第8章 介護保険事業費と保険料の設定について 1 介護保険の総事業費等の見込み  令和3年度から令和5年度の給付実績を基本として、1回または1日あたりの給付額を算出 し、それらをもとにサービス整備を見込んで、令和6年度から令和8年度、令和12年度、令和 17年度、令和22(2040)年度の給付費を推計しています。 (1)介護給付費の推計      ※端数処理により合計が一致しない場合があります。? (2)介護予防給付費の推計      ※端数処理により合計が一致しない場合があります。   (3)総給付費の推計      ※端数処理により合計が一致しない場合があります。   ? (4)標準給付費見込額  令和6年度〜令和8年度標準給付費見込額  = 総給付費 + 特定入所者介護サービス費等給付額  + 高額介護サービス費等給付額 + 高額医療合算介護サービス費等給付額   + 算定対象審査支払手数料  ※端数処理により合計が一致しない場合があります。    ※特定入所者介護サービス費等給付額 低所得の方の介護保険施設*等の利用が困難とならないように、食費と居住費の一定額以上が保険給付される制度 です。令和3年度から令和5年度の実績等を勘案して、給付額を見込みました。    ※高額介護サービス費等給付額   介護サービスを利用して、支払った自己負担額が一定額を超えた場合に支給されます。  令和3年度から令和5年度の実績及び高額医療合算介護サービス費等を勘案して、給付額を見込みました。    ※算定対象審査支払手数料  介護報酬の審査及び支払いに関する事務を委託している国保連合会*に対して、支払う手数料です。  令和3年度から令和5年度の実績等を勘案して、費用を見込みました。   ? (5)地域支援事業の対象者と費用額の考え方  地域支援事業の財源(地域支援事業交付金)は、保険給付費の一定率を上限に介護保険料と 公費で構成されます。以下は、介護保険料(第1号被保険者*及び第2号被保険者*で表記)と 公費(都道府県、国、市町村)における財源構成割合と地域支援事業における上限額の割合で す。  第1号被保険者の負担する割合は23%となっています。     地域支援事業     ◆介護予防・日常生活支援総合事業    ◆包括的支援事業+任意事業     (6)地域支援事業費   ※端数処理により合計が一致しない場合があります。  参考:介護予防・日常生活支援総合事業 ? 2 保険料設定の基本的な考え方 (1)第1号被保険者負担割合について  介護保険事業に係る給付費は、サービス利用時の利用者負担を除いて、保険料と公費が50% ずつを占めています。第9期計画では、第8期計画に引き続き、標準給付費見込額と地域支援 事業費の合計額の23%を第1号被保険者*、27%を第2号被保険者*が負担することになってい ます。  また、公費における負担割合は、基本的には国が25%(うち、調整交付金として5%)、府が 12.5%、市が12.5%となっていますが、府が指定権限を有する施設分の給付については、国が 20%(うち調整交付金として5%)、府が17.5%、市が12.5%となります。     ◆第9期計画における介護保険の財源    ※居宅サービスのみこの割合が適用されます。  ※調整交付金 国が、市町村間の介護保険財政格差を是正するために、以下を考慮して交付するもので、調整交付金の交付割合 の変動にともない、第1号被保険者の保険料の負担割合(23%)も変動します。    @ 後期高齢者*の割合(後期高齢者加入割合補正係数として保険料算出時に加味する)    A 高齢者の所得分布の状況(所得段階別加入割合補正係数として保険料算出時に加味する)    B 災害時の保険料減免等の特殊な場合 ? (2)介護保険制度改正における費用負担等に関する事項について  第9期計画においては、低所得者対策、制度の持続性及び公平性の観点などから、以下の制 度改正が行われます。   @ 1号保険料に関する見直し及び係数について  介護保険制度の持続可能性を確保する観点から、今後の介護給付費の増加を見据え、1号被 保険者*間での所得再分配機能を強化する(標準段階の9段階から13段階への多段階化、高所 得者の標準乗率の引上げ、低所得者の標準乗率の引下げ等)ことで、低所得者の保険料上昇の 抑制(低所得者の最終乗率の引下げ)を図ります。   ? 国の定める標準乗率、公費軽減割合等  上記を踏まえ、国の定める標準段階数、標準乗率、公費軽減割合は以下のとおりとされます。   段階数 1段階 2段階 3段階 … 9段階 10段階 11段階 12段階 13段階 標準乗率 0.455 0.685 0.69 1.7 1.9 2.1 2.3 2.4 公費軽減割合 0.17 0.2 0.005 - - - - - 最終乗率 0.285 0.485 0.685 1.7 1.9 2.1 2.3 2.4   ? 基準所得金額の見直し  第9期計画期間における第1号保険料の基準所得金額については、第1号被保険者の所得分 布調査の結果を踏まえ、以下のとおりとされます。また、第1号保険料の在り方を見直すこと に伴い、介護給付費財政調整交付金の所得段階及び所得段階別加入割合補正係数についても見 直しを行い、保険者ごとの所得分布状況に係る調整機能が強化されます。 変更前   変更後 第7段階 市町村民税課税かつ合計所得金額 が120万円以上210万円未満 第7段階 市町村民税課税かつ合計所得金額 が120万円以上210万円未満 第8段階 市町村民税課税かつ合計所得金額 が210万円以上320万円未満 第8段階 市町村民税課税かつ合計所得金額 が210万円以上320万円未満 第9段階 市町村民税課税かつ合計所得金額 が320万円以上 第9段階 市町村民税課税かつ合計所得金額 が320万円以上420万円未満 第10段階 市町村民税課税かつ合計所得金額 が420万円以上520万円未満 第11段階 市町村民税課税かつ合計所得金額 が520万円以上620万円未満 第12段階 市町村民税課税かつ合計所得金額 が620万円以上720万円未満 第13段階 市町村民税課税かつ合計所得金額 が720万円以上 ? A 介護報酬の改定 ? 