表紙 貝塚市景観計画 LANDSCAPE PLAN OF KAIZUKA CITY 令和7年1月貝塚市   はじめに 市長の写真 本市の個性と魅力あふれる景観は、先人たちが長い年月をかけて築き上げ、守り、受け継いできたものですが、近年の都市化の流れや人々のライフスタイルの変化などを受け、これまで形成されてきた景観が大きく変容していくことが懸念されます。 良好な景観は、私たちの暮らしに安らぎや潤いを与え、地域への愛着や誇りを育むとともに、まちの魅力向上、それに伴う交流人口の増加や賑わい創出、地域の活性化へと導くものであることから、今後、本市ならではの景観資源の保全・活用を一層進めるとともに、新規の開発等にあっては周囲との調和を図るための仕組みの構築に取り組んでいく必要があります。 これまでの本市の景観施策については、「大阪府景観計画」「大阪府景観条例」等に基づき運用してまいりましたが、本市ならではの歴史・文化・伝統などに紐づく景観の保全・活用や新たな開発の構想・計画の具体化に伴う景観整備には、本市の特性や課題を踏まえたきめ細かな対応を独自に進める必要があります。そこで、最初のステップとして、大阪府が所管する景観法に基づく景観行政事務について、令和6年11月1日に本市へ移管するとともに貝塚市景観条例を施行いたしました。そして、このたび「貝塚市景観計画」を策定することにより、本市の景観の意義やその保全・活用・整備の必要性を明確に位置付け、独自の創意工夫のもときめ細かな景観形成に取り組む仕組みを定めました。 今後、良好な景観形成を図っていく中で、道路、公園、公共建築物などといった公共施設は、長期にわたって先導的役割を担う重要な施設であることから、市が自ら積極的に景観整備に取り組むことで、良好な景観形成の必要性を市域全域に広め、市民の景観に対する意識醸成に繋げる必要があります。 さらに、民有の住宅や事業所などについても、私有地であるからといって、各々が好き勝手なデザインや色彩で建築してしまうと、これまで形成されてきた景観が大きく変容することが懸念されるため、一人ひとりが「多くの人が目にする空間は公共性を有している」ということを強く認識し、景観形成に取り組むことが求められます。 本市では、本計画の策定を契機に、大阪府景観計画等での取組みを継承しつつ、より実効性のある良好な景観形成に向けた制度への転換を図ってまいります。 最後になりましたが、今回の計画策定にあたりまして、貴重なご意見、ご提言をいただきました貝塚市議会・貝塚市景観審議会・貝塚市都市計画審議会の皆様をはじめ、アンケートや意見交換会等でご協力を賜りました市民の皆様、各種団体の皆様に、心より感謝を申し上げますとともに、本市の景観まちづくりにより一層のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。 令和7年1月 貝塚市長酒井了 目次 第1章 景観計画について 1ページ 1の1 計画策定の趣旨・目的 1ページ 1の2 計画の位置付け 2ページ 1の3 計画の対象区域 3ページ 第2章 景観の現状 4ページ 2の1 本市の概況 4ページ 2の2 景観の特徴と課題 16ページ 第3章 景観づくりの基本方針 21ページ 3の1 景観づくりの目標 21ページ 3の2 景観づくりの基本方針 22ページ 3の3 景観類型 24ページ 3の4 景観類型ごとの景観づくりの方針 26ページ 3の5 景観重点候補地区の考え方 30ページ 第4章 良好な景観づくりのための行為の制限に関する事項 31ページ 4の1 基本的な考え方 31ページ 4の2 届出対象行為 31ページ 4の3 景観形成基準 32ページ 第5章 景観法に基づく個別方針など 37ページ 5の1 景観重要建造物の指定の方針 37ページ 5の2 景観重要樹木の指定の方針 37ページ 5の3 屋外広告物の景観形成に関する方針 37ページ 5の4 公共施設の景観整備に関する方針 38ページ 第6章 景観形成の推進方策 40ページ 資料編 策定経緯 43ページ 貝塚市景観審議会委員名簿 44ページ 市民アンケート調査の概要 45ページ 用語解説 46ページ 1ページ 第1章 景観計画について 1の1 計画策定の趣旨・目的 本市は、山から海にかけての多彩な地形を有し、国の天然記念物に指定されているブナ林を含む和泉葛城山、蕎原地区の棚田、白砂青松の二色の浜、市内を縦貫して流れる近木川、奈良時代に創建されたと伝えられ、今も多くの参詣者を集める水間寺、中世の自治都市であった寺内町など、多くの魅力的な自然景観、歴史的景観が形成されています。 こうした景観資源を保全・活用するため、本市では大阪府景観計画に基づく規制・誘導を行ってきましたが、対象区域が大阪府の景観計画区域である道路軸や丘陵部、湾岸部となっており、本市の市街地の多くが規制・誘導の対象外となっています。このような中、本市では令和5(2023)年3月に貝塚市立地適正化計画を策定し、進行する人口減少社会における持続可能な都市づくりを進めるため、中心市街地など都市拠点における都市機能の集積・強化および周辺市街地における人口密度の維持に取り組んでいることから、今後、大阪府景観計画の対象区域外となっている市街地などにおいても、景観に関する規制・誘導が必要になることが考えられます。 また、近隣都市の状況を見てみると、既に景観行政団体に移行し、独自の景観計画の策定を通じて、それぞれの地域特性に即した景観形成に取り組んでいる都市もあります。 「景観」は、見えるものの総体であり、山林や河川などの自然、建築物、道路などの人工物、そこで営まれている人々の活動が重層的に積み重なって育まれたものです。本計画の上位計画である貝塚市第5次総合計画やその他関連計画においても、誇りや愛着の醸成、魅力の向上、定住促進を重要視しているほか、鉄道駅周辺の整備の推進、歴史文化を活かした取組みなども予定されています。今後、こうした将来像を実現させるためにも、本市の個性や魅力を一層伸長させていくことが大切になります。 良好な景観は、私たちの暮らしに安らぎや潤いを与えるとともに、都市の風格やイメージ向上、それに伴う交流人口の増加や賑わい創出、アイデンティティの確立など様々な効果をもたらしてくれます。このように「景観」は「まちの付加価値」を高める有用なツールの一つであり、まちづくりの一環として取り組む必要があります。 そこで、このような状況を鑑み、本市の景観施策を総合的に推進するための指針として「貝塚市景観計画」を策定し、本市の特性に応じたきめ細かな景観に関する規制・誘導を図ることを目的とします。 2ページ 1の2 計画の位置付け 本市が有する良好な景観を、市民、事業者、行政の協働により保全・活用しつつ、新たに創造し、継承していくことで、市民生活の向上や地域社会の発展につなげていくため、景観法を活用した総合的な景観施策を推進していきます。 そのため、景観法の運用にあたっての手続きなど必要な事項を定めた「貝塚市景観条例」の制定、ならびに良好な景観形成に向けた理念や目標、方針、その実現に向けた基本的な事項を定めた「貝塚市景観計画」を策定しました。 図 景観計画の位置付け 3ページ 1の3 計画の対象区域 景観計画の対象区域は、貝塚市全域とします。 景観計画区域のうち、特に重点的に景観形成を図る地区を景観重点地区として定めることとします。 なお、景観重点地区は住民意向を踏まえた上で定める必要があることから、まずは景観重点候補地区の考え方を示し、住民の景観に対する意識醸成を図りつつ、景観重点地区を定めていくこととします。 ※景観重点候補地区の考え方につきましては第3章で詳述 4ページ 第2章 景観の現状 2の1 本市の概況 (1)市の位置 本市は、大阪市の中心部から南に約30km、鉄道で約30分の距離にあり、大阪市と和歌山市との中間に位置するとともに、平成6(1994)年に開港した関西国際空港に近接しています。 市域面積は43.93km2であり、海、平地、丘陵地、山間地と多様な地形を有するだけでなく、大阪府における貴重な自然海浜である二色の浜、ブナ林(国指定天然記念物)などの自然生態が保全されている和泉葛城山、市内を縦貫して流れる近木川など、豊かな自然環境に恵まれています。 奈良時代の創建と伝わる水間寺や中世の自治都市であった寺内町などの歴史的資源とともに、太鼓台やだんじり祭などの伝統行事に代表される独自の文化を有しています。 鉄道は南海本線・JR 阪和線、道路は阪和自動車道・阪神高速湾岸線などの充実した広域交通体系で結ばれるとともに、水間鉄道が市域における公共交通の骨格を形成しています。 関西国際空港の開港に伴う都市基盤整備などを契機として、人口は緩やかながら増加が続いていましたが、平成22(2010)年をピークに人口は減少し、今後長期にわたり少子高齢化と人口減少が続くものと予想されています。 