第2章 地域共生社会実現のための地域包括ケアシステム の深化・推進 1 在宅介護の推進 (1)介護サービスの基盤整備、質の向上   @ 介護サービスの充実  高齢化の進展に伴い、24時間対応や医療ニーズの高い要介護者、認知症高齢者等の増加が見 込まれます。介護サービスの充実にあたっては、高齢者が必要に応じて主体的に適切なサービ スを利用できるよう、日常生活圏域における地域ニーズを的確に把握し、その課題等を踏まえ ながら、在宅サービス、施設サービスをどのように充実させていくのか、中長期的な視点に立 って計画的な基盤整備を進めます。  また、要介護者への支援だけではなく、介護を行っている家族の精神的・経済的な負担を軽 減するための支援についてもあわせて行います。  サービス利用の動向等、介護保険の運営状況を定期的に評価・分析し、住民に対して運営状 況を開示することにより、介護保険事業の円滑かつ適正な運営を確保します。   A 地域密着型サービスの充実  地域密着型サービス*の質の評価の客観性を高め、サービスの質の改善を図るため、運営推進 会議への参加や、事業所が実施する自己評価、外部評価を、利用者支援の観点も踏まえ、結果 を公表することを支援します。  また、地域密着型サービス運営委員会の意見を反映させ、地域密着型サービス事業所と連携 を強化し、公正な運営を図ります。  特に重度の要介護者、認知症高齢者、単身高齢者等の在宅生活を支えるサービスとして重要 となる小規模多機能型居宅介護*の普及にあたり、利用者をはじめ地域の住民やサービス事業所 等に対して、サービス内容の理解を深めるための周知を行い、利用促進に努めます。   B 情報提供体制の充実  高齢介護課や地域包括支援センター*における各種広報紙やパンフレットの配布、ホームペー ジ等により制度の周知を図るとともに、本市の生涯学習講座(コスモス市民講座*)等による町 会・自治会、老人クラブ等地域の団体を対象とした出前講座に積極的に取り組むなど、多様な 媒体・機会を活用して情報提供を行います。  また、「広報かいづか」については、点字広報・声の広報の作成や、写真、挿絵等を挿入した 読みやすく親しみやすい紙面作成等、高齢者や障害者等に配慮した形での情報提供に努めます。  さらに、利用者のよりよい介護サービス選択を支援するために、事業者情報をはじめ介護保 険に関する情報を、ホームページにおいて随時提供していきます。また、事業者に対しても、 ホームページの充実や検索サイトへの登録等、積極的な情報提供の促進を図ります。   C 相談支援体制の充実  高齢者が必要なサービスを安心して利用できるよう、民生委員・児童委員、地域包括支援セ ンター*、コミュニティソーシャルワーカー*等が連携・協力しながら相談者の実情に応じ、相 談・支援を行います。  また、身近な相談支援を行うため、市民相談室や地区福祉委員会、小地域ネットワーク*等と の協力体制を築き、地域におけるきめ細やかな相談支援体制の整備を図ります。  各町会・自治会単位で、民生委員・児童委員、地域包括支援センター、コミュニティーソー シャルワーカー等をメンバーとした「拡大地域ケア会議*」を開催し、潜在化している福祉ニー ズの掘り起こしと、地域の要援護者が必要な支援を受けられる体制づくりを進めていきます。 全町会での実施をめざし、地域での見守り体制の強化と、支援が必要と思われる方へのアプロ ーチを地域と行政が協働して行います。   D 苦情処理体制の充実  介護保険に関する苦情については、市(保険者)、大阪府及び国保連合会*の三者でその処理 体制の充実を図ります。市の高齢介護課がその第一次的な受付窓口としての機能を果たした上 で、事業者に対し事実確認を行い、事業者に指定基準違反の疑いがある場合や他の保険者との 広域的共通事案に該当するものは、大阪府及び国保連合会、市の広域事業者指導課と連携して 実地指導にあたります。  また、地域包括支援センターの相談窓口でも苦情の受付等、多面的な苦情処理体制の整備、 充実を図ります。   E 介護相談員派遣事業  市内4箇所の介護保険施設*に対し介護相談員を派遣し、利用者と施設の橋渡し役をすること により、介護サービス利用者の疑問、不満または不安の解消を図るとともに、利用者の権利擁 護と介護サービスの質的向上に努めます。また、介護相談員に対しては、大阪府が開催する研 修会への参加や連絡会の定期開催を通じて、資質の向上を図ります。   F サービス事業者への支援・助言  利用者に対する適切なサービスの提供とサービスの質の向上のため、サービス事業者に対す る支援・助言を行います。また、事業者による主体的な研修や事例研究、情報交換等を促進す るため、事業者連絡会*や各部会連絡会(居宅介護支援事業所部会、訪問介護部会、通所介護部 会、認知症対応型入居者生活介護部会)の開催を支援します。さらに、事業者自らが行う自己 評価システムの普及・促進に向けた事業者への働きかけも進めていきます。 G 介護支援専門員(ケアマネジャー)への支援  地域包括支援センター*において実施される包括的・継続的ケアマネジメント*支援業務を通 じて、支援困難事例の対応への助言等、介護支援専門員(ケアマネジャー)*への支援に取り組 みます。また、ケアマネジャーの資質の向上を図るため、支援困難事例の事例検討等ケアマネ ジャーに対する研修や、ケアマネジャー同士の意見交換・情報交換の機会として圏域ごとでの ケアマネジャー連絡会の実施を支援します。   H 介護保険事業に関する評価の推進  介護保険事業の円滑かつ適正な運営を確保するため、貝恷s介護保険事業計画等推進委員会 を設置し、計画と進捗状況を対比・評価しながらサービス利用者の意向に沿った事業運営を進 めていきます。  また、泉州地域各市町保険者が参画する会議において、情報交換や意見交換、研修会を開催 し、事業運営を進めていきます。   