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更新日:2019年02月01日

古文書講座-市内に残る身近な古文書-

江戸時代のものづくり

平成30年10月10日から11月21日にかけての水曜日、全5回にわたり「江戸時代のものづくり」と題して古文書講座を開催しました。

これまで江戸時代を取り上げる際、政治や商業、地域社会などにスポットを当ててきました。今回は工業に視点を向け、当時のものづくりを考えていこうと、油に関する様々な資料をみていきました。

江戸時代には、菜種や綿実などの作物から灯りをともす油を作っていました。その際、水車や人の力で臼(うす)を回して、油を絞り出す製法を用いました。村々から集められた油は貝塚寺内町や堺、大坂の油屋へ運ばれました。そこで、精製されて品質の高い油に加工され、各地へと販売されていきました。

講座では、その油屋仲間の申し合わせや取り決めなどをみていきました。文化元年(1804年)10月に出された申し合わせでは、村々から集められた不純物の含まれる精製前の油が入っていた桶や樽に、加工精製された完成品の油を入れて販売することが問題となっていたことがわかりました。同じ容器であることが混乱のもとになっていることから、完成品は新しく作った桶や樽に詰めて、どこの油屋の油かがわかるように、住所と屋号を記した紙の札を貼って、販売することとしました。この決まりを守らない者に対しては、油屋仲間から除名する厳しい処分とされました。江戸時代はこうした同じ商売の仲間に入らず、勝手に商売することは難しく、特に大坂・堺など幕府直轄の町では幕府公認の株仲間に加入しなければなりませんでした。このように、5回の講座を通じて、当時の油づくりの仕組み、仲間の活動などを読み解くことができました。

受講者の方からは「物づくりも種々あり、当時の職人の姿勢など知らなかったことが分かりました」、「文の上ではとてもへり下って丁寧に相手を持ち上げていますが、その裏で文句を言っている泉州弁のおっちゃんの顔が浮かんできます」との声が寄せられました。

なお、1月16日から2月13日にかけては、今回紹介した講座に引き続いて「江戸時代のものづくり2」を開催しています。

内容は瓦づくりや醤油づくりをテーマに、当時の古文書を読み解いています。

その次の講座は6月から7月にかけての開催を予定しております。ご参加をお待ちしています。

熱心に聴き入る受講生のみなさん

水車での油稼ぎについて争論になったが解決した際の口上書(要家文書)