66ページ 第3章 計画の基本構想                     1.計画の基本理念  子ども・子育て支援法第2条(基本理念)は、第1項に「子ども・子育て支援は、父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識の下に、家庭、学校、地域、職域その他の社会のあらゆる分野におけるすべての構成員が、各々の役割を果たすとともに、相互に協力して行われなければならない。」、第2項に「子ども・子育て支援給付その他の子ども・子育て支援の内容及び水準は、すべての子どもが健やかに成長するように支援するものであって、良質かつ適切なものでなければならない。」、第3項に「子ども・子育て支援給付その他の子ども・子育て支援は、地域の実情に応じて、総合的かつ効率的に提供されるよう配慮して行われなければならない。」と規定しています。  本市においても、少子化が進んでいるなか、子どもの健やかな育ちを支えるとともに、保護者一人ひとりの希望が叶えられる社会を実現していくためには、ニーズに沿った子育て支援を充実していくことが大切です。そして、子どもたちが、将来社会の一員として自己実現できるように、子ども一人ひとりの個性を大切にした教育の提供や、地域の様々な人たちとの交流の中で、社会性やコミュニケーション力、自立心を身につけ、心が豊かに育つための支援を行います。  本計画においても、第2期計画の基本理念「子どもがすこやかに育ち子育てに喜びを感じるまち かいづか ~地域とともに子育ち・親育ち~」を踏襲しながら、国の動向や本市の地域特性などを踏まえ、本市が行政として取り組むべき方向性を位置づけます。   基本理念 子どもがすこやかに育ち 子育てに喜びを感じるまち かいづか ~地域とともに子育ち・親育ち~ 67ページ 2.計画推進にあたっての基本的視点  計画の推進にあたっては、次にあげる視点を踏まえながら、基本目標の達成に向け、各種施策を推進します。 子どもの視点  子どもにとって市の子育て支援サービスはどのように映り、また、有意義なものであるかどうかを考える必要があります。子ども・子育て支援のあるべき姿として、子どもの幸せを第一に考え、子どもの権利・利益が最大限に尊重されるよう配慮した環境づくりを進めます。 次代の親の育成という視点  子どもはやがて親となり、貝塚市の未来をけん引していく原動力となっていきます。  やがて、貝塚市のまちづくりを担う存在であることを十分認識し、その役割を担う子どもを産み育てることに夢や希望、喜びを与えるような施策の推進を図ります。 サービス利用者の視点  保護者が働いているかどうかではなく、日ごろからの利用や社会参加を行うための利用など、子育てをするすべての家庭が必要に応じて適切なサービスを利用することができ、安心感をもって子育てができるよう、利用者の立場にたった身近な子育て支援施策の推進を図り、サービス提供基盤の充実、サービスの質の向上、サービスの質の確保及び維持等、子育ての環境整備の推進を図ります。 市民協働による支援の視点  保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識の下に、国及び府・市はもとより、企業を含む市民が協働して地域ぐるみで包括的に取り組む視点が必要となっています。 仕事と生活の調和実現の視点  仕事と生活の調和を実現することは、市民の結婚や子育てに関する希望を実現するための取組のひとつとして行政や企業を始めとする関係者が連携して進めることが重要で、地域の実情に応じた展開を図ります。 68ページ サービスの質の視点  仕事と家庭の両立支援という観点からの支援だけではなく、広くすべての子どもと家庭が必要に応じて適切なサービスを利用することができるよう、総合的な子育て支援施策を推進するとともに、そのためのサービス提供基盤の充実、サービスの質の向上、サービスの質の確保及び維持等、子育ての環境整備の推進を図ります。 すべての子どもと家庭への支援の視点  少子化や核家族化など社会環境の変化に伴い、子育ての不安や孤立化、児童虐待やいじめなど、子どもや子育てを取り巻く様々な問題が生じています。