I 介護施設等における虐待防止の取組み  介護施設等での身体拘束等の高齢者虐待は年々増加しており、係争事件にまで発展していま す。高齢者虐待は、介護によるストレス、強者と弱者の関係及び人の目に触れにくい密室的な 環境のもとで発生しています。介護や相談支援の専門職であっても、これらの条件により虐待 行為につながる場合があります。  本市では、高齢者の人権を守り尊厳を大切にするために、介護施設の職員のストレス対策、 知識・介護技術の向上を図る等、職員の意識改革やサービスの質的向上に対する支援を行いま す。 また、介護相談員の派遣を行うことにより介護施設と本市の連携を強化し、地域密着型サービ ス*事業所においては運営推進会議の開催により外部の目が入る環境を作ることによって、密室 性を排除する取組みを行います。 J 介護人材の確保  大阪府下において、大阪府と市町村介護担当課が協働し、オブザーバーとして大阪福祉人材 支援センター及び市町村社会福祉協議会*が参加して、地域における介護人材確保に関する情報 提供・意見交換等を行い、介護人材の確保に向けた取組みを実施しています。  介護職のイメージアップのみに留まることなく、学童期の子どもに車いす操作や高齢者の疑 似体験をしてもらうなど、楽しみながら介護に対する理解を深めてもらう催しや、介護職員に 対する社会的認知度の向上を図る取組み等を行っています。  国では、令和7(2025)年に向け、介護人材を量と質の両面から確保するため、国と地域が 二人三脚で、「参入促進」「資質の向上」「労働環境・処遇の改善」を進めるための対策に総合的・ 計画的に取り組むこととしていることから、関係機関と連携して、介護サービスの意義の理解 を一層深めるための普及啓発及び介護人材確保・定着を促進するための取組みに努めます。  介護職について、多様な人材が就労できるような裾野を広げるとともに、高度な専門性や機 能分化を実現することをめざします。  具体的には、生活援助サービス従事者研修の実施やボランティア*、NPO*の育成、市民後 見人の育成、認知症サポーター*の養成等必要な施策に取り組み、認知症サポーター養成講座に ついては様々な年齢層の市民と市職員に受講を進めています。   ? (2)介護者家族への支援    日常の介護の不安の解消や介護、福祉サービスの学習に取り組んでいる介護者家族の会との 意見交換会を関係機関とともに行い、高齢者支援サービス等についての検討や支援を行います。  また、介護者の心身の負担を軽減し、介護者同士の交流を図るため、各種研修会や講習会を 開催するとともに、自主的な介護サークル、介護ボランティア*の育成に努めます。  介護離職防止のため、令和3年1月から「改正育児・介護休業法」が施行されたことを踏ま え、市民向け・一般企業向けに介護休暇・介護休業等に関する啓発を行うとともに、家族介護 教室を毎年開催し、介護技術に関する知識や社会資源に関する情報の提供に努めます。  拡大地域ケア会議*や総合相談で把握した事例に対し、職業安定所や市民相談室の就労相談員 と連携し、介護離職防止に向けた取組みを引き続き行います。   (3)保険者機能の強化   @ 要介護認定における体制の充実  保険給付の基準となる要介護認定が介護保険制度の根幹となる重要な位置づけにあることを 踏まえ、介護認定審査会*において適切な介護度が判定されるよう運営していきます。  本市では、新規申請に係る認定調査*については市の職員が行い、更新や区分変更申請に係る 事業者委託分については、調査内容の全件点検を行うとともに、適宜、市職員による調査を実 施します。個々の障害に応じた配慮を常に心がけるとともに、対象者の日頃の状況を的確に説 明できる方の同席を求め、公平・公正で客観的な調査を実施します。  市職員・委託先の認定調査員に対して、大阪府と連携し、各分野の専門家を講師として依頼 し、知識や技術のさらなる向上のための研修や認定調査における調査票及び特記事項の内容の 充実を図るための効果的な指導を実施していきます。  また、介護認定審査会の判断材料となる審査会資料について、対象者の心身の状況がより的 確に把握できるよう作成し、記載内容が適切に審査・判定に反映されるよう努めます。  さらに、保健・福祉・医療の各分野の学識経験者による委員で構成される介護認定審査会に ついては、委員への研修をはじめ、具体的な事例の検討により要介護認定の平準化を図る取組 みや、大阪府の専門的な研修に参加するなど、多様な研修機会を確保することにより、介護認 定審査会を円滑かつ公正に運営します。 A 介護サービス事業者に対する指導・監督等  介護サービス事業者が介護保険法、本市条例等で定める指定基準及び関係法令を遵守し、利 用者の意思を尊重しながら適切なサービスが提供されているか、大阪府とも連携して指導して いきます。  指導を行っていく中で、指定基準に対する重大な違反や人権侵害、不正請求等が疑われる悪 質な事業者については、監査を実施し権限を適正に行使して、行政処分も含めた厳正な対応を していきます。   B 介護給付適正化に向けた取組みの推進  介護給付の適正化の目的は、不適切な給付を削減する一方で、利用者に対する適切なサービ スを確保することにより、介護保険制度の信頼性を高めるとともに将来にわたって制度を持続 することです。  本市では、大阪府が策定する第5期(令和3年度〜令和5年度)介護給付適正化計画におけ る主要8事業(要介護認定の適正化、ケアプランの点検、住宅改修の適正化、福祉用具購入・ 貸与調査、医療情報との突合、縦覧点検、介護給付費通知、給付実績の活用)に基づいて、具 体的な適正化事業の内容及び実施方法と目標を定め、適正化事業を行うことにより、適切な給 付の推進を図ります。    ◆取組内容 内容 要介護認定の適正化 認定審査会前の各資料について、不整合の有無を確認するととも に、更新及び区分変更申請の認定調査*については、市職員により 適宜行います。 