貝塚市災害廃棄物処理計画 令和3年3月 貝塚市  目次 第1章 総 則 1ページ 第1節 計画策定の背景及び目的 1ページ 第2節 計画の位置付け 2ページ 第3節 一般廃棄物処理施設等の状況 3ページ 第4節 過去の災害記録 4ページ 第5節 対象とする災害廃棄物 7ページ 第6節 災害廃棄物の特徴 8ページ 第2章 災害廃棄物処理に係る基本的事項 9ページ 第1節 災害廃棄物処理の基本的な考え方 9ページ 第2節 災害廃棄物処理の流れ 10ページ 第3節 各主体の役割 11ページ 第4節 組織体制 12ページ 第5節 時間軸を見据えた対応 14ページ 第6節 協力・支援体制 17ページ 第7節 市民への啓発・広報 19ページ 第8節 各種相談窓口の設置等 19ページ 第9節 災害廃棄物対策の推進・計画の進捗管理 19ページ 第3章 災害廃棄物対策 21ページ 第1節 想定される災害廃棄物発生量 21ページ 第2節 収集運搬 21ページ 第3節 仮置場 21ページ 第4節 分別・処理・再資源化 28ページ 第5節 有害廃棄物・危険廃棄物の対策 30ページ 第6節 アスベスト対策 30ページ 第7節 思い出の品等(取扱いに配慮が必要な廃棄物) 30ページ 第8節 環境対策・モニタリングの実施 30ページ 第9節 避難所におけるごみ処理 30ページ 第10節 仮設トイレ 31ページ 第11節 災害時のし尿収集必要量 32ページ 第12節 し尿処理体制 33ページ 第1章 総則 第1節 計画策定の背景及び目的  近年、全国各地で地震や大雨、台風等の大規模自然災害が多発している。近い将来には貝塚市においても南海トラフ巨大地震、上町断層帯地震(注釈:上町断層帯地震には、断層帯北中部の(A)と断層帯南部の(B)の2種類があるが、本市において被害が最も大きいと考えられる上町断層帯地震(B)を想定した。)による最大震度5強~震度6強の地震発生が高い確率で予想される中、災害発生時の廃棄物処理が課題となっている。  国(環境省)は、平成7年1月の阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)や平成23年3月の東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)の被災地において大量の災害廃棄物が発生したことから、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(昭和45年法律第137号)。以下、「廃棄物処理法」という。)に基づく「廃棄物の減量その他その適正な処理に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な方針」(平成28年1月改定。以下、「基本方針」という。)において地方公共団体は災害廃棄物処理計画(以下、「処理計画」という。)を策定することとした。また、処理計画策定に資することを目的に「災害廃棄物対策指針」(平成30年3月改定。以下、「対策指針」という。)を取りまとめるとともに、「大規模災害発生時における災害廃棄物対策行動指針」(以下、「行動指針」という。)を策定し、大規模災害時における災害廃棄物を適正かつ円滑・迅速に処理するための基本的な考え方及び対応方針を示した。  近畿ブロックにおいては、環境省近畿地方環境事務所等を構成員とする大規模災害発生時廃棄物対策近畿ブロック協議会が設置され、平成29年7月に「近畿ブロック大規模災害廃棄物対策行動計画」(令和元年7月改定)が策定された。  一方、大阪府は、廃棄物処理法に基づき、対策指針、行動指針を踏まえて、平成29年3月に「大阪府災害廃棄物処理計画」(令和元年7月改定。以下、「大阪府計画」という。)を策定した。  本市では、「貝塚市災害廃棄物処理計画」(以下、「本計画」という。)の策定にあたり、平成30年9月の台風第21号で大量の災害廃棄物を処理した教訓を生かし、想定される災害に対する事前の体制整備を中心に、災害廃棄物の適正かつ円滑・迅速な処理を推進するため、対策指針等とも整合を図り策定した。  なお、本計画は、「貝塚市地域防災計画」(以下、「地域防災計画」という。)が見直された場合など、前提条件に変更があった場合は、必要に応じて見直しをすることとする。 図1-1 平成30年台風第21号による被災状況(市内)      第2節 計画の位置付け  本計画は、国の基本方針に基づき、対策指針、大阪府計画と整合を図りつつ、本市の特性を踏まえたうえで、災害廃棄物処理を円滑かつ迅速に行うために必要な基本的事項を示したものであり、「貝塚市地域防災計画」及び「貝塚市一般廃棄物処理基本計画」を補完するものである。これらの計画や指針等の関係は図1-2のとおりである。  なお、災害発生時には情報収集を行ったうえで、本計画に基づき災害廃棄物の発生量推計や具体的な処理体制等の検討を行い、災害廃棄物処理実行計画(以下、「実行計画」という。)として取りまとめる。   図1-2 災害廃棄物処理に係る各種計画・指針等の関係図       第3節 一般廃棄物処理施設等の状況 1.一般廃棄物(ごみ)処理施設  本市では中間処理施設を保有しておらず、普通ごみや可燃性粗大ごみの焼却処理、缶・ビン・ペットボトルや不燃性粗大ごみ等の中間処理については、岸和田市貝塚市清掃施設組合(以下、「岸貝清掃施設組合」という。)が所有する岸和田市貝塚市クリーンセンター(以下、「岸貝クリーンセンター」という。)で行っている。  また、岸貝クリーンセンターで発生した焼却残渣と埋立ごみ等の不燃物は、大阪湾広域臨海環境整備センター(大阪湾フェニックスセンター)へ搬入し、最終処分を行っている。   表1-1 一般廃棄物(ごみ)処理施設の概要 項目 内容 施設設置者  岸和田市貝塚市清掃施設組合 施設名称  岸和田市貝塚市クリーンセンター 所在地  大阪府岸和田市岸之浦町1番地の2 敷地面積  約90,000平方メートル 主要建物  ごみ処理施設棟(地下1階、地上7階建)  リサイクルプラザ棟(地上6階建)  管理啓発棟、計量棟等 建築面積  約25,300平方メートル 延床面積  約53,800平方メートル 竣工日  平成19年3月 焼却処理施設 処理能力  1日あたり531トン(177トン処理できる炉が3基) 処理方式  全連続式焼却炉(ストーカ炉) 発電設備  抽気復水タービン(発電出力最大12,000キロワット) 煙突高さ  100メートル リサイクルプラザ 粗大ごみ処理施設 処理能力  1日あたり41トン 破砕設備  可燃性粗大ごみ:せん断式破砕機(1日あたり19トン)  不燃性粗大ごみ:回転式破砕機(1日あたり22トン) 資源化施設 処理能力  1日あたり32.6トン 処理設備  缶・ビン・ペットボトル選別処理 2.し尿処理施設  本市では、し尿・浄化槽汚泥の収集運搬を許可業者が行っており、し尿処理施設である貝塚市衛生事業所で処理している。 表1-2 し尿処理施設の概要 項目 内容 施設設置者  貝塚市 施設名称   貝塚市衛生事業所 所在地   大阪府貝塚市王子261 敷地面積   8,199平方メートル 主要建物  し尿処理施設(地上2階建)  事務所棟(地下1階、地上2階建) 建築面積   約2,800平方メートル 延床面積  約3,400平方メートル 竣工日   昭和57年10月 処理能力   1日あたり158キロリットル(し尿1日あたり129キロリットル、浄化槽汚泥1日あたり29キロリットル) 処理方式   好気性消化方式、高度処理(処理水放流先:見出川) 第4節 過去の災害記録 1.