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更新日:2013年09月05日

孝恩寺の仏像 -如来4 阿弥陀如来2- 

貝塚市木積(こつみ)の孝恩寺には、平安時代の制作で地方色豊かな19躯(く)の仏像が安置されており、うち18躯が重要文化財に指定されています。今回は、テンプス第46号で紹介した立像(りゅうぞう、立っている姿の像)に引き続き、阿弥陀如来の坐像(ざぞう)を紹介します。

木造阿弥陀如来坐像

【重要文化財】木造 阿弥陀如来坐像 1躯

時代 平安時代後期
像高 138.8センチメートル
指定年月日 1938年(昭和13年)8月26日

本像は、もとは十一面観音像であった伝観音、伝勢至(せいし)の両像を左右に配して阿弥陀三尊として安置されています。

半丈六(はんじょうろく)という大きさに作られた阿弥陀如来像で、衲衣(のうえ)とよばれる衣を遍袒右肩(へんたんうけん)に着して、両手は腹前で弥陀定印(みだじょういん)=上品上生印(じょうぼんじょうしょういん)という印を結び、右足を前に結跏趺坐(けっかふざ)しています。

製作技法は寄木造(よせぎづくり)で、後世にほどこされた漆箔(しっぱく)のために詳しい構造は不明ですが、頭部は3~4材製、体部は両肩先、膝前、衣の裳(も)先などは別材製と思われます。

丸顔で起伏の少ない面部に小さめの眼・鼻・口を配して、穏やかながら繊細な感覚が見られます。体部も起伏が少ないですが、衣文(えもん)にはやや自由の風がうかがえ、制作は平安時代後期11~12世紀ごろと思われます。


・半丈六:仏像の高さの基準で、立像は八尺(約2.4メートル)、坐像は四尺(約1.2メートル)のものを指す。
・衲衣:如来が身にまとう衣のこと。
・偏袒右肩:右肩をあらわにする着衣の形。
・弥陀定印:両手とも掌を上にして合わせ、両手の第二指を立て、残りの四指の指先を互いに接するという阿弥陀如来坐像のみにみられる手の組み方。
・結跏趺坐:足の甲で左右それぞれ反対側のももを押さえる形の座り方。
・漆箔:仏像彫刻などで漆(うるし)を塗った上に金箔を押したもの。
・衣文:彫刻などにおいて人物などの体に動きによって生じる衣服の線のこと。

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