これら様々な問題に対応できるように、すべての子どもとその家庭に対する支援という観点から推進を図ります。 地域における社会資源の効果的な活用の視点  保育所や幼稚園、認定こども園などの公的な子育て支援の充実に加え、地域住民が協働して子どもを見守り育てる子育て支援を推進し、地域の子育て機能や教育力の向上を図ります。 69ページ 3.子ども・子育て支援に向けた基本目標  基本理念の実現に向け、指針や子育て支援施策を取り巻く環境変化や課題などを踏まえ、子ども・子育て支援の取組に向けた基本目標及びその目標達成に向けた主要課題を次のとおり定めることとします。 基本目標1 親と子の健やかな成長を支援します 主要課題(1) 親と子への切れ目のない健康支援  子育てをはじめ、仕事や家庭・地域など様々な活動を営む上で、健康への配慮はとりわけ重要です。特に、女性にとって短期間に大きな心身の変化がおこる妊娠・出産期に、安全で快適に過ごすことが、産後のメンタルヘルスの安定や、児童虐待を防ぐことにつながります。妊娠・出産期の女性が、安心感のもてる健康支援に取り組みます。  一方、子どもの心身の発達については、一番身近な養育者である母親の心の状態と深く関係していることから、母親が育児で孤立することなく楽しんで子育てをすることが大切です。多くの母親は、子どもが泣き止まなかったり、言うことを聞かなかったりした時などに困ったという経験をしています。母親同士で気軽に集い、育児の悩みや不安を共有・共感できる情報交換の場の充実とともに、子どもの養育に関する保護者からの相談に応じ、訪問等により必要な情報提供及び助言等を行うなど、家庭や地域・関係機関が連携して切れ目なく支援するための体制を充実します。  また、食生活・運動・睡眠等の生活習慣と密接な関連がある生活習慣病が大きな健康問題となっています。生活習慣は、乳幼児期からきちんと身に付けることが大切だということを保護者が正しく理解し、親子で実践することができるよう、食を通じた子どもの心身の健康づくりを推進します。  さらに、本市で安心して子どもを産み育てることができるよう、出産や育児に対する心理的・経済的負担の軽減のほか、子どもが産まれても安心して養育できる小児保健医療体制の充実などを図ります。 主要課題(2) 人間性を輝かせる教育の充実  子どもにとって、乳幼児期は生涯にわたる人間形成の基礎を培う大切な時期であり、集団生活や遊び等の主体的な活動を通して就学前の子どもの教育・保育を充実することが重要であり、就学後の子どもが一日の多くを過ごす学校においては、子ども一人ひとりの個性を伸ばすとともに、自らたくましく育つ力をはぐくむなど、子どもの発達段階に応じた教育環境を整備・充実することが大切です。  就学前期から育まれることが期待される資質・能力である「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力・人間性等」の3つを柱に据えた学びを実践し、就学前から小学校へと円滑につながる教育体制を充実します。  また、子ども自身が「自分のよさ」に気づき、自己肯定感・自己有用感を高め、互いを尊重し認め合いながら、自立的に自己の未来を切り拓く力を育てることができる学校教育を推進します。  さらに、学校・家庭・地域が連携し、様々な体験活動や遊びを通じて、子どもの学びと成長を支え、次代の担い手として子どもの育成を支援するとともに、教育に関わる大人もともに成長する教育を推進します。 70ページ 基本目標2 家庭や地域における子育てを支援します 主要課題(1) 家庭における子育て支援  核家族化に伴う家族の小規模化は、親から子へと子育て知識を継承する、子どもとのふれあいを通じて母性や父性を育てるといった環境の減少をもたらし、家庭での養育機能を低下させ、子どもの健全な育ちにも影響が及ぶことが懸念されます。子育て家庭が地域で孤立することを防ぐため、地域の子育てに関する様々な支援や相談・情報提供体制の充実を図るとともに、社会や地域とのつながりの中で、親としての自信と責任を持ち、子どもを生み育てることに喜びや楽しさを実感できるよう「親育ち」を支援します。  