、大学では農学部林学科で学び、山岳部に所属して山登りも続けました。さらに学問を深めるため大学院に進み、教員免許を得て昭和61(1986)年に大阪府立伯太高等学校(和泉市)で生物教員となりました。そこで、大阪府高等学校生物教育研究会(昭和23年創立)に入って活動をはじめました。

ブナのタネを育てる田中氏(1996年)
当時、大阪市立自然史博物館学芸員でおられた布谷知夫(ぬのたにともお)先生(和泉葛城山ブナ林保護増殖検討委員会前会長)とは、この研究会で知り合うこととなり、新しく立ち上がった森林生態研究部会では、府内のブナ林の現況調査を生徒たちとともに行いました。現況調査は、和泉葛城山、金剛山と大和葛城山(千早赤阪村)、妙見山(能勢町)のブナの本数、太さを調べました。また、ブナの種子調査は、花芽(はなめ)の調査から、種子をトラップ(採集網)で採集するなど現在の保護増殖事業に先行した研究を実施しました。伯太高校では15年、次に赴任した泉南高等学校(泉南市)では18年勤めてその間ずっと和泉葛城山ブナ林に関わってきました。
令和5年3月和泉葛城山ブナ林は国の天然記念物指定100周年を迎えますが、ブナ林は地元の人々により500年以上にわたってまもられてきたのです。これからも伝えていくには、地元の人々とともに事業を行うこと、ブナ林についてもっと広く知ってもらうこと、蓄積した気温などの基礎データを活かした保護増殖の取り組みを行うこと、ブナ専門分野以外の研究者とも連携していくことが必要と考えています。
(この記事は、社会教育課職員が聞き手となり、文章化したものです)
8頁に和泉葛城山ブナ林の国天然記念物指定100周年記念事業を紹介しています。
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更新日:2023年03月01日