図 市の位置 5ページ (2)地形・地質 (地形) 本市域は南東-北西方向に細長く、南東端には和泉山脈があり、北西端は大阪湾に面しています。 市域の最高所は和泉葛城山山頂(標高858メートル)です。山地の一番奥(南端)が和泉山脈、内通谷(標高150から250メートルほど)を挟んで手前に内前山(標高400メートルほど)、さらに外通谷(標高100メートルほど)を挟んで北に外前山(標高200メートルほど)が並んでいます。この外前山より北側は大きく視界が開け、丘陵性台地が広がっています。 図 地形図 出典:国土基盤情報数値標高モデル10メートルメッシュ標高を使用 6ページ 市域を南北方向に断面で見ると、北部市街地から概ね水間寺周辺に向けて緩やかに勾配が続き、以南は急峻な山地地形となり、和泉山脈へと続きます。 一方、東西方向に断面で見ると、平坦ではなく、東西の市域境界付近の丘陵地に挟まれ近木川などにより形成された平坦地が広がる地形となっています。 図 断面位置 図 地形断面図(南北方向)【要相談】 (山岳展望解析ソフト「カシミール3D」を用いて作成) 図 地形断面図(東西方向)【要相談】 (山岳展望解析ソフト「カシミール3D」を用いて作成) 7ページ (地質) 市域の最も古い地質は、南部地域の中生代の堆積岩(砂岩など)・火成岩(花崗岩など)です。中部地域には新第三紀・古第三紀の堆積岩があり、北部地域の平野部には第四紀の堆積岩が分布しています。 南部の山地から大阪湾に向かって順次陸地が形成されてきたことが良く分かる構成となっています。 図 地質の状況図 出典:20万分の1日本シームレス地質図V2を改編 8ページ (3)水系 市域を流れる主要河川には、近木川、津田川、見出川があります。市域の中央を流れるのが近木川で、和泉葛城山に源を発し、山間部を縫うように流れ出た後、水間で支流の秬谷川を合わせて北流し、大阪湾に注ぎます。 市域の北を流れるのが津田川です。近木川同様、和泉葛城山に源を発し、中流域までは岸和田市域を流れ、下流域で本市域を流れます。 市域の南を流れるのは見出川です。中流域まで熊取町域を流れ、下流域で市町境となっています。 このほかに、市域には多くのため池があります。用水を確保するために長い年月をかけて形成されたものです。 図 貝塚市の水系 出典:国土数値情報 9ページ (4)植生 市域は、南部に山地森林がありモチツツジ-アカマツ群集を主にアベマキ-コナラ群集やスギ・ヒノキ・サワラ植林が広がっています。和泉葛城山には本州南限圏の国指定天然記念物のブナ林があります。中部には水田や畑地のほか竹林などとともに集落地が存在しています。北部は市街化が進んでいますが一部に農地も残存しています。 図 植生区分図 出典:1/25,000植生図GISデータ(環境省生物多様性センター、第6・7回植生調査 (平成11(1999)年から平成24(2012)年・平成25(2013)年から))を使用し作成 10ページ (5)公園・緑地 本市の緑地面積の総計は、約2,462haとなっており、このうち、市街化区域が約268haとなっています。種別の内訳をみると、施設緑地が約172ha、地域制緑地は約2,337haとなっています。 本市の都市公園の総数は35か所、70.14haとなっており、一人当たりの都市公園面積は8.51㎡/人となっています。さらに、その他の公園(児童遊園)を加えると、183か所、75.43ha、一人当たりの公園面積は9.16㎡/人となっています。 図 公園緑地位置図 出典:貝塚市緑の基本計画 11ページ (6)土地利用 市街化区域の土地利用は、南海貝塚駅周辺や国道26号などの幹線道路沿いに商業地が分布し、二色地区などの海浜部に工業用地が集積しています。 また、住宅地を主とする一般市街地の中に農地が点在しています。 図 土地利用現況図 出典:貝塚市都市計画マスタープラン(原出典:令和2年度都市計画基礎調査) 12ページ (7)歴史的条件 (市街地形成履歴) 現在は市街地となっている北部ですが、中世から近世にかけては、農地・原野などを主に、寺内町と旧街道沿いの集落が点在する環境でした。近代には工場誘致や鉄道・道路の整備が進められ、徐々に市街地が広がるものの田園環境が主である姿が継続していました。戦後の高度成長期を経て、幹線道路などインフラ整備と相まって急速に市街化が進展し、現在の市街地形態が形作られました。 図 市街化履歴図 出典:今昔マップ on the web 国土地理院地形図 明治42(1909)年 室町時代末期に成立した寺内町「貝塚寺内」のほか、水間寺周辺、旧街道沿いに集落が点在するが、地域の大半は農地・ため池、原野・森林となっている。 昭和9(1934)年 南海鉄道(明治36(1903)年)、水間蒸気鉄道(大正14(1925)年-15(1926)年)、阪和電気鉄道(現JR:昭和5(1930)年)が開通。ユニチカ貝塚工場(旧大日本紡績株式会社:昭和10(1935)年)など紡績・繊維産業が盛んに。岸和田市とつながる臨海部など市街化は限定的で田園環境が主となっている。 昭和22(1947)年 貝塚駅周辺など市街地や集落の一部が拡大するものの、田園環境が広がる中に市街地や集落が点在する姿が継続している。 昭和59(1984)年 戦後の高度成長期を経て、鉄道駅周辺のほか幹線道路沿道で市街化が進展。寺内町や集落の周辺も市街化し市街地が連坦する現在の形が形成されている。昭和53(1978)年からは二色の浜の埋立造成も進められている。 13ページ (文化財) 本市には、国宝孝恩寺観音堂をはじめとする指定文化財や登録文化財が150件以上所在しています。 図 文化財の位置図 (上図は、個々の文化財を表記したものではなく、文化財の所在地をプロットしたものです。) 14ページ (旧街道) 市内には主たる旧街道として、熊野街道、紀州街道、水間街道が通り、今なお旧街道沿いには社寺や歴史的な建造物や道標、一里塚などが残り、往時を偲ぶことができます。 表 市内の主な旧街道 街道名 熊野街道 概要 熊野街道は、京都から紀伊国熊野地方にある熊野三山(本宮、新宮、那智の3社)への参詣道。平安時代の900年頃から白河上皇をはじめとする皇族や貴族たちがさかんに熊野へ詣で、鎌倉時代以降は庶民にも広まり、「蟻の熊野詣」とよばれるほどでした。市内を通るのは、京・西国から熊野にいたる紀路とよばれる道。その起点は、古くは「渡辺の津」(現在の大阪市中央区天満橋付近)で、そこから南下して堺、泉州を通って熊野に向かいます。なお本市半田には、熊野街道で唯一現存する一里塚である「熊野街道半田一里塚」があり、府指定文化財(史跡)に指定されています。 街道名 紀州街道 概要 紀州街道は、江戸時代の18世紀半ば以降、紀伊藩主の参勤交代の経路として利用された大坂と紀伊をむすぶ主要な街道の一つ。中世以前の浜街道を前身とし、江戸時代の17世紀初めに整備されました。紀伊国から熊野街道と同じルートを通って北上し、現在の泉佐野市上瓦屋で熊野街道と分岐して和泉国の海岸沿いを通り、堺、大坂へ至ります。 街道名 水間街道 概要 水間街道は、本市水間にある厄除けの仏「水間の観音さん」として知られる水間寺への参詣道で、山間部の集落と岸和田城下や貝塚寺内町をむすぶ生活道としても利用されていました。泉州側のルートは、紀州街道から分岐するもので、岸和田城下と貝塚寺内町を起点とする2つのルートがありました。この2つのルートは、現在の本市麻生中付近で熊野街道を通って合流し、旧木島谷(清児、名越、森、三ツ松、水間)の集落をぬけて水間寺へ至ります。また、街道は水間からさらに南へ伸び、和泉葛城山を越え紀伊国へ通じていました。 15ページ 図 主な旧街道の位置図 16ページ 2の2 景観の特徴と課題 (1)山並みの景観 市域南部の山間部は、南大阪地域を特徴づける和泉葛城山の山麓・森林などが広がり、金剛生駒紀泉国定公園及び近郊緑地保全区域の指定を受け、豊かな自然環境が守られています。私たちの暮らしに安らぎや潤いを与える山並み景観が形成されるとともに、市域の貴重な水源を育む場、多様な動植物の生息の場、市民の憩いの場ともなっています。このような環境を活かし、市民などが気軽に自然に触れて楽しめる施設があります。 一方、産業構造の変化や人口減少、高齢化による担い手不足のため、山林が十分に管理されないことで山並みの景観が損なわれる状況も見受けられ、山林の健全な保全・育成とともに林業の担い手育成が必要です。 写真 和泉葛城山のブナ林  写真 和泉葛城山の山並み (2)農村集落・田園の景観 南部に広がる山間部の盆地などに位置する蕎原や木積の集落では、周囲の山並み・里山の緑や河川の自然環境と調和した落ち着きのある景観が形成されています。 また、市街化調整区域内では、住宅地を背景に農地やため池が広がる景観が形成され、住宅地近傍の貴重な水と緑の空間として住民に親しまれています。 