災害記録  風水害の概要  本市に大きな被害をもたらした風水害は、台風、梅雨前線及び台風に起因する低気圧に伴う暴風雨、集中豪雨によるものが多い。  地震災害の概要  本市に影響が及んだ大規模な地震としては、平成7年1月17日に発生した阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)(直下型地震でマグニチュード7.3、震源の深さ16キロメートル)がある。  なお、平成30年6月18日に発生した大阪府北部地震(大阪府北部を震源とする地震)(直下型地震でマグニチュード6.1、震源の深さ13キロメートル)による本市への影響はなかった。 表1-3 貝塚市の主な風水害と地震災害の履歴 日付 被害の状況 昭和25年9月3日 ジェーン台風  死者:1人、負傷者:94人、全壊:106戸、半壊:607戸、流出:8戸、床上浸水:72戸、床下浸水:133戸 昭和28年9月25日 台風第13号  死者:0人、負傷者:11人、全壊:5戸、半壊:95戸、流出:1戸、床上浸水:99戸、床下浸水:532戸 昭和36年9月12日 第2室戸台風  死者:0人、負傷者:5人、全壊:64戸、半壊:705戸、流出:43戸、床上浸水:662戸、床下浸水:1053戸 平成30年9月4日 台風第21号  死者:0人、負傷者:29人、全壊:1戸、半壊:40戸   2.平成30年台風第21号の概要  平成30年8月28日に発生した台風第21号は、非常に強い勢力を保ったまま9月4日の正午頃に徳島県に上陸し、さらに神戸市に再上陸して速度を上げながら近畿地方を縦断した。台風の接近・通過に伴って、四国や近畿地方では、猛烈な風が吹き、猛烈な雨が降ったほか、これまでの観測記録を更新する記録的な高潮となったところがある。  大阪府内においては、熊取町で最大風速26.6メートル毎秒、最大瞬間風速51.2メートル毎秒を観測しており、この台風による暴風等のために貝塚市内でも家屋の全半壊や農業用ビニールハウスの倒壊が発生するなど甚大な被害が生じた。  この台風によって発生した災害廃棄物の処理にあたっては、市内に仮置場(せんごくの杜防災広場:研修施設敷地内)を設置して集積・分別するとともに、岸貝クリーンセンター及び民間事業者等で処理を行った。  災害廃棄物の処理を行う中で、仮置場の確保、災害協定の重要性、町会や自治会等との連携、便乗ごみ対策など様々な課題が浮き彫りとなり、改めて災害対策の必要性が求められる契機となった。 表1-4 平成30年台風第21号に伴う災害廃棄物処理の概要 処理期間  平成30年9月5日から概ね平成31年3月 処理量  約1,824トン(貝塚市が処理した災害廃棄物量)  注釈:平成30年度家庭系ごみ排出量 35,484トン 仮置場   せんごくの杜防災広場(研修施設敷地内) 収集・運搬   市、民間事業者 処分方法 可燃物、木くず、金属くず、がれき、瓦、コンクリートブロック、家電製品、危険物等に分別し、可燃物は岸貝クリーンセンターで焼却処理  その他、リサイクルできるものはリサイクル処理、リサイクルできないものは埋立処分 図1-3 仮置場の位置図    図1-4 仮置場の状況      3.被害想定 (1)地震被害の想定  大阪府南海トラフ巨大地震災害対策等検討部会(平成25年度)における検討結果及び、大阪府自然災害総合防災対策検討(地震被害想定)報告書(平成19年3月)によると、本市に大きな影響を与える地震は、南海トラフ巨大地震、上町断層帯地震、及び中央構造線断層帯地震である。  その被害想定は以下の表のとおりである。本計画では、本市の被害が最も大きいと考えられる上町断層帯地震を想定した処理方法を検討した。   表1-5 貝塚市における被害の想定(大阪府実施)想定地震 想定地震 項目 南海トラフ巨大地震 地震の規模  マグニチュード 9.1 本市の震度  5強から6弱 全壊棟数  692棟 半壊棟数  4,307棟 建物被害計  4,999棟 出火件数 2件 死者数  442人 負傷者数  886人 罹災者数  12,773人 避難所生活者数 8,378人 上町断層帯地震 地震の規模  マグニチュード 7.5から7.8 本市の震度 5強から6強 全壊棟数  10,510棟 半壊棟数  5,664棟 建物被害計  16,174棟 出火件数 18件 死者数  272人 負傷者数  766人 罹災者数  55,800人 避難所生活者数  16,183人 中央構造線断層帯地震 地震の規模  マグニチュード 7.7から8.1 本市の震度 5強から6強 全壊棟数  2,455棟 半壊棟数  3,602棟 建物被害計  6,057棟 出火件数 4件 死者数  12人 負傷者数  1,114人 罹災者数  20,997人 避難所生活者数 6,090人 出典:貝塚市地域防災計画 第5節 対象とする災害廃棄物  本計画で対象とする廃棄物を表1-6に示す。災害時に発生する廃棄物は、量が膨大で、様々な種類の廃棄物が混在する特徴がある。  これらの災害廃棄物で、地震や風水害等の災害によって発生する廃棄物の中で、木くず、コンクリートがら等、金属くず、可燃物、不燃物や、被災者や避難者の生活に伴い発生する廃棄物のうち、避難所ごみ、し尿について、被害想定に基づき定量的な検討を行った。  その他の腐敗性廃棄物等については、処理の方針や取扱い方法を示した。 表1-6 対象とする災害廃棄物 種類 内容 避難所ごみ 避難所から排出されるごみ し尿 仮設トイレ等からのくみ取りし尿 その他の災害廃棄物 自然災害に直接起因して発生する廃棄物のうち、生活環境保全上の支障に対処するため、本市がその処理を実施するもの 市民が自宅内にある被災したものを片付ける際に排出される廃棄物(片付けごみ)と、損壊家屋の撤去(必要に応じて解体)等に伴い排出される廃棄物(解体廃棄物)など 混合廃棄物 主に災害発生直後の被災現場に存在する全ての廃棄物が混在した状態のもの 木くず 木造住宅等の損壊家屋から発生する柱、はり、壁材などの廃木材(家具、庭木、流木等からも発生) コンクリートがら等 主に建物や基礎などの撤去により発生したコンクリート片やコンクリートブロックなど(電柱、家屋周辺の壁材からも発生) 金属くず 鉄骨や鉄筋、アルミ材など 可燃物 家財道具のうち、家具、畳、マットレス、廃プラスチック等の燃やせるごみ(仮置場等で粗選別が行われた後の状態) 不燃物 瓦・分別することができない細かなコンクリートや瓦・木くず、プラスチック、ガラス、土砂などが混在し、概ね不燃性の廃棄物(仮置場等で粗選別が行われた後の状態) 腐敗性廃棄物 被災冷蔵・冷凍庫などから排出される水産物、食品や水産加工場や飼肥料工場などから発生する原料や製品など(時間の経過とともに腐敗が進み、悪臭や害虫発生等の衛生環境が劣悪化) 廃家電(4品目) 被災家屋から排出されるテレビ、洗濯機、エアコンなどの家電類で、災害により被害を受け使用できなくなったもの(リサイクルが見込まれるものは、家電リサイクル法に基づき処理) 小型家電・その他家電 被災家屋から排出される小型家電等の家電4品目以外の家電製品で、災害により被害を受け使用できなくなったもの 廃自動車等 被災し、使用できなくなった自動車、自動二輪車、原動機付自転車(リサイクルが見込める自動車は、自動車リサイクル法に基づき処理) 有害廃棄物・危険物(適正処理困難物) 石綿含有廃棄物、PCB廃棄物、感染性廃棄物、フロン類・CCA(クロム銅砒素系木材保存剤使用廃棄物)・テトラクロロエチレン等の有害物質、医薬品類、農薬類の有害廃棄物。