


岸和田市・貝塚市新斎場整備基本計画









令和２年11月

岸　和　田　市　・　貝　塚　市
　








目　　次
はじめに	1
第1章	既存施設の概要	2
1-1	（岸和田市）既存施設の概要	2
1-2	（岸和田市）既存施設履歴	2
1-3	（貝塚市）既存施設の概要	3
1-4	（貝塚市）既存施設履歴	3
1-5	火葬件数の整理	4
第2章	必要火葬炉数の算定	5
2-1	必要火葬炉数の算定	5
第3章	斎場建設に伴う法的基準等と候補地	15
3-1	斎場建設に伴う関係法令等	15
　3-2　 計画候補地の選定....................................................... 16
  3-3   候補地に関する関係法令等............................................... 16
第4章	新斎場整備における基本的な考え方	19
4-1	新斎場整備における基本的な考え方	19
第5章	火葬炉設備	20
5-1	火葬炉設備の構成	20
5-2	排気方式	22
5-3	運転方式	23
5-4	防音防振装置	23
5-5	付帯機器	23
第6章	斎場施設整備	25
6-1	新斎場整備における基本的な考え方と施設整備の構成	25
6-2	火葬部門及び待合部門の整備の考え方	26
6-3	式場の検討	27
6-4	建築物規模の設定	27
6-5	平面図案	28
6-6	建築面積案	30
6-7	動線の考え方	31
6-8	建築構造案	31
6-9	建築電気設備	32
6-10	建築機械設備	32
6-11	消防設備	34
6-12	外構・景観計画	35
6-13	防災計画	35
6-14	駐車場規模	36
6-15	周辺整備計画	37
6-16	敷地造成案	37
6-17	緑化計画	39
  6-18	全体配置図.............................................................. 41
6-19	既存斎場解体撤去	42
6-20	概算工事費	45
6-21	ランニングコストの検討	46
6-22	事業工程	47
第7章	環境対策の検討	50
7-1	環境基準等環境保全目標値の検討	50
7-2	その他特に留意すべき環境対策	53
7-3	環境影響評価の実施方針案の検討	53
第8章	事業手法の検討	54
8-1	斎場の事業方式の特徴	54



はじめに
　
　今後わが国は、超高齢社会の進展に伴い、火葬需要が急速に増大すると予測されています。
　そのようななか、岸和田市及び貝市の市立斎場は、稼働開始後、長年が経過しており、定期的な点検とメンテナンスを実施してきたところですが、今後増大する火葬需要への対応が課題となっています。
　平成30年、両市は斎場に関する課題を解決するために広域連携勉強会を立ち上げ、新斎場の共同整備について検討して参りました。令和元年、同勉強会検討内容を踏まえ、「岸和田市及び貝市による斎場の広域連携手法の調査・研究」を実施し、両市共同で新斎場整備を行うことのメリットを確認しました。
　このたび、両市共同で新斎場整備を行うにあたり、基本的な考え方や、火葬炉数等の施設の基本的条件、今後の事業スケジュール等を具体的に定めた新斎場整備基本計画を策定しました。
今後は、この基本計画をもとに、人生の終焉、最後のお別れの場にふさわしく、将来の火
葬需要に対応し、市民が安心して利用できる斎場整備を進めて参ります。
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　


