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更新日:2020年05月28日

表門の控柱の根継ぎの写真

表門の控柱の根継ぎ

また、表門に葺かれていた瓦には「瓦治」、「泉州貝塚瓦屋七兵衛」、「泉州貝塚瓦屋定平」の刻印が見られ、修理札と表門の瓦の刻印の名前が一致したことで、屋根瓦の葺き替えについては、寛政3年に大規模な修理が行なわれたことが確実となりました。

表門の柱の調査では、控柱4本の根元に石材が根継ぎされていることがわかりました。これまで本柱や控柱の根元は、銅板で覆われており、解体するまでわかりませんでした。使用されていた石材は幅34センチメートル、高さ21~39センチメートルの四角に加工された花崗岩です。控柱の根元が腐食したためにその箇所を切断し、石材を継ぎ足したものと考えられます。修理設計を行なっている財団法人文化財建造物保存技術協会の担当者によると、このような根継ぎの方法はあまり例がないそうです。

柱の根元が腐朽した場合、一般的には柱と新しい木材を加工して組み合わせますが、その場合、柱を持ち上げる必要があります。石材を用いた理由については、柱の足元の位置を高く設定し、腐朽を防ぐ工夫であったと推測されます。

今回の修復工事では、石材が損傷しているため、ジャッキアップ工法(重量物を持ち上げる工法)で表門全体を持ち上げて、石材を取り替える予定です。

その他、表門の金具を取り外した際に、明治42年の年号が記された金具が発見されました。明治期に交換された金具は、以前のものよりもサイズが大きく、以前の痕跡を隠すように取り付けてありました。

修理前の鐘楼の写真

修理前の鐘楼

修理中の鐘楼(屋根部分)の写真

修理中の鐘楼(屋根部分)

鐘楼

鐘楼は、4本の柱を建て、屋根をかける簡略な吹き抜けの構造で、銅鐘を吊り下げるための建物です。もともとの鐘楼は、太平洋戦争の際、空襲により焼失しています。現在の鐘楼は、元禄13年(1700年)に建てられた青松寺(貝塚市森)のもので、戦後に移築されたものです。

当初の予定では、鐘楼の半解体修理は屋根瓦の葺き替えが中心でした。しかし、詳細に調査をした結果、腰貫(柱と柱を繋ぐ部材)が折れていることや柱が割れているものがありました。これらの破損した部材は、取り替える必要があるために、屋根を持ち上げる大掛かりな工事となります。

また、鐘楼の屋根瓦は、製作時期やサイズなどが統一されておらず、鐘楼のために製作された瓦ではなく、移築に伴って寄せ集められた瓦を葺いていると考えられます。

表門と鐘楼の修理は、本堂と同じ平成22年の12月に終了予定です。

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