インターネット上の不当な差別的言動に係る侵害情報に対する削除の要請等及び説示又は助言の実施に関する指針 1 目的等   この指針は、大阪府インターネット上の誹謗中傷や差別等の人権侵害のない社会づくり条例(令和4年3月29日条例第48号。以下「条例」という。)第12条に規定する削除の要請等及び第13条に規定する説示又は助言の実施に関し必要な事項を定め、もって適正な条例の施行に資することを目的とする。   削除の要請等及び説示又は助言の実施にあたっては、被害者への被害回復に向けた支援と表現の自由の保障との調和に配慮しつつ、適正かつ慎重に行うものとする。 2 削除の要請等(条例第12条) (1)「特定の個人(府内に居住し、通勤し、又は通学する者をいう。)若しくは当該個人により構成される集団又は府内の特定の地域」について ア 「特定の個人」とは、府内に居住する者をいうほか、府外から府内に通勤又は通学する者も含む。 イ 「当該個人により構成される集団」とは、集団の規模、構成員の特定の程度等により、当該集団に属する特定の個人の権利侵害を認識できる規模の集団をいう。 ウ 「府内の特定の地域」とは、府内の特定の地域の居住者や出身者といった特定の個人に対する権利侵害を認識できる規模の地域をいう。 (2)「不当な差別的言動に係る侵害情報があることが明らか」について ア 「不当な差別的言動に係る侵害情報」とは、条例第2条において規定する「人種、民族、信条、性別、社会的身分、門地、障害、疾病、性的指向、性自認等の共通の属性を理由としてする侮辱、嫌がらせ等の言動又は当該属性を理由として不当な差別的取扱いをすることを助長し、若しくは誘発すると判断できる言動による権利を侵害する情報」をいう。具体的には、次のような人格権を侵害するものをいう。      なお、府外から発信された情報であっても、当該情報が、特定の個人若しくは当該個人により構成される集団又は府内の特定の地域に関する不当な差別的言動に係る侵害情報であることが明らかな場合には、同条の対象となることに留意する。さらに、こうした情報をインターネット上に拡散する行為についても、同条の対象となることに留意する。 (ア)名誉毀損       共通の属性を理由としてなされる特定の個人の品性、徳行、名声、信用等の人格的価値について社会から受ける客観的評価を低下させる事実の摘示や意見・論評の表明をインターネット上に流通させるものをいう。ただし、その言動が公共の利害に関する事実であり、専ら公益を図る目的である場合で、摘示された事実がその重要な部分について真実であること又は発信者が真実と信ずる相当の理由があるとき、さらに、意見・論評の表明にあってはこれらに加えて人身攻撃に及ぶなどの意見・論評の域を逸脱したものでないときは、不法行為が成立しないことに留意する。 (イ)名誉感情の侵害 共通の属性を理由としてなされる特定の個人に対する社会通念上許される限度を超えると判断される侮辱性の強い言動等をインターネット上に流通させるものをいう。名誉感情の侵害には、特定の個人に対する賤称語や蔑称を用いた表現や特定の個人の存在を否定する言動等についても含まれる。 (ウ)プライバシー侵害 不当な差別的取扱いを助長・誘発するような特定の個人が公にしていない人種や民族、障がいや疾病、いわゆる同和地区の出身であること、性的指向や性自認等、特定の個人の共通の属性を識別することを可能とする情報をインターネット上に流通させるものをいう。ただし、特定の個人が公にしている情報であっても、その内容により、名誉感情の侵害や私生活の平穏の侵害として削除の要請等の対象となることがあることに留意する。 また、特定の地区がいわゆる同和地区である、又はあったとする情報の摘示については、個人の住所等と対照することによりいわゆる同和地区の居住者や出身者であるか否かを容易に特定することができ、不当な差別的取扱いを助長・誘発するものと認められ、プライバシーの侵害にあたる。なお、当該情報の摘示が学術研究等の目的であったとしても、公開の態様や文脈等から、権利侵害のおそれが極めて低いといえる場合でない限り、プライバシーの侵害にあたる。 (エ)私生活の平穏の侵害 共通の属性を理由として、特定の個人の生命、身体、財産等に危害を加えるといった言動等、社会通念上受忍すべき限度を超えた精神的苦痛を生じさせる言動をインターネット上に流通させるものをいう。 また、人は誰しも、不当な差別を受けることなく、人間としての尊厳を保ちつつ平穏な生活を送ることができる人格的な利益を有しているところ、特定の地区がいわゆる同和地区である、又はあったとする情報の摘示については、一定の者にとっては、実際に不当な扱いを受けるに至らなくても、これに対する不安感を抱き、ときにそのおそれに怯えるなどして日常生活を送ることを余儀なくされ、人格的な利益を侵害するものであり、私生活の平穏の侵害にあたる。