第1章 既存施設の概要
1-1 （岸和田市）既存施設の概要
　既存施設の概要を表 1-11に示す。
表 1-11　（岸和田市）既存施設概要一覧表
No項　　　目概　　　　　要1名　称岸和田市立斎場2所在地大阪府岸和田市流木町1092番地の13竣工年月昭和46年5月　4稼動年数49年5敷地面積7,226.44㎡6建築面積655.50㎡7延床面積561.50㎡8構　造鉄筋コンクリート造平屋建、鉄骨造平屋建9火葬棟・火葬炉10基（普通炉9基、大型炉1基）、汚物炉1基、
　小型火葬炉1基
・エントランスホール、炉前ホール、霊安室、職員控室（事務室）、
　電気室、更衣室等10待合棟なし11式場棟なし12付帯設備駐車場：面積約410㎡
その他13その他燃料：灯油
1-2 （岸和田市）既存施設履歴
　既存施設の履歴を表 1-21に示す。
表 1-21　（岸和田市）既存施設の履歴
年　月　日履　　歴昭和46年5月31日岸和田市立斎場供用開始昭和60年再燃焼炉10基増設、汚物炉入替、燃料を灯油へ変更平成 3年再燃焼炉付小型火葬炉1基の新設
1-3 （貝塚市）既存施設の概要
　　既存施設の概要を表 1-31に示す。
表 1-31　（貝塚市）既存施設概要一覧表
No項　　　目概　　　　　要1名　称貝塚市立斎場2所在地大阪府貝塚市橋本967番地の13竣工年月昭和57年12月4稼動年数38年5敷地面積2,321.90㎡6建築面積457.75㎡7延床面積436.84㎡8構　造鉄筋コンクリート造平屋建9火葬棟・火葬炉5基、予備スペース1基、汚物炉1基
・炉前ホール、前室、霊安室、仮納骨室、炉室、制御室、事務室、
　倉庫等10待合棟待合ホール11式場棟なし12付帯設備駐車場：面積約350㎡・駐車数12台
その他13その他燃料：灯油
1-4 （貝塚市）既存施設履歴
　既存施設の履歴を表 1-41に示す。
表 1-41　（貝塚市）既存施設の履歴
年　月　日履　　歴昭和57年12月25日貝塚市立斎場竣工


1-5 火葬件数の整理
１） 実績の整理
　両市火葬件数の実績を表 1-51に示す。
表 1-51　当施設の火葬実績（平成26～ 30年度）
単位：件






　　　　

２） 経年変化（平成26～30年度）
(1) 人体火葬件数
　両市の人体火葬件数の経年変化を図 1-51に示す。
　













図 1-51　人体火葬件数の経年変化



第2章 必要火葬炉数の算定
2-1 必要火葬炉数の算定
　必要火葬炉数の算定は、火葬場の建設・維持管理マニュアル（特定非営利活動法人日本環境斎苑協会）（以下「マニュアル」という。）を参考に、図 2-11に示す手順で行う。その後、地域の葬送慣習を考慮した火葬スケジュール等を検討した上で、計画火葬炉数を算定する。
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　

図 2-11　必要火葬炉数算定のフロー
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　

１） 人口の予測
　人口の予測は、新斎場の稼働開始を令和8年（2026年）と仮定し、建築物の設計耐用年数（火葬炉設備の概ね2倍の50～60年）を考慮して、令和7年（2025年）から令和67年（2085年）まで行った。
　人口推計結果は、表 2-11に示すとおり減少傾向にある。令和67年（2085年）における予測の総人口は、岸和田市が88,151人、貝塚市が44,095人、両市合計が132,246人となった。（コーホート要因法の推計は、添付資料参照）
表 2-11　人口推計結果（単位：人）
















２） 年間死亡者数の予測
　死亡者数は、国立社会保障・人口問題研究所の死亡率（死亡中位・出生中位）の推計値を用いて予測した。予測結果を表 2-12に示す。年間死亡者数のピーク時期は、令和17年（2035年）である。
表 2-12　年間死亡者数の予測結果
 