LPガス等の高圧ガスを封入したボンベや消火器(爆発の可能性があり、取扱いに要注意) 注釈:土砂の扱いについて  土砂は、廃棄物処理法上の廃棄物には該当しないものとなる。国の各省庁の補助制度も踏まえ、市での取扱いを調整し適切に処理する。また、土砂混じりのがれきについても、国に対して取扱いを協議しながら処理する。 第6節 災害廃棄物の特徴  災害の種類、規模、発生場所、発生時期等により、災害廃棄物の発生量、組成などは大きく異なるため、災害発生時の被災状況を迅速に把握し、災害廃棄物を処理する対策を整えることが急務である。 表1-7 地震災害と風水害により発生する災害廃棄物の特徴等 地震災害 発生場所 地盤や土地利用等の状況によって変化する。(揺れの大きな地域や耐震性の低い建物、液状化し易い地域に集中) 特徴 突発的かつ大量に発生 家財等の粗大ごみと損壊家屋等のがれき類が主となる。 組成の違い がれき類は、大量のコンクリートがら、木くずから構成される。 処理困難物等が発生する。 風水害 発生場所 河川氾濫は市内河川周辺、土砂災害は急傾斜地や土砂災害警戒区域周辺に集中する他、ゲリラ豪雨による内水氾濫は局地的に発生する。 特徴 夏から秋季を中心に発生する。(集中豪雨や台風時期) 腐敗や悪臭、汚水が発生する。 浄化槽が浸水した場合はブロアーの故障等で浄化槽機能が損なわれる恐れがある。 組成の違い 木くずや大型ごみ(粗大ごみ等)が大量に発生する。 水分を含んだ畳や土砂付着家具等が大量に発生する。 第2章 災害廃棄物処理に係る基本的事項 第1節 災害廃棄物処理の基本的な考え方  本市の災害廃棄物処理に係る基本方針を表2-1のとおり定める。 表2-1 災害廃棄物処理に係る基本方針 1)迅速な対応・処理 災害廃棄物の処理においては、発生状況、道路や廃棄物処理施設の復旧状況など、様々な状況が刻々と変化するため、常に最新の情報を得て分析や判断を行い、迅速な対応を行う。 2)計画的な対応・処理 仮置場を適正に配置し、最大限効率的な処理体制を構築するため、廃棄物処理施設の処理能力の的確な把握に努める。被害が甚大で、廃棄物処理施設での対応が困難となる場合には、他自治体等への協力要請を検討する。 3)衛生的な処理 災害時には、一度に多量の廃棄物が発生するが、衛生的な生活環境の確保を重要な課題として位置付けて対応を行う。 4)安全な作業の確保 災害廃棄物の収集運搬、処分では、通常の廃棄物処理とは異なる事態の発生が予想されるため、収集運搬中や仮置場での作業中の安全を確保するために必要な備品の手配及び管理状況の把握を徹底し、作業の安全性確保を図る。 5)環境に配慮した処理 災害廃棄物の処理にあたっては、石綿飛散防止対策、有害廃棄物や処理困難物の適正保管や処理、不法投棄の防止等、環境保全に配慮した対応を行う。 また、仮置場の設置や運営にあたっては、土壌汚染防止など周辺環境に配慮した運用に努めるとともに、火災防止、保管廃棄物の飛散防止、衛生状態の保持の措置等、十分な対策を行う。 6)リサイクルの推進 災害廃棄物は、可能な限り発生現場で分別を行うことを基本とする。また、迅速な処理を行うとともに再資源化に配慮した処理方法を選択することで、災害廃棄物のリサイクル推進と埋立処分量の軽減に努める。 7)国・大阪府・他自治体との連携 本市において甚大な被害が発生した場合には、近隣自治体でも同様の被害が想定される。そのため、国や大阪府、他自治体からの要請に対しても可能な範囲で重機、車両等の手配の調整など連携を図る。 第2節 災害廃棄物処理の流れ   災害時においても家庭から出る生活ごみなどの処理は原則通常のとおりとし、可能な限り収集運搬・処理を行う。被災家屋から排出される粗大ごみやがれき等の増加に対応するため、被災地で集められた災害廃棄物を仮置場まで運搬し、種類や性状に応じて破砕・選別処理等を行う。 図2-1 災害廃棄物処理の流れ                       第3節 各主体の役割  廃棄物処理法に基づき、市、市民・町会・自治会・事業者、岸貝清掃施設組合、協定を締結している事業者は災害廃棄物の処理のため、平常時や災害時において次の役割を果たす。 表2-2 各主体の役割 1、市の役割 【災害時】 市が主体となり災害廃棄物の処理を行う。 災害廃棄物処理を迅速かつ適正に処理する。 仮置場の設置及び維持管理を行う。 【平常時】 事前の備え、応急対応、復旧、復興時における災害時の体制を確立する。 国・大阪府・他自治体・民間事業者・関連団体と調整し、災害時の相互協力体制を構築する。 仮置場の候補地の選定を行う。 簡易トイレ等の備蓄について庁内関係部局と情報共有を行い、災害発生後に発生した生活ごみや避難所ごみ、仮設トイレのし尿を迅速かつ適正に処理する体制を構築する。 市民やボランティア、関係団体等に対して、災害廃棄物の処理方法や災害時の排出ルール等の周知・啓発を行う。 2、市民・町会・自治会・事業者の役割 【災害時】 損壊家屋等の撤去(必要に応じて解体)は原則として所有者が実施する。 便乗ごみの排出や指定場所以外への排出は行わず、集積所の衛生管理に協力する。 町会・自治会は、可能な限り地域での災害廃棄物の分別を行い集積に努める。 被災した事業所から排出される廃棄物は、原則として事業者の責任において適正処理に努める。 【平常時】 住宅の耐震化、家具の固定化などを行い、家屋の損壊、家具の破損の防止に努める。 家屋周辺の側溝のごみや泥などを除去し、浸水の防止に努める。 3、岸貝清掃施設組合の役割 【災害時】 施設の余力を把握し、本市から排出される生活ごみ、避難所ごみ、災害廃棄物について可能なかぎり処理を行う。 岸貝クリーンセンター内に仮置場を設置し、災害廃棄物の選別・積込・搬出を行う。 【平常時】 災害時に適正かつ円滑で迅速な処理を進めるため、施設や処理システムの適正整備および強靭化を図る。 4、協定を締結している事業者の役割 【災害時】 本市と協定を締結している事業者は、協定に基づき、必要な資機材や人員の提供など、災害廃棄物処理に対応する。 【平常時】 災害時に迅速に対応できるように、事業者独自の訓練や研修等を実施する。 第4節 組織体制 1.災害廃棄物対策チームの設置  災害時において、膨大な量の災害廃棄物の処理が必要な場合、本計画及び地域防災計画に基づき、災害廃棄物対策チームを設置して災害廃棄物の適正な処理を行う。  災害廃棄物対策チームは、地域防災計画に基づく貝塚市災害対策本部や都市整備部等の関係部局と連携して対応し、また、必要に応じて国・大阪府・他自治体・その他関係機関等とも連携を図る。 図2-2 災害廃棄物対策における組織体制 2.各班の業務内容  災害廃棄物対策チームの設置にあたっては、業務内容を踏まえて災害対策本部直轄による人員の配置等を検討する。 