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更新日:2014年10月14日

孝恩寺の仏像 -菩薩3 地蔵菩薩- 

貝塚市木積(こつみ)の孝恩寺には、平安時代の制作で地方色豊かな19躯(く)の仏像が安置されており、うち18躯が重要文化財に指定されています。今回は、菩薩のなかから地蔵菩薩立像を紹介します。 

木造地蔵菩薩立像

【重要文化財】木造地蔵菩薩立像 1躯

時代 平安時代後期(10世紀後半)
像高 136.4センチメートル
指定年月日 1913年(大正2年)4月14日


地蔵菩薩は、六道(りくどう)の一切衆生(しゅじょう)の苦を除き、福利を与えることを願いとする菩薩です。日本では、道祖神(どうそじん)や子どもの守り神として信仰され、貝塚市内でも各所のお堂や街道沿いの道しるべとしてあちこちでまつられている最も身近な仏様です。

本像は、頭をまるめた僧形で、身には裳(も)をつけ、大衣を通肩(つうけん)にまとい、現在は右手に錫杖(しゃくじょう)、左手に宝珠(ほうじゅ)を持って蓮台(れんだい)上に立ちます。しかしながら、両手首先と両足先は後世のものであり、像の製作時期から判断すると、本来は右手には錫杖を持たず、掌(てのひら)をこちらに向け垂直に足らす古い形式の地蔵菩薩像であったと思われます。

構造は、頭頂より裾先まで、両袖口を含んでカヤの一材で彫り出し、白土下地の上に彩色を施しています。頭部は大きく、肩幅も広いなど、各部に古い様式が見られますが、全体的に彫り口が浅いことから、製作は10世紀後半もそう遡らない時期のものと思われます。


・六道:すべての衆生が生死を繰り返す六つの迷いの世界。すなわち、天上・人間・阿修羅・畜生・餓鬼・地獄をいう。
・衆生:生きとし生けるもの。
・道祖神:集落の境界や峠などの道路沿いにまつられて、外来の疫病や悪霊を防ぐ神。のちには、縁結びの神、旅行安全の神、子どもと親しい神とされる。
・通肩:二枚の布を体に巻きつけて両肩を包む着衣方法の一つ。

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