一方、農家数は減少傾向にあり、高齢化による担い手不足のため、十分に管理されない農地や耕作放棄地の発生が懸念され、まとまりある農地の維持・保全とともに農業の担い手育成が必要です。 写真 蕎原地域  写真 木積地域 17ページ (3)河川の景観 本市の中央部には和泉葛城山を源流とする近木川が流れています。上流部は水質が良好な環境が保たれており、様々な生き物が生息するとともに美しい水辺の景観が形成されています。 一方、下流域に近づくにつれ、川幅は広がり草木が繁茂しているため、河川そのものを認識しにくい状況や、護岸整備の影響による親水性に乏しい空間が散見され、市民が親しみやすい河川空間の形成が必要です。 写真 近木川(上流域)  写真 近木川(中から下流域) (4)海辺の景観 近木川河口から見出川河口に広がる二色の浜は、古くから白砂青松の砂浜として親しまれ、今もその名残を感じさせる景観が広がっています。 また、大阪湾に突き出した埋立地では、テニスコートや野球場などの公園や人工海浜などが整備された海浜公園のほか、造成された区域に物流施設や工業地、住宅地が集積する多様な顔を持った景観が形成されています。 様々な都市活動を損なうことなく、特徴的な海辺の景観を引き続き確保していく必要があります。 写真 二色の浜公園  写真 住宅地や工業地 18ページ (5)歴史的な景観 市内には、奈良時代に創建されたと伝えられ、現在も厚い信仰を集める水間寺をはじめ、国宝である観音堂を有する孝恩寺、中世の自治都市であった願泉寺を中心とした寺内町など(点的・面的)の他、往時の面影を感じさせる紀州街道や水間街道(線的)などの歴史・文化的な資源や街並みを有する景観が広がっています。 近年は、それら歴史的資源を活かした取組み(デジタルアートフェスや寺内町マルシェなど)も進められています。 一方、文化財指定を受けていない建物につきましては、生活様式の変化や維持管理の困難さ、景観価値が十分に共有されていないといった状況から喪失の危険にさらされているものもあり、貴重な歴史的資源の認識とともに保全・活用に向けた検討を進めていく必要があります。 写真 寺内町  写真 水間寺 写真 紀州街道  写真 水間街道 19ページ (6)住宅地の景観 既成市街地内の住宅地は、小規模開発による影響のため密集度の高い、やや緑が乏しい住宅地も散見され、十分に管理されていない空き家や空き地が見受けられる地域もあります。 計画的に開発された低層戸建住宅地(東山など)は、敷地規模が比較的大きく、植栽が施された街並み景観が形成されています。しかし、将来的な建物の更新期に備え、空き家・空き地問題への対策も検討していく必要があります。 そのため、空き家の適正管理や潤いを感じることができる緑の確保を通じて、心安らぐ住宅地の景観づくりに取り組むことが必要です。 写真 畠中  写真 東山 (7)商業地・街なかの景観 本市の玄関口である南海貝塚駅周辺は、商店街やバス停などを有するものの、空き家や空き店舗、空き地が散見されるなど十分な土地活用や景観整備がされているとは言い難い状況がうかがえます。 公共施設が集積している市役所周辺は、街路樹や敷地内緑化にも配慮された、本市のシビックゾーンらしい景観が形成されています。 市民生活の場であるとともに、多くの人が訪れる拠点でもあることから、美しく活力を感じることができる景観形成を図っていく必要があります。 写真 南海貝塚駅周辺  写真 貝塚市役所周辺 20ページ (8)工業地の景観 沿岸部を埋立造成して建設した二色の浜産業団地には大規模な工場が立地し、本市の発展を牽引する工場が建ち並ぶダイナミックな景観が見られます。 また、かつて綿織物業で栄えたまちの名残から、内陸部には紡績工場の特徴を有する建物の景観が見られる場所もあります。 一方、内陸部の大規模工場につきましては、その存在感ゆえに周辺に圧迫感を与える状況もうかがえます。 そのため、事業者の操業環境を損なうことなく、周辺環境との調和に配慮した景観形成を図っていく必要があります。 写真 二色の浜産業団地  写真 工業用地の様子 (9)幹線道路沿道の景観 国道26号や国道170号、大阪臨海線といった広域的な幹線道路は交通量が多く、主要な交通軸となっており、沿道には商業施設やガソリンスタンド、温浴施設など様々な施設が立地しています。 賑わいを感じさせる一方、緑の少ない、典型的なロードサイド型の全国どこにでもある画一的な景観が形成されている場所も少なくありません。 幹線道路は市外からの来訪者も目にする重要な公共空間であることも考慮し、沿道の緑の確保とともに、景観に配慮した良好な道路空間を形成していく必要があります。 写真 国道26号沿道  写真 国道170号沿道 21ページ 第3章 景観づくりの基本方針 3の1 景観づくりの目標 本市の景観づくりの目標像を次のように設定します。 『共有』と『共感』による美しい景観の実現 景観の価値の「共有」を通じた景観づくりと「共感」による担い手育成 本市は、南東端に和泉山脈を携え、急峻な山地地形から緩やかに北西端の大阪湾につながっており、市街地部は東西の市域境界付近の丘陵地に挟まれ近木川などにより形成された平坦地が広がっています。 これら地形をベースとした、美しい山林と市内を縦貫する近木川、それらに囲まれた盆地内にある農村集落をはじめ、多くの寺社仏閣、かつての自治都市であった寺内町の街並みの他、既成市街地の街並みや田園空間の中を水間鉄道が走る個性的な風景など特徴ある景観が形成されています。 この特徴ある景観は、先人たちが長い年月をかけて築き、受け継がれてきた自然や歴史・文化との関わりや様々な営みにより形づくられてきたものです。 一方、近年の都市化の流れや人々のライフスタイルの変化を受け、これまで継承されてきた関係性が損なわれる事態に直面しており、本市の特徴ある景観が失われつつあります。 例えば、道路や鉄道から見える風景には民有の住宅や事業所などが含まれますが、私有地であるからといって、各々が好き勝手なデザインや色彩で建築物の建築や屋外広告物の設置を行ってしまうと、これまで形成されてきた景観が大きく変容することが懸念されます。そのため、一人ひとりが「多くの人が目にする空間は公共性を有している」ということを強く意識し、景観形成に取り組むことが求められます。 また、良好な景観は、私たちの暮らしに安らぎや潤いを与えるとともに、都市の風格やイメージ向上、それに伴う交流人口の増加や賑わい創出、アイデンティティの確立など様々な効果をもたらしてくれます。 そのため、私たちは、今一度、先人たちの取組みに敬意を払い、継承されてきた貴重な景観の価値を「共有」するとともに、この財産ともいえる良好な景観を大切に守り、育て、引き継いでいく必要があります。 そして、“景観まちづくり”を進めていくことの重要性に「共感」できる人材(=次世代の担い手)を育てていきます。 22ページ 3の2 景観づくりの基本方針 ●貝塚市の魅力となっている自然や歴史を守り育む 【自然】 市民アンケート調査より、和泉葛城山や二色の浜など自然環境につきましては、本市の魅力として多くの市民に支持されるとともに、今後も守り育むべきものとして認識されています。 山間部は、ほぼ全域が近郊緑地保全区域に指定されており、国指定の天然記念物である和泉葛城山ブナ林が見られます。 近木川が本市中央を流れており、河口付近では、生態系の保全や環境教育の場として河口干潟(汽水ワンド)の保全と活用に取り組んでいます。 【歴史】 寺内町や水間寺などの歴史については、市民アンケート調査では自然環境ほどは意識されていないものの、本市の特徴として認識されています。 寺内町には広範囲にわたり国登録有形文化財の町家などの歴史的建造物とともに街並みが残っています。 「願泉寺を眺める貝塚寺内町」「水間観音を眺める水間街道」は、大阪府が府域全体の良好な景観形成を推進するために選定している“ビュースポットおおさか”に選ばれ、本市の魅力ある景観の1つとして認識されています。 本市の自然景観や歴史文化景観は守るべき資源であり、今後より活かしながら景観の魅力を育んでいくことが必要です。 ●暮らしの景観の質を高める 本市では、駅周辺の中心市街地と古くからの農村集落、街道沿いの集落、ニュータウンなど、時代ごとの様々な特徴を持った暮らしの景観が形成されています。 市民アンケート調査では、自然や歴史に対しては意識されているものの、市街地や農村集落など、暮らしの景観はあまり意識されておらず、これまで景観誘導策もほとんど講じられていません。 本市の人口は平成22(2010)年をピークに減少傾向にあり、少子高齢化が進むとともに、転出超過の状況にあります。