岸和田市貝塚市斎場整備に係る生活環境影響調査のあらまし

生活環境影響調査項目
　生活環境影響調査項目は、「廃棄物処理施設生活環境影響調査指針（平成18年9月環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部）を参考に選定を行い、新斎場施設の整備という事業特性及び計画地の地域特性を考慮して、大気質、騒音、振動、悪臭、交通量、景観を選定した。
　なお、水質に関しては、施設での水の使用は給湯室、洗面所、トイレ等の一般生活排水のみであり、火葬炉設備において排水が発生しないことから選定しなかった。

表　生活環境影響調査項目の選定
調査事項生活環境影響要因

生活環境影響調査項目火葬炉
からの
排ガス施設排水の排出施設の
稼働施設からの悪臭の漏洩施設利用車両の
走行大気環境大気質二酸化硫黄（SO2）○●二酸化窒素（NO2）○●○●浮遊粒子状物質（SPM）○●○●塩化水素（HCl）○●ダイオキシン類○●騒音騒音レベル○●○●振動振動レベル○●○●悪臭特定悪臭物質濃度
または臭気指数（臭気濃度）○●○●水環境水質生物化学的酸素要求量（BOD）
または化学的酸素要求量（COD）○浮遊物質量（SS）○ダイオキシン類○交通量交通量の変化●景観景観の変化●注）表中の〇は指針の項目を、●は今回選定した生活環境影響調査項目を示す。

大気質
1. 火葬炉からの排ガスによる影響
 (1) 影響の回避又は低減に係る分析
　火葬炉からの排ガスによる影響は、環境保全措置を講じることにより、回避・低減が図られると予測される。
　＜環境保全措置＞
　・再燃焼炉からの排ガスを急速に冷却し、ダイオキシン類の再合成を防止する排ガス冷却設備を設置する。
　・排ガス中の微粒子のダスト・飛灰を除去するため、高効率な集じん装置を設置する。
　・再燃焼した排ガスに残留するダイオキシン類を分解除去する触媒装置を設置する。

 (2) 生活環境保全上の目標との整合性に係る分析
　予測結果は、いずれの項目も生活環境保全上の目標との整合が図られると予測される。


表　火葬炉からの排ガスによる長期平均濃度の予測評価結果（最大濃度）
項　目長期平均濃度（年平均値）環境保全目標現況値予測結果適合状況年平均値98％値等二酸化硫黄（ppm） 0.04以下0.0020.00240.005○二酸化窒素（ppm） 0.06以下0.0090.01270.038○浮遊粒子状物質（mg/m3） 0.10以下0.0160.01610.039○ダイオキシン類（pg-TEQ/m3）0.6以下0.0270.0285－○備考）1.環境保全目標との適合状況は、二酸化硫黄、二酸化窒素、浮遊粒子状物質では「98％値等」、ダイオキシン類は「年平均値」が対象である。
　　　2.表中の現況値には、次の値を用いた。
　　　　二酸化硫黄：岸和田中央公園局の2019年度の年平均値
　　　　二酸化窒素：貝塚市消防署局の2019年度年の年平均値
　　　　浮遊粒子状物質：貝塚市消防署局の2019年度の年平均値
　　　　ダイオキシン類：現地調査結果の期間平均値

　　　表　火葬炉からの排ガスによる短期平均濃度の予測評価結果（最大濃度）
項　目短期平均濃度（1時間値）環境保全目標現況値予測結果適合状況1時間値二酸化硫黄（ppm）0.1以下　0.0040.0104○二酸化窒素（ppm）0.2以下　0.0270.0804○浮遊粒子状物質（mg/m3）0.2以下　0.0390.0411○塩化水素（ppm） 0.02以下＜0.0010.0117○備考）表中の現況値には、次の値を用いた。
　　　　二酸化硫黄：岸和田中央公園局の2019年度の日平均値の2％除外値
　　　　二酸化窒素：貝塚市消防署局の2019年度の日平均値の98％値
　　　　浮遊粒子状物質：貝塚市消防署局の2019年度の日平均値の2％値除外値
　　　　塩化水素：現地調査結果の日平均値の期間最大値