令和6年度介護報酬改定に係る対応について  令和6年度予算案において令和6年度介護報酬改定率は+1.59%とされました。今回の改定 においては、介護職員の処遇改善分として+0.98%分が、介護職員以外の処遇改善を実現でき る水準として+0.61%が措置されます。このうち、介護職員の処遇改善分が令和6年6月施行 となることを踏まえ、市町村の給付費見込み等においては、+1.54%((1.59×33+0.61×2) ÷35)を反映することとされます。   ? 第9期計画期間に向けた制度改正に係る対応について  多床室に関して、一部の施設(介護老人保健施設*においては「その他型」及び「療養型」、 介護医療院*においては「U型」)については、新たに室料負担(月額8千円相当)が導入され ることとなりました。当該見直しによって、室料相当の給付費(見える化システム上の「総給 付費」)が減少する一方で、対象となる入所者のうち、利用者負担第1〜第3段階の者に対する 「特定入所者介護サービス費等給付額」が増加します。  また、近年の光熱水費の高騰に対応し、在宅で生活する者との負担の均衡を図る観点から、 基準費用額が増額されることとなりました。その際、従来から補足給付における負担限度額を 0円としている利用者負担第1段階の多床室利用者については、その利用者負担が増えないよ うにする(負担限度額を0円で据え置く)ことに伴い、利用者負担第1段階の多床室利用者に 対する「特定入所者介護サービス費等給付額」が増加します。  なお、上記の影響は改定率に織り込まれています。  ? (3)第9期計画における保険料算定 @ 保険料算定の手順  第1号被保険者*の負担割合(23%)、予定保険料収納率(99%)、所得段階別加入割合補正後 被保険者数、調整交付金、準備基金取崩額等の影響を算定した結果、第9期計画における第1 号被保険者の保険料基準月額は6,477円になります。  保険料は以下の手順で設定しています。    標準給付費・地域支援事業費見込み額(令和6年度〜令和8年度): 24,722,213 千円-@        第1号被保険者負担分相当額(@×第1号被保険者負担割合23%)(令和6年度〜令和8年度)                                   :5,686,109 千円    第1号被保険者負担分相当額:                    5,686,109 千円  +)調整交付金相当額:                       1,212,511 千円  −)調整交付金見込額:                       1,413,458 千円  −)準備基金取崩額:                         458,000 千円  −)保険者機能強化推進交付金等*の交付見込額:             16,864 千円   =)保険料収納必要額: 5,010,298 千円-A      保険料収納必要額を予定保険料収納率99.00%で補正した値(A÷99.00%):5,060,907 千 円      ÷)      所得段階別加入割合補正後被保険者数(令和6年度〜令和8年度): 65,115人    =) 基準保険料額(年額): 77,724 円 基準保険料額(月額): 6,477 円 ※端数処理を行っているため、算出結果が一致しない場合があります。 ※上記標準年額は算定額です。確定額は次頁の表中に記載しています。 ? A 第1号被保険者の所得段階別保険料年額  所得段階別の第1号被保険者*の年間の介護保険料は以下のとおりです。国の方針や各所得段 階人数等を勘案した結果、第9期計画の基準額及び、各段階の保険料(年額)は以下のとおり となります。   段階  要件 負担割合 年額保険料 第1段階 生活保護を受給している方 本人及び世帯全員が市民税非課税で、老齢福祉年金を受 給している方 本人及び世帯全員が市民税非課税で、本人の前年の課税 年金収入額+合計所得金額が80万円以下の方 基準額 ×0.285 (0.455) 22,200円 (35,400円) 第2段階 本人及び世帯全員が市民税非課税で、本人の前年の課税 年金収入額+合計所得金額が80万円を超え120万円以下 の方 基準額 ×0.485 (0.685) 37,700円 (53,200円) 第3段階 本人及び世帯全員が市民税非課税で、第1段階、第2段 階に該当しない方 基準額 ×0.685 (0.690) 53,200円 (53,600円) 第4段階 本人が市民税非課税で、同じ世帯に市民税課税者がいる 方のうち、本人の前年の課税年金収入額+合計所得金額 が80万円以下の方 基準額 ×0.90 70,000円 第5段階 本人が市民税非課税で、同じ世帯に市民税課税者がいる 方のうち、本人の前年の課税年金収入額+合計所得金額 が80万円を超える方 基準額 ×1.00 77,700円 第6段階 本人が市民税課税で、本人の前年の合計所得金額が120 万円未満の方 基準額 ×1.20 93,300円 第7段階 本人が市民税課税で、本人の前年の合計所得金額が120 万円以上210万円未満の方 基準額 ×1.30 101,000円 第8段階 本人が市民税課税で、本人の前年の合計所得金額が210 万円以上320万円未満の方 基準額 ×1.50 116,600円 第9段階 本人が市民税課税で、本人の前年の合計所得金額が320 万円以上420万円未満の方 基準額 ×1.70 132,100円 第10段階 本人が市民税課税で、本人の前年の合計所得金額が420 万円以上520万円未満の方 基準額 ×1.90 147,700円 第11段階 本人が市民税課税で、本人の前年の合計所得金額が520 万円以上620万円未満の方 基準額 ×2.10 163,200円 第12段階 本人が市民税課税で、本人の前年の合計所得金額が620 万円以上720万円未満の方 基準額 ×2.30 178,800円 第13段階 本人が市民税課税で、本人の前年の合計所得金額が720 万円以上の方 基準額 ×2.40 186,500円   ※第1段階から第3段階は低所得者向け保険料軽減措置適用後の額です。なお、( )内が保険料軽減措置適用前    の率及び額です。           1