(令和2(2020)年国勢調査より) 日常生活が生み出す景観が日々の暮らしを豊かに彩り、生活の質的向上に繋がっていることを市民が実感できるよう、暮らしの景観の質を高め、暮らしの場としての魅力を高めると共に、市民に愛着や誇りを持ってもらう必要があります。 23ページ ●観光・交流の動きと連携した景観の魅力向上 かいづかいぶきヴィレッジ(大阪府立農業公園)/かいづかいぶき温泉(旧ほの字の里)は、令和3(2021)年に大阪府民が農に親しむ場として、貸農園やグランピング施設も含め「自然を食べる」SDGsリゾートとして再開しました。 大阪都心から最も近い海水浴場である二色の浜海水浴場や隣接する府営二色の浜公園については、令和5(2023)年春から新たな指定管理者によるリニューアルが始まりました。「日本の夕陽百選」に認定され、季節により、潮干狩り・海水浴・マリンスポーツ・バーベキューなどが楽しめます。 水間公園、水間観音駅、水間寺も本市を代表する観光資源として認知されています。 季節ごとの風物詩として、春の桜や潮干狩り、夏の太鼓台祭りや貝塚三夜音頭、東盆踊り、秋のコスモスやだんじり祭り、冬の千本づき餅つきや節分豆まき/餅まきなどが行われており、貝塚市の「動的な景観」を形成しています。 水間鉄道が市域を縦断する形で走っており、水間鉄道沿線の風景は大切な景観の1つです。 このような観光・交流資源の整備や文化的営みの継承を通じて、本市の景観イメージの向上や賑わい創出に寄与することが必要です。 ●多様な主体と連携した景観まちづくり 良好な景観形成は、建物の規制誘導だけでは実現は出来ず、市民や事業者と連携しながら、身近な景観資源を守っていったり、街並みをより良くしていくような景観まちづくり活動が不可欠です。 景観に関連する市民や活動団体などの活動を促進するとともに、それらのつながりを深める、あるいは新たなコミュニティづくりを進める必要があります。 一方、景観に対する意識が希薄な市民も少なくはない現状を踏まえ、並行して景観に対する意識醸成にも取り組んでいく必要があります。 隣接する自治体も景観行政団体となっており、市独自の景観計画に基づき景観誘導や景観施策に取り組んでいます。 本市独自の景観計画の策定を通じて、景観形成が持つ意義を共有・共感しながら、市民や事業者の良好な景観形成の実現に向けた取組み意識の醸成から進めていくことが必要です。 広域的な景観配慮や景観施策につきましても、隣接自治体や関連自治体と整合、連携をとっていくことが必要です。 24ページ 3の3 景観類型 本市の景観的特徴を踏まえ、市の景観を下図に示す15の類型に分類しました。 図 景観類型図 25ページ 表 景観の特徴と景観類型の対応【要相談】 26ページ 3の4 景観類型ごとの景観づくりの方針 類型ごとに景観づくりの方針を以下のように整理しました。 【エリアごとの景観づくりの方針】 山並み緑地景観エリア (大阪外環状線より山側) 健全な森林の保全や育成を通じて、市街地の背景となる山並みの景観を形成します。 エリアの写真 市街地景観エリア (大阪臨海線と大阪外環状線の間) 歴史的な街並みや住宅、商業、工場、農地・田園など、暮らしや産業の土地利用をベースにした、周辺と調和した秩序ある景観を形成します。 エリアの写真 湾岸景観エリア (大阪臨海線より海側) 関西空港を望む開放的な空間や、住宅・レクリエーション・工場など多様で幅広い顔を持つ特徴のある雄大な湾岸の景観を形成します。 エリアの写真 27ページ 【区域ごとの景観づくりの方針】 農村景観区域 農地や里山、集落が一体となり、調和した落ち着きのある農村景観を形成します。 集落内にある歴史的な風情が感じられる、個性ある集落景観を保全します。 蕎原の農村集落の写真 田園景観区域 市街地に残る田園環境と周辺の住宅が一体となり、農地やため池がつくる広がりのある景観を形成します。 農地が有する多面的な機能を活かすため、市街地における身近な自然景観を保全します。 市街地の農地の写真 臨海公園景観区域 二色の浜公園(海浜緑地)や二色の浜海水浴場など、自然環境を活かしたレクリエーション空間にふさわしい景観を形成します。 広がりのある大阪湾の景観を楽しむことができる貴重な視点場として保全します。 二色の浜公園の写真 水辺景観区域 農業用水や生態系の受け皿となるため池や小河川など、暮らしに密着した良好な水辺の景観を形成します。 開放感あふれる空間を活かし、市民の憩いや潤いを感じることができる景観を形成します。 ため池の写真 28ページ 歴史的景観区域 願泉寺を中心とする寺内町の街並みや、水間寺周辺においては、その歴史・文化に根差した地域特性を活かし、歴史的な趣きや往時の営みを感じることができるとともに、その魅力を堪能できる景観を形成します。 水間寺の写真 住宅地景観区域 計画的に整備された戸建住宅地においては、整然とした、ゆとりある緑豊かな住宅地の景観を形成します。 既成市街地内の住宅地においては、敷地内への緑化誘導やまちかどの緑の充実などを通して、暮らしに潤いを感じることができる景観を形成します。 戸建て住宅地の写真 商業地景観区域 鉄道駅周辺や商業施設周辺など、まちに賑わいや活力をもたらす魅力ある景観を形成します。 特に南海貝塚駅周辺については、多くの人が訪れ、交流する場所であることから、賑わいやゆとりある歩行空間の形成を図りつつ、本市の玄関口としてふさわしい景観を形成します。 南海貝塚駅前の写真 工業地景観区域 臨海部の工業地では、植栽帯や樹木などによる緩衝緑地を設け、緑豊かな潤いのある景観を形成します。 内陸部の工業地では、操業環境を損なうことなく、周辺環境と調和した景観を形成します。 二色の浜産業団地の写真 29ページ 【軸ごとの景観づくりの方針】 沿道景観軸 広域幹線道路(国道26号、国道170号(大阪外環状線)、大阪臨海線、貝塚中央線)につきましては、本市の顔となりうる空間であることから、良好なイメージを感じさせる賑わいと秩序ある景観を形成します。 国道26号の写真 鉄道景観軸(水間鉄道) 既成市街地や田園風景の中を鉄道が走る貝塚独特の景観を保全するとともに、鉄道の車窓からの眺めに配慮した沿線の景観を形成します。 水間鉄道の写真 河川景観軸(近木川) 近木川下流の広がりある眺望景観や、上流の落ち着きある癒しや潤いを享受できる景観を形成します。 近木川の写真 街道景観軸 かつて大阪と和歌山を結んだ紀州街道や水間街道、京都から熊野三山への参詣道である熊野街道において、往時の街道の賑わいや営みを今に伝えることができる歴史街道にふさわしい景観を形成します。 紀州街道の写真 30ページ 3の5 景観重点候補地区の考え方 前述した15の景観類型に基づく景観づくりの方針を踏まえ、「景観上重要な地域で、今後、より積極的に景観まちづくりに取り組むことが求められる区域」(≒景観重点候補地区)を抽出する上での観点を以下のように整理しました。 「景観重点候補地区」抽出の観点 必要性 現に良好な景観を保全・形成する必要がある地区 周囲を含めた開発事業、土地利用の変化などによって、現在の景観に大きな変化が予想され、対応しなければならない地区 市民が愛着を持ち、親しみを感じている景観的要素を含む地区 効果性 景観形成のモデルとして、先導的役割が発揮し得る地区 都市や地域の顔としてアピール性を有し、一定の効果が期待される地区 市民によく利用される施設や場所があり、市民から親しまれる景観整備が求められている地区 観光交流の拠点となる土地の区域であって、観光交流の促進に資する良好な景観を形成する必要があると認められる地区 実現性 現在プロジェクトが計画されていて、公的な景観形成事業の推進、民間事業の誘導が可能な地区 景観形成に対する地元住民の自発的活動や盛り上がりのある、あるいは期待できる地区 これらの観点に照らし合わせつつ、地域住民や関係者の意向などを十分に鑑みながら、景観重点地区に指定するかどうかを検討し、景観重点地区に指定するという判断に至った場合には、前述した15類型の考え方に加えて、独自の良好な景観づくりの方針や基準を設定します。 なお、景観重点地区における景観づくりの方針や基準は、地域住民や関係者との意見交換会などを通じて、丁寧に合意形成を図りながら定めることとします。 31ページ 第4章 良好な景観づくりのための行為の制限に関する事項 (景観法第8条第2項第2号) 4の1 基本的な考え方 本市は駅周辺や臨海部、一部の住宅団地を除いて、戸建てなど低層建築物を主とする市街地・集落が広がっています。そうした中に、マンションのような中高層建築物や大規模商業施設や大規模工場などの建築面積の大きな建築物などが立地すると、規模の大きさゆえに地域の景観に大きな影響を与えることになります。場合によっては、周辺景観との不調和を生じたり、眺望を遮ってしまうなど、地域景観を阻害する可能性もあります。