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更新日:2020年05月28日

和泉葛城山ブナ林と保護増殖事業

和泉葛城山ブナ林の写真

和泉葛城山ブナ林は珍しい

標高800メートルを越える和泉葛城山の北斜面には、ブナ林が広がり、貝塚・岸和田市域と合わせて約8ヘクタールが国の天然記念物に指定されています。

ブナ林は中部地方以北や日本海側に広く分布していますが、太平洋側では分布が狭く、1,000メートル程度の山で見られるのが普通です。ところが和泉葛城山のブナ林は太平洋側で、地理的にも南限に近く、しかも標高858メートルと低い山でみられるなど他地域には見られない条件をもつことから大正12年(1923年)に国の天然記念物に指定されています。大阪府内でごくわずかに残る自然のままの森としても大切なものです。

貝塚・岸和田両市の教育委員会では、公益財団法人大阪みどりのトラスト協会とともに、ブナ林を健全な状態で将来に引き継ぐために保護増殖事業を行っています。

ブナ林を守り育てる

ブナの大木の枯死や若木の不足、地球温暖化の影響などから、ブナ林の絶滅の危険性が懸念されるようになり、昭和63年に大阪府・岸和田市・貝塚市と学識経験者により「和泉葛城山ブナ林保護増殖調査委員会」(現在は和泉葛城山ブナ林保護増殖検討委員会)を設立して調査を行いました。

調査により、指定区域の保全だけでは範囲が狭く、ブナ林を維持する事は困難であると考えられるため、天然記念物ブナ林(コアゾーン)の周辺の森林を緩衝樹林帯(バッファゾーン)に設定し、コアゾーンの保全を図りました(下図参照)。

現在、保護増殖検討委員会の意見をもとに、種子採集し養成したブナの苗木をバッファゾーンへ植樹するほか、ブナの位置や本数などを調べる毎木調査、ブナの生育に適した土壌や気温などのデータを集める生育環境調査、和泉葛城山のブナの特徴を調べるDNA調査などを継続して行っています。

和泉葛城山ブナ林の位置を示す図面
緩衝樹林帯と天然記念物との範囲を示す図面
昭和63年に上空から見た山頂部分の写真

上空から見た山頂部分(昭和63年)

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