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更新日:2020年05月29日

木星

歳星四小星従随図の写真

「歳星四小星従随図」

木星は古代中国の惑星の呼び名である「歳星」(さいせい)と記され、その欠けている様子や4つの衛星の様子を観測しています。木星の様子は、まさに満月のようで、東側が少し欠けているように見えます。この時南谿は、このわずかに欠けている部分は太陽の光と反対になる部分なので当然だと説明しています。また、衛星について、木星のそばに4つあり、右の2つのうち、遠いものははっきりと、近いものはかすかに見え、他の2つのうち、1つは左に、もう1つはその上に見えるとしています。そして善兵衛は、各衛星の位置が以前に観測した時とは違うことを説明した、とも記されています。

土星

鎮星図の写真

「鎮星図」

土星は古代中国の惑星の呼び名である「鎮星」(ちんせい)と記され、その形は長く米粒のようで、本星の上下にくっつくように2つの星があり、その間には少し境があるように見えるといった内容が記されています。
この時の望遠鏡では、土星の環(わ)ははっきりと観測できず、2つの星のように見えたようです。この時描かれた「鎮星図」は、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが自作の望遠鏡で初めて天体観測をおこなった時の土星のスケッチ図とよく似ています。ガリレオの望遠鏡は14倍望遠鏡であったことから、この時善兵衛が製作した望遠鏡は同程度の性能のものであったと思われます。
また、善兵衛は、太陽の黒点やコロナ、木星の衛星の動きについて、南谿ら参加者に対して、自身が観測した時との違いを説明しています。これは、善兵衛が自身で得た天文学の知識をもとに天体観測を行いながら、自作の望遠鏡を改良していったことを物語る事実です。こうした善兵衛の向学心や探究心はさらに高性能な望遠鏡を生み出し、日本の天文学のさらなる発展に貢献していったのです。

第109回かいづか歴史文化セミナー 講演会「善兵衛の時代の天文学(仮称)」のお知らせ

善兵衛ランド開館25周年記念事業のプレイベントとして、江戸時代の天文学史、日本の科学史等を専門分野とされている嘉数(かず)次人さんを講師に招き、善兵衛が生きた時代の日本の天文学についての講演会を開催します。また、講演会後には、善兵衛ランド展示室の展示解説、12月の星空観望会もあわせて開催します。

日時

平成28年12月3日(土曜日) 午後3時~4時30分
※展示解説は午後5時~5時30分、観望会は午後5時30分~6時30分の予定です。

会場

貝塚市立善兵衛ランド 集会室

講師

嘉数次人氏(大阪市立科学館学芸員)

定員

50名

参加費

無料

申込・問合せ

6ぺージ連絡先へ

つげさん善兵衛
この記事に関するお問い合わせ先

教育部 文化財保存活用室

電話:072-433-7126
ファックス:072-433-7053
〒597-8585
大阪府貝塚市畠中1丁目17番1号 本館5階

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