また、本市の中部から南部にかけては丘陵地や山地の地形となっているため、大規模な開発行為が行われた場合には、長大な擁壁やのり面が生じて、周辺の自然や田園の景観との不調和を生じる可能性もあります。 そこで、本市の景観特性を鑑みて大規模な建築物や工作物などに対して、景観法第16条の規定に基づく届出などを義務付け、行政と事業者等との間で景観形成基準に基づく協議を行うことで周辺景観との調和の確保や良好な景観の形成を図っていきます。なお、この協議では、必要に応じて専門的知識を有する景観アドバイザー(P41で詳述)の助言を得るものとします。 4の2 届出対象行為 景観法第16条第1項に基づく届出対象行為は、以下のとおりとします。 表 届出の対象となる行為及び規模 届出の対象となる行為 建築物の新築、増築、改築若しくは移転、外観の過半を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更 届出の対象となる規模 建築面積 1,500㎡超 (参考)大阪府基準 2,000㎡超  届出の対象となる行為 建築物の新築、増築、改築若しくは移転、外観の過半を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更 届出の対象となる規模 高さ 15メートル超 (参考)大阪府基準 20メートル超 届出の対象となる行為 工作物の新設、増築、改築若しくは移転、外観の過半を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更 煙突、鉄筋コンクリート造の柱、鉄柱、木柱、装飾塔、記念塔、高架槽、サイロ、物見塔など 届出の対象となる規模 高さ 15メートル超 (参考)大阪府基準 20メートル超 届出の対象となる行為 工作物の新設、増築、改築若しくは移転、外観の過半を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更 擁壁、垣、さく、ウォーターシュート、コースター、メリーゴーラウンド、観覧車、飛行塔、コンクリートプラント、アスファルトプラント及びクラッシャープラント、自動車車庫の用途に供する工作物、石油、ガスその他これらに類するものを貯蔵する工作物、汚物処理場、ごみ焼却場その他の処理施設の用途に供する工作物、太陽光発電施設(ただし、建築物に付属するものは除く) 届出の対象となる規模 築造面積 1,500㎡超 (参考)大阪府基準 2,000㎡超(ただし、太陽光発電施設に関する基準は無し) 届出の対象となる行為 工作物の新設、増築、改築若しくは移転、外観の過半を変更することとなる修繕若しくは模様替又は色彩の変更 擁壁、垣、さく、ウォーターシュート、コースター、メリーゴーラウンド、観覧車、飛行塔、コンクリートプラント、アスファルトプラント及びクラッシャープラント、自動車車庫の用途に供する工作物、石油、ガスその他これらに類するものを貯蔵する工作物、汚物処理場、ごみ焼却場その他の処理施設の用途に供する工作物、太陽光発電施設(ただし、建築物に付属するものは除く) 届出の対象となる規模 高さ 15メートル超 (参考)大阪府基準 20メートル超(ただし、太陽光発電施設に関する基準は無し) 届出の対象となる行為 開発行為注1) 届出の対象となる規模 開発面積 5,000㎡超 (参考)大阪府基準 無 ※建築物及び工作物の対象規模は、増築又は改築の場合は、当該増築又は改築を行った後の規模とする。 ※工作物が建築物と一体となって設置される場合の高さは、地盤面(建築基準法施行令(昭和25年政令338号)第2条第2項に規定する地盤面をいう。)から当該工作物の上端までの高さとする。 注1)都市計画法第4条第12項に規定する開発行為(「主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更」) 32ページ 4の3 景観形成基準 届出対象行為に対する景観形成基準は以下のとおりとします。 ●共通事項 対象行為の立地場所が属する景観類型を把握した上で、景観計画に示す「景観類型別の方針」の内容を踏まえ、これと適合した景観の形成に努める。 ●建築物 建築物 項目 配置  基準 周囲の建築物および工作物の位置や規模を勘案して周辺景観と調和するように配置をする。 建築物 項目 材料・色彩  基準 外壁および屋根などの基調となる色彩は、周辺の景観と調和する素材を用いるよう努め、著しく派手なものとしない。 建築物 項目 意匠 基準 周辺の街並みや建築物、背景となる山並みなどとの調和に配慮した形態・意匠となるよう努める。 長大な壁面などは、適切な緑化や分節などにより、圧迫感を軽減するとともに、周辺の景観との調和に配慮しつつ、単調とならないように工夫をする。 建築物  項目 屋外付帯物(駐車場・ごみ置き場など) 基準 駐車場、駐輪場およびごみ置場などは、敷地の外から見えにくい位置に配置し、又は植栽により修景、あるいは建築物若しくは塀と一体化するなどにより、見苦しくならないような工夫をする。 建築物 項目屋上付帯物(高架水槽や太陽光発電施設など) 基準 高架水槽および屋上設備は、敷地の外から見える位置に配置しない。やむを得ず見える位置に配置する場合は、ルーバーを設置し、又は建築物と一体化するなどにより、見苦しくならないような工夫をする。 太陽光発電施設等を含む屋上工作物および塔屋などは、建築物と一体化するなどにより、見苦しくならないような工夫をする。 建築物  項目外壁付帯物(ダクト類、屋外階段、室外機など)  基準 ダクト類は、敷地の外から見えにくい位置に配置し、又は建築物と一体化するなどにより、見苦しくならないような工夫をする。 屋外階段は、建築物と一体化するなどにより、見苦しくならないような工夫をする。 エアコンの室外機および物干金物などは、敷地の外から見える位置に配置しない。やむを得ず見える位置に配置する場合は、見苦しくならないような工夫をする。 建築物 項目 外構 基準 外構は周辺の景観に調和した意匠となるよう工夫をする。 建築物 項目 敷地内の緑化 基準 道路に面する敷際には、緑を適切に配置するよう努める。 緑の配置に際しては、周辺における緑の連続性並びに安全面などに配慮の上、植栽する樹木の位置、種類および形状並びに壁面緑化その他の緑化手法などを検討する。 建築物  項目 屋外広告物  基準 公共空間(道路、公園など)からの見え方に配慮し、眺望を遮らないよう配慮する。 必要最低限の大きさおよび個数とするよう努める。 周辺景観と調和した位置、規模、形態・意匠、色彩および素材とするよう配慮する。色彩はコントラストの強い配色を避ける。 ※地域のシンボルやランドマークとしての役割を果たすもので、良好な景観の形成に資するものとして貝塚市景観審議会(貝塚市景観アドバイザー部会)で認められたものは、この限りではない。 33ページ ●工作物 工作物 項目 配置  基準 周囲の建築物の位置や規模を勘案して、適切な間隔を確保したうえで、位置、規模および高さなど、周辺の景観に配慮する。 工作物 項目 材料・色彩 基準 基調となる色彩は、周辺の景観と調和する素材を用いるよう努め、著しく派手なものとしない。 工作物 項目 意匠 基準 周辺の景観との調和に配慮した形態・意匠となるよう努める。 周辺の景観との調和に配慮しつつ、建築物全体として統一感のある意匠となるよう工夫をする。 長大な壁面などは、適切な緑化や分節などにより、圧迫感を軽減するとともに、周辺の景観との調和に配慮しつつ、単調とならないように工夫をする。 工作物 項目 外構  基準 外構は周辺の景観に調和した意匠となるよう工夫をする。 工作物  項目 敷地内の緑化  基準 道路に面する敷際には、緑を適切に配置するよう努める。 緑の配置に際しては、周辺における緑の連続性並びに安全面などに配慮の上、植栽する樹木の位置、種類および形状並びに壁面緑化その他の緑化手法などを検討する。 ※地域のシンボルやランドマークとしての役割を果たすもので、良好な景観の形成に資するものとして貝塚市景観審議会(貝塚市景観アドバイザー部会)で認められたものは、この限りではない。 ●開発行為 項目 開発行為  基準 地形の改変を必要最低限とし、長大な法面や擁壁が生じないよう配慮する。やむを得ない場合、擁壁は周辺景観と調和した形態となるよう工夫をする。 ●太陽光発電施設(ただし、建築物に付属するものは除く) 項目 太陽光発電施設(ただし、建築物に付属するものは除く) 基準 太陽光パネルの向きや傾斜を揃え、統一感のある配置をする。 公共空間(道路、公園など)から見えにくい位置および規模となるよう配慮する。なるべく敷地境界から後退させ、在来種などを用いた緑化などにより修景するなど、周辺と調和した景観となるように配慮する。 