ケアプランの点検 ケアプランが利用者にとって適正であるかの視点に立ち、大阪府国 民健康保険団体連合会の給付適正化システムやマニュアルを活用 して、過剰な居宅サービスを提供しているケアプラン等を効率的に 確認するとともに事業者へ助言・指導を行います。 住宅改修の適正化 申請書類について書面審査を行い、写真等では確認できないなど疑 義がある場合に現地調査により確認します。また、疑義があるもの だけではなく、適正な施工が行われているかを抽出等により調査し ます。 福祉用具購入・貸与 調査 福祉用具購入については申請書に福祉用具サービス計画書の添付 を依頼し、軽度者のケアプランに福祉用具貸与を位置づける場合は 理由書の提出を求めることにより、福祉用具の必要性や利用状況を 確認します。また、必要に応じて国保連合会のシステムを活用し適 正化に取り組んでいきます。 医療情報との突合 大阪府国民健康保険団体連合会の介護給付適正化システムの「医療 情報との突合リスト」等を活用し、介護保険における給付内容等と 医療保険における給付内容等を確認します。  ? 内容 縦覧点検 大阪府国民健康保険団体連合会から提供される縦覧点検に関する 帳票等を活用し、給付状況を確認します。 介護給付費通知 自己のサービス利用状況を確認できるよう、利用者ごとに年3回介 護サービス利用実績を送付します。 給付実績の活用 大阪府国民健康保険団体連合会から提供される給付実績等の情報 を活用して、不適正・不正な給付がないかを確認します。    ◆適正化事業の取組見込量   令和3年度 令和4年度 令和5年度 要介護認定の適正化 (更新及び区分変更申請の市 職員による調査割合) 15% 15% 15% ケアプラン点検(プラン件数) 40件 40件 40件 住宅改修の点検 360件 380件 390件 福祉用具購入の点検 330件 340件 360件 医療情報との突合・縦覧点検 7帳票 7帳票 7帳票 介護給付費通知 13,500件 14,000件 14,500件 給付実績の活用 実施 実施 実施   C 社会福祉法人による利用者負担軽減制度の活用促進  低所得で特に生計が困難である方について、介護保険サービスの提供を行う社会福祉法人が、 利用者負担額を軽減することにより、介護保険サービスの利用促進を図るとともに制度の周知 を行います。また、一定以上の利用者負担軽減を行った社会福祉法人に対して補助を行うこと により、制度の促進を図ります。 D 有料老人ホームの入居者保護のための施策  再三の指導に従わずに悪質な事業を続ける有料老人ホームへの指導監督の仕組みを強化する ため、未届有料老人ホームも含め、悪質な有料老人ホームに対する事業停止命令措置が可能と なっているほか、入居者保護の観点から、前払金を受領する場合の保全措置が義務化されたこ とを受け、入居者とその家族が安心して生活ができるよう、必要に応じて措置を行います。   E 居宅サービス事業所等の指定に対する保険者の関与  市町村が居宅サービス等の供給量を調整できるよう、指定拒否や条件付加の仕組みが導入さ れており、必要に応じて大阪府の指定に関して意見を提出するほか、小規模多機能型居宅介護* の普及の観点から、地域密着型通所介護が見込量に達している際には指定拒否を検討します。 ? 2 医療と介護連携の推進   (1)在宅医療と介護の連携  主治医、医療ソーシャルワーカー(MSW)、地域包括支援センター*等による退院時の情報 を共有するなど、入院による急性期の治療から、リハビリテーション*を含めた退院後の在宅療 養に円滑に移行し、切れ目なく適切な医療・介護サービスを提供するために、地域での医療・ 介護連携の強化に努める必要があります。  在宅医療・介護の連携について、本市では、平成26年度から貝恷s医師会が在宅医療連携拠 点支援事業を実施し、多職種連携の強化を図るため、「貝恷s在宅医療・介護連携推進懇話会(つ げさん在宅ネット)」を立ち上げ、ICTを活用した情報交換や多職種協働の研修会を継続して 開催しており、地域の医療と介護の情報を収集した「貝恷s 医療・介護・福祉の情報ブック」 の作成・更新や入退院時の切れ目のない適切なサービス提供のための連携を行っています。  今後も、医療と介護の両方を必要とする状態になっても、住み慣れた地域で、自分らしい暮 らしを人生の最後まで続けることができるように、貝恷s医師会、貝恷s歯科医師会、貝恷s 薬剤師会、地域包括支援センター、医療機関、訪問看護ステーション、介護支援専門員(ケア マネジャー)*との連携強化及び情報の提供、在宅医療・介護、ACP(アドバンス・ケア・プ ランニング)*についての市民への啓発等を行い、在宅医療・介護連携の推進に取り組みます。      ? ◆医療・介護サービスの提供体制改革後の姿(サービス提供体制から) 医師、歯科医師、薬剤師、看護師、介護支援専門員(ケアマネジャー)*その他の専門職(※)の積極的な関与の もと、患者・利用者の視点に立って、サービス提供体制を構築する。   ◆在宅医療・介護の連携の推進 ? (2)医療サービスの充実 @ かかりつけ医等の啓発  市民一人ひとりの高齢期の生活の質を高めることを目的に、健康管理や疾病予防、状態の悪 化の防止等のため、生涯にわたって相談・指導等を受けられるよう、貝恷s医師会と連携して かかりつけ医等の啓発活動を実施しています。  今後は広報等だけでなく、介護予防教室やコスモス市民講座*等の場を通じた定期的な啓発活 動を継続し、かかりつけ医等の普及を行います。また、認知症高齢者の増加に伴う支援のため には、認知症に係る地域医療体制構築の中核的な役割を担う認知症専門医の存在が重要となる ため、貝恷s医師会と連携を強化して、「かかりつけ医」に認知症専門医の役割について理解を 得られるよう働きかけます。       