貝塚市災害廃棄物処理計画【概要版】 計画策定の背景及び目的  近年、全国各地で地震や大雨、台風等の大規模自然災害が多発している。近い将来には貝塚市においても南海トラフ巨大地震、上町断層帯地震による最大震度5強〜震度6強の地震発生が高い確率で予想される中、災害発生時の廃棄物処理が課題となっている。  貝塚市では、想定される災害に対する事前の体制整備を中心に、災害廃棄物の適正かつ円滑・迅速な処理を推進するため、国の「廃棄物の減量その他その適正な処理に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な方針」(以下、「基本方針」という。)に基づいた「貝塚市災害廃棄物処理計画」(以下、「本計画」という。)を策定する。 計画の位置づけ  本計画は、国の「基本方針」、「災害廃棄物対策指針」や大阪府の「災害廃棄物処理計画」と整合を図りつつ、「貝塚市地域防災計画」「貝塚市一般廃棄物処理基本計画」を補完するものである。  災害廃棄物処理に係る各種計画・指針等の関係については次のとおりである。    大きく分けて三つの流れがあり、1「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下「廃棄物処理法」という)」に関連する流れ、2「災害対策基本法(昭和36年法律第223号。復興段階では大規模災害復興法)」に関連する流れ、3「基本方針」に関連する流れである。 1、廃棄物処理法に関連する流れ  国は「廃棄物処理法」、「基本指針」及び「廃棄物処理施設整備計画」を定めており、これらに基づき大阪府は「廃棄物処理計画」を、本市においては「一般廃棄物処理基本計画」を策定している。 2、災害対策基本法に関連する流れ  国は「災害対策基本法」、「防災基本計画」を策定しており、これらに基づき、大阪府は「地域防災計画」を、本市においても「地域防災計画」を策定している。 3、基本方針に関連する流れ  国が定める「基本方針」、「大規模災害発生時における災害廃棄物対策行動指針」に基づき、大阪府は「大阪府災害廃棄物処理計画」を策定しており、本市はこのたび「貝塚市災害廃棄物処理計画」を策定し、「貝塚市地域防災計画」と「貝塚市一般廃棄物処理基本計画」を補完した。  なお、災害発生時には情報収集を行った上で、本計画に基づき災害廃棄物の発生量推計や具体的な処理体制等の検討を行い、災害廃棄物処理実行計画としてとりまとめる。 想定する災害と災害廃棄物発生量、対象とする廃棄物  本市に大きな影響を与えると想定される地震は、南海トラフ巨大地震、上町断層帯地震及び中央構造線断層帯地震である。  本計画では、本市の被害が最も大きいと考えられる上町断層帯地震を想定し処理方法を検討した。    貝塚市地域防災計画および大阪府災害廃棄物処理計画による想定は次のとおりである。 想定地震 南海トラフ巨大地震  地震の規模 マグニチュード9.1 本市の震度 5強から6弱 建物被害計 4,999棟 避難所生活者数 8,378人 災害廃棄物発生量 7万3千トン 上町断層帯地震  地震の規模 マグニチュード7.5から7.8 本市の震度 5強から6強 建物被害計 16,174棟 避難所生活者数 16,183人 災害廃棄物発生量 105万9千トン 中央構造線断層帯地震  地震の規模 マグニチュード7.7から8.1 本市の震度 5強から6強 建物被害計 6,057棟 避難所生活者数 6,090人 災害廃棄物発生量 31万5千トン 対象とする災害廃棄物の種類と内容は次のとおりとする。 避難所ごみ  避難所から排出されるごみ し尿  仮設トイレ等からのくみ取りし尿 その他の災害廃棄物  自然災害に直接起因して発生する廃棄物のうち、生活環境保全上の支障に対処するため、本市がその処理を実施するもの(例えば、コンクリートがら、瓦、金属くずなど) 災害廃棄物処理の基本的な考え方  本市の災害廃棄物処理に係る基本方針は次のとおりとする。 1)迅速な対応や処理  災害廃棄物の処理においては、発生状況、道路や廃棄物処理施設の復旧状況など、様々な状況が刻々と変化するため、常に最新の情報を得て分析・判断を行い、迅速な対応を行う。 2)計画的な対応や処理  仮置場を適正に配置し、最大限効率的な処理体制を構築するため、廃棄物処理施設の処理能力の的確な把握に努める。被害が甚大で、廃棄物処理施設での対応が困難となる場合には、他自治体等への協力要請を検討する。 3)衛生的な処理  災害時には、一度に多量の廃棄物が発生するが、衛生的な生活環境の確保を重要な課題として位置付けて対応を行う。 4)安全な作業の確保  災害廃棄物の収集運搬、処分では、通常の廃棄物処理とは異なる事態の発生が予想されるため、収集運搬中や仮置場での作業中の安全を確保するために必要な備品の手配及び管理状況の把握を徹底し、作業の安全性確保を図る。 5)環境に配慮した処理  災害廃棄物の処理にあたっては、石綿飛散防止対策、有害廃棄物・処理困難物の適正保管・処理、不法投棄の防止等、環境保全に配慮した対応を行う。  また、仮置場の設置・運営にあたっては、土壌汚染防止など、周辺環境に配慮した運用に努めるとともに、火災防止、保管廃棄物の飛散防止、衛生状態の保持の措置等、十分な対策を行う。 6)リサイクルの推進  災害廃棄物は、可能な限り発生現場で分別を行うことを基本とする。また、迅速な処理を行うとともに再資源化に配慮した処理方法を選択することで、災害廃棄物のリサイクル推進と埋立処分量の軽減に努める。   