第4章 高齢者の尊厳に配慮したケアの推進   1 高齢者の尊厳の確保と権利擁護の推進 (1)高齢者の尊厳の確保   @ 日常生活自立支援事業の推進  認知症*等により判断能力が不十分になっても、住み慣れた地域で安心して自分らしい生活が 送れるよう本人の思いや希望をできる限り尊重した支援を行うとともに、事業内容を含め、福 祉サービスや制度等の生活に必要とされる情報を正しく理解してもらえるよう、効果的な広 報・啓発活動に努めます。   A 成年後見制度の利用促進  判断能力が不十分な認知症高齢者等の財産管理や身上監護について、代理権等の権限が与え られた成年後見人等が本人を保護する成年後見等開始の審判申し立てを当事者に代わって行う とともに、その利用を促進します。また、市民後見人を養成するとともに、市民後見人の活用 や福祉の事務に関して専門的な知識・能力・体制等を備えた社会福祉協議会*等の法人を成年後 見人等として選任できる法人後見制度の導入についても引き続き検討していきます。   B 高齢者の孤立死防止  民生委員・児童委員等関係団体が、日常継続的に地域の要支援者の把握をする作業を続けな がら、対象となる高齢者の見守りを続けます。  また、地域単位の各老人クラブ等が、ひとり暮らしで自宅に閉じこもりがちな高齢者宅を継 続的に訪問し、地域社会とのつながりを維持します。  本市では、社会福祉協議会やシルバー人材センター*等と連携しながら、定期的に家庭を訪問 して、安否確認を行っています。今後も各団体と連携を図りながら、継続して事業を推進しま す。  また、高齢期では、認知症以外に身体機能の低下や精神機能の障害(特にうつ病)により「閉 じこもり」状態となり、場合によっては自傷行為や自殺企図*に至ります。自殺予防の観点から、 自殺の危険を示すサインに気づき適切な対応ができるように、相談にかかわる専門職や介護サ ービス提供事業所の方等を対象に、ゲートキーパー*養成研修を引き続き開催します。     ? C 居住環境に配慮した施設整備  高齢者の尊厳を確保するため、介護保険施設*整備にあたっては、居住環境の向上をめざし、 家庭的な環境のもとでケアを受けることができる個室ユニットケア*への転換を推進します。   D 生活困窮状態にある高齢者の支援  生活困窮状態にある高齢者は、その背景に複合的な要因を抱えていることやいわゆる「制度 の狭間」に陥ることが多いことから、地域包括支援センター*や自立相談支援機関をはじめ、地 域の様々な支援機関が連携して幅広く対応することが重要となっています。  そのため、生活困窮状態にある高齢者に対しては、生活困窮者自立支援法*に定める各種事業 やその他の支援制度に適切につなぐことができるよう、地域における支援体制の構築に取り組 みます。   2 高齢者虐待防止の推進 (1)高齢者虐待の防止  「高齢者虐待防止法*」の趣旨を踏まえ、市民や介護保険事業所等への啓発、相談窓口の周知 に努めます。また、地域包括支援センターを中心に関係団体や行政機関等が参画する高齢者虐 待防止ネットワークを構築して、通報体制の確立、虐待の防止及び早期発見、養護者の支援に ついて適切な対応を図ります。  地域包括支援センター職員や介護保険事業者の従事者に対しては、事業者連絡会*等で虐待の 実態把握や対応技量向上のための研修会等を実施していきます。         1