表2-3 災害廃棄物対策チームの業務概要 班 担当 内容 総合調整班 総合調整担当   各班の総括   災害廃棄物対策全体の進行管理   災害対策本部及び関係部局との連絡調整   国・大阪府、他自治体及び民間事業者との連絡調整  協定に基づく応援要請(仮設トイレ等)   災害廃棄物の仮置場選定及び手配 広報・渉外担当   市民や報道機関等からの問い合わせ対応   支援要請及び支援受入等対応   思い出の品等の対応 ごみ処理班 ごみ処理計画調整担当   実行計画(ごみ編)の策定   ごみ処理施設、収集車両、協定締結事業者等の被害状況把握及び応急対策   災害廃棄物発生量、避難所ごみ等収集必要量の算定  収集運搬、処理可能量の算定及び手配   仮置場等の管理運営   協定に基づく応援要請(ごみ収集運搬、災害廃棄物処理)   補助金の申請事務(災害等廃棄物処理事業、各種記録の集約)  災害廃棄物(ごみ)処理に係る市民周知 ごみ処理収集運搬担当   生活ごみ、粗大ごみの収集運搬   避難所ごみの収集運搬  災害廃棄物の撤去、収集運搬   災害廃棄物処理委託事業者の指導   適正処理困難物、産業廃棄物、有害廃棄物の管理   不法投棄、不適正排出防止 し尿処理班 し尿処理担当   実行計画(し尿編)の策定   し尿処理施設、許可業者の被害状況把握及び応急対策   避難所から発生するし尿の収集運搬   協定に基づく応援要請(し尿収集運搬)   補助金の申請事務(災害等廃棄物処理事業、廃棄物処理施設災害復旧事業、各種記録の集約)   災害廃棄物(し尿)処理に係る市民周知 3.災害廃棄物対策チームの設置について検討すべき点  災害廃棄物対策チームを設置する場合は、災害対策本部ほか関係部局との連携を密にする必要がある。また、時間の経過とともに業務の内容も変化するため人員の配置や体制は柔軟な対応を行う必要がある。 第5節 時間軸を見据えた対応  災害廃棄物の処理にあたっては、次の時期区分の特徴を踏まえた対応を進めることとする。 表2-4 各段階について 時期区分 時間の目安 時期区分の特徴 初動期 数日間 人命救助が優先される時期(被害状況の把握・確認、必要資機材の確保、実行計画の策定等) 応急対応の前半 発災後3日から3週間程度 避難所生活が本格化する時期(体制の整備、公衆衛生確保、道路啓開など、優先的に処理が必要な災害廃棄物を処理) 応急対応の後半 応急対応の前半終了から3か月程度 人や物の流れが回復する時期(災害廃棄物の本格的な処理に向けた準備) 復旧・復興 応急対応の後半終了から3年程度 避難所生活が終了する時期(一般廃棄物の通常業務化が進み、災害廃棄物の本格的な処理)   1.ごみ処理の具体的なスケジュール 項目 業務内容 災害発生直後(初動期・一部応急対応時含む) 1.被害状況の把握  1、来庁者や職員の安全確保  2、職員、施設、車両、協定締結事業者等の状況(人員・機材)  3、収集・運搬ルートの状況 2.被災状況に応じた緊急措置  1、通常収集作業等の一時停止  2、処理施設への一時的な搬入規制(岸貝清掃施設組合に確認) 3.情報収集・関係先への連絡 災害廃棄物処理実行計画の策定  1、被災状況の情報整理や分析、避難所の開設状況  2、関係機関・関係団体等への連絡、情報交換・収集(処理施設の被害状況や受入能力、道路被害の状況を含む)  3、災害廃棄物の発生状況、発生場所の整理  4、確保できる資機材や人員等の推定(市、協定締結事業者)  5、災害廃棄物発生量の推計  6、仮置場、保管方法の検討・選定  7、分別区分・排出方法・排出場所、収集方法等の検討および設定  8、避難所の分別区分・排出方法・排出場所等の検討および設定  9、収集ルート、配車計画等の設定  10、災害廃棄物処理実行計画の策定(順次見直しを行う)  11、ごみの排出方法等の周知や広報の実施 応急対応(前半から後半) 1.収集体制の整備  1、施設や機材の応急復旧  2、必要な資機材、人員、燃料、電気等の確保  3、災害時の収集・運搬、処理体制の確立(確立後もごみの排出状況や道路状況等に応じて柔軟に調整する)  4、業務再開(3日以内に通常収集の再開をめざす)  5、町会や自治会等の情報収集(集積場の状況等)  6、広域的な処理体制の検討および確立  7、国・大阪府・他自治体への応援要請  8、協定締結事業者・関係団体・民間事業者への応援要請  9、応援の受入準備 2.仮置場の確保  1、仮置場の必要性の検討および判断  2、候補地の所有者や管理者との調整  3、仮置場の指定・決定  4、周辺住民や市民への説明および周知  5、受入可能廃棄物、受入基準の指定  6、周辺環境対策、環境モニタリング計画の検討 3.仮置場への災害廃棄物搬入   1、仮置場の管理  2、仮置場へ災害廃棄物の搬入  3、避難路および緊急輸送道路の障害物を優先的に搬入  4、危険性・公益性等の観点から順次搬入  5、搬入による交通渋滞を考慮し、搬入時間帯の調整  6、搬入可能廃棄物、搬入受入基準の順守を指導  7、処理、資源化を踏まえ、種類ごとに区分し保管  8、火災防止策、環境モニタリング、悪臭及び害虫防止策等の維持管理対策を実施 4.計画的な収集・運搬・処理の実施  1、広域的な処理を推進し、処理能力不足を補完  2、処理目標期限内に完了しない場合、関係機関と連携し仮設焼却炉等の設置についても検討  3、市民・事業者・関係先への収集・運搬、処理に関する情報の提供、周知 復旧・復興 1.計画的な収集・運搬・処理の実施  1、計画的な収集・運搬、処理の継続  2、復旧・復興状況に応じ、災害対応事業を順次縮小  3、平常業務の再開 2.仮置場の原状復帰  1、災害廃棄物の状況及び収集・運搬、処理の状況を分析  2、復旧・復興状況に応じ、仮置場の閉鎖  3、仮置場の原状復帰、所有者および管理者への返却 3.国庫補助金申請  1、災害等廃棄物処理事業費補助金 2.し尿処理の具体的なスケジュール 項目 業務内容 災害発生直後(初動期・一部応急対応時含む) 1.被害状況の把握  1、し尿処理施設の状況  2、協定締結事業者等の状況 2.被災状況に応じた緊急措置  1、し尿処理施設への一時的な搬入規制 3.情報収集・関係先への連絡 災害廃棄物処理実行計画の策定  1、関係機関、関係団体等への連絡および情報交換  2、避難状況、停電、断水状況等の情報を整理・分析  3、し尿発生量の推計  4、避難場所、避難所におけるトイレの状況を確認  5、確保できる人員・機材等の推定(施設管理委託業者・協定締結事業者)  6、備蓄トイレ設置、市調達トイレの設置、大阪府・関係団体・協定締結事業者への仮設トイレの配備依頼  7、大阪府・関係団体へのし尿収集調整・依頼  8、仮設トイレ配備開始  9、収集方法、収集ルート、配車計画等の設定  10、災害廃棄物処理実行計画の策定 応急対応(前半から後半) 1.処理体制の整備  1、し尿処理施設の応急復旧  2、必要な資機材、人員、燃料、電気等の確保  3、災害時のし尿収集・処理体制の確保  4、広域的な処理体制の検討および確立  5、大阪府、他自治体等への応援要請  6、関係団体・ 民間事業者への応援要請  7、応援の受入準備 2.計画的な収集・運搬、処理の実施  1、計画的な処理の推進  2、処理能力が不足する場合は広域的な処理体制を確立  3、応援の受入 復旧・復興 1.計画的な収集・運搬・処理の実施  1、計画的な収集・運搬、処理の継続  2、広域的な処理の継続  3、復旧・復興状況に応じ、災害対応事業を縮小  4、平常業務の再開 2.国庫補助金申請  1、災害等廃棄物処理事業費補助金  2、廃棄物処理施設災害復旧事業費補助金  3.発災後における災害廃棄物処理実行計画の策定  発災後は、本計画に基づき、災害規模や被災状況を把握し「実行計画」を策定する。実行計画は災害廃棄物処理の基本方針を示すものであり、処理業務の発注や補助金事務に係る資料として活用することができる。  災害廃棄物の発生量や処理状況は、時間の経過とともに変化するため、実行計画は継続的に見直しを行う。   第6節 協力・支援体制  災害の規模、災害廃棄物の発生状況の把握により、本市単独の人員および機材では対応できないと判断した場合は、国・大阪府・他自治体や協定締結事業者、関係団体等との相互応援支援協定等に基づき、協力支援を要請する。  