7)国・大阪府・他自治体との連携  本市において甚大な被害が発生した場合には、近隣自治体でも同様の被害が想定される。そのため、国や大阪府、他自治体からの要請に対しても可能な範囲で重機、車両等の手配の調整など連携を図る。 災害廃棄物の流れ  災害時の生活ごみなどの処理は原則通常のとおりとし、可能な限り収集運搬や処理を行う。  被災地で集められた災害廃棄物を仮置場まで運搬し、種類や性状に応じて破砕や選別処理等を行う。  災害廃棄物処理の流れは下記のとおりとなる。  災害廃棄物の発生  災害が起こった場合、戸建てや集合住宅などの家庭や、事業所や工場など事業者から災害廃棄物が発生する。 仮置場での集積や分別等  発生した災害廃棄物は仮置き場で集積や分別等を行う。  仮置き場への運搬方法は、家庭の場合は市民が自ら運搬する場合と、市や協定締結事業者、国、大阪府、他自治体の応援者が運搬する場合があり、事業者の場合は、事業者が自ら運搬・処理する必要がある。また、事業者の災害廃棄物は、民間処理施設等に直接搬入する場合もある。  仮置場の設置場所は、岸和田市貝塚市クリーンセンター(以下、岸貝クリーンセンターという)内を想定しているが、岸貝クリーンセンターのみで処理が困難となる場合や、搬入路が通行不可能となった場合は、市内の候補地の中から仮置場を設置する。 処理や処分  災害廃棄物の処理は、可燃物等は岸貝クリーンセンターに運搬して焼却処理やリサイクルを行い、不燃物等については、民間処理施設等で埋立等の適正な処理を行う。 組織体制  災害発生時において、膨大な量の災害廃棄物の処理が必要な場合、本計画及び地域防災計画に基づき、災害廃棄物対策チームを設置して災害廃棄物の適正な処理を行う。また、必要に応じて国・大阪府・他自治体・その他関係機関等とも連携を図る。  貝塚市災害対策本部に、危機管理室長・総務市民部長・都市整備部長からなる災害廃棄物対策チームを置き、危機管理室が担当する総合調整班が必要に応じて、国・大阪府・他自治体・その他関係機関等と連絡調整を行い、総合調整班内に広報、渉外担当を置く。  ごみ処理班は廃棄物対策課が担当し、ごみ処理計画調整担当とごみ処理収集運搬担当を置く。  し尿処理班は環境衛生課が担当する。 時間軸を見据えた対応  災害廃棄物の処理にあたっては、「初動期」「応急対応の前半」「応急対応の後半」「復旧や復興」の四つの時期区分の特徴を踏まえた対応を進めることとする。  「初動期」は時間の目安としては数日間で、人命救助が優先される時期である。被害状況の把握・確認、必要資機材の確保、実行計画の策定等を行う。    「応急対応の前半」は、時間の目安としては災害発生3日から3週間程度で、避難所生活が本格化する時期である。体制の整備、公衆衛生確保、道路啓開など、優先的に処理が必要な災害廃棄物の処理を行う。  「応急対応の後半」は、時間の目安としては「応急対応の前半」終了から3か月程度で、人や物の流れが回復する時期である。災害廃棄物の本格的な処理に向けた準備を行う。    「復旧や復興」は、時間の目安としては「応急対応の後半」終了から3年程度で、避難所生活が終了する時期である。一般廃棄物の通常業務化が進み、災害廃棄物の本格的な処理を行う。 協力・支援体制  災害の規模、災害廃棄物の発生状況の把握により、本市単独の人員や機材では対応できないと判断した場合は、国・大阪府・他自治体や民間事業者などとの協定等に基づき支援を要請する。 市民への啓発や広報、各種相談窓口の設置  災害の発生時に廃棄物の排出方法に対する市民の理解を得ることや分別排出を徹底するため、市民に対して利用可能なメディアを活用し、必要な情報をできる限り迅速に広報する。  災害の発生時には、多くの市民から、生活を立て直すための相談や苦情が寄せられることが想定されるため、相談窓口の設置を行い、相談記録を整理して、庁内での情報の共有化を図る。 仮置場  仮置場は災害の状況に応じて岸貝クリーンセンターと市が設置する2種類に分類する。 岸貝クリーンセンターの仮置場  市、委託業者、被災者等が生活環境の確保や道路脇等への散乱防止のため、直接搬入する場所。  設置期間  被災直後から数か月 注釈1、市外等から「便乗ごみ(災害廃棄物ではない廃棄物)」の搬入の恐れも多いため、岸貝クリーンセンターでの受付は構成市が担う。 注釈2、協定締結事業者が管理運営を行う。 市内の仮置場  岸貝クリーンセンターにおいて災害廃棄物の処理及び仮置場の運用が困難な場合に設置する場所。  ただし、場内の安全を確保し、効率的に処理を行うため、一般市民の入場は制限する。  災害廃棄物を一定期間、分別や保管をし、処理場へ搬出する場所。  設置期間  岸貝クリーンセンターでの仮置場が利活用不可能になった場合、速やかに設置する。  注釈1、災害廃棄物発生量や処理完了までの期間を十分考慮して設置の有無を検討することが望ましい。  注釈2、協定締結事業者が管理運営を行う。  候補地の優先順位は下記の通りである。 1、せんごくの杜研修施設広場 2、せんごくの杜旧養護学校跡地 3、二色グラウンド 4、せんごくの杜ドローンフィールド 5、市民ふれあい運動広場 避難所ごみやし尿  避難所ごみを含む生活ごみは、原則仮置場に搬入せず既存の施設で処理を行う。  災害発生時には、避難所の設置数や場所に基づき、収集運搬や処理体制を構築するとともに、収集運搬や処理能力を超過する場合には、国・大阪府・他自治体や協定締結事業者等に支援を要請して対応を行う。