図 2-12　年間死亡者数の推計グラフ

３） 必要火葬炉数の算定
　将来の死亡者数の予測を踏まえ、必要となる火葬炉数の算出を行う。
　理論的必要炉数は、マニュアルを参考に以下の式により算出する。

　　　　　　　　　　　　集中日の火葬件数e
　理論的必要炉数＝　1基1日あたりの平均火葬数h

　　　　　　　　　　（日平均取扱件数d）×（火葬集中係数g）
　　　　　　　　＝　1基1日あたりの平均火葬数h

　　　　　　　　　　（年間火葬件数c）÷（稼働日数f）×（火葬集中係数g）
　　　　　　　　＝　1基1日あたりの平均火葬数h

　試算条件を以下のとおり設定する。
　
(1) 火葬集中係数（g）
　火葬集中係数　＝　1.75　（両市の過去実績及びマニュアルより1.75）
　※1　火葬集中係数は、過去実績及びマニュアルを参考に、想定する。
　なお、火葬炉数に対する規模別分類（大、中、小）は日本環境斎苑協会ヒアリングに基づく。
　小規模（1～3基）：2.0～2.25、中規模（4～9基）：1.75～2.0、大規模（10基以上）：1.5～1.75
　　　
(2) 年間稼働日数（f）
　年間稼働日数　＝　364日（両市の最大稼働実績日数）
　
(3) 持込率（b）
　持込率　＝　1.0251（両市の火葬件数、死亡者数実績より算出）

(4) 1基1日あたりの平均火葬数（h）
　1基1日あたりの平均火葬数　＝　2.0（1基1日あたり2件と設定）
　
　
　
　
　
　
　
　
　
(5) 理論的必要炉数の算定
　理論的必要炉数を図 2-13に示す。
　死亡者数がピークとなる時期の理論的必要炉数は9基と見込まれる。
　　　
図 2-13　理論的必要炉数 
(6) 計画火葬炉数
　ここでは、前項で検討した理論的必要炉数を参考に、火葬炉7基～9基について、本地域の葬送慣習を考慮したタイムスケジュールを検討し、実際に設置する計画火葬炉数を算定する。なお、岸和田市と貝塚市における火葬実績から火葬集中係数を算出したところ、1.80であり、理論的必要炉数の算定時に設定した1.75と大きな違いがないことを確認した。
　
　火葬のタイムスケジュール案は、既存施設のスケジュール、近隣市や葬儀業者のヒアリング結果を参考に以下に示す条件にて検討する。
　
①　近隣市の事例から、増加する火葬需要に対応するため、火葬開始時間は30分間隔とする。
　②　葬儀業者の告別式対応状況から、火葬時間は10:00～18:00とする。
　③　遺族の希望の多い時間帯（11:30～16:30）に火葬枠を多くとる。
　④　受付及び告別時間は、既存施設の利用時間と同程度で15分とする。
⑤　火葬＋冷却の時間は、遺体重量80kg 以下の場合、火葬時間が主燃バーナ着火から消火までの時間（60 分）と冷却時間（炉内冷却＋前室冷却）（30 分）を考慮し、90分とする。
　⑥　収骨時間は、既存施設の利用時間と同程度で15分とする。
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　

① 火葬タイムスケジュール（7基）
　火葬炉7基の場合のタイムスケジュール案を図 2-14に示す。
　11:30～16:30の時間帯で9件の火葬が可能となる。
　検討の結果、1日の最大火葬件数17件を実施するためには、最終の収骨時間が19時頃となり、対応ができない。
　
　
図 2-14　火葬タイムスケジュール（7基）
　
　また、臨時（災害時）火葬タイムスケジュール案を図 2-15に示す。
　
　　　　　　　　図 2-15　臨時（災害時）火葬タイムスケジュール案（7基）
　
　
　
② 火葬タイムスケジュール（8基）
　火葬炉8基の場合のタイムスケジュール案を図 2-16に示す。
　11:30～16:30の時間帯で10件の火葬が可能となる。
　検討の結果、1日の最大火葬件数17件を実施するためには、最終の収骨時間が18時頃となり、対応が可能である。
　
図 2-16 火葬タイムスケジュール（8基）
　
　また、臨時（災害時）火葬タイムスケジュール案を図 2-1に示す。
　
　　　　　　　　　図 2-17　臨時（災害時）火葬タイムスケジュール案（8基）
③ 火葬タイムスケジュール（9基）
　火葬炉9基の場合のタイムスケジュール案を図 2-18に示す。
　11:30～16:30の時間帯で11件の火葬が可能となる。
　検討の結果、１日の最大火葬件数17件を実施するためには、最終の収骨時間が17時頃となり、対応が可能である。
　
　
図 2-18 火葬タイムスケジュール（9基）