そのため、平時から協定締結を進めるとともに、締結先との間で具体的な内容を定期的に確認して、災害発生時にスムーズに協力要請できるようにする。 1.自衛隊・警察・消防との連携  災害発生当初において、まずは人命救助を優先しなければならない。迅速な人命救助のために、道路上の災害廃棄物の撤去や損壊家屋の解体撤去等を行う必要があるため、自衛隊・警察・消防と連携して情報共有を図る。なお、連携・調整にあたっては、情報の一元化の観点から災害対策本部と調整のうえ行う。 2.国・大阪府との連携  本市が被災した場合、その被害規模に応じて、国や大阪府に対して災害廃棄物処理等に必要な人員の派遣や機材等の提供を要請する。また、災害廃棄物処理の支援団体として、環境省が事務局となり設置された災害廃棄物処理支援ネットワーク(ディー・ウェイスト・ネット)を有効に活用して、災害廃棄物の適正かつ効率的な処理を行う。 注釈:災害廃棄物処理支援ネットワーク(ディー・ウェイスト・ネット)の活用  環境省は、豪雨や地震などに見舞われた地域の災害廃棄物の処理を支援するため、経験豊富な全国の都道府県や市町村の職員を登録し、被災自治体に派遣する人材バンクを設立。2020年度は試験運用。 3.他自治体との連携  本市は、他自治体との間に支援協定を締結しており、本市に被害が発生した場合には協定に基づき、支援を要請するとともに、他自治体に被害が発生した場合には、要請に応じて必要な支援を行う。 表2-5 災害廃棄物処理に関係する他自治体との協定(令和3年1月末現在) 名称 締結日 締結先 応援内容 一般廃棄物(ごみ)処理に係る相互支援基本協定  平成25年3月22日  堺・泉州ブロック(堺市、高石市、和泉市、泉大津市、忠岡町、岸和田市、熊取町、泉佐野市、田尻町、泉南市、阪南市、岬町、泉北環境整備施設組合、岸和田市貝塚市清掃施設組合、泉佐野市田尻町清掃施設組合、泉南清掃事務組合)  災害時の一般廃棄物(ごみ)の処理に係る相互支援 し尿及び浄化槽汚泥の処理に係る相互支援基本協定  平成25年3月22日  泉州地域(高石市、和泉市、泉大津市、忠岡町、岸和田市、熊取町、泉佐野市、田尻町、泉南市、阪南市、岬町、泉北環境整備施設組合、泉佐野市田尻町清掃施設組合)  災害時のし尿等の処理に係る相互支援 4.民間事業者等との連携  災害廃棄物は一般廃棄物に該当するが、産業廃棄物に類似した廃棄物が多いことから、適正かつ迅速な処理を行うために、協定締結事業者の経験・能力を活用し、災害発生時には被害状況に応じて支援を要請する。 表2-6 災害廃棄物処理に関係する事業者との協定(令和3年1月末現在) 名称 締結日 締結先 応援内容 災害時における仮設トイレ等の設置協力に関する協定  平成29年7月19日   ベクセス株式会社   災害時における仮設トイレ等の設置協力 災害廃棄物等の処理に関する基本協定  平成31年3月27日   大栄環境株式会社   災害時における処理実施計画等の策定支援、災害廃棄物の収集・運搬・中間処理・処分及び仮置場の管理運営 災害一般廃棄物の収集運搬救援協定  令和元年11月14日   阪南設備工業株式会社  辻義設備工業株式会社  株式会社コスモエンジニア  橋本金属有限会社  災害時における災害廃棄物の収集運搬 災害時における仮設トイレ等し尿の収集運搬救援協定   令和3年1月4日   阪南設備工業株式会社  辻義設備工業株式会社  株式会社コスモエンジニア   災害時における仮設トイレ等し尿の収集運搬 5.ボランティアとの連携  災害廃棄物の処理が本格化する時期以降、被災家屋の片付けや、粗大ごみ等の搬出に対し多くの人員が必要となることから、ボランティアの協力を要請することも考えられる。  その場合、作業上の注意事項や、災害廃棄物の分別、仮置場の情報を的確に伝えることが重要となり、ボランティアセンター(貝塚市社会福祉協議会)に情報提供を行い、ボランティアへの周知を図る。 6.支援受入体制の整備  災害時に支援を受け入れるにあたり、支援が必要な場所や数量等の正確な情報を把握し、関係機関に情報提供を行う。 7.協力支援体制の強化  平常時から、大規模災害をはじめ多種多様な災害を想定し、適正かつ迅速な処理を行うために協力体制の強化を図る。  協定締結事業者とは、定期的に内容の確認および見直しを行い、協力支援体制の拡充を図る。  専門的技術を有している民間事業者との新たな協力支援体制について検討する。 第7節 市民への啓発・広報  災害の発生時に廃棄物の排出方法に対する市民の理解を得ることや分別排出を徹底するため、市民に対して利用可能なメディアを活用し、必要な情報をできる限り迅速に広報する。  広報媒体としては、テレビ・ラジオなどの公共通信媒体、防災行政無線、広報紙、貼り紙、広報車、ホームページ等を活用する。 第8節 各種相談窓口の設置等  災害の発生時には、多くの市民から、生活を立て直すための相談や苦情が想定されるため、相談窓口の設置を行い、相談記録を整理して、庁内での情報の共有化を図る。また、応援者も即時に正確な対応ができるよう対応マニュアルを作成する。 第9節 災害廃棄物対策の推進・計画の進捗管理  平常時から災害廃棄物処理に係る備えを進め、他自治体・協定締結事業者・市民の連携により災害廃棄物の円滑かつ迅速な処理を通じて早期の復旧・復興につなげるとともに、環境負荷の低減、経済的な処理の実現に努める。 1.計画による実行力の向上  本計画を通じて庁内及び他自治体、協定締結事業者、市民とともに災害への備えの重要性を共有し、それぞれの行動につなげるよう働きかける。  災害時の優先業務を検討・整理し、災害時の行動の強化を図る。   2.情報の共有  これまでの災害廃棄物処理の経験を継承し、経験を生かしていくことで、今後の災害廃棄物処理に係る対応力の向上につなげる。  国・大阪府・他自治体、協定締結事業者等との情報共有やコミュニケーションを図り連携を強化する。 3.進捗管理・評価による課題の抽出  災害廃棄物処理に備えた体制を構築していくため、大阪府・他自治体・協定締結事業者やその他の関係機関・関係団体との連絡を密にする。仮置場候補地の選定等の進捗状況を毎年確認するとともに、大阪府等と課題を共有し、評価・検討を通じて対応能力の向上を図る。  災害発生時の初動期から復旧・復興期までの行動を記録し、災害廃棄物処理における課題の抽出を行う。 4.計画の見直し  環境省の災害廃棄物対策指針の改定や、貝塚市地域防災計画における被害想定の見直し等を踏まえて本計画の見直しを行うこととし、計画の実効性を高める。  災害廃棄物処理に関する他自治体間との協定や民間事業者との協定等の内容及び実効性を確認し、必要に応じて見直しを行う。 第3章 災害廃棄物対策 第1節 想定される災害廃棄物発生量  本市において、上町断層帯地震における災害廃棄物発生量は、105万9千トンと推計されている。  なお、南海トラフ巨大地震においては、災害廃棄物発生量は7万3千トンと推計されており、また津波堆積物の発生が想定され、その最大値(堆積高4.0センチメートル)は、7万9千トンとなっている。 表3-1 災害廃棄物発生量 南海トラフ巨大地震 可燃物 1万5千トン 不燃物 5万8千トン 災害廃棄物発生量 7万3千トン 注釈:南海トラフ巨大地震の可燃物・不燃物は災害廃棄物対策指針を基に算出 上町断層帯地震 可燃物 22万6千トン 不燃物 83万3千トン 災害廃棄物発生量 105万9千トン 中央構造線断層帯地震 可燃物 7万トン 不燃物 24万5千トン 災害廃棄物発生量 31万5千トン 出典:大阪府災害廃棄物処理計画   第2節 収集運搬  災害廃棄物により生活環境に支障をきたさないようにするため、災害発生後は速やかに収集運搬体制を構築し、災害廃棄物を撤去することが重要である。  