一方、家庭内での役割分担は、子育てや家事など家庭生活において女性への負担を強いるものであり、子どもの健全な育ちにとって、父親である男性の役割も大きいことが言われているにも関わらず、「男は仕事、女は家庭」という固定的な性別役割分担意識が依然根強く残っているのが現状です。男女が共同して家庭責任を果たすことの重要性への認識を深め、子育てや家事などに男女共同して取り組む環境づくりの推進を図ります。 主要課題(2) 地域で支えあう子育ての推進  子ども・子育て支援法に基づく基本指針では、「社会のあらゆる分野におけるすべての構成員が、子ども・子育て支援の重要性に対する関心や理解を深め、各々が協働し、それぞれの役割を果たすことが必要」であるとし、地域ぐるみで子どもや子育て家庭を見守り支えていくための環境づくりが一層求められており、地域にある文化的な祭りやイベント等を活用しながら、地域の絆や郷土を愛する心を育むことで、地域社会が積極的に子育てをサポートする地域づくりの形成を目指します。  保護者が子育てについて第一義的責任を持つことを前提に、家庭、地域、企業、学校、行政などが絆を築き、地域ぐるみで「子育ち」と「親育ち」を支援し、保護者が子どもと向き合い、親子の絆を深めながら子育て力を向上させるための支援を充実します。  また、子育てに悩みや不安を感じている保護者が、身近な地域で必要に応じ適切な相談援助や情報提供などが受けられるよう、地域の関係団体・機関が連携した子育て支援のネットワークの充実を図るとともに、子育ての支援者の確保・育成を図り、安心して子育てができる環境を整備・充実します。 71ページ 基本目標3 仕事と家庭・地域生活の両立を支援します 主要課題(1) 多様なニーズに応じた保育サービスの提供  子育て支援を地域ぐるみで推進するにあたり、保育所や幼稚園・認定こども園の保育機能の専門性を生かし、地域に開かれた施設として活用することが重要であり、就労・非就労に関わらず、すべての子育て家庭の多様なニーズに対応できるサービス内容の充実を図ることが必要です。  多様化する保護者の保育ニーズに柔軟に対応するため、固定的なサービスだけではなく、低コストで市民サービスを受けれるようにしていくことなど、サービス供給のあり方に関する研究を進める必要があります。仕事だけでなく、学習活動や社会貢献活動等にも参加でき、子育てとの両立がしやすくなるよう、引き続き多様な子育て支援サービスの整備・充実に努めるとともに、専業主婦(夫)家庭やひとり親家庭などを含めたすべての子育て家庭への支援を推進します。  また、昼間、就労する保護者がいる小学生の放課後の安全・安心な居場所として放課後児童対策を充実します。 主要課題(2) 仕事と家庭生活が両立できる就労環境の充実  男性が家事や子育てなどに参加しやすくするためには、昨今、常態化している長時間労働を見直し、日常生活と職業生活がバランスのとれたものにすることが重要です。そのため、男性の仕事中心の生き方など、従来の働き方を見直し、男女ともが互いに家庭責任を果たすための支援を図ることが必要です。  家庭と仕事の両立支援を図るための保育サービスの充実が求められる一方、就労の場では、男女ともに子育てに専念しながら継続就労できる職場環境や雰囲気づくり、または仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現など、事業主の理解促進が求められており、仕事と家庭のバランスがとれた多様な働き方を選択できるワーク・ライフ・バランスについて、市民をはじめ、企業や労働者に対する意識啓発や情報提供に努めます。  また、育児休業など子育て支援のための制度を有効に活用してもらうための普及・啓発、活用できる職場の雰囲気づくりを図るための支援に努めます。 72ページ 基本目標4 子どもの権利を守り、安全・安心にくらせるまちをつくります 主要課題(1) 子どもの人権が尊重されるまちづくりの推進  平成6年(1994年)発効の「児童の権利に関する条約」では、子どもを保護の対象とみるだけでなく、権利の主体として尊重されるよう、子どもの最善の利益の保障などがうたわれています。