34ページ ●色彩基準に関する別表 湾岸景観エリア 【色彩基準】 計画にあたっては、地域の景観特性を把握し、周辺の街並みや自然との調和を考慮した色彩を基本とする。 外壁については、落ち着きが感じられ、水や緑等の存在や周辺の街並み景観を妨げないように配慮し、下記の色彩基準を基本とする。 色彩基準(外壁・屋根基本色) ①R(赤)、YR(橙)系の色相の場合、彩度6以下、明度9未満 ②Y(黄)系の色相の場合、彩度4以下、明度9未満 ③その他の色相の場合、彩度2以下、明度9未満 ④無彩色の場合、明度9未満 ただし、次に掲げるものはこの限りでない。 外壁各面で1/3以下の面積でサブカラーとして使用する場合 外壁各面で1/20以下の面積でアクセントカラーとして使用する場合 着色していない石材、木材、土壁、レンガ、金属材、ガラス材等で仕上げた場合 ※サブカラーとは外壁基本色に対し補助的に用いるトーンの近い色彩であり、基本色との調和に配慮すること。 ※アクセントカラーとは、外壁の表情に変化をつける場合等に用いる強調色であり、サブカラーの面積と合計して外壁各面で1/3以下とすること。 市街地景観エリアおよび山並み緑地景観エリア(ただし南海貝塚駅周辺は除く) 計画にあたっては、地域の景観特性を把握し、周辺の街並みや自然との調和を考慮した色彩を基本とする。 外壁については、落ち着きが感じられ、水や緑等の存在や周辺の街並み景観を妨げないように配慮し、下記の色彩基準を基本とする。 色彩基準(外壁基本色) ①R(赤)、YR(橙)系の色相の場合、彩度5以下 ②Y(黄)系の色相の場合、彩度3以下 ③その他の色相の場合、彩度2以下 ただし、次に掲げるものはこの限りでない。 外壁各面で1/3以下の面積でサブカラーとして使用する場合 外壁各面で1/20以下の面積でアクセントカラーとして使用する場合 着色していない石材、木材、土壁、レンガ、金属材、ガラス材等で仕上げた場合 ※サブカラーとは外壁基本色に対し補助的に用いるトーンの近い色彩であり、基本色との調和に配慮すること。 ※アクセントカラーとは、外壁の表情に変化をつける場合等に用いる強調色であり、サブカラーの面積と合計して外壁各面で1/3以下とすること。 35ページ 南海貝塚駅周辺の都市機能誘導区域の商業地域および近隣商業地域(P36の別図参照 拠点施設のなかで特に商業・サービス系施設が集積するエリアの賑わい創出を目的として、南海貝塚駅周辺の都市機能誘導区域の商業地域および近隣商業地域における色彩基準は以下のとおりとする。 【色彩基準】 計画にあたっては、地域の景観特性を把握し、周辺の街並みや自然との調和を考慮した色彩を基本とする。 外壁については、落ち着きが感じられ、水や緑等の存在や周辺の街並み景観を妨げないように配慮し、下記の色彩基準を基本とする。 色彩基準(外壁基本色) ①R(赤)、YR(橙)系の色相の場合、彩度7以下 ②Y(黄)系の色相の場合、彩度5以下 ③その他の色相の場合、彩度2以下 ただし、次に掲げるものはこの限りでない。 外壁各面で1/3以下の面積でサブカラーとして使用する場合 外壁各面で1/20以下の面積でアクセントカラーとして使用する場合 着色していない石材、木材、土壁、レンガ、金属材、ガラス材等で仕上げた場合 ※サブカラーとは外壁基本色に対し補助的に用いるトーンの近い色彩であり、基本色との調和に配慮すること。 ※アクセントカラーとは、外壁の表情に変化をつける場合等に用いる強調色であり、サブカラーの面積と合計して外壁各面で1/3以下とすること。 36ページ (別図)南海貝塚駅周辺の都市機能誘導区域(都市拠点)の商業地域および近隣商業地域 ※貝塚市立地適正化計画より引用、一部改図 37ページ 第5章 景観法に基づく個別方針など 5の1 景観重要建造物の指定の方針 (景観法第8条第2項第3号) 次に該当するもののうち、道路その他の公共の場所から公衆によって容易に望見でき、地域の景観上重要と認められる建造物を対象に、所有者の合意を得た上で指定するものとします。 歴史的又は文化的に価値が高いと認められる建造物 地域の景観の核となり又は景観形成を先導し、あるいは継承し特徴づけている建造物 地域における伝統的な様式を継承していると認められる建造物 地域において広く親しまれている建造物(適正に管理されているもの) 5の2 景観重要樹木の指定の方針 (景観法第8条第2項第3号) 次に該当するもののうち、道路その他の公共の場所から公衆によって容易に望見でき、地域の景観上重要と認められる樹木を対象に、所有者の合意を得た上で指定するものとします。 歴史的又は文化的、自然的に価値が高いと認められる樹木 地域のランドマークやシンボルとなり又は地域の景観を特徴づけている樹木 地域に広く親しまれている樹木(適正に管理されているもの) 5の3 屋外広告物の景観形成に関する方針 (景観法第8条第2項第4号イ) 屋外広告物は、案内や情報提供などの役割を担うとともに、その設置目的から目にとまりやすいものであり、地域の印象を左右するなど景観形成に大きな影響を持っています。特に鉄道駅周辺や幹線道路沿道、あるいは商店街などにおいては、まちの賑わい創出に寄与する一方で、無制限に掲出されると広告物ばかりが目立つこととなり、街並みの魅力を損なうことも懸念されます。 本市では、大阪府屋外広告物条例に基づく、許可・禁止などの制度を適用し、屋外広告物の表示及び掲出物件の設置に対する表示面積や高さなどの規制を行っています。 併せて、屋外広告物の表示及び屋外広告物を掲出する物件の設置に関する行為につきましては、本計画に示す良好な景観形成に関する方針や景観形成基準に即して、周辺の景観との調和が保たれるよう、適切な掲出及び設置を規制・誘導していきます。 38ページ 5の4 公共施設の景観整備に関する方針 (景観法第8条第2項第4号ロ) 公共施設(道路、河川、公園など)は、景観の骨格をなすものや地域景観の核となるものであり、市民等の景観に対する意識啓発を促す役割を果たすと同時に、長期にわたって地域の良好な景観形成の先導的役割を担う重要な施設です。そのため、市が自ら積極的に公共施設の景観形成に取り組み、本市の景観をより高める創意工夫のある魅力的な景観整備を行う必要があります。 人々の心に残る美しい街並みや風景を形成するには長い年月を要しますが、市が公共施設の景観整備(その後の維持管理含む)に先導的に取り組むことで、良好な景観形成の必要性を市域全体に広め、市民の景観に対する意識醸成を図ってまいります。 ●景観重要公共施設の指定の方針 次に該当するもののうち、施設管理者との協議・調整を踏まえて、合意の得られたものを順次景観重要公共施設に指定し、周辺の良好な景観と調和した公共施設の整備を行うものとします。 景観の骨格やシンボルとして多くの人の目に触れ、市の景観形成上重要な公共施設 良好な景観のシンボルとなり景観形成の先導的な役割を果たすなど重要な公共施設 重点的に景観形成を図る区域やその近隣にある公共施設 景観資源として多くの市民から親しまれている公共施設 ●施設区分ごとの景観形成の基本方針 施設区分ごとに景観形成の基本方針を定め、整備・維持・管理にあたり良好な景観形成を推進していきます。 市が整備する施設のみならず、国や府が所管する施設についても、本計画の方針に即したものとなるよう配慮を求めていきます。 施設区分 道路  形成の基本方針 各路線が通る地域の景観類型に応じて、沿道と調和した景観形成を図る。 緑の確保にあたっては、沿道の民有地内の植栽や生垣などとの調和や連携に配慮し、道路空間の修景整備を図る。 歩行者などの安全性と快適性を重視した仕上げとする。 整備する場所の特性を踏まえ、必要に応じ、風格や趣き、賑わい等を印象づける舗装の素材の選択に努める。 施設区分 河川  景観形成の基本方針 自然を活かし、河川と河川沿いの緑が一体となった水と緑の景観形成を図る。 橋や沿岸から上流・下流方向への眺望に配慮し、ゆとりと潤いを感じられる景観形成を図る。 生態系の保全にも配慮し、自然環境と調和した河川景観の形成を図る。 治水や防災に支障のない範囲内において、親水性の確保を考慮し、自然に親しめる景観形成に努める。 39ページ 施設区分 公園  景観形成の基本方針 公園が位置する地域の景観類型に応じて、周辺との連続性や調和に配慮した景観形成を図る。 公園の植栽については、できる限り既存の樹木の保存に努め、周辺の景観との調和を図るよう樹種の選定などに配慮する。 公園内に設ける建築物・工作物、あるいは園路、広場、休養施設等には、できる限り自然の材料を利用し、過剰な形態・意匠、色彩を避け、公園全体の調和に配慮する。 施設区分 橋りょう  景観形成の基本方針 各橋りょうが位置する地域の景観類型に応じて、周辺と調和した景観形成を図る。 周辺の景観資源や眺望に配慮した意匠、色彩となるよう配慮する。 