2. 施設利用車両による影響
 (1) 影響の回避又は低減に係る分析
　施設利用車両による影響は、環境保全措置を講じることにより、回避・低減が図られると予測される。
　＜環境保全措置＞
　・計画地へのアクセスは、3方向のアクセス道路を使い分けるよう葬儀業者に要請し、施設利用車両の分散を図る。

 (2) 生活環境保全上の目標との整合性に係る分析
　予測結果は、生活環境保全上の目標との整合が図られている。

表　施設利用車両による予測評価結果（岸和田三ケ山線沿道）
項目環境保全目標現況値予測結果適合状況年平均値98％値等二酸化窒素（ppm） 0.06以下0.0090.00920.021～0.022○浮遊粒子状物質（mg/m3） 0.10以下0.0160.01600.041○備考）1.環境保全目標との適合状況は、「98％値等」が対象である。
　　　2.表中の現況値には、貝塚市消防署局の2019年度年平均値を用いた。


騒音
1. 施設の稼働による影響
 (1) 影響の回避又は低減に係る分析
　施設の稼働による影響は、環境保全措置を講じることにより、回避・低減が図られると予測される。
　＜環境保全措置＞
　・排気筒は、排気に伴う騒音の発生防止を考慮した構造とする。
・各送風機類は、できるだけ低騒音、低振動タイプを使用する。また、外部への騒音の伝達防止対策を行う。
・施設の構造形式は、建築物内の各種騒音の伝搬を抑えやすい鉄筋コンクリート造とする。

 (2) 生活環境保全上の目標との整合性に係る分析
　予測結果は、生活環境保全上の目標との整合が図られている。

表　施設の稼働による予測評価結果（計画地敷地境界）
予測地点　新斎場施設計画地敷地境界　北側　東側　南側　西側　４箇所
環境保全目標　55デシベル以下
予測結果　すべて適合



2. 施設利用車両による影響
 (1) 影響の回避又は低減に係る分析
　施設利用車両による影響は、環境保全措置を講じることにより、回避・低減が図られると予測される。
　＜環境保全措置＞
　・計画地へのアクセスは、3方向のアクセス道路を使い分けるよう葬儀業者に要請し、施設利用車両の分散を図る。

 (2) 生活環境保全上の目標との整合性に係る分析
　予測結果は、生活環境保全上の目標との整合が図られている。

表　施設利用車両による予測評価結果（岸和田三ケ山線沿道）
予測地点　官民境界
時間区分　昼間
環境保全目標　75デシベル以下
予測結果
施設利用車両以外　71デシベル
施設利用車両　57デシベル
合成値（供用時）　71デシベル
施設利用車両による増分　0デシベル
適合状況　〇


振動
1. 施設の稼働による影響
 (1) 影響の回避又は低減に係る分析
　施設の稼働による影響は、環境保全措置を講じることにより、回避・低減が図られると予測される。
　＜環境保全措置＞
　・各送風機類は、できるだけ低騒音、低振動タイプを使用する。また、外部への振動の伝達防止対策を行う。
　・施設の構造形式は、建築物内の各種振動の伝搬を抑えやすい鉄筋コンクリート造とする。

 (2) 生活環境保全上の目標との整合性に係る分析
　予測結果は、生活環境保全上の目標との整合が図られている。

表　施設の稼働による予測評価結果（計画地敷地境界）
予測地点　新斎場施設計画地敷地境界　北側　東側　南側　西側　４箇所
環境保全目標　60デシベル以下
予測結果　すべて適合






2. 施設利用車両による影響
 (1) 影響の回避又は低減に係る分析
　施設利用車両による影響は、環境保全措置を講じることにより、回避・低減が図られると予測される。
　＜環境保全措置＞
　・計画地へのアクセスは、3方向のアクセス道路を使い分けるよう葬儀業者に要請し、施設利用車両の分散を図る。

 (2) 生活環境保全上の目標との整合性に係る分析
　予測結果は、生活環境保全上の目標との整合が図られている。

表　施設利用車両による予測評価結果（岸和田三ケ山線沿道）
予測地点　官民境界
時間区分　昼間
環境保全目標　65デシベル以下
予測結果
施設利用車両以外　60デシベル
施設利用車両　48デシベル
合成値（供用時）　60デシベル
施設利用車両による増分　0デシベル
適合状況　〇