A 医療機能の整備・充実  南泉州唯一の緩和ケア病棟が市立貝恤a院内に設置されており、がんのトータルケアを受け ることが可能となっています。急性期の治療終了後も入院療養を続け、在宅復帰に向けた支援 を行うため、令和2年10月に地域包括ケア病棟を開設しています。  また、救急医療体制の充実については、消防署、市立貝恤a院等の医療機関との連携の強化 を図っています。  救急搬送体制や受け入れ医療機関については、泉州地域メディカルコントロール協議会が中 心となって、泉州地域の救急医療体制の構築を行っており、今後も充実に努めます。   ? 3 生活支援サービスの充実 (1)自立した在宅生活を支えるサービスの充実   @ 日常生活用具の給付  ひとり暮らしや高齢者のみの世帯で、加齢による心身機能の低下のため、出火等への配慮が 必要な高齢者に対して、電磁調理器や火災報知機等を給付します。    ◆日常生活用具の給付実績   平成30年度 令和元年度 令和2年度 (実績) (実績) (見込み) 電磁調理器(件)  2  1  6 火災報知機(件)  1  0  1   A 緊急通報装置の設置  心身に障害があるひとり暮らし等の高齢者宅に、急病や災害の緊急時、ボタンを押すだけで 緊急通報先へつながる装置を設置します。緊急通報装置の普及に向け、広報等による啓発や地 域包括支援センター*、介護支援専門員(ケアマネジャー)*、地域の民生委員・児童委員等と の連携を推進します。    ◆緊急通報装置の設置実績   平成30年度 令和元年度 令和2年度 (実績) (実績) (見込み) 設置数(件)  102  107  110 うち新規設置数(件)  14  21  25   B 紙おむつの支給  在宅で常時おむつが必要な高齢者の家庭の経済的負担及び介護負担を軽減するため、紙おむ つを支給します。また、支給対象者が医療機関に入院した場合は3か月を限度に費用の一部を 助成します。    ◆紙おむつの支給実績   平成30年度 令和元年度 令和2年度 (実績) (実績) (見込み) 実利用人員(人) 388 416 430 延支給件数(件) 3,204 3,500 3,800   ? C 愛の一声運動  ひとり暮らしで寝たきりや健康に不安がある高齢者の安否確認を行うため、乳酸菌飲料を無 料で配付します。    ◆愛の一声運動の実績    平成30年度 令和元年度 令和2年度   (実績) (実績) (見込み) 配布実人数(人) 26 21 23 延配付数(回) 3,505 2,611 2,000   (2)生活支援サービスの体制整備   @ 介護予防・生活支援サービスの充実  介護予防・日常生活支援総合事業において、訪問型、通所型ともに現行相当サービスと緩和 した基準の2種類のサービスを展開しています。利用対象者は要支援認定を受けた方及び基本 チェックリスト*該当者(事業対象者)です。身体介護等が必要な方を除いて原則緩和サービス を利用してもらい、新規で現行相当サービスを利用する場合は、個別ケース検討会議で適切な ケアマネジメント*を行っています。今後も地域包括支援センター*による適切なケアマネジメ ントを推進します。  また、多様なサービスの提供が可能となる中で、支援する側と支援される側という画一的な 関係性ではなく、サービスを利用しながら地域とのつながりを維持することができ、能力に応 じた柔軟な支援により介護サービスからの自立意欲を向上させることが重要となります。  ケアマネジメントについては、事業対象者が訪問型サービスや通所型サービスと生活支援サ ービスを一体的に利用できるような調整が必要となります。    ◆訪問型、通所型サービスA指定事業所数(令和2年12月時点)   市内 市外 訪問型サービスA(箇所) 17 41 通所型サービスA(箇所) 21 23 ?  ◆事業内容 事業 内容 訪問型サービス 対象者に対し、掃除、洗濯等の日常生活上の支援を提供 @訪問介護相当サービス(介護予防訪問介護に相当するサービス) A訪問型サービスA*(緩和した基準による生活援助等) 通所型サービス 対象者に対し、機能訓練や通いの場*等日常生活上の支援を提供 @通所介護相当サービス(介護予防通所介護に相当するサービス) A通所型サービスA*(緩和した基準によるミニデイや運動等) 介護予防ケアマネ ジメント 対象者に対し、総合事業によるサービス等が適切に提供できるよう ケアマネジメント*を実施   A 生活支援コーディネーター、協議体の設置  住民相互の援助活動による地域福祉力の向上をめざし、地域づくりの観点から平成27年度か ら第1層の生活支援コーディネーター*(市域で、不足するサービスや担い手の創出・養成、活 動する場の確保を行う者。次頁の図参照)を社会福祉協議会*に1名配置し、住民主体の通いの 場やボランティア*等の生活支援の担い手の養成・発掘等の地域資源の把握やネットワークの構 築を行っています。  また、生活支援コーディネーターと各地域の介護予防・生活支援サービスの提供主体等によ る情報共有や連携強化の場となる協議体を平成28年度に設置し、多様な主体が効率的・効果的 にサービスが提供できるような体制整備のほか、生活支援サービスの担い手の養成のために生 活援助サービス従事者研修を行っています。生活援助サービス従事者研修については、受講者 の減少がみられることから、今後周知方法を検討します。  令和2年度から、第2層生活支援コーディネーターを各生活圏域に1名配置し、より地域の 実情に応じた支援ができるよう関係機関の連携を強化します。また、必要なサービスの開発に ついて地域での協議を行うため、令和3年度に第2層の協議体設置に向けた取組みを推進しま す。  ◆生活支援コーディネーターの配置状況    平成30年度 令和元年度 令和2年度   (実績) (実績) (実績) 生活支援コーディネーター 配置数(人) 1 1 4  ◆生活援助サービス従事者研修の実施状況    平成30年度 令和元年度 令和2年度   (実績) (実績) (見込み) 生活援助サービス従事者研修 修了者(人) 57 16 15  ◆生活援助サービスの実施状況    平成30年度 令和元年度 令和2年度   (実績) (実績) (見込み) 買い物支援実施箇所(箇所) 4地区5箇所 11地区16箇所 11地区16箇所   ?    ◆生活支援・介護予防の体制整備におけるコーディネーター・協議体の役割 ? 4 認知症対策の推進 (1)認知症高齢者支援策の推進   @ 認知症に対する正しい理解の普及と支援体制の構築  認知症高齢者の尊厳が傷つけられることなく、認知症に対する正しい理解や知識が社会全体 に広まるように、市民や事業者に対して、パンフレットの配布、認知症に関する研修会や講演 会の開催、介護予防教室等、様々な機会を提供し、認知症に関する知識の普及啓発や、認知症 の方本人が自らの言葉で語り、認知症になっても希望を持って前を向いて暮らすことができて いる姿等を積極的に発信していくことができるよう、本人・家族発信支援を推進します。  また、認知症キャラバンメイト*による認知症サポーター*養成講座の開催により、令和元年 度末で4,914人、人口の5.7%をサポーターとして養成しており、目標であった人口の5%の養 成を達成しました。今後は、令和7(2025)年度に人口の10%を養成することを目標に、認知 症キャラバンメイトによる認知症サポーター養成講座を様々な年齢層を対象に開催し、サポー ター養成講座受講者が地域で活躍できる体制(チームオレンジ*)の構築に努めます。  さらに、大阪府と包括連携協定の締結をしている企業に対し、サポーター養成講座の開催と 徘徊高齢者等見守りネットワークへの協力機関加入を引き続き呼びかけていきます。  加えて、認知症高齢者や家族の交流を図るための認知症カフェ*の開設や、市と地域の企業・ 商店等の協力機関等による徘徊高齢者等見守りネットワークの整備を推進していきます。    ◆認知症サポーター養成講座実績    平成30年度 令和元年度 令和2年度   (実績) (実績) (見込み) 実施回数(回) 15 15 10 受講者数(人) 539 495 350    ※令和2年度は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、実績が減少しています。?  ◆認知症カフェ(オレンジカフェ)実績    平成30年度 令和元年度 令和2年度   (実績) (実績) (見込み) 実施回数(回)  37 36 17 延参加者数(人)  909 901 160  ※令和2年度は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、実績が減少しています。    ◆徘徊高齢者等見守りネットワーク実績    平成30年度 令和元年度 令和2年度   (実績) (実績) (見込み) 利用回数(回) 3 3 3 事前登録者数(人) 137 138 180   A 認知症の早期発見・早期対応  地域包括支援センター*を地域の総合相談・権利擁護の中心として位置づけ、市民への認知症 の啓発活動を行うとともに大阪府の認知症疾患医療センター、保健所、医療機関等の関係機関 との連携や、困難事例への対応を行うなど相談体制の充実を図り、認知症の早期発見・早期対 応に努めます。  また、認知症初期集中支援チーム*を配置することにより、複数の専門職が認知症の方やその 家族を訪問・観察・評価を行った上で、包括的・集中的に初期の支援を実施し自立生活のサポ ートを行います。さらに、認知症初期集中支援チームと連携した認知症地域支援推進員*が、地 域の実情に応じて、医療機関、介護サービス事業所や地域の支援機関をつなぐ連携支援を行う ことにより、認知症の方やその家族ができる限り住み慣れた良い環境で暮らし続けられること をめざします。  加えて、認知症初期集中支援チームや認知症ケアパス*の紹介を多職種に対して行い、認知症 に対する相談体制の充実と認知症の早期発見・早期対応に努めます。   ◆認知症初期集中支援チーム*と認知症地域支援推進員*について ●認知症ケアパスの普及  認知症*を発症したときから、生活する上で様々な支障が出てくる中、その進行状況に合わせ、 いつ、どこで、どのような医療・介護サービスを受ければよいかを標準的に示す「認知症ケア パス*」を適宜更新し、冊子の作成や市ホームページへの掲載等普及に努めます。  ◆標準的な認知症ケアパスの概念図 B 認知症の予防  「認知症*になるのを遅らせる」「認知症になっても進行を緩やかにする」という意味での認 知症の「予防」のため、運動不足の改善、生活習慣病の予防、社会参加による社会的孤立の解 消や役割の保持等が認知症予防に資する可能性が示唆されていることから、通いの場*等での認 知症予防の取組みを推進します。   C 若年性認知症への対応  若年性認知症*の方が、発症初期の段階からその症状・社会的立場や生活環境等の特徴を踏ま え、認知機能が低下してもできることを可能な限り続けながら適切な支援を受けられるよう、 若年性認知症に関する啓発を継続して行うとともに、若年性認知症の方の相談支援、関係者の 連携のための体制整備等の支援を検討していきます。   D 介護者家族への支援  介護者の精神的負担の軽減を図るため、介護に関する講座や介護者同士の交流の場(認知症 カフェ*等)を設け、介護者の負担や情報を共有できる場の充実に取り組みます。  また、令和3年1月から「改正育児・介護休業法」が施行されたことを踏まえ、介護休暇・ 介護休業等に関する情報提供を行うなど、介護者家族にとって有益な情報提供を行います。   ? 