排水管や電線管等の付帯施設は目立たぬよう工夫し、橋りょう本体との調和に努める。 施設区分 公共建築物  景観形成の基本方針 各施設が位置する地域の景観類型に応じて、周辺と調和した景観形成を図る。 敷地際は緑を配置し、やすらぎや潤いを感じることができる空間創出に努める。 ●景観重要公共施設における占用許可に関する方針 景観重要公共施設において工作物等の占用許可を行う場合は、下記事項に配慮することとします。 【民間の占用物件について】 公共施設からの眺望や、周辺景観との関係性に配慮して設置します。 色彩、素材に関しては、経年変化による見え方に配慮しつつ、周辺景観との調和を図ります。 【公共施設の整備の一環となる物件について】 公共施設に付帯する案内板やサイン等については、周辺の自然環境や街並みと調和した位置、規模、形態、色彩等とします。 街路樹等の植栽については、公共施設やその周辺環境に潤いや彩りを添える要素として意識し、適切な維持管理を図ります。 40ページ 第6章 景観形成の推進方策 景観法に基づく規制・誘導の取組みに加えて、市民・団体・事業者・行政が連携して良好な景観の形成を推進する「景観まちづくり」として、以下の景観施策に取り組みます。 ①景観づくりに対する意識啓発 多くの市民・団体・事業者などが景観への関心を持ち、地域の景観形成に関わっていくような気運を高めるため、本市の景観の特徴や景観資源の魅力、本市の取り組む景観施策などにつきましては、市の広報やホームページなどでの発信に努めます。また、景観に関するフォーラムやワークショップなどの開催、「貝塚学」などの取組みを活かした景観学習の実施、SNSを活用した市の景観のPR、観光・交流施策と連携したイベントなどを通して“景観づくり”の担い手を育成しながら“景観まちづくり”を進め、美しい貝塚を継承していきます。 ➁協働の景観づくりの仕組みづくり 地域の景観の価値や魅力を共有し、将来のまちづくりへの共感を通じて景観まちづくりの取組みが広がり、さらに地域での担い手の育成にもつながるように、景観意識の啓発とともに、市民などによる「(仮称)景観まちづくり団体」の認定と活動支援の仕組み等について検討します。 ➂景観資源などの保全・活用の支援の仕組みづくり 歴史的な街並みを形成する建築物や地域を特徴づける建造物、あるいは地域のシンボルとなっている樹木など、地域において重要な景観資源の保全と活用に向けて、例えば資源登録の掘り起こしと顕彰(景観資源登録など)の制度、所有者や管理者への相談・支援窓口の設置、所有者や管理者同士の連携や情報交換の場や機会づくり、保全や改修に対する技術的支援などについて検討します。 あわせて、景観重点地区に指定された地区については、良好な景観形成に寄与する行為(生垣による緑化、建築物の外観変更等)に対するインセンティブ制度の創設について検討します。 ④関連施策との連携 景観行政団体として景観計画に基づき景観施策を推進するとともに、文化財、教育、観光、コミュニティ、環境、公共施設整備など関連する分野・テーマの施策や事業とも連携して、多様な観点から景観形成につながる取組みを推進していきます。このため、庁内や関係機関などとの連絡・連携体制の構築にも取り組みます。 あわせて、「都市景観ビジョン・大阪」(平成30年、府策定)に基づく景観形成の取組みも鑑みつつ、府との協力体制のもと府・市・市民の方々と連携を図りながら各種啓発活動に取り組むこととします。 41ページ ⑤公共施設の景観整備 市の公共施設につきましては、景観形成の先導役となるよう、景観に十分配慮してその整備、維持・管理を図ります。併せて、他の団体・機関などの施設につきましても、景観計画に即して良好な景観形成に資するよう助言や指導に取り組みます。 さらに公共施設のデザイン向上に向けて、専門家が積極的に関与することができ、法に基づく通知のみならず事前協議を通じて助言することができる仕組みを検討します。 ➅景観アドバイザー 景観形成基準は、景観上の不調和を生じさせないための最低限のルールです。設計者などに創造性を発揮してもらい、より質の高い建築物などのデザインを誘導するため、建築デザインなどの専門家を「景観アドバイザー」として位置づけ、事前相談や事前協議を通じてよりよい景観の創造につなげていくような仕組みを整備します。 ⑦景観計画の見直し 今回策定した景観計画に基づいて、景観行政団体として主体的に市内の景観形成、協働による景観まちづくりを促進していきます。今回の策定は第1ステップであり、今後、景観重点地区の指定や景観資源の保全・活用など、より実効性の高い景観づくりに向けて段階的に見直し、充実を図っていきます。 景観づくりは長い年月をかけて醸成されていくものであり、今後、社会情勢の変化、上位関連計画の改定、市民ニーズの変化などを踏まえて、概ね5年ごとに計画の妥当性を精査・検証したうえで、必要に応じて計画を見直します。 42ページ 資料編 43ページ 策定経緯 開催・実施日 令和5年度 8月18日 検討事項等 第1回景観審議会 検討体制及びスケジュール(案)について 貝塚市都市計画マスタープラン・貝塚市立地適正化計画の概要について 貝塚市のこれまでの景観の取組・概況と景観づくりの考え方(案)について 貝塚市の景観に関する意識調査の実施について 開催・実施日 令和5年度 10月1日  検討事項等 市民意識調査の実施(10月1日から31日) 開催・実施日 令和5年度 11月16日 検討事項等 第2回景観審議会 貝塚市の景観に関する意識調査結果(速報)について 市民説明会および意見交換会の実施について 貝塚市景観計画の構成および景観類型区分について 届出対象行為および景観形成基準(案)について 開催・実施日 令和5年度 12月17日 検討事項等 貝塚市景観計画の策定に向けた市民説明会 開催・実施日 令和5年度 1月14日 検討事項等 市民意見交換会(1月14日、1月20日) 開催・実施日 令和6年度 5月24日 検討事項等 第1回景観審議会 都市計画審議会への中間報告結果について 「貝塚市の景観に関する意識調査」の集計結果について 市民説明会及び意見交換会の開催結果について 貝塚市景観計画(素案)について 貝塚市景観条例(案)について 開催・実施日 令和6年度 7月26日 検討事項等 第2回景観審議会 パブリックコメントの実施について 貝塚市景観ガイドライン(案)について 開催・実施日 令和6年度 8月13日 検討事項等 素案に対するパブリックコメントの実施(8月13日から9月2日) 開催・実施日 令和6年度 8月18日 検討事項等 貝塚市景観計画(素案)に関する市民説明会 開催・実施日 令和6年度 10月8日  検討事項等 第3回景観審議会 パブリックコメントでの意見と対応について 貝塚市景観計画(案)について 貝塚市景観ガイドライン(案)について 開催・実施日 令和6年度 11月1日 検討事項等 市議会への意見聴取(貝塚市景観計画(案)について) 開催・実施日 令和6年度 11月15日 検討事項等 都市計画審議会への意見聴取(貝塚市景観計画の策定について) 開催・実施日 令和6年度 1月6日 計画公表 44ページ 貝塚市景観審議会 委員名簿 役職 大阪公立大学 名誉教授 氏名 下村 泰彦 備考 会長 役職 近畿大学 総合社会学部 教授 氏名 田中 晃代 備考 副会長 役職 貝塚市農業委員会 会長 氏名 古家 克之 役職 貝塚市町会連合会 会長 氏名 甘佐 勉 役職 貝塚商工会議所 専務理事 氏名 西田 陽 役職 公益社団法人 大阪府建築士会 会員 氏名 田端 寿美 役職 大阪屋外広告美術協同組合 理事 広告景観委員 氏名 衣川 正一 役職 大阪府 都市整備部 住宅建築局 建築環境課 課長補佐 氏名 亀元 靖彦 役職 貝塚市副市長 氏名 太田 浩二 (敬称略) 45ページ 市民アンケート調査の概要 項目 (1)調査目的 内容 市民に対して、本市の景観に対する評価をはじめ、改善点や伸長すべき点についてお伺いし、貝塚市景観計画策定に向けての検討資料(景観形成の方針や推進方策の検討等)とするとともに、将来的に設定をめざす重点地区の候補地や具体の施策・事業の検討にも役立てることを目的として実施したものです。 項目 (2)調査項目 内容 回答者の属性 年齢、性別、お住まいの地域(小学校区)、居住年数、定住意向 景観の現状について 景観への関心、市全体/住まい周辺の景観の評価、お気に入りの景観・好きな景観、景観に関する問題 景観の魅力を高めるための取組み 大切にしたい景観・次の世代に残していきたい景観、貝塚らしいデザイン・景観を作っていくべき場所、景観を良くしていくために個人として取り組みたいこと、既に取り組んでいる活動など、景観を良くしていくために自治会や地域で取り組むべきこと、景観の魅力を高めるために市が取り組むべきこと 自由意見 項目 (3)対象地域 内容 貝塚市全域 項目 (4)対象者 内容 貝塚市にお住まいの15歳以上の市民2,050人(小学校区ごとに男女比を考慮した層化抽出) 項目 (5)配布回収方法 内容 郵送による配布・回収(web回答も可) 項目 (6)調査期間 内容 令和5年10月1日から令和5年10月31日 項目 (7)回収結果 内容 回収数769票(紙:538/web:231)、回収率37.6% 46ページ 用語解説 あ行 アクセントカラー 主とする色に加えて、変化をつけたり、主色を引き立てたりする色のこと。 