第6章 高齢になってもひととかかわり、 地域とかかわるまちづくり 1 介護サービスの基盤整備、質の向上   (1)介護サービスの充実  高齢化の進行に伴い、要支援・要介護認定者も増加し介護サービス利用者の増加が見込まれ ます。加えて、24時間対応や医療ニーズの高い要介護者、認知症高齢者等の増加がさらに見込 まれるなか、多様なニーズを的確に把握することが必要です。介護保険制度を維持しながらサ ービスをさらに充実させるために、中長期的な視点で介護サービスの基盤整備を進めます。 (2)地域密着型サービスの充実  要介護者の在宅生活を支えるため、地域密着型サービス*のさらなる普及を図ります。特に重 度の要介護者、認知症高齢者、単身高齢者等の在宅生活を支えるサービスとして重要となる小 規模多機能型居宅介護*や、令和5年度より提供を開始した定期巡回・随時対応型訪問介護看護 *の普及にあたり、利用者をはじめ地域の住民やサービス事業所等に対して、サービス内容の理 解を深めるための周知を行い、利用促進に努めます。  また、地域密着型サービス運営委員会の意見を反映させ、地域密着型サービス事業所と連携 を強化するとともに、事業所が実施する自己評価、外部評価を、利用者支援の観点を踏まえ、 結果を公表することを支援します。   ? (3)情報提供体制の充実  利用者本位のサービス提供のために、多様な媒体・機会を活用して情報提供を行います。本 市や地域包括支援センター*における各種広報紙やパンフレットの配布、ホームページ等により 制度の周知を図るとともに、本市の生涯学習講座(コスモス市民講座*)等による町会・自治会、 老人クラブ等地域の団体を対象とした出前講座に積極的に取り組みます。  また、「広報かいづか」については、点字広報・声の広報の作成や、写真、挿絵等を挿入する など、高齢者や障害者等に配慮した紙面づくりにより、わかりやすい情報提供に努めます。  ホームページにおいても、利用者自らが選択できるよう事業者情報等を公開し、事業者に対 してもホームページの充実や検索サイトへの登録等、積極的な情報提供の促進を図ります。 (4)相談支援体制の充実  高齢者が必要なサービスを安心して利用できるよう、相談支援体制の充実を図ります。民生 委員・児童委員、地域包括支援センター、コミュニティソーシャルワーカー*等が連携・協力し ながら相談者の実情に応じた相談支援を行います。  また、引き続き各町会・自治会単位で、民生委員・児童委員、地域包括支援センター、コミ ュニティソーシャルワーカー等をメンバーとした「拡大地域ケア会議*」を開催し、潜在化して いる福祉ニーズの拾い上げと、個別ケースの問題解決に向けての整理を継続して進めます。全 町会での実施をめざし、地域での見守り体制の強化と、支援が必要と思われる方へのアプロー チを地域と行政が協働して行います。 (5)苦情処理体制の充実  介護保険に関する苦情については、市がその第一次的な受付窓口としての機能を果たしたう えで、事業者に対し事実確認を行います。事業者に指定基準違反の疑いがある場合や他の保険 者との広域的共通事案に該当するものは、大阪府及び大阪府国保連合会*と連携して処理を行う ものとし、その体制の充実に努めます。 ? (6)介護サービス相談員派遣事業  介護サービス相談員が、介護サービスを提供している施設等に訪問し、利用者の疑問や不満、 不安を聞き取り、改善すべき内容を介護サービス提供事業者に伝え、問題の改善につながるよ う両者の橋渡しをしながら、介護サービスの質の向上を図ります。  研修への参加による介護サービス相談員のスキルアップや、本市と介護サービス相談員との 連絡会により、情報共有も適宜行っていきます。また、介護サービス相談員活動の周知を図り 派遣先の拡充に努めます。 (7)サービス事業者への支援・助言  高齢者が適切で質の高いサービスを利用できるよう、サービス事業者に対する支援・助言を 行います。事業者連絡会*や各部会連絡会(居宅介護支援事業所部会、訪問介護部会、通所介護 部会、認知症対応型入居者生活介護部会)の開催や、事業者自らが行う自己評価システムの普 及・促進など、サービスの質の向上に向けて、事業者が主体的に研修や事例研究、情報交換等 を行えるよう促進します。 (8)介護支援専門員(ケアマネジャー)への支援  地域包括支援センター*では、ケアマネジメント*の質の向上に向けて、支援困難事例の対応 への助言だけでなく、支援困難事例検討等ケアマネジャーに対する研修や、ケアマネジャー同 士の意見交換・情報交換の機会となる圏域別ケアマネジャー連絡会の実施により、介護支援専 門員(ケアマネジャー)*の支援に取り組みます。 (9)介護施設等における虐待防止の取組み  養介護施設従事者等による高齢者虐待に関して、サービス利用者や家族、地域住民等の「気 づき」につながるよう周知・啓発を行います。  また、介護サービス相談員が介護サービスを提供している施設等を訪問し、利用者の話を聞 くなかでサービスの実態を把握し、両者の橋渡しをしながら、苦情や虐待などを未然に防ぎま す。? (10)介護人材の確保・定着支援  高齢者人口の増加による介護サービスの需要が高まる一方、生産年齢人口の減少に伴い介護 人材の不足が見込まれています。安定した介護サービスの提供のためにも、介護人材の確保に 関する支援が求められているところです。介護職の認知度を高めるため、ホームページや各種 イベント等を通じ、介護職の魅力発信の機会をつくります。また、介護職について、多様な人 材が就労できるような裾野を広げるとともに、機能分化を実現することをめざし、生活援助サ ービス従事者研修の実施やボランティア*の育成に取り組みます。  また、介護現場の生産性向上と負担軽減のため、今後ICT*やロボット等を導入する動きが 加速していくことが想定されますので、そうした取組みや制度の周知及び利用促進を図ります。   ? 2 介護者家族への支援    介護技術に関する知識や社会資源に関する情報を提供するとともに、身体的・精神的双方の 側面から家族介護者の負担を軽減し、介護者同士の交流を図るため、家族介護教室や研修会、 講習会を開催しています。  介護離職防止のため、令和5(2023)年4月に改正法が施行された「育児休業、介護休業等 育児または家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」いわゆる改正育児・介護休業法を踏ま え、市民向け・一般企業向けに介護休暇・介護休業等に関する啓発を行い、休暇・休業を取得 しやすい環境づくりに努めます。  また、拡大地域ケア会議*や総合相談で把握した事例に対し、職業安定所と連携し、介護離職 防止に向けた取組みを引き続き行います。             ? 3 保険者機能の強化   (1)要介護認定における体制の充実  要支援・要介護者が介護サービスを利用し、自立した生活を送るためには、保険給付の基準 となる要介護度が適切に判定される必要があります。高齢者の心身の状態を把握する認定調査* については、介護を必要とする度合いに応じて適切なサービスを受けられるよう、高齢者の個々 の実情を踏まえて、迅速・正確な調査を行うために、直営の調査体制を維持しつつ、委託事業 者の人材育成を行います。大阪府と連携し、各分野の専門家を講師として、委託事業所の認定 調査員に対して、知識や技術のさらなる向上のための研修・指導を実施していきます。  また、介護認定審査会*の円滑かつ公正な運営に向けて、認定審査会委員への研修の機会を確 保します。加えて、申請から要介護認定までの期間を短縮するために、ICT*を活用した審査 の効率化をめざします。   (2)介護サービス事業者に対する指導・監督等  事業者の指導は、高齢者の尊厳を支えるより良いケアをめざし、サービスの質の確保・向上 を図ることを主眼とする運営指導を、大阪府と連携し計画的、継続的に行います。  指導を行っていくなかで、指定基準違反や人権侵害、介護報酬の不正請求等が疑われる場合 は、監査を実施し、必要に応じて行政処分も含めた厳正な対応を行っていきます。 (3)介護給付適正化に向けた取組みの推進  介護保険制度の信頼を高め、持続可能な介護保険制度を構築するために、介護給付を必要と する者を適切に認定し、利用者が真に必要とするサービスを事業者が適切に提供するよう、国 の介護給付適正化計画に基づき、主要3事業を中心とする介護給付の適正化を行います。 ?  ◆取組内容 事業 内容 1 要介護認定*の適正化 ・要介護認定に係る調査票を点検します。 2 ケアプランの点検 ・利用者の自立支援に資する視点でケアプランが作成されてい るかを中心に、面談等を実施し、ケアマネジャーの「気づき」 を促します。 3 医療情報との突合 ・縦覧点検 ・国保連合会*との連携による請求内容の点検を実施し、過誤 請求による給付費適正化を図ります。 ・実施にあたっては国保連合会給付適正化システムにより出力 される効果的な帳票を優先的に点検します。 任 意 介護給付費通知 ・自己のサービス利用状況を確認できるよう、利用者ごとに年 3回介護サービス利用実績を送付します。    ◆適正化事業の取組見込量   令和6年度 令和7年度 令和8年度 認定調査*票の点検割合 100% 100% 100% ケアプランの点検件数 80件 80件 80件 医療情報との突合・縦覧点検 の実施 1,900件 2,100件 2,100件 介護給付費通知 14,500件 15,000件 15,000件   (4)社会福祉法人による利用者負担軽減制度の活用促進  介護サービスが必要であるにもかかわらず、低所得であるために介護サービスの利用が困難 である方に対し、介護保険サービスの提供を行う社会福祉法人が利用者負担額を軽減する制度 があることについて、さらに周知を行い、利用促進を図ります。また、一定以上の利用者負担 軽減を行った社会福祉法人に対して補助を行うことにより、制度の活用促進を図ります。 (5)有料老人ホームの入居者保護のための施策の強化  高齢者が安心して有料老人ホームを利用できるよう、事業者に対して指導・監督の仕組みを 強化することに加え、必要に応じて、悪質な有料老人ホームに対する事業停止命令措置や、前 払金を受領する場合の保全措置を行います。 (6)居宅サービス事業所等の指定に対する保険者の関与強化  市内の介護サービス量を的確に把握・管理するために、居宅サービス等の指定拒否や条件付 加の仕組みを利用し、必要に応じて大阪府の指定に関して意見を提出します。  また、小規模多機能型居宅介護*の普及の観点から、地域密着型通所介護が見込み量に達して いる際には指定拒否を検討します。 ? 4 医療と介護の連携   (1)在宅医療・介護連携の推進  高齢期になると、急な治療や入院生活を経て退院する際、入院前よりも心身の状態が変化し、 本人やその家族がその後どのような支援が必要なのか判断するのが難しいケースがあります。 入院時から退院後の在宅療養まで、切れ目なく適切な医療・介護サービスを提供するために、 主治医、医療ソーシャルワーカー(MSW)、地域包括支援センター*等による退院時の情報共 有をはじめとする、医療・介護連携の強化に努める必要があります。  本市では、貝恷s医師会が在宅医療連携拠点支援事業を実施し、「貝恷s在宅医療・介護連携 推進懇話会(つげさん在宅ネット)」を活用した情報交換や多職種協働の研修会を継続して開催 しており、地域の医療と介護の情報を収集した「貝恷s 医療・介護・福祉の情報ブック」の 作成・更新や入退院時の切れ目のない適切なサービス提供のための連携を行っています。  今後も、医療と介護の両方を必要とする状態になっても、住み慣れた地域で、自分らしい暮 らしを人生の最後まで続けることができるように、貝恷s医師会、貝恷s歯科医師会、貝恷s 薬剤師会、地域包括支援センター、医療機関、訪問看護ステーション、介護支援専門員(ケア マネジャー)*との連携強化及び情報の提供、在宅医療・介護、ACP(アドバンス・ケア・プ ランニング)についての市民への啓発等を行い、在宅医療・介護連携の推進に取り組みます。      ? ◆医療・介護サービスの提供体制改革後の姿(サービス提供体制から) 医師、歯科医師、薬剤師、看護師、介護支援専門員(ケアマネジャー)*その他の専門職の積極的な関与のもと、 患者・利用者の視点に立って、サービス提供体制を構築する。   ◆在宅医療・介護の連携の推進 ? (2)かかりつけ医等の啓発  かかりつけ医等を持つことで、健康管理や疾病予防、状態の悪化の防止等のみならず、生涯 にわたって相談・指導等を受けることができ、高齢期の生活の質を高めることが期待できます。 