　また、臨時（災害時）火葬タイムスケジュール案を図 2-1に示す。
　
　　　　　　　　　　図 2-19　臨時（災害時）火葬タイムスケジュール案（9基）


　以上の火葬タイムスケジュールの検討結果から、火葬炉数は8基か9基が適当である。
　さらに、定期的な火葬炉のメンテナンスや、バグフィルター等の万一の故障を想定すると、1基もしくは2基が運転できなくなる可能性がある。その場合、7基であれば最終の収骨時間がさらに遅くなる。8基や9基であれば運用を工夫することで、最終の収骨時間を変えることなく対応することが可能である。また、財政負担の軽減を図るため、火葬炉を効率的、効果的に運用することとし、本計画では火葬炉数を8基と設定する。
　なお、動物炉は既存施設同様、1基設置する。
　
　
　計画火葬炉数　人体炉8基・動物炉1基
　
　
　
　
　
　
　
　
第3章 斎場建設に伴う法的基準等と候補地
3-1 斎場建設に伴う関係法令等
　斎場に関係する主な法律は、墓地、埋葬等に関する法律、建築基準法、都市計画法等がある。
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
図 3-11　斎場建設に伴う関連法令

１） 墓地、埋葬等に関する法律
　墓地、埋葬等に関する法律第10条では、「・・・火葬場の施設を変更し、又は・・・ 火葬場を廃止しようとする者」は、都道府県知事の許可を得なければならないと定められている。この場合における許可の基準は、各地の火葬需要、風俗習慣、宗教感情、地理的条件によって異なるものであり、全国一律の基準がないため都道府県知事の裁量に委ねられている。
　なお、平成23年法改正に伴い、平成24年4月からその許可に係る権限は市長に移譲されている。
　
(1) 墓地、埋葬等に関する法律施行条例
① 岸和田市について
　岸和田市墓地、埋葬等に関する法律施行条例では、斎場を新たに整備する場合、住宅及び病院等の敷地から100ｍ以上離れていなければならないとされている。
　
② 貝塚市について
　貝塚市も岸和田市と同内容の貝塚市墓地、埋葬等に関する条例を定めている。
　斎場計画の際は、条例等にも十分留意する必要がある。
　
２） 建築基準法
　斎場施設の建築は、建築基準法で都市計画においてその敷地の位置が決定していることが求められている。

３） 都市計画法
　都市計画法第11条第1項第7号に、都市計画に火葬場を定めることができると規定され、同条第2項に、都市計画に火葬場を定める場合は、都市施設の種類、名称、位置、区域及び面積を定めるものと規定されている。
　
3-2 計画候補地の選定
１） 岸和田市域における候補地の考え方
　　平成29年３月に策定の岸和田市斎場整備基本構想では、表3-1-1に示す検討結果となった。
表 3-11　候補地比較検討表







２）貝塚市域における候補地の考え方
　現斎場の敷地は狭く、その他の公有地は「貝塚市墓地、埋葬等に関する条例」で住宅や病院、学校、福祉施設などの敷地から100メートル以上離れていなければならないと規定されており、この基準を満たす適地がなかった。