5 地域包括支援センターの機能強化 (1)地域包括支援センターの役割強化   @ 地域包括支援センターの体制強化  介護予防ケアマネジメントをはじめ、総合相談支援業務、権利擁護業務、ケアマネジメント 支援等の強化を図るため、主任介護支援専門員(ケアマネジャー)*・社会福祉士・保健師等の 3職種が専門性を十分に生かすための人員の適正配置を進めるほか、多職種との連携強化や、 職員のスキルアップのための研修等を支援します。     ア)介護予防ケアマネジメント業務  要支援認定者等に対して、介護予防及び日常生活支援を目的として、心身の状況、置かれて いる環境その他の状況に応じて、選択に基づき、予防サービス事業、生活支援サービス事業そ の他の適切な事業が包括的かつ効率的に提供されるよう必要な援助を行います。     ?   イ)総合相談支援業務  地域住民が、高齢になっても住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう、また介護 者家族の介護離職を防止するために、対象者の心身の状況や必要な支援等を把握し、適切な保 健、医療、福祉サービスの利用につなげるなどの支援を行います。さらに、自ら相談や支援に つながることができない高齢者に対し、市の関係各課や地域の関係者とのネットワークを活用 し、健康や安全で安心な生活が維持できるような取組みを推進します。平成30年度から開始し ている拡大地域ケア会議*により、相談から支援までが従来に比べてスムーズとなったことから、 今後も取組みを推進し、地域住民への相談支援体制の充実に努めます。     ◆総合相談件数の実績       平成30年度 令和元年度 令和2年度      (実績) (実績) (見込み) 実人数(人) 1,945 1,984 2,000 延べ件数(件) 4,020 3,946 4,000 主な 相談内容 介護保険関係(件) 2,753 2,701 2,800 福祉サービス関係(件) 275 338 340 保健・医療関係(件) 1,436 1,564 1,900 認知症関係(件) 1,030 920 1,030     ウ)包括的・継続的ケアマネジメント支援業務  介護支援専門員(ケアマネジャー)*に対して、介護保険等のサービスだけでなく、地域のイ ンフォーマルサービス*を取り入れた介護サービス計画(ケアプラン)*が作成できるよう、地 域の社会資源等の周知啓発に努めます。また支援困難事例等への対応力を高めるための気づき を促し、助言・指導を実施します。さらに、地域の介護支援専門員(ケアマネジャー)のネッ トワークづくりや医療との連携等により介護支援専門員(ケアマネジャー)の資質の向上に努 め、高齢者の権利や尊厳に配慮した、また個別の状態に応じた包括的・継続的ケアマネジメン ト*をするための後方支援を行います。      ◆ケアマネジメント支援の実績    平成30年度 令和元年度 令和2年度   (実績) (実績) (見込み) 支援件数(件)  375  616  670   ?   エ)権利擁護業務  本市では高齢者に対する虐待は減少傾向ですが、全国的には高齢者に対する虐待等、高齢者 の権利が脅かされる事態が増加しています。また、今後単身高齢者や身寄りのない高齢者が増 加することから、引き続き地域住民や事業者に対し、高齢者の権利擁護に関する正しい理解を 広めるための普及啓発を行います。権利擁護の観点から対応が必要な場合は、高齢者に対する 虐待防止や早期発見・早期対応に関する取組み、日常生活自立支援事業*、成年後見制度*等権 利擁護に関するサービスとの調整を行います。     ◆権利擁護業務の相談実績    平成30年度 令和元年度 令和2年度   (実績) (実績) (見込み) 虐待関係(件)  123  103 80 日常生活自立支援事業関係(件)  60  79  90 成年後見市長申立関係(件)  40  76  80 消費者被害関係(件)  6  4  20      ◆参考:日常生活自立支援事業(貝塚市社会福祉協議会)    平成30年度 令和元年度 令和2年度   (実績) (実績) (見込み) 利用者数(人)  31  32  29 うち新規利用者数(人)  9  5  4 A 地域包括支援センターの周知度向上と情報の公表  地域包括支援センター*の活動実績は増加していますが、ニーズ調査の結果から、地域包括支 援センターを知らない方はいまだ全体の1割程度みられます。高齢者にかかわらず地域住民全 体に対して、今後も継続して広報紙やパンフレット、ホームページ等を活用した周知、紹介等 により地域包括支援センターの周知度の向上を図るとともに、様々な事業を通じて民生委員・ 児童委員や地区組織、関係機関等と連携し、取組みや事業への理解、協力が得られるよう努め ます。  また、地域包括支援センターにおいて、生活支援や介護予防、介護と仕事の両立に関する情 報収集と情報発信が円滑に実施できるよう支援します。   B 市と地域包括支援センターの連携強化  現在、浜手・中央・山手の各圏域に1箇所ずつ地域包括支援センターを設置しています。地 域包括支援センター運営委員会で承認を得た事業者に委託し、各地域包括支援センターは毎年、 本市が定める「貝恷s地域包括支援センター運営方針」に沿った事業計画を策定し、事業運営 を行っています。毎月、市と地域包括支援センター間で連絡会を開催し、市が把握している情 報の提供や地域課題の把握、災害や感染症対策についての情報共有、総合調整等、各センター 間の役割分担と連携を図っています。また、圏域ごとに把握している課題や今後の災害や感染 症対策について、各地域包括支援センターの事業計画に盛り込み、事業運営に反映させていま す。  今後も、時代に即した「貝恷s地域包括支援センター運営方針」と運営方針に沿った事業計 画を策定し、事業運営を行っていきます。 C 地域包括支援センターの運営に対する点検と評価  PDCAサイクルの充実による効果的な運営の継続という観点から、地域包括支援センター* の事業・運営について、運営委員会による定期的な点検と、市による評価及び地域包括支援セ ンターの自己評価を行い、事業評価を通じた機能強化を図ります。   ? (2)地域ケア会議の開催とケアマネジメント力の向上   @ 地域ケアに関する会議の推進  個別課題の解決や、ネットワークの構築、地域課題の発見、地域づくり・資源開発、政策形 成等の機能を有する地域ケア会議の重層的な設置に努め、計画の実現性の確保と、地域の実情 に応じた地域包括ケアシステムの実現につながるよう、地域包括支援センター*や関係機関等と 連携を図りながら、開催を行う必要があります。  個別ケースを多職種で検討することにより、高齢者の自立支援に資するケアマネジメント*支 援を行うとともに、個別支援の取組みを積み重ねることにより、高齢者を支援する地域のネッ トワークの構築や、個別支援を地域課題の把握につなげていく取組み(地域ケア会議)を推進 します。さらに、自立支援・重度化防止につながるサービス利用を促進するため、介護支援専 門員(ケアマネジャー*)等への情報提供や、リハビリテーション*専門職を招いて助言を受け られる機会の提供に取り組んでいきます。  加えて、本市独自で、各町会・自治会単位で、民生委員・児童委員、地域包括支援センター、 コミュニティソーシャルワーカー等をメンバーとした「拡大地域ケア会議*」を開催し、高齢者 に関することだけでなく、子どもや障害者等も含めた市民の課題を、地域で生活する市民の声 により拾い上げる体制づくりを進めています。町会・自治会レベルで把握した個別ケース(困 難事例等)の情報を拡大地域ケア会議に集約することにより、迅速に個別ケースの検討と地域 課題の把握を行います。  上記の取組みにあたっては、本計画の上位計画である第3次地域福祉計画*における「支えあ いのまちづくり」の理念に基づき、高齢者の支援を対象とした地域ケア会議の仕組みを、子ど もから高齢者まで幅広い住民を対象とした拡大地域ケア会議等につなぎ、すべての住民が身近 に相談でき必要な支援が受けられる体制づくりを進めます。     ◆地域連携活動          平成30年度 (実績) 令和元年度 (実績) 令和2年度 (見込み) 令和3年度 (見込み) 令和4年度 (見込み) 令和5年度 (見込み) 拡大地域ケア会議・ 地域ケア会議(個別)(回) 120 213 240 260 290 320 拡大地域ケア会議・ 地域ケア会議(地域)(回) 60 81 110 120 130 140 地域団体との情報交換(回) 348 256 80 90 180 180 ? ◆「地域ケア会議*」を活用した個別課題解決から地域包括ケアシステム実現までのイメージ         ◆「拡大地域ケア会議*」概要図 ? 6 介護保険事業計画と地域福祉 (1)地域支援体制の充実   ◆『貝恷sの地域包括ケアシステムと地域福祉』の概念 ? ◆地域における個別の支援と地域の福祉活動の運営のためのネットワーク   @ 情報の共有化  要支援者への支援では、フォーマルサービス*やインフォーマルサービス*が活用されます。  効率的で効果的な支援を行うためには、個人情報の共有が課題となっています。拡大地域ケ ア会議*・地域ケア会議*においては、個人情報の守秘義務について会議参加者と確認し、その 保護に十分留意し、支援に役立てるよう関係者間で情報共有を行っています。   A 高齢者セーフティネットの構築  ひとり暮らしや夫婦のみの高齢者世帯が地域の中で孤立することなく、安心して暮らし続け られるよう、地域包括支援センター*と社会福祉協議会*や警察・消防署等の主要な関係機関と 連携し緊急事態に備える必要があります。例えば、持病等緊急時に必要な情報を確保するため、 緊急時連絡票を配付し、地域包括支援センターや民生委員・児童委員、町会・自治会、老人ク ラブ、地域のボランティア*団体等と連携を図ることなどが考えられます。  支援を必要とする高齢者の状況把握や安否確認等を実施し、地域における高齢者セーフティ ネット*の構築を推進します。   B ボランティアの養成と活動支援  要支援者の生活問題については、多様なニーズを解決するため、個々のニーズに対応できる ボランティアの養成が重要になります。特に高齢者の生活課題は、「声かけ」「安否確認」とい ったものから高度な知識・技術が必要な認知症高齢者の対応があげられます。  社会福祉協議会は、地域の生活課題の発見、そのためのボランティア活動内容の開発や人材 育成等の期待に応え、住民が主体的に取り組むべきボランティア活動を啓発し、情報発信等の 取組みを強化することや、ボランティア活動等に参加する方を増やすよう、人材発掘・養成に 取り組みます。市はこの取組みを支援します。  また、社会福祉協議会は、避難困難者となりやすい高齢者を支援する災害ボランティアの養 成についても取り組みます。   C 福祉教育と福祉に対する意識の醸成の推進  制度改正があった際や、市民からのリクエストがある場合等、コスモス市民講座*によりニー ズに応じた新しい情報を提供し、介護保険制度の知識普及や高齢者福祉についての市民意識の 高揚を図ることにより、市政への理解をさらに深めてもらえるように取り組んでいきます。  また、公立認定こども園や公立幼稚園において、地域の高齢者を行事に招待するなど、子ど もと高齢者との世代間交流を促進し、福祉に対する意識の醸成を図るとともに、学校教育にお いても、総合的な学習の時間等で地域を基盤とした多様な福祉学習、体験学習に取り組み、福 祉教育の充実を図ります。    D 小地域ネットワーク活動の展開と活動内容の拡大  小地域ネットワーク*活動は、地区福祉委員会の小地域福祉活動として展開してきました。そ れぞれの小地域ネットワークは、地区内の課題に対して地域住民、ボランティア*、地区福祉委 員、民生委員・児童委員等のネットワークメンバーと専門職、関係機関との連携で成り立って おり、あいさつ運動やいきいきサロン、ふれあい喫茶等の地域の活動を通じて、日常的な交流 が広がっています。