平常時から収集運搬体制や収集運搬ルートの検討を進めるとともに、協定締結事業者やボランティア等との協力体制の構築を行う。 第3節 仮置場  災害時には、片付けごみやがれきなどの災害廃棄物が大量に排出される。これら大量に排出される災害廃棄物を岸貝クリーンセンターへ直接搬入するとしても、その処理が困難となる場合や岸貝クリーンセンターに向かう搬入路が寸断されて通行が不可能となる場合が考えられ、暫定的に積み置きできる仮置場を確保することが必要となるため、平常時から候補地の検討を行う。  1.仮置場の分類  仮置場は災害の状況に応じて2種類に分類し、仮置場の運用フロー及び設置期間は図3-1及び表3-2のとおりとする。 図3-1 仮置場の運用フロー   表3-2 仮置場の分類と設置期間 名称 定義 設置期間 岸貝クリーンセンターの仮置場 市、協定締結民間事業者、被災者等が生活環境の確保や道路脇等への散乱防止のため、直接搬入する場所 被災直後から必要(被災直後から数か月) 注釈1:市外等から「便乗ごみ(災害廃棄物ではない廃棄物)」の搬入のおそれもあるため、岸貝クリーンセンターでの受付は構成市が担う 注釈2:協定締結事業者が管理運営を行う 市内の仮置場 岸貝クリーンセンターにおいて災害廃棄物の処理及び仮置場の運用が困難な場合に設置する場所 ただし、場内の安全を確保し、効率的に処理を行うため、一般市民の入場は制限する 災害廃棄物を一定期間、分別・保管し処理場へ搬出する場所 岸貝クリーンセンターでの仮置場が利活用不可能になった場合、速やかに必要 注釈1:災害廃棄物発生量や処理完了までの期間を十分考慮して設置の有無を検討することが望ましい 注釈2:協定締結事業者が管理運営を行う 候補地(優先順位) 1、せんごくの杜研修施設広場 2、せんごくの杜旧養護学校跡地 3、二色グラウンド 4、せんごくの杜ドローンフィールド 5、市民ふれあい運動広場 2.仮置場 (1)仮置場候補地の選定  本市は、災害の種類や規模、被災エリアを考慮し、岸貝クリーンセンターの仮置場が利活用不可能となった場合、速やかに仮置場を開設する。災害発生時に開設する市内の仮置場については、平常時から都市公園やグラウンドなど仮置場の検討地をリストアップするとともに、現地調査を行い、有効面積や搬入出入口の形状などの項目で評価し、事前に使用可能な仮置場候補地を選定しておく。  選定については「大阪府計画」を参考とし、候補地については大阪府と情報共有する。 3-3 仮置場選定条件   項目 チェック項目 1 立地条件(周辺環境含む)  ハザードマップ等の確認(河川敷等の危険個所を避ける)  車両が待機できる場所の有無  住宅地や病院等の人通りがある場所までの距離(200メートル以上離れていることが望ましい) 2 前面道路幅  大型車両が通行可能な幅(7メートル以上あることが望ましい) 3 所有者  市有地を優先(国や大阪府の土地も検討する) 4 面積  大量の災害廃棄物が保管できる面積(10,000平方メートル以上あることが望ましい) 5 搬入出口の形状  大型車両が通行可能な幅  搬入と搬出導線が分離可能な搬入出口を確保 6 輸送ルート  高速道路インターチェンジおよび緊急輸送道路までの距離 7 土地の形状  平坦地で障害物がなく形状が整っている土地 8 土地の基盤整備状況  舗装されている土地もしくは敷鉄板等が設置可能な土地 9 設備  水および電気の設備が確保可能 10 地域防災計画等で設定されている指定地  応急仮設住宅や避難所等の指定の有無 (2)仮置場の開設  災害発生時の仮置場の開設は、被災状況や被災エリアに応じて、公共用地から選定し、協定締結事業者からの協力を得て、必要数を設置、開設する。公共用地の中には、仮設住宅建設予定地や自衛隊活動拠点など地域防災計画における防災拠点として位置付けられている場所もあるため、仮置場の開設にあたっては、関係機関と調整の上、利用可能の是非を確認しなければならない。  大規模災害の場合、仮置場は数か月から最大3年程度開設することになるため、場内や周辺の飛散防止など環境対策を行い、適切な管理を実施していくとともに、迅速に災害廃棄物の処理を進めていく。 (3)仮置場内のレイアウト  仮置場は、分別の推進と作業の安全を考慮し、区画や搬入路、人員の配置等を設定する。仮置場内の配置等は表3-4及び図3-2について考慮し設定する。   表3-4 仮置場内の配置等検討のために考慮する点  搬入路は原則として一方通行とし、分岐や合流は少ないことが望ましい。  出入口には誘導員を配置し、事故防止に努める。  仮置場内の搬入・通行路は、大型車が走行できるように整備する。  区画ごとの分別区分を示す配置図や看板を設置する。  火災防止のため、区画と区画は2メートル以上の離隔を設け、積み上げ高さは5メートル以下とする。  汚水の発生等が懸念される場合は、遮水シートを設置するなどによって汚染防止を行う。  不法投棄や資源物の盗難防止のため、敷地境界には仮囲いを設けるとともに、夜間等無人となる場合は施錠する。 図3-2 仮置場のレイアウトイメージ図 分別配置などは例であり、災害の種類や規模、仮置場の場所によって変化する。 災害廃棄物の分別区分は、平常時のごみの分別区分を参考に、処理業者等の関係者と協議して決める。 (4)仮置場必要面積の推計方法  仮置場必要面積については、作業スペースや積み上げ高さを考慮して推計する。算定にあたり大阪府の計画との整合を図る。   (5)想定される災害時の仮置場必要面積  上町断層帯地震での本市の仮置場必要面積は約35ヘクタールと想定される。   表3-5 仮置場必要面積 上町断層帯地震 可燃物  15.07ヘクタール 不燃物  20.19ヘクタール 計  35.26ヘクタール 出典:大阪府災害廃棄物処理計画 (6)仮置場の管理・運営  仮置場を設置する場合は、速やかに協定を締結している民間事業者と協議し、それらの協力を得て必要な機材や人員を確保する。また、周辺環境や安全に十分配慮しながら災害廃棄物の受入、分別、積込みや搬出などスムーズな運営を行う。 1、必要資機材の確保  仮置場の運営に必要な資機材は以下のとおりである。平常時から関係機関および業界団体と災害支援・応援に係る協定を締結し、必要資機材の手配方法を定めるとともに、本市が保有する資機材について保管場所を記載した一覧表を作成し、定期的に保管状況を確認する。 表3-6 仮置場の必要資機材 重機   フォーク付きバックホウ、ショベルローダー、グラップル等(仮置場内分別品目の整理、積み上げ、粗選別、搬出車両への積込等で使用) 受付機材   搬入者の受付場所(雨天時を考慮したユニットハウス等)、受付台等 看板等掲示板   分別区分を示した立て看板、仮置場内配置図、持ち込み禁止物や便乗ごみ持込等注意喚起する掲示板 門、フェンス等   不法投棄防止のため周囲を囲うフェンス、車両通路のぬかるみ防止用の敷材等 二次災害防止  害虫防止用薬剤、消火器 作業員詰所   ユニットハウス、電源、仮設トイレ等 その他   カラーコーン、誘導矢印、デジタルカメラ等 2、仮置場の管理人員の確保  仮置場への便乗ごみの搬入や不法投棄防止のため、必要な人員を配置する。