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孝恩寺(こうおんじ)の仏像 菩薩(ぼさつ)8 十一面観音(じゅういちめんかんのん)菩薩(伝勢至(でんせいし)菩薩)
木積(こつみ)の孝恩寺には、平安時代制作の20躯(く)の仏像(彫刻)が安置され、うち19躯が国の重要文化財に指定されています。今回はその中から十一面観音立像(伝勢至菩薩)を紹介します。
【重要文化財】木造 十一面観音立像(伝勢至菩薩像) 1躯
時代 平安時代前期(9世紀)
像高 167.5cm
指定年月日 昭和13(1938)年8月26日

木造 十一面観音菩薩立像(伝勢至菩薩像)
観音菩薩は、33の姿を持ち、衆生(しゅじょう、生きとし生けるもの)のあらゆる願いにこたえてくれるといいます。十一面観音はその変化した姿の一つで、頭上に10または11の小さな面(顔)をつけた観音菩薩です。
本像は、木造 阿弥陀如来坐像の脇侍(きょうじ)の勢至菩薩像として安置されていますが、頭上面に面を取り付ける穴があることから、本来は十一面観音であったことがわかります。頭頂部より足元まで、両臂(ひじ)を含めて一本の材木から彫り出しています。
対になる伝観音菩薩像【本誌63号で紹介】とほぼ同じ像高で、頭には派手な宝冠をつけ、手には同じ蓮茎(れんけい)を持ち、肉身は漆箔(しっぱく)仕上げ、衣部は黒漆(くろうるし)塗りとしていますので、一見すると両像は一組の像のように見えますが、形式および様式において相違点が目立ちます。天平(てんぴょう)風のプロポーションの良い伝観音菩薩像に比べて、本像は抑揚の少ない寸胴形のプロポーションで、両腕が異様に太く、臂部も飛び出し、誇張的な面が見られます。また衣の表現も形式化が見られ、背面の粗い処理とあわせて、伝観音菩薩像よりも製
作時期が新しいことを感じさせます。伝観音菩薩像の洗練された作風と異なり、地方で製作された粗さと力強さをもつ像だといえます。
貝塚市郷土資料展示室企画展「写真で見る孝恩寺の文化財」

国宝「孝恩寺観音堂」
保存修理事業を終えた国宝「孝恩寺観音堂」(釘無堂)をはじめ、孝恩寺に残る文化財についてパネル展示で紹介し ます。
会期 開催中~令和4年12月26日(月曜日)まで
場所 貝塚市郷土資料展示室(貝塚市民図書館2階)
観覧料 無料
休室日 火曜日、11月23日(水曜日)、30日(水曜日)
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更新日:2020年10月01日