インセンティブ制度 住民や事業者が行う景観づくりの取組みに対する助成や表彰を行うことで、景観づくりの取組みを促進することを目的とした制度のこと。 SDGs (Sustainable Development Goals)の略で、2030年までに世界の貧困をなくし、持続可能な世界を実現することを目的とした国際目標(2015年9月に開催された国連サミットで採択された)。 SNS (Social Networking Service)の略で、ユーザー同士がインターネットを通じて文字や写真、動画などを用いて交流できる仕組み。 屋外広告物 常時又は一定の期間継続して屋外で公衆に対して表示、設置される看板、立看板、はり紙、広告塔、広告板、広告幕などの広告物。 か行 開発行為 建築物の建築などを目的に、土地の区画を分割・統合したり、造成工事をしたり、農地から宅地へ地目を変更するなど「土地の区画形質の変更」をする行為を指す。 貝塚市緑の基本計画 都市緑地法に基づき、市町村が策定するみどりに関する総合的な計画であり、みどりの将来像や目標、それらを実現するために必要な緑地の保全や緑化の推進に関する施策等を定めるもの。 観光振興ビジョン 市内の観光資源を整備して市内外からの旅行者を誘致し、観光によってもたらされる経済効果を市の経済を支える基盤にすることを目的としたもの。 幹線道路 全国的や地域的、あるいは都市内において骨格的な道路網を形成する道路。 47ページ 協働 住民・NPO・企業・行政など複数の主体が、対等な立場でそれぞれの特性を認め合い、活かしあいながら、共通の目的に向かって行動すること。 景観重点地区 景観資源・地区の価値を評価・尊重するとともに、固有の特徴を有する地区の魅力を市民と共有化していくことで、これらを手がかりとした地区の個性を活かした景観まちづくりを推進するための地区。 景観法 都市や農山漁村等における良好な景観の形成を促進するため、平成16年度に制定された法律。 景観計画 景観行政団体が、『景観法』に基づき定める良好な景観の形成に関する計画のこと。 景観条例 『景観法』に基づき、美しい街並みや良好な都市景観を形成し、保全するため地方自治体が制定する条例。 景観重要建造物 景観計画区域において、良好な景観の形成に重要な建築物として指定されるもの。 景観重要公共施設 景観計画区域において、良好な景観の形成に重要な道路や河川などの公共施設で、管理者の同意を得て指定されるもの。 景観重要樹木 景観計画区域内において、良好な景観の形成に重要な樹木として指定されるもの。   景観まちづくり 市民、事業者及び行政がまちづくりと連動した景観形成の方向性について共通の認識を持ち、一体となって景観形成を推進していくこと。それぞれのまちや地域が、住民一人ひとりの財産となり、次代に引き継ぐに値する魅力的なものになるよう行政や住民、事業者が協働して行う取組み。 建築基準法 建築物の敷地、構造、設備および用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康および財産の保護を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的として制定された法律。 48ページ 交流人口 一般的には、通勤、通学、文化、スポーツ、買い物、観光などを目的として、その地域に訪れる人々のこと。 コミュニティ 地域社会、地域に住む人々の集まり。また、広くは共通の目的を持ち活動する住民の集まりのこと。 さ行 サイン 不特定多数の利用者を対象として公的機関が設置し、日常社会生活のなかで主として行動の指標となる情報を伝える公的な目印・表示・標識のこと。 里山 人里近い集落周辺の低山地域で、人が生活を営むうえで食料や資材、燃料を供給してくれる場所。雑木林や竹林、ため池、水路、田畑、鎮守の森などで構成され、人間の影響を受けた生態系が存在する。 市街化区域 「都市計画法」に基づき指定された、既に市街地を形成している区域及び概ね10年以内に優先的、計画的に市街化を図るべき区域であり、用途地域等の指定により、土地利用を規制・誘導し、良好な市街地の形成を目的とする区域。 JIS 産業標準化法に基づき、認定標準作成機関の申し出又は日本産業標準調査会の答申を受けて、主務大臣が制定する規格であり、日本の国家標準の一つ。 視点場 景観を眺めるための立ち位置。 シビックゾーン 公的業務、文化、教育、社会福祉などの中心機能及びこれらの補助機能をつかさどる施設が集積する区域。 修景 自然の美しさや既存の景観を損なわないように風景を整備すること。   総合計画 地方自治体の行政運営の最上位計画で、自治体がめざす将来目標や施策を示したもの。行政運営の目的と手段を明確にするため、通常、「基本構想」、「基本計画」、「実施計画」の3層で構成されている。 49ページ た行 棚田 山地などの傾斜地に、階段状に作った水田。 都市機能誘導区域 立地適正化計画で位置づけられ、医療・福祉・商業等の都市機能を都市の中心拠点等に誘導・集約することにより、これらの各種サービスの効率的な提供を図る区域。 都市基盤 道路、河川、上下水道、公園、その他の公共施設など、都市活動(生活や産業活動など)を支える基幹的な施設のこと。 都市計画法 都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的に制定された法律。 都市計画マスタープラン 正式には、『市町村の都市計画に関する基本的な方針』(都市計画法第18条の2)という。市町村が、都市計画区域内の各市町村の区域を対象として、都市の将来像や土地利用の方向性、都市施設(道路や公園など)の配置方針など、より地域に密着した都市計画に関する事項を明らかにした都市計画の基本的な方針。 都市景観ビジョン・大阪 大阪府景観条例に基づく「大阪府景観形成基本方針」として策定するものであり、景観形成の目標に関する事項、景観形成を推進するための施策の体系に関する事項、景観形成を推進する地域に関する事項を定めたもの。 都市公園 『都市計画法』や『都市公園法』等で位置づけられている公園や緑地。地方自治体が設置する街区公園・近隣公園等がある。 は行 文化財保存活用地域計画 地域における文化財の保存・活用の将来像や取組みの方針、事業等を記載したもので、これに従って計画的に取組みを進めることで、継続性・一貫性のある文化財の保存・活用が促進される。 50ページ ビュースポットおおさか 大阪府が世界に誇れる大阪の魅力ある景観を美しく眺めることのできる場所(ビュースポット)を一般から募集し、選定したものを発信していくプロジェクト。 ま行 マンセル表色系 ひとつの色彩を「色相」「明度」「彩度」という3つの属性で表した値のこと。色相は、色合いを指す。赤(R)、黄赤(YR)、黄(Y)、黄緑(GY)、緑(G)、青緑(BG)、青(B)、紫(P)、青紫(PB)、赤紫(R)の 10 色相を基本色としている。明度とは、明るさの度合いを0から10の数値で表示したもの。明るい色ほど数値が大きくなる。彩度は、鮮やかさの度合いを0から14程度の数値で表したもの。数値が大きいほど鮮やかな色であることを示す。 ら行 立地適正化計画 本格的な人口減少社会の到来や少子高齢化が進むなか、持続可能な都市づくりを進めるため、『コンパクト・プラス・ネットワーク』の考えのもと、公共交通を利用しやすく災害リスクが比較的小さい区域に、居住や都市機能を誘導することで、一定の人口密度を維持し、災害に強いコンパクトなまちづくりを形成するための計画。 ライフスタイル 「衣食住」だけでなく「人生観・価値観・習慣などを含めた個人の生き方」という意味で使われる。 ランドマーク 山や優れた意匠をもつ建築物など、視覚的に目立つものであり、ある特定地域の景観を特徴づける目印のこと。 わ行 ワークショップ 参加者が主体的に参加する体験型の研修会や会議・集会のことで、学習やトレーニング、問題解決などを目的として活用される。 貝塚市景観計画 令和7年1月 策定 発行・編集  貝塚市 都市整備部 都市計画課 〒597-8585 貝塚市畠中一丁目17番1号 TEL:072-423-2151(代表) https://www.city.kaizuka.lg.jp/