 ３）計画候補地
以上のことから、現岸和田市立斎場の近隣用地を本計画候補地とする。
　
3-3 候補地に関する関係法令等
 １）都市計画法
　本計画候補地のうち、現岸和田市立斎場の敷地以外の部分は、火葬場として都市計画決定されていない。このため、当該場所に両市共同で斎場を建設する場合は、両市での都市計画の変更手続きが必要となる。
　
　
　
 ２）土地利用規制
　本計画候補地の土地利用規制の該当有無を表 3-31に示す。なお、本計画候補地の区域区分は、都市計画区域内の市街化調整区域、宅地造成工事規制区域となっている。
表 3-31　計画候補地の土地利用規制
項　　　目本計画候補地
（該当の有無）１）保安林区域の有無無２）農業振興地域の有無無３）文化財の有無無４）砂防指定区域の有無無５）地すべり危険地区の有無無６）地域森林計画区の有無無７）急傾斜地崩壊危険区域の有無無８）山腹崩壊危険区域の有無無９）風致地区の有無有１０）景観計画区域の有無有１１）土壌汚染対策法該当の有無有
(1) 風致地区
　　本計画候補地は、岸和田市及び貝塚市の両市域にまたがる風致地区（海岸寺山風致地区）に指定されており、都市の風致を維持するため、建築物の建築、宅地の造成、木竹の伐採その他の行為について、大阪府風致地区内における建築等の規制に関する条例の規定に基づく規制の対象となっている。
　なお、市が行う行為については、建築物の建築等の行為の許可を受けることを要しないが、あらかじめ、知事等（本計画に関しては市長）に協議が必要であり、その行為の許可に係る基準に準拠することが求められる。
　　
(2) 景観計画区域
　　本計画候補地は、岸和田市景観計画における「里の景観区」に位置し、残された自然と農村集落景観を保全するため、建築物の建築、土地の形質の変更の行為について、岸和田市景観条例に基づく事前協議と、景観法に基づく景観計画区域内行為の通知が必要となる。

(3) 土壌汚染対策法
 本計画にあっては、3,000㎡以上の土地の形質変更を伴うことから、土壌汚染対策法の規定に基づく当該土地の形質の変更の場所、着手予定日等の届出が必要となる。また大阪府生活環境の保全等に関する条例の規制に基づき、土地の利用履歴調査の報告が必要となる。
 なお、平成28年度、岸和田市流木町土地利用履歴調査を実施した。その結果、昭和39年から昭和44年には塵芥焼却場として、昭和46年から現岸和田市立斎場として利用されていることが分かり、その土地はダイオキシン類について、「汚染土壌が存在するおそれがあると認められる土地」として土壌汚染状況調査を実施することが望ましいということが分かった。
 これを受け、令和元年度、岸和田市立斎場敷地における土壌汚染状況調査（表層及び深度調査）を実施した。その結果、表層調査では、ダイオキシンは検出されなかった。一部区画において特定有害物質（水銀、鉛、ふっ素）の基準不適合が判明した。その区画について深度調査を行ったところ、深さ１メートル地点で基準に適合しない区画（ふっ素）が確認されたが、1メートルよりも深い地点では確認されなかった。また、地下水についても、基準値を超える物質は検出されなかった。






























第4章 新斎場整備における基本的な考え方
4-1 新斎場整備における基本的な考え方
　本検討では、新斎場整備における６つの基本的な考え方について検討した。以下にその概要を示す。
　
１） 最後のお別れの場にふさわしい施設
　誰にでも訪れる人生の終焉、その最後のお別れの場にふさわしいやすらぎと品位を持った施設づくりを進める。

２） 故人を偲び、悲しみを癒し、慈しみを感じる施設
　大切な人を偲び、送る場としてお別れの悲しみに対する癒しと、悲しみを乗り越えていこうとする慈しみを与える施設づくりを進める。
　一連の葬送行為を個別性の高い空間で行えるよう、会葬者の動線及び諸室の配置等を考慮し、プライバシーを確保した施設づくりを進める。
　また、すべての人が快適に利用できるようユニバーサルデザインを採用し、利用者ニーズを踏まえたスペース及び機能を備えた施設づくりを進める。

３） 人と環境にやさしく、誰からも愛され大切にされる施設
　周辺環境と調和し、地域に受け入れられるとともに、自然と共生する施設づくりを進める。
　乳幼児から高齢者、障害者に至るまで、誰もが心安らかで安心して快適に過ごせる、誰からも愛され大切にされる施設づくりを進める。