また過去の被災地では、仮置場周辺で搬入車両による渋滞が問題となっていることから、車両誘導・交通整理人員などを配置し、スムーズな搬入出が行える体制を整える。  必要な人員は、職員のほか、協定に基づく支援、ボランティアや国・大阪府・他自治体からの応援職員などにより確保し、常時複数人が作業にあたれる体制を構築する。 3、搬入・搬出管理  仮置場へ搬入する車両に関して、受付で搬入台数のカウント、搬入車や搬入物の確認を行い、災害廃棄物ではない廃棄物や市外からの搬入防止を徹底する。また、災害廃棄物の種別や搬入量を管理するため、搬入車両の荷台の写真撮影を行う。  仮置場からの搬出にあたっては、搬出車両の台数と積込容量の確認を行い、写真撮影や確認結果を記録する。また、仮置場内にトラックスケール等を設置して、搬出量を計量し、処分量の把握を行う。   4、留意事項  仮置場の管理・運営にあたっての留意事項は表3-7のとおりである。災害発生後は、仮置場の周辺状況等に応じて、環境保全対策や安全対策を行う。   表3-7 仮置場の管理・運営にあたって留意する事項 環境リスク対策   低騒音型重機使用による騒音対策、飛散防止ネットや散水による大気汚染対策、消石灰・消毒剤等散布による悪臭対策等を実施する。 火災防止対策   仮置場に積み上げられる可燃性廃棄物は、高さ5メートル以下、一山あたりの設置面積を200平方メートル以下にする。積み上げられる山と山との離隔距離は2メートル以上とする。 災害廃棄物の分別   可能な範囲で分別を行う。応援職員等との連携を図り、災害廃棄物早見表を配布して作業を行う。 仮置場の安全管理   肌の露出を避ける服装、マスク、ヘルメット、軍手、ゴム手袋、ゴーグル、安全靴(踏み抜き防止インナー)を着用する。 その他   野焼き禁止の広報を行う。  必要に応じて遮水シート等の敷設により、地下水汚染防止対策を実施する。  管理者等を常駐させ、便乗ごみ排出防止や分別指導等を行う。 (7)仮置場の閉鎖  仮置場を閉鎖するにあたり、土壌分析等を行い、土地の安全性を確認し、必要に応じて仮置場の原状復帰後、土地管理者に返却する。     図3-5 仮置場の管理・運営状況の参考例 1、仮置場入口の看板(平成30年7月豪雨の愛媛県大洲市の写真) 2、仮置場での分別案内(平成29年九州北部豪雨災害の大分県日田市の写真) 3、仮置場での荷降ろし(平成30年7月豪雨の広島県三原市の写真)  4、仮置場での積込作業(平成30年7月豪雨の岡山県倉敷市の写真) 5、家電5品目置き場(平成30年7月豪雨の岡山県倉敷市の写真)  6、処理困難物、危険物の分別状況(平成30年北海道胆振東部地震の北海道安平町の写真)    出典:災害廃棄物対策フォトチャンネル 第4節 分別・処理・再資源化  1.災害廃棄物の処理方法  災害廃棄物の処理は、環境負荷の低減や資源有効活用の観点から可能な限りリサイクルを推進する。災害廃棄物の処理フローは図3-6を基本とするが、実際の被害状況や発生量に基づき適宜見直しを行う。  本市は、収集運搬車両として使用できる車両も少なく、中間処理施設及び最終処分場を保有していないことから、民間事業者等による処理委託の可能性を考慮して、平常時から連携体制の構築について検討する。    図3-6 災害廃棄物の処理フロー    なお、処理フローの基本となる災害廃棄物の種類別の処分方法及び留意事項は表3-8のとおりである。共通する留意事項として、災害廃棄物に付着又は含有されている土砂や水分については、可能な限り事前に除去することが重要である。また、土砂についてはトロンメルやスケルトンバケットによる分離、水分についてはテント等による雨からの遮へいなどが有効である。  さらに、写真、位牌等の個人にとって価値があると認められるものについては、廃棄物とは分別して保管し、所有者等に引き渡す機会を設ける。   表3-8 災害廃棄物の種類別処分方法及び留意事項 災害廃棄物の種類 処分方法及び留意事項 可燃物 廃畳   破砕後に焼却処分する。畳は自然発火による火災の原因となりやすいため、高く積み上げないよう注意する。また腐敗による悪臭が発生するため、迅速に処理する。 布・布団類   焼却処分する。 廃タイヤ   破砕(チップ化)し、燃料等として再資源化を行う。 その他の可燃物   有害廃棄物や危険物を優先的に除去し、再資源化が可能な木くず、コンクリートがら、金属くずなどを抜き出し、トロンメルやスケルトンバケットにより土砂を分離した後、同一の大きさに破砕し、選別(磁力選別、比重差選別、手選別等)を行う。 木くず  前処理としてトロンメルやスケルトンバケットにより付着土砂等の分離を行い、破砕して燃料等として再資源化を行う。 不燃物   破砕選別、手選別等により極力リサイクルに努め、残渣は埋立て処分する。 コンクリートがら等   破砕し、土木資材として再資源化する。 金属くず   製鉄原料として再資源化する。 廃家電製品 家電4品目  他の廃棄物と分けて回収し、家電リサイクル法に基づき製造事業者等に引き渡してリサイクルする。この場合、製造事業者等に支払う引渡料金は原則として国庫補助の対象となる。一方、過去の災害では、津波等で形状が大きく変形した家電リサイクル法対象物については、破砕して焼却処分を行った事例もある。 小型家電   小型家電リサイクルの認定事業者に引き渡してリサイクルを行う。 腐敗性廃棄物  腐敗性の強い廃棄物は、可能な限り早い段階で焼却する。また、焼却処分までに腐敗が進行する恐れがある場合には、緊急的な措置として、消石灰の散布などを行う。 廃自動車等  自動車リサイクル法によりリサイクルする。所有者または自動車リサイクル法の引取事業者に引き渡す。具体的な手順については「東北地方太平洋沖地震により被災した自動車の処理について」(平成23年3月 環境省)を参考にする。 有害廃棄物 石綿含有廃棄物   他の災害廃棄物と混合して保管せず、破砕することなく、埋め立て処分を行う。 廃石綿等   原則として仮置場に搬入せず、二重梱包等の適切な処理を行ったうえで、埋め立て処分、溶融処理を行う。 トリクロロエチレン等  埋立処分基準を超えるトリクロロエチレンを含む汚泥等については焼却処分を行う。 PCB廃棄物   所有者が判明しているものについては、PCB保管事業者に引き渡す。所有者不明のものについては、PCB濃度を測定し、判明した濃度に応じて大阪府ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画に基づき処分する。 廃農薬類   販売店、メーカー等に回収を依頼し、回収ができない場合には、廃棄物処理事業者に処理(焼却処分等)を委託する。 その他処理が困難な廃棄物 危険物   消火器は日本消火器工業会、高圧ガスはエルピーガス協会、フロン・アセチレン等は製造事業者などに引き渡す。 石膏ボード   石綿を含有するものについては、適切に処理、処分を行う。石綿を含んでいないものに関しては再資源化を行う。製作された年代や石綿含有の有無のマークを確認し、処理方法を判断する。 太陽光発電設備   感電等防止のため、他の廃棄物と分別して保管し、廃棄物処理事業者に処理を委託する。具体的な手順については、「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン(第一版)」(平成28年3月)を参考とする。 第5節 有害廃棄物・危険廃棄物の対策  有害性・危険性がある廃棄物のうち、産業廃棄物(特別管理産業廃棄物を含む)に該当するものは、事業者の責任において処理することを原則とする。