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更新日:2009年11月09日

願泉寺表門の石材

願泉寺表門の揚屋工法

平成21年7月に願泉寺表門の4本の控柱(ひかえばしら)を支えていた石材の取り替え作業が行われました。

この石材は、寛政3年(1791年)の修理時に新たに入れられたもので、もともと柱は礎石までありましたが、柱の足元が腐っていたために、切断して石を根継ぎ(挿入)したと考えられます。

 

今回の調査で、この石材が破損していることがわかり、表門全体(6本の柱)を持ち上げる必要がありました。

石材を取り替えるために、鉄骨部材などでしっかりと柱や部材を固定し、油圧ジャッキでゆっくりと持ち上げる揚屋工法(あげやこうほう)が採用されました。表門は、屋根瓦を降ろした状態で重量が約20トンもありましたが、それを高さ60センチメートルまで持ち上げました。

願泉寺表門の石材

今回、揚屋を行った結果、使用されていた石材で新たな発見がありました。この石材は、幅34センチメートル、高さ21~39センチメートルの四角に加工された花崗岩(かこうがん)でしたが、その上面には十字の浅い溝が彫ってありました。この溝は、控柱と石材の間に細長い角材を差し込み、固定する目的があったと考えられます。しかし、江戸時代の修理では、十分に柱を持ち上げられなかったようで、控柱には石材の溝に合う加工が行われていませんでした。控柱をよく見ると、途中で溝を彫るのをやめており、実際には石材との間に短い角材(上写真参照)を差し込んだだけで修理を終了したものと思われます。

また、2本の本柱の礎石には、柱を接ぎ合わせるための穴が彫られていました。北側の本柱には穴に対応する突起があるものの、南側の本柱にはありませんでした。本柱も控柱と同様に途中で加工作業をやめてしまったのかもしれません。

今回の修復工事では、破損した石材を良質のものに取り替え、柱にも溝を彫り、細長い角材を差し込む方法にしました。さらに南西隅の石材は高さが39センチメートルあり、転倒しやすい形状のため、ステンレス製の円柱を差し入れてつないでいます。

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