しかし、子どもの心身の発達に重大な影響を及ぼす児童虐待やいじめの問題など、子どもへの人権侵害が深刻化しています。子ども自身が自らの権利に対する意識を持ち、自らを守る力を養うことができるよう人権教育を推進するとともに、虐待の発生予防、早期発見、早期対応に向け、関係機関と連携した取組を推進します。  また、いじめや不登校などに悩む子どもの心に寄り添い、心のケアを図るための取組を進めるとともに、インターネットなどを利用したいじめや、子どもへ悪影響を及ぼす有害情報など、大人から見えにくい形での新たな問題に対する対策にも取り組みます。 主要課題(2) 貧困の連鎖を断ち切るための支援の推進  すべての子どもは、可能性に満ちたかけがえのない存在であり、自分らしく、豊かに成長し、発達していく権利が認められています。  子どもの視点に立って、生活に困難を抱えている子どもとその保護者が必要な支援に結びつくための体制を整えるとともに、子どもの成長における各段階に応じた切れ目のない支援を展開し、併せて保護者への必要な支援を実施することなどによって、子どもが生まれ育った環境などに左右されることなく、経済的困難な状況が世代を超えて連鎖することがないよう、子どもの貧困解消に向けた取組を推進します。 主要課題(3) 子どもや子育て家庭に配慮した生活環境の充実  子どもや子ども連れでも安全・安心に外出でき利用しやすいバリアフリー化された施設・設備など、地域が子どもや子育て家庭にとって配慮されたやさしい環境づくりが必要です。  また、子どもが犯罪や事故に巻き込まれることがないよう、地域ぐるみで子どもの安全を守るとともに、子どもを取り巻く社会環境の点検・見直しも必要です。貝塚市立地適正化計画に基づき、持続可能な都市づくりを進めるための具体的な取組を進めていきます。  さらに、住民同士の協力・連携関係を強化し、交通安全対策や防犯対策に取り組み、地域社会の中で子どもや子育て家庭が安全・安心に暮らせるまちづくりを推進します。 73ページ 4.施策の体系 基本目標 1.親と子の健やかな成長を支援します 主要課題 (1)親と子への切れ目のない健康支援 施策の方向 ①妊娠・出産期から子育て期への切れ目のない支援 ②子どもの成長と発達への支援 ③「食」を通じた健康づくりの推進 ④小児保健医療体制の充実 ⑤思春期における健康づくりの推進 主要課題(2)人間性を輝かせる教育の充実 施策の方向 ①就学前教育・保育の充実 ②生きる力を育む学校教育の充実 ③社会性を育む多様な体験活動と遊び環境の充実 ④次代を担う親の育成 基本目標 2.家庭や地域における子育てを支援します 主要課題 (1)家庭における子育て支援 施策の方向 ①子育て情報の提供と相談窓口の充実 ②家庭の教育力の向上 ③男性の子育て参加の促進 ④子育て家庭の経済的負担の軽減 主要課題 (2)地域で支えあう子育ての推進 施策の方向 ①子育てに対する市民の関心の喚起 ②地域の支えあい・助けあいによる子育て支援の充実 ③子育てに関するネットワークづくりの充実 基本目標 3.仕事と家庭・地域生活の両立を支援します 主要課題(1)多様なニーズに応じた保育サービスの提供 施策の方向 ①すべての子育て家庭に対する子育て支援サービスの充実 ②働く家庭に対する多様な保育サービスの充実 ③放課後児童対策の充実 主要課題 (2)仕事と家庭生活が両立できる就労環境の充実 施策の方向 ①仕事と子育てを両立しやすい職場づくりの推進 ②子育て中の家庭への再就職支援 基本目標 4.子どもの権利を守り、安全・安心にくらせるまちをつくります 主要課題 (1)子どもの人権が尊重されるまちづくりの推進 施策の方向 ①人権尊重のための取組み ②虐待やいじめ等から子どもを守る取組みの推進 ③障害のある子どもへの支援 ④外国籍・帰国児童への支援 主要課題 (2)貧困の連鎖を断ち切るための支援の推進 施策の方向 ①関係機関がつながる相談支援体制の整備 ②子どもの育ちと学びを支える取組みの推進 ③支援を要する子ども・世帯を支える取組みの推進 主要課題 (3)子どもや子育て家庭に配慮した生活環境の充実 施策の方向 ①子育てにやさしい生活環境の整備 ②犯罪や交通事故のない安全なまちづくり