悪臭
1. 火葬炉からの排ガスによる影響
 (1) 影響の回避又は低減に係る分析
　火葬炉からの排ガスによる影響は、環境保全措置を講じることにより、回避・低減が図られると予測される。
　＜環境保全措置＞
　・主燃焼室は、室内に燃焼空気を供給して不完全燃焼・燃え残りの生じない構造とする。
　・排ガス中の微粒子のダスト・飛灰を除去するため、高効率な集じん装置を設置する。
　・空調設備や換気設備は、特に告別室兼収骨室、エントランスホール、霊安室、炉室等は、焼香及び火葬に係る臭気等に配慮する。

 (2) 生活環境保全上の目標との整合性に係る分析
　予測結果は、生活環境保全上の目標との整合が図られている。

表　火葬炉からの排ガスによる予測評価結果（最大値）
項目環境保全目標現地調査結果予測結果適合状況臭気指数10未満10未満10未満○

2. 施設からの悪臭の漏洩による影響
 (1) 影響の回避又は低減に係る分析
　施設からの漏洩による影響は、環境保全措置を講じることにより、回避・低減が図られると予測される。
　＜環境保全措置＞
　・火葬台車は臭い及び汚汁の浸透を防止する。
　・空調設備や換気設備は、特に告別室兼収骨室、エントランスホール、霊安室、炉室等は、焼香及び火葬に係る臭気等に配慮する。

 (2) 生活環境保全上の目標との整合性に係る分析
　予測結果は、生活環境保全上の目標との整合が図られている。

表　施設からの漏洩による予測評価結果
項目環境保全目標現地調査結果予測結果適合状況臭気指数10未満10未満10未満○









交通量
1. 施設の稼働による交通への影響
 (1) 影響の回避又は低減に係る分析
　施設の稼働による影響は、環境保全措置を講じることにより、回避・低減が図られると予測される。
　＜環境保全措置＞
　・計画地へのアクセスは、3方向のアクセス道路を使い分けるよう葬儀業者に要請し、施設利用車両の分散を図る。

 (2) 生活環境保全上の目標との整合性に係る分析
　予測結果は、生活環境保全上の目標との整合が図られている。

表　施設供用時の交差点需要率の評価結果
予測地点環境保全目標予測結果適合状況現況値施設供用時畑町の交差点0.9以下0.240 0.240○斎場前の交差点0.344 0.358○　　　　　備考）環境保全目標との適合状況は、「施設供用時」が対象である。


景観
1. 施設の稼働による景観への影響
 (1) 影響の回避又は低減に係る分析
　施設の稼働による影響は、環境保全措置を講じることにより、回避・低減が図られると予測される。
　＜環境保全措置＞
　・計画地は風致地区内にあり、また岸和田市景観計画において「里の景観区」に位置していることから、地形や植生の保全に配慮し、周辺に調和した景観形成を目指す。心安らかに過ごせる空間となるよう、造成計画、建築物の配置・デザイン、緑化計画、その他の外構を含めて総合的に計画を行う。

 (2) 生活環境保全上の目標との整合性に係る分析
　次頁のとおり、新斎場入口からの景観は、現況の景観からは大きく変化するものと予測され、大阪緑ヶ丘からの景観の変化は小さいものと予測された。
　新斎場施設の整備にあたっては、地形や植生の保全に配慮し、周辺に調和した景観形成を目指し、心安らかに過ごせる空間となるよう、造成計画、建築物の配置・デザイン、緑化計画、その他の外構を含めて総合的に計画を行うことから、生活環境保全上の目標とした岸和田市景観計画に基づく「里の景観区」の基本目標及び基本方針との整合が図られる。









現　況施　設
供用時図　新斎場入口の景観変化









現　況施　設
供用時図　大阪緑ヶ丘の景観変化


総合評価
　本事業による影響の分析を実施した結果、いずれの項目についても生活環境への影響は、環境保全措置を講じることにより回避・低減が図られるとともに、生活環境保全上の目標との整合が図られていると予測・評価された。