地域包括支援センター*や事業所と地域が連携した取組みも増えてきていま す。一方で、担い手の高齢化・固定化等の課題があり、新たな人材の確保に向けた取組みが必 要です。  今後は、活動を継続的かつ効果的に進められるよう、新たな担い手の発掘と育成に努めるほ か、支援が必要な方に対して、地域の中で住民と専門機関等が連携した支え合いの取組みを展 開していきます。  また、小地域ネットワーク活動を幅広い支え合いの活動として展開していくためにも、地区 福祉委員会等への支援を強化していく必要があります。   E 社会福祉協議会への支援  高齢者や障害者をはじめすべての住民が安心して暮らせる福祉のまちづくりを推進するため に、住民主体・協働を理念にその中核となる社会福祉協議会*を支援します。  また、地域の福祉ニーズを迅速、的確に把握し対応できるよう、密接な連携を図っていきま す。  ? 7 高齢者が利用しやすい環境整備 (1)高齢者が生活しやすいまちづくりの推進   @ 高齢者に配慮したまちづくり  「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律*」をはじめ、大阪府の「福祉のま ちづくり条例」等に基づき、鉄道等の駅舎や駅前広場、道路、公園施設等の公共公益施設の整 備を促進し、民間施設の整備について、引き続き指導等を行っていきます。  また、国の「移動等円滑化の促進に関する基本方針」(平成23年3月改正)に基づき、バリ アフリー化の対象となるJR東貝塚駅については、高齢者や障害者等、駅利用者の利便性向上 のため、令和5年度中の完了をめざし、西日本旅客鉄道株式会社が事業に着手しております。 これにあわせて本市が、駅前広場・アクセス道路の整備や周辺道路のバリアフリー化を図り、 高齢者が移動しやすい環境づくりを進めていきます。   A 地域の需要に見合った公共交通網の整備  高齢者の免許返納を呼びかける声が大きくなる中、本市では移動手段のないことが外出の妨 げとなりうる地域もあり、高齢者が移動しやすい公共交通網の整備を進めています。現在、水 間鉄道株式会社が本市の補助を受けつつ「は〜もに〜ばす」を運行しており、地域によって異 なる高齢者の移動に関する課題や需要に対応するべく、令和2年4月に運行ルート及び運行ダ イヤの見直しを行いましたが、今後も利用者の意見を聞きながら、地域の実情に即した運送サ ービスの向上を図ります。   B 高齢者の住まいの整備  高齢者が生活しやすいまちづくりの推進のため、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け 住宅*等の建築協議の際、医療と介護との連携等の確認を行うことや、大阪府が実施する大阪 あんしん賃貸支援事業を活用して、高齢者や障害者、子育て世帯等が安心して賃貸住宅に入居 するための情報を収集しています。  今後も引き続き、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅等の情報提供を関係課と連 携して行います。      ●軽費老人ホーム(ケアハウス)  入所者の生活相談や、入浴、食事の提供や緊急時の対応を行う施設です。入所者が介護を必 要とする状態になった場合は、訪問介護等の介護保険サービスを利用し、できる限り自立した 生活が送れるように配慮します。すでに、2箇所(定員90人)を整備しており、現在の整備 数を維持していきます。     ●養護老人ホーム  自立した日常生活を営み、社会的活動に参加するため必要な指導及び訓練やその他援助を行 う施設です。すでに1箇所(定員130人)市内に整備しており、現在の整備数を維持していき ます。 (2)高齢者の安全・安心の確保   @ 防火・防災・感染症対策の推進  高齢化社会の進展を見据え、ひとり暮らしの高齢者に対する住宅防火診断や施設入所高齢者 を対象にした防火訓練、講習会を実施し、防火意識の普及啓発に努めます。  災害時に自力で避難することが困難な高齢者等を対象として安否確認や避難支援を行う「災 害時要援護者避難支援制度(災害時地域たすけあい制度)」を実施し、登録者全員の個別支援計 画作成をめざし、地域の協力が得られるよう取組みをさらに進めます。また、避難行動要支援 者を含めた防災訓練や老人クラブ等に対する防災講座の実施を通じて防災意識の高揚を図りま す。  感染予防対策については、新型コロナウイルス感染症の流行を踏まえ、「貝恷s新型インフル エンザ等対策行動計画」に基づく感染拡大防止策の周知啓発、公共施設や介護サービス提供事 業所、高齢者が集う場等での感染症対策の周知を行います。また、感染症発生時の対応につい ては、大阪府や保健所、関連機関等と連携して行います。   A 防犯対策  市、警察、貝恷s防犯協議会、貝恷s事業所防犯協議会、事業者、市民が一体となって、引 き続き地域に密着した安全なまちづくり事業を推進します。  また、警察や防犯協議会等の関係機関や防犯ボランティア*と連携を図りながら、地域安全パ トロールの充実やメールによる携帯電話等への地域安全情報の発信等、犯罪のない「安全なま ち・貝悒の実現をめざして、積極的な取組みを展開し、地域ぐるみでの防犯意識・体制の充実 に向け、各種団体・個人が参画する地域安全センターの活性化を推進します。   B 消費者啓発  高齢者を狙った悪徳商法等による消費者被害を防止するため、地域や団体の取組みへの相談 員の派遣、市内各所のパンフレットスタンドや市民が集まる商業施設等において啓発リーフレ ットを配架するなど、市の消費生活センターへの案内や日常生活自立支援事業*・成年後見制度* の周知、利用促進に努めます。また、市の消費生活センターと連携して多重債務をはじめとす る生活の相談にも対応していきます。 1