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更新日:2020年10月01日

国宝孝恩寺観音堂 令和の大修理 その4

木積(こつみ)にある孝恩寺では、本堂である国宝孝恩寺観音堂(通称 釘無堂(くぎなしどう))の保存修理工事が進められています。本号では、令和3年7月に終了した瓦の葺き替え工事について紹介します。

棟瓦の設置

棟の名称の写真

棟の名称

平瓦、丸瓦などの瓦を葺いた後は、屋根の棟(むね)の部分に瓦を設置していきました。
棟は場所によってそれぞれ名称があり、屋根最上部の大棟(おおむね)、大棟から屋根の四隅に降る隅棟(すみむね)、軒の先端部分の短い棟は稚児棟(ちごむね)と呼ばれています。

棟瓦の設置状況の写真

棟瓦の設置状況

棟の部分は、右写真のように、熨斗(のし)瓦と呼ばれる平瓦を加工したものを何層も積み重ねて南蛮漆喰(なんばんじっくい)で固定していきます。下層の熨斗瓦は幅広で、上層に積み重ねるものは少し幅が狭いものを積み上げ、その断面は台形になります。棟の上は、への字のような形をした雁振(がんぶり)瓦を設置して雨漏りを防ぎます。
 

鬼瓦の設置

鬼瓦は、稚児棟の先端部分(軒先)と、軒のやや上部分に位置する隅棟の先端の2カ所、それが四隅合わせて8カ所に設置されました。鬼瓦上には、鬼瓦裏からの雨水侵入を防止するための鳥衾(とりぶすま)瓦が設置されました。南西の稚児棟は破損しており、折れていた鬼の角(白点線部分)や鳥衾瓦の瓦頭の欠損部(白点線部分)を作成し、補修可能な部分を修理した上で設置しなおされています。
 

破損した鬼瓦と鳥衾瓦の写真

破損した鬼瓦と鳥衾瓦

補修された鬼瓦と取り替えられた鳥衾瓦の写真

補修された鬼瓦と取り替えられた鳥衾瓦

次号のテンプスでは、壁や床板、建具の工事の他、保存修理事業で明らかになったことを紹介する予定にしています。

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