本市では、貝恷s医師会と協力し、広報等をはじめ、介護予防教室やコスモス市民講座*等の場 を通じて、かかりつけ医等の普及啓発を行っています。また、貝恷s医師会と連携を強化して、 かかりつけ医に認知症専門医の役割について理解を得られるよう働きかけることで、今後増加 することが見込まれる認知症高齢者が自分らしく生活できるような環境づくりに努めます。     (3)医療機能の整備・充実  市立貝恤a院内には、がんのトータルケアを受けることができる緩和ケア病棟や、急性期の 治療終了後も入院療養を続け、在宅復帰に向けた支援を行うことができる地域包括ケア病棟が 設置されています。  また、高齢者の増加に伴い救急搬送の数が多くなっているため、救急医療体制の充実につい ては、消防署、市立貝恤a院等の医療機関との連携の強化を図っています。泉州地域メディカ ルコントロール協議会が中心となって、泉州地域の救急医療体制の構築を行っており、今後も 各疾患・病態に応じて患者を受け入れられる体制の充実に努めます。 ? 5 自立した在宅生活を支えるサービスの充実   (1)日常生活用具の給付  ひとり暮らしや高齢者のみの世帯で、加齢による心身機能の低下のため、出火等への配慮が 必要な高齢者に対して、電磁調理器や火災報知機等を給付します。    ◆日常生活用具の給付実績   令和3年度 令和4年度 令和5年度 (実績) (実績) (見込み) 電磁調理器(件)  3  5  5 火災報知機(件)  0  1  1   (2)緊急通報装置の設置  寝たきりまたは外出の頻度が少なく、寝たり起きたりの生活をしているひとり暮らし等の高 齢者宅に、急病や災害の緊急時、ボタンを押すだけで緊急通報先へつながる装置を設置します。 緊急通報装置の普及に向け、広報等による啓発や地域包括支援センター*、介護支援専門員(ケ アマネジャー)*、地域の民生委員・児童委員等との連携を推進します。  ◆緊急通報装置の設置実績   令和3年度 令和4年度 令和5年度 (実績) (実績) (見込み) 設置数(件)  85  85  85 うち新規設置数(件)  21  22  20   (3)紙おむつの支給  在宅で常時おむつが必要な高齢者の家庭の経済的負担及び介護負担を軽減するため、紙おむ つを支給します。また、支給対象者が医療機関に入院した場合は3か月を限度に費用の一部を 助成します。    ◆紙おむつの支給実績   令和3年度 令和4年度 令和5年度 (実績) (実績) (見込み) 実利用人員(人) 366 324 324 延支給件数(件) 3,333 3,066 3,066   (4)愛の一声運動  ひとり暮らしで寝たきりや健康に不安がある高齢者の安否確認を行うため、乳酸菌飲料を無 料で配付します。    ◆愛の一声運動の実績    令和3年度 令和4年度 令和5年度   (実績) (実績) (見込み) 配布実人数(人) 23 16 20 延配付数(回) 2,279 2,014 2,020   ? 6 生活支援サービスの体制整備   (1)介護予防・生活支援サービスの充実  介護予防・日常生活支援総合事業において、要支援認定を受けた方及び基本チェックリスト* 該当者(事業対象者)に対し、訪問型、通所型サービスを展開しています。身体介護等が必要 な方を除いて原則緩和サービスを利用してもらい、新規で現行相当サービスを利用する場合は、 個別ケース検討会議で適切なケアマネジメント*を行っており、事業対象者が訪問型サービスや 通所型サービスと生活支援サービスを一体的に利用できるよう調整します。  また、多様なサービスの提供が可能となるなかで、支援する側と支援される側という画一的 な関係性ではなく、サービスを利用しながら地域とのつながりを維持することができ、能力に 応じた柔軟な支援により介護サービスからの自立意欲を向上させ、いきいきとした健康的な生 活を維持できるようなサービス提供に努めます。    ◆訪問型、通所型サービスA指定事業所数(令和5年12月時点)   市内 市外 訪問型サービスA*(か所) 19 46 通所型サービスA*(か所) 22 23  ◆事業内容 事業 内容 訪問型サービス 対象者に対し、掃除、洗濯等の日常生活上の支援を提供 @訪問型サービスA(緩和した基準による生活援助等) A訪問介護相当サービス(介護予防訪問介護に相当するサービス) 通所型サービス 対象者に対し、機能訓練や通いの場*等日常生活上の支援を提供 @通所型サービスA(緩和した基準によるミニデイや運動等) A通所介護相当サービス(介護予防通所介護に相当するサービス) 介護予防ケアマネ ジメント 対象者に対し、総合事業によるサービス等が適切に提供できるよう ケアマネジメントを実施   ? (2)生活支援コーディネーター、協議体の設置  地域資源を活用し、地域で支え合う仕組みをつくるため、第1層の生活支援コーディネータ ー*(市域で、不足するサービスや担い手の創出・養成、活動する場の確保を行う者。次頁の図 参照)を社会福祉協議会*に1名配置し、住民主体の通いの場*やボランティア*等の生活支援の 担い手の養成・発掘等、地域資源の把握やネットワークの構築を行っています。生活支援コー ディネーターとサービス提供主体等の連携強化の場となる協議体を設置して、多様な主体が効 率的・効果的にサービスを提供できるような体制整備を行っています。  また、生活支援サービスの担い手の養成のために生活援助サービス従事者研修を行っており、 サービスの担い手の増加に向け、今後も引き続き研修を行います。  令和2年度からは、各生活圏域を担当する第2層の生活支援コーディネーター3名を社会福 祉協議会に配置し、より地域の実情に応じた支援ができるよう関係機関の連携を強化していま す。さらに、必要なサービスの開発について地域での協議を行うため、第2層の協議体の設置 に向けた取組みを推進します。  ◆生活支援コーディネーターの配置状況    令和3年度 令和4年度 令和5年度   (実績) (実績) (実績) 生活支援コーディネーター 配置数(人) 4 4 4  ◆生活援助サービス従事者研修の実施状況    令和3年度 令和4年度 令和5年度   (実績) (実績) (見込み) 生活援助サービス従事者研修 修了者(人) 23 19 38  ◆生活援助サービスの実施状況    令和3年度 令和4年度 令和5年度   (実績) (実績) (見込み) 買い物支援実施箇所(箇所) 11地区16か所 12地区17か所 12地区17か所             ?    ◆生活支援・介護予防の体制整備におけるコーディネーター・協議体の役割 ? 7 認知症高齢者支援策の推進   (1)認知症に対する正しい理解の普及と支援体制の構築  認知症高齢者の尊厳が傷つけられることのない社会の実現に向け、市民や事業者に対して、 パンフレットの配布、認知症に関する研修会や講演会の開催、介護予防教室等を通じて、認知 症に関する正しい知識の普及啓発に取り組みます。また、認知症高齢者に対する理解を深める ために、認知症の方本人や家族から、認知症に対する前向きな姿を発信する取組みを推進しま す。  また、認知症キャラバンメイト*による認知症サポーター*養成講座を様々な年齢層に開催す ることにより、令和5年10月時点で6,169人、人口の7.5%をサポーターとして養成していま す。今後は、令和7(2025)年度に人口の10%をサポーターとして養成することを目標とし、 サポーター養成講座受講者が地域で活躍できる体制(チームオレンジ*)の構築に努めます。  さらに、大阪府と包括連携協定の締結をしている企業に対し、サポーター養成講座の開催と 徘徊高齢者等見守りネットワークへの協力機関加入を引き続き呼びかけていきます。  加えて、認知症高齢者や家族、地域住民、専門職の誰もが参加し交流を図るための認知症カ フェ*について、このような場を必要とする方が気軽に参加できるようさらなる周知に努め、認 知症カフェの充実を図るとともに、認知症本人や家族の声を施策に反映していきます。  ◆認知症サポーター養成講座実績    令和3年度 令和4年度 令和5年度   (実績) (実績) (見込み) 実施回数(回) 15 15 15 受講者数(人) 343 338 350 ?  ◆認知症カフェ(オレンジカフェ)実績    令和3年度 令和4年度 令和5年度   (実績) (実績) (見込み) 実施回数(回)  11 23 36 延参加者数(人)  130 132 550    ◆徘徊高齢者等見守りネットワーク実績    令和3年度 令和4年度 令和5年度   (実績) (実績) (見込み) 利用回数(回) 3 1 2 事前登録者数(人) 50 45 50   (2)認知症の早期発見・早期対応  地域包括支援センター*を地域の総合相談・権利擁護の窓口として位置づけ、市民への認知症 *の啓発活動を行うとともに大阪府の認知症疾患医療センター、保健所、医療機関等の関係機関 との連携や、困難事例への対応を行うなど相談体制の充実を図り、認知症の早期発見・早期対 応に努めます。  認知症の疑いがある方に対しては、複数の専門職によって構成される認知症初期集中支援チ ーム*が本人やその家族を訪問・観察・評価を行ったうえで、包括的・集中的に初期の支援を実 施し自立生活のサポートを行います。また、認知症に対する支援が必要な場合は、認知症地域 支援推進員*が、地域の医療機関、介護サービス事業所、各種支援機関へつなぐことにより、認 知症の方やその家族ができる限り住み慣れた良い環境で暮らし続けられることをめざします。  加えて、認知症初期集中支援チームや認知症ケアパス*の紹介を多職種に対して行い、認知症 に対する相談体制の充実と認知症の早期発見・早期対応に努めます。   ◆認知症初期集中支援チーム*と認知症地域支援推進員*について ●認知症ケアパスの普及  認知症*を発症したときから、生活するうえで様々な支障が出てくるなか、その進行状況に合 わせ、いつ、どこで、どのような医療・介護サービスを受ければよいかを標準的に示す「認知 症ケアパス*」を適宜更新し、冊子の作成や本市のホームページへの掲載等普及に努めます。  ◆標準的な認知症ケアパスの概念図 (3)認知症の予防  「ときめきの場(通いの場*)」等への参加を推進することで、運動不足の改善、生活習慣病 の予防、社会参加を促し、「認知症*になるのを遅らせる」「認知症になっても進行を緩やかにす る」認知症予防の取組みを推進します。 (4)若年性認知症への対応  若年性認知症*を発症した方は、長期的な生活設計の変更が必要など、高齢者とは異なる課題 があるため、発症初期の段階からその症状・社会的立場や生活環境等の特徴を踏まえ、認知機 能が低下してもできることを可能な限り続けながら、適切な支援を受けられるよう、本人や家 族の相談支援や適切な支援につなげるよう取り組みます。 (5)介護者家族への支援  認知症の方の介護者の精神的負担の軽減を図るため、認知症や介護に関する講座や認知症カ フェ*等の介護者同士の交流の場を設け、介護者の負担や情報を共有できる場の充実に取り組み ます。また、改正「育児・介護休業法」の介護休暇・介護休業等の制度周知など、介護者家族 にとって有益な情報提供を行います。 ? 8 地域包括支援センターの役割強化   (1)地域包括支援センターの体制強化  主任介護支援専門員(ケアマネジャー)*・社会福祉士・保健師等の3職種による、介護予防 ケアマネジメント、総合相談支援業務、権利擁護業務、ケアマネジメント支援等の強化を図る ため、業務負担や専門性を考慮した適切な人員配置を進めるほか、多職種との連携強化や、職 員のスキルアップのための研修等を支援します。   @ 介護予防ケアマネジメント業務  要支援認定者等に対して、本人の心身の状況や生活環境、その他の状況に応じて、予防サー ビス事業、生活支援サービス事業、その他の適切な事業が、本人の選択のもと、包括的かつ効 率的に提供されるよう必要な援助を行います。     ? A 総合相談支援業務  地域住民が住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう、高齢・障害・子育てなど、 福祉の分野にとらわれず、対象者の心身の状況や必要な支援等を把握し、適切な保健、医療、 福祉サービスの利用につなげる相談・連携支援を行います。さらに、自ら相談や支援につなが ることができない高齢者に対し、市の関係各課や地域の関係者による重層的支援体制を活用し、 健康で安全・安心な生活が維持できるような取組みを推進します。     ◆総合相談件数の実績   令和3年度 令和4年度 令和5年度   (実績) (実績) (見込み) 実人数(人) 2,024 2,272 2,300 延べ件数(件) 4,411 4,734 4,800 主な 相談内容 介護保険関係(件) 2,774 3,089 3,100 福祉サービス関係(件) 474 509 550 保健・医療関係(件) 2,060 1,945 2,000 認知症*関係(件) 1,233 1,228 1,300     B 包括的・継続的ケアマネジメント支援業務  高齢者の個々の実情に応じた支援を行うために、介護支援専門員(ケアマネジャー)*に対し て、介護保険等のサービスだけでなく、地域のインフォーマルサービス*等、地域の社会資源の 情報提供に努めます。また、支援困難事例等への助言・指導をはじめ、地域の介護支援専門員 (ケアマネジャー)のネットワークづくりや医療との連携等により、介護支援専門員(ケアマ ネジャー)の資質の向上に努め、高齢者の権利や尊厳に配慮し、個別の状態に応じた包括的・ 継続的ケアマネジメント*をするための後方支援を行います。      ◆ケアマネジメント支援の実績    令和3年度 令和4年度 令和5年度   (実績) (実績) (見込み) 支援件数(件)  681  812  900   ? C 権利擁護業務  本市では高齢者に対する虐待は増加傾向であり、全国的にも高齢者に対する虐待等、高齢者 の権利が脅かされる事態が増加しています。また、今後単身高齢者や身寄りのない高齢者が増 加することから、引き続き地域住民や事業者に対し、高齢者の権利擁護に関する正しい理解を 広めるための普及啓発を行います。権利擁護の観点から対応が必要な場合は、高齢者に対する 虐待防止や早期発見・早期対応に関する取組み、日常生活自立支援事業*、成年後見制度*等権 利擁護に関するサービスとの調整を行います。     ◆権利擁護業務の相談実績    令和3年度 令和4年度 令和5年度   (実績) (実績) (見込み) 虐待関係(件)  88  192 200 日常生活自立支援事業関係(件)  66  106  120 成年後見市長申立関係(件)  149  146  170 消費者被害関係(件)  2  0  10      ◆参考:日常生活自立支援事業(貝塚市社会福祉協議会*)    令和3年度 令和4年度 令和5年度   (実績) (実績) (見込み) 利用者数(人)  29  28  25 うち新規利用者数(人)  3  2  3 (2)地域包括支援センターの認知度向上と情報の公表  地域包括支援センター*の活動実績は増加していますが、ニーズ調査の結果から、地域包括支 援センターを知らない方は全体の1割程度みられます。高齢者に留まらず、地域住民全体に対 して、今後も継続して広報紙やパンフレット、ホームページ等を活用した周知、紹介等により 地域包括支援センターのさらなる認知度の向上を図るとともに、様々な事業を通じて民生委 員・児童委員や地区組織、関係機関等と連携し、取組みや事業への理解、協力が得られるよう 努めます。  また、地域包括支援センターにおいて、生活支援や介護予防、介護と仕事の両立に関する情 報収集と情報発信が円滑に実施できるよう支援します。 (3)市と地域包括支援センターの連携強化  現在、浜手・中央・山手の各圏域に1か所ずつ地域包括支援センターが設置されており、毎 月、市と地域包括支援センター間で連絡会を開催し、市からは国や大阪府が発信している情報 や、市が把握している情報の提供、センターからは把握している地域課題の実情や、サービス の状況等を共有し、各圏域の特徴に応じた対策を講じるための連携を行っています。連絡会に て、検討・評価された事項については、本市が定める「貝恷s地域包括支援センター運営方針」 に沿った事業計画に盛り込み、各センターで地域の実情に即した事業運営に努めます。 ? (4)地域包括支援センターの運営に対する点検と評価  地域包括支援センター*運営委員会を毎年開催し、業務方針、運営等について調査・審議する とともに、市による評価及び地域包括支援センターの自己評価を行い、事業計画にフィードバ ックすることで、PDCAサイクルの充実による効果的な運営の継続と機能強化を図ります。   1