また、一般廃棄物に該当するものは、排出に関する優先順位や適切な処理方法等について市民に広報する。  廃農薬・薬品等の有害性物質や消火器、高圧ガスボンベ等の危険性がある廃棄物は、生活環境保全及び作業環境安全の観点から他の災害廃棄物と分けて収集・保管し、専門機関・専門業者へ委託して適正処理を行う。 第6節 アスベスト対策  仮置場で飛散性アスベストや非飛散性アスベストを保管する場合には、飛散対策を講じた上で、他の廃棄物と混同しないよう適切に管理する。  非飛散性アスベストであるか疑わしい建材については、石綿の飛散防止の観点から、石綿含有建材と見なして仮置きする。 表3-9 アスベストを保管する上での注意事項 仮置場で保管する上での注意事項 飛散性アスベスト  二重梱包して封入する。  仮囲いや屋根等を設けて風雨にさらされない環境で保管する。 非飛散性アスベスト  トラック等に踏まれて破損しないように保管場所を設ける。  湿潤化した上で可能な限り袋詰めにする。  トラックからの荷降ろしは手作業で行い、破損しないようにダンプアップはしない。 第7節 思い出の品等(取扱いに配慮が必要な廃棄物)  災害廃棄物を撤去する際には、思い出の品や貴重品、遺品を取扱う必要があることを前提に取扱いルールに従い搬出する。   第8節 環境対策・モニタリングの実施  労働災害や周辺環境への影響を防ぐために、仮置場など処理の現場において、環境対策やモニタリングを実施する。  環境対策は、大気質、騒音、振動、土壌など、水質等への影響を低減し、臭気発生を抑制する措置を講じる。また、環境モニタリングは環境対策の効果を検証するために実施する。環境基準を超過するなど周辺環境への影響が大きいと考えられる場合には、環境影響を最小限に抑える対策を検討する。なお、被害状況や災害廃棄物の処理の進捗に応じてモニタリング項目や頻度等を選定する。 第9節 避難所におけるごみ処理  避難所ごみを含む生活ごみは、仮置場に搬入せず既存の施設で処理を行うことを原則とするが、次の事項を勘案して、避難所ごみの計画的な収集運搬・処理を行う。 1、避難所ごみの一時的な保管場所の確保(焼却等の処理前に保管が必要な場合) 2、国・大阪府・他自治体からの応援を含めた収集運搬および処理体制の確保    避難者数及び避難所の設置数や場所に基づき、収集ルートを決定し、収集運搬を迅速に開始できるように、平常時から避難所の場所を把握するとともに、過去の浸水被災例や貝塚市洪水ハザードマップ等を確認しておく。  収集ルートは、可能な限り平常時のルートに避難所を組み込んで行うこととするが、道路の不通等 によって平常時より収集効率が低下することを考慮し、収集車両の増車や臨時の排出場所を設定することなどの対応策を検討する。なお、本市の収集能力が不足する場合には、他自治体や民間事業者に支援を要請し、収集運搬体制の確保に努める。 1.想定される災害時の避難所ごみ発生量  避難所におけるごみ発生量は以下のとおりとなる。  ただし、避難所収容人数は、時間の経過とともに変化するため、避難所ごみ発生量についても時間の変化を考慮する。 表3-10 避難所ごみ発生量(上町断層帯地震) 避難所ごみ発生量 1日あたり 10.8トン (参考) 家庭ごみ1人1日当たりの排出量  667グラム 避難所への避難者数  16,183人 注釈:環境省一般廃棄物処理実態調査結果(平成30年度)における貝塚市の1人1日あたりのごみ排出量と地域防災計画を基に算出 第10節 仮設トイレ  災害発生時には、避難所の断水やライフラインの被害により水洗トイレが使用できない在宅避難者のために仮設トイレ等を設置し、し尿を処理する必要がある。上町断層帯地震において、本市は災害発生当初は多くの世帯で上水道が断水する(7.6万人)と想定されているため、平常時から仮設トイレ等の備蓄や収集ルートの検討を行う。  災害発生後は被害状況に応じて、避難所等に設置する仮設トイレの必要基数を推計し、避難生活に支障をきたさないよう速やかに設置する。設置後は計画的に管理し、実態に即したし尿の収集・処理を行う。  1.仮設トイレの設置  これまでに様々な簡易トイレ、仮設トイレが開発されてきており、高齢者、障害者や女性に配慮したトイレや水を使用しないし尿分離トイレ等もある。災害発生時に仮設トイレを設置する避難所等のアクセスや用地、給水の可否、給電の可否、排水の可否など状況に応じて適切なトイレを選定する。  仮設トイレの設置後、衛生管理のための消臭剤や消毒剤の確保および供給をはじめ、適切な使用方法、維持管理方法の伝達についても留意が必要である。本体以外に準備が必要とされる備品、消耗品例を表3-11に記載する。 表3-11 仮設トイレ設置時に必要な備品・消耗品例  消臭剤  トイレットペーパー  ポータブルトイレ(容器が満杯になると不衛生となるため使い方に注意)  仮設トイレ用滞留物撹拌棒(非水洗式の場合)   不凍液(自動車用ウォッシャー液で代用可)  組立式トイレ設置マニュアル  し尿凝固剤  おむつ(子供・高齢者用、サイズ等考慮)  生理用品  子供用便座  お湯  ウェットティッシュ  清掃用具  衛生管理用の使い捨てビニール手袋等   出典:避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン(内閣府) 2.想定される災害時の仮設トイレ必要基数  上町断層帯地震発生時の仮設トイレ必要基数は以下のとおりとなる。なお、仮設トイレ必要者数は、時間の経過とともに変化するため、仮設トイレ必要基数についても時間の変化を考慮して追加や撤去を行うことが望ましい。 表3-12 仮設トイレ必要基数 仮設トイレ必要基数  568基 (参考) 避難所への避難者数  16,183人 断水による仮設トイレ必要人数  26,439人 仮設トイレ必要者数  42,622人 注釈:貝塚市地域防災計画による 水洗化率等 令和元年度の水洗化状況 水洗化率 89.2パーセント 非水洗化率  10.8パーセント 上町断層帯地震における断水率  85.0パーセント 注釈: 水洗化率とは、平常時に水洗トイレを使用する人口の割合 第11節 災害時のし尿収集必要量  上町断層帯地震発生時のし尿収集必要量は以下のとおりとなる。仮設トイレ必要者数や非水洗化区域し尿収集人口は時間の経過とともに変化するため、し尿収集必要量についても時間の変化を考慮する。   表3-13 災害時のし尿収集必要量 し尿収集必要量 1日あたり131キロリットル 参考 し尿1人1日当たりの排出量  2.62リットル 仮設トイレ必要者数  42,622人 非水洗化区域し尿収集人口  7,507人 注釈:環境省「日本の廃棄物処理」より 第12節 し尿処理体制 1.収集運搬体制  本市の平常時におけるし尿収集は、全て許可業者が担っており、本市でし尿収集車両を保有していない。そのため、災害時に被災者の生活環境に支障をきたさないように、災害発生直後から収集運搬及び処理を行うため、平常時からし尿収集運搬許可業者と調整のうえ、保有する収集車両台数や処理体制を確認する。  災害発生後は、被害状況や仮設トイレの設置場所等を踏まえて、収集運搬体制を構築するが、必要に応じて、国・大阪府・他自治体や協定締結事業者に応援を要請し、収集運搬体制の確保に努める。 2.処理体制  収集したし尿の処理については、平常時と同様の処理を行う。ただし、上町断層帯地震など処理能力を超過するし尿が発生すると想定される場合は、大阪府を通じて他自治体の協力を得て処理を行う。