○貝塚市インターネット上の誹謗中傷や差別等の人権侵害のない社会づくり条例 令和7年10月1日 条例第33号 インターネットの普及は、私たちの社会に大きな恩恵をもたらしている一方、匿名性、不特定多数性等、その特性に起因して誤った情報や嫌がらせによる風評被害、他人の名誉や感情を傷つける誹謗中傷、プライバシー侵害等が安易に行われ、いじめの温床にもなる等の問題が深刻化している。さらに、震災や感染症によるパンデミックなどの社会不安に起因するデマの流布や誹謗中傷が行われるなど、インターネット上での様々な人権侵害が社会問題となっている。 インターネットによる恩恵を享受しながらこのような人権侵害のない社会をめざすためには、市民一人一人が、表現の自由に配慮しつつ、誹謗中傷等の被害者にも加害者にもならないための意識や知識を身につけ、インターネット社会に応じた人権尊重の仕組みづくりを進めなければならない。 よって、ここに、インターネット上の誹謗中傷や差別等の人権侵害を防止するための施策を推進し、インターネットによる被害から全ての市民を保護し、次世代に豊かな社会を継承すべく、この条例を制定する。 (目的) 第1条 この条例は、インターネット上の誹謗中傷等の人権侵害を防止し、市民の誰もが加害者にも被害者にもならないよう、市及び事業者の責務並びに市民及び議会の役割を明らかにするとともに、市の施策の基本となる事項を定めることにより、これを推進することを目的とする。 (定義) 第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 (1) 誹謗中傷等 インターネット上において、誹謗中傷、プライバシーの侵害及び不当な差別的言動(人種、民族、信条、性別、社会的身分、門地、障がい、疾病、性的指向、性自認等の共通の属性を理由としてする侮辱、嫌がらせ等の言動又は当該属性を理由として不当な差別的取扱いをすることを助長し、若しくは誘発すると判断できる言動をいう。以下同じ。)等による権利を侵害する情報(以下「侵害情報」という。)、侵害情報に該当する可能性のある情報又は侵害情報には該当しないが著しく心理的、身体的若しくは経済的な負担を強いる情報を発信し、又は拡散することをいう。 (2) 被害者 誹謗中傷等により平穏な日常生活又は経済活動等を害された者をいう。 (3) 行為者 誹謗中傷等により被害者を発生させた者をいう。 (4) インターネットリテラシー インターネットの利便性、危険性及び基本的なルールやマナーを理解し、インターネット上の情報を正しく取捨選択し、情報を適正に発信し、並びにインターネット上のトラブルを回避して、インターネットの特性を正しく活用する能力をいう。 (市の責務) 第3条 市は、行為者及び被害者を発生させないための施策、被害者を支援するための施策並びに行為者が再び誹謗中傷等を行わないようにするための施策を実施するとともに、第1条の目的を達成するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。 (事業者の責務) 第4条 事業者は、この条例の趣旨にのっとり、インターネット上の誹謗中傷等による人権侵害の防止の必要性の理解及びインターネットリテラシーの向上に努めるとともに、その事業活動を行うに当たっては、市が実施する前条の施策に協力するよう努めるものとする。 (市民の役割) 第5条 市民は、自らが行為者となることがないよう、インターネットリテラシーの向上に努めるとともに、被害者が置かれている状況及び被害者の支援の必要性についての理解を深めるよう努めるものとする。 (議会及び議員の役割) 第6条 議会及び議員は、この条例の趣旨にのっとり、不断の研鑽(さん)によりインターネットリテラシーの向上に努め、市民の範となって活動し、及び行動する。 (連携協力) 第7条 市は、第3条の施策を円滑に実施するため、国、大阪府、支援団体(総合法律支援法(平成16年法律第74号)第13条に規定する日本司法支援センター等の支援団体をいう。以下同じ。)その他の関係機関と連携協力を図らなければならない。 (基本的施策) 第8条 市は、インターネット上で情報発信する者の表現の自由に配慮しつつ、次に掲げる施策に取り組むものとする。 (1) 市民の人権意識の高揚を図るために必要な教育及び啓発 (2) 市民の年齢、立場等に応じたインターネットリテラシーの向上に資する施策 (3) 被害者の心理的負担の軽減等及び行為者による誹謗中傷等の再発防止等に関する相談支援体制の整備 (4) 誹謗中傷等の人権侵害問題に関する市民への啓発 (5) 前各号に掲げるもののほか、第1条の目的を達成するために必要な施策 (人権意識の高揚及びインターネットリテラシーの向上) 第9条 市は、インターネット上の誹謗中傷等の人権侵害を防止するため、貝塚市人権擁護に関する条例(平成6年貝塚市条例第28号)の趣旨を踏まえ、人権教育及び人権啓発に努めるものとする。 2 市は、市民の年齢、立場等に応じたインターネットリテラシーを学ぶ機会を提供するため、研修会、講演会等の開催のほか、教材等の紹介、情報提供その他の必要な施策を実施するものとする。 3 市長及び教育委員会は、児童及び生徒に対する前項の施策を実施するに当たっては、市立学校、府立学校及び私立学校と連携し、保護者の理解を図りながら取り組むよう努めるものとする。 (相談支援体制) 第10条 市は、被害者の不安、被害者に生じた不利益等を解消し、及び第8条第3号の相談支援体制を整備するに当たり、次に掲げる事項を行うものとする。 (1) 相談内容に応じた必要な情報の提供及び助言 (2) 専門的知識を有する機関の紹介 (3) 前2号に掲げるもののほか、相談対応として必要な事項 2 市は、前項の相談支援体制の整備に当たっては、相談をする者が安心して話しやすく、相談しやすい環境づくりに努めるものとする。 3 市は、第1項に掲げるもののほか、自ら発信したインターネット上の情報に関して不安を抱える者の相談に応じるものとする。 4 市は、被害者の相談支援に当たっては、被害者が抱える心理的負担を軽減するために必要と認める支援団体と連携して取り組むものとする。 (削除の要請等) 第11条 市は、インターネット上において、特定の個人(市内に居住し、通勤し、又は通学する者に限る。)若しくは当該個人により構成される集団又は市内の特定の地域に関する不当な差別的言動に係る侵害情報があることが明らかであり、当該侵害情報による被害者からの申出があったときその他必要があると認めるときは、特定電気通信役務提供者(特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律(平成13年法律第137号)第2条第4号に規定する特定電気通信役務提供者をいう。)に対する当該侵害情報の削除の要請又は国その他の関係機関に対する当該侵害情報の通報を行うことができる。 (説示又は助言) 第12条 市は、前条の規定による要請又は通報を行ってもなお当該侵害情報が削除されない場合で、当該侵害情報を発信し、又は拡散した者が明らかであり、必要があると認めるときは、その者に対し、当該侵害情報の削除に向けた説示又は助言をすることができる。 (市民の理解の増進) 第13条 市は、この条例の趣旨にのっとり、インターネット上の誹謗中傷等の人権侵害の問題に関する市民の理解を深めるため、広報その他の啓発活動を行うものとする。 (審議会への諮問) 第14条 市長は、この条例の規定により市が行う施策の検証に当たっての基本的な考え方等について、緊急の場合を除き、貝塚市人権擁護に関する条例第8条に規定する貝塚市人権擁護審議会に諮問し、その意見を聴くものとする。 (委任) 第15条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。 附 則 この条例は、公布の日から施行する。