なお、当該情報の摘示が学術研究等の目的であったとしても、公開の態様や文脈等から、権利侵害のおそれが極めて低いといえる場合でない限り、私生活の平穏の侵害にあたる。    イ 「明らか」とは、具体的な被害の存在が認められ、かつ人格権の侵害が認められる侵害情報であると客観的に判断できることをいう。判断にあたっては、一般読者の普通の注意と読み方を基準に、情報の内容により前後の文脈や発信者の投稿歴等も考慮する。 (3)「被害者からの申出があったときその他必要があると認めるとき」について ア 「被害者からの申出があったとき」とは、被害者自身がプロバイダに対して侵害情報の削除の要請を行っても削除がなされないなど被害者自身による被害の拡大防止・回復を図ることが困難であって、府に対応を求める場合をいう。     被害者への対応にあたっては、まず被害者自身の自主的な被害の拡大防止・回復の支援を行うことを原則としていることに留意する。 イ 「その他必要があると認めるとき」とは、特定の地区がいわゆる同和地区である、又はあったとする情報の摘示に関して情報提供があった場合など被害者による自主的な被害の拡大防止・回復を促すことが見込めないときにおいては、被害者からの申出を前提とせず、府において削除の要請等を実施するものをいう。 ウ 既に訴訟手続準備中の事案や係争中の事案、また、訴訟が終了した事案等については、削除の要請等の対象としない。 (4)「特定電気通信役務提供者」について 「特定電気通信役務提供者」とは、特定電気通信による情報の流通によって発生する   権利侵害等への対処に関する法律(平成13年法律第137号)第2条第4号に規定されているが、具体的には、不特定の者によって受信されることを目的に、不当な差別的言動に係る侵害情報を流通させているウェブページやSNS、電子掲示板の運営・管理者であるプロバイダ、企業、個人等(以下「プロバイダ等」という。)をいう。なお、特定の者や多数の者に宛てて同時に送られる電子メール等の通信役務を提供する者は含まれないことに留意する。 (5)「侵害情報の削除の要請又は国その他の関係機関に対する当該侵害情報の通報」について ア 「侵害情報の削除の要請」とは、プロバイダ等に対し、不当な差別的言動に係る侵害情報の削除の要請を行うことをいう。ただし、プロバイダ等の削除要請受付窓口やフォーム、連絡先等が不明であるなど技術的に削除の要請ができない場合は除く。  イ 「国その他の関係機関に対する当該侵害情報の通報」とは、被害者からの申出等により、必要に応じて、法務省人権擁護機関や市町村、その他関係機関に対して、不当な差別的言動に係る侵害情報の流通の状況等について通報を行うものをいう。 3 説示又は助言(条例第13条) (1)「説示又は助言」について ア 「説示」とは、発信者に対し、被害者から相談が寄せられていることを伝え、当該情報が侵害情報であるとして事理を説示し、反省を促し、削除を求めるものをいう。 イ 「助言」とは、発信者に対し、被害者から相談が寄せられていることを伝え、当該情報の問題点を指摘し、人権意識の涵養を促すとともに、紛争解決の方向として削除を促すものをいう。 (2)「要請又は通報を行ってもなお当該侵害情報が削除されない場合」について    「要請又は通報を行ってもなお当該侵害情報が削除されない場合」とは、プロバイダ等への削除の要請や法務省等への通報を行った後、一定の期間を経過しても、不当な差別的言動に係る侵害情報が削除されない場合をいう。 (3)「当該侵害情報を発信し、又は拡散した者が明らか」について   ア 「発信した者」とは、インターネット上において、不特定の者によって受信されることを目的に、不当な差別的言動に係る侵害情報を発信した者をいい、「拡散した者」とは、当該情報を転載、引用、再投稿等により、インターネット上に広く流通させた者をいう(以下「発信者等」という。)。 イ 「明らか」とは、発信者等の氏名や住所等が判明している場合のほか、氏名や住所等は不明であるものの、プラットフォーム上のダイレクトメッセージなど不特定の者に視認されない方法により発信者等に対して説示又は助言できる場合も含む。 (4)「必要があると認めるとき」について    「必要があると認めるとき」とは、被害者が説示又は助言を求める旨の意思表示をしており、かつ、不当な差別的言動に係る侵害情報の内容、被害の状況等に鑑み、説示又は助言を行うことが相当であると認められるときをいう。 (5)「当該侵害情報の削除に向けた説示又は助言をすることができる」について     説示又は助言の実施にあたっては、不当な差別的言動に係る侵害情報の内容等に応じて使い分けを行う。 附 則 この指針は、令和6年4月1日から施行する。 附 則 この指針は、令和7年11月27日から施行する。