４） 将来の火葬需要に対応した施設　　　　　　　　　　　　
　高齢化の進行に伴い、増加する火葬需要に対応できる施設、運営方式を検討する。
　
５） 維持・管理費が低コストの施設　　　　　　　　　　　　
　省エネ・省資源及び高耐久な構造体と内外仕上げ材の使用等、維持・管理費の削減を目指す。
　
６） 災害時にも対応可能な施設　　　　　　　　　　　　
　災害に強い構造（耐震、免震）を検討するとともに自家発電設備を設置し、停電時でも一定期間は火葬することができる施設とする。




　
第5章 火葬炉設備
5-1 火葬炉設備の構成
　火葬炉設備は、安定した燃焼状態を保持しつつ、遺体等が完全に骨・灰になるよう完全燃焼できる能力を有するものとする。
　また、耐久性を備えた設備・装置で構成し、特に排ガス処理対策に万全を期すものとする。
　なお、ダイオキシン類については、平成12年3月に厚生省生活衛生局から「火葬場から排出されるダイオキシン類削減対策指針」が出されており「日常的に使用される火葬場」については、その適用を受けることとなっている。
　一般的な火葬炉設備の構成を図 5-11に示す。























※直接通気方式の例
図 5-11　火葬炉設備の構成（立面図）


火葬炉設備の構成（図 5-11）についての説明を以下に示す。
① 火葬炉
　火葬炉は、1つの主燃焼室に対して、1つの再燃焼室を設置する。また、主燃焼室は、速やかな昇温と安定燃焼を行うため、主燃焼室内に燃焼空気を供給して不完全燃焼・燃え残りの生じない構造とするとともに、炉体強度は熱歪み及び外力に対して充分な強度を有するものとする。
　
② 前室
　火葬炉の予備室と火葬後の冷却室兼用の室であり、主燃焼室の前面に設けた室である。燃焼直後の台車等を収容し、冷却できる室とする。
　
③ 排ガス冷却設備
　再燃焼炉からの排ガスを急速に冷却し、ダイオキシン類の再合成を防止する排ガス冷却設備を設置する。

④ 集じん装置
　燃焼において発生する燃焼ガス中のばいじん等を設定されたガス量の範囲において指定された基準値以下になるよう除去する装置である。排ガス中の微粒子のダスト・飛灰を除去するため、高効率な集じん装置を設置する。
　
⑤ 触媒装置
　再燃焼した排ガスに残留しているダイオキシン類を分解して除去する装置を設置する。
　
⑥ 排風機
　最大排ガス量に対し、15～30％の余裕を考慮し、適切な炉圧を維持できる能力を有するものとし、風量制御はインバータによる制御とする。
　
⑦ 排気筒
　耐震性、耐食性、耐熱性を有し、排気に伴う騒音の発生防止、雨水の浸入防止を考慮した構造とし、建物から突出しない短煙突型排気筒とする。
　
⑧ 空気送風機
　　燃焼に必要な空気を供給するための送風機とする。
　
⑨ 動力制御盤
　火葬設備への電力供給と動力をコントロールできる盤とする。あわせて、各設備の稼働状況が確認できるよう配慮する。
5-2 排気方式
　火葬炉設備の排気方式は、火葬炉2基に対し、排ガス冷却設備、集じん装置及び誘引排風機等の排ガス処理設備を1系統設置する「2基1系統」とする。
　2基1系統の排気系統のフローを図 5-21に示す。
　





























図 5-21　2基1系統のフロー
　
5-3 運転方式
　運転方式は火葬炉の燃焼自動化システムを基本とする。
　この場合、自動燃焼システム本体とそれを支える燃焼空気供給制御システム及び炉内圧力制御システムが必要となる。
　
１） 自動燃焼システム
　自動燃焼システムは、制御用コンピュータに必要なデータを取り込み、これを解析して、燃焼・排気設備の機器を同時に制御する。

２） 燃焼空気供給制御システム
　燃焼空気供給制御システムは、十分な余裕を持った燃焼空気送風機とインバータを使って、吐出空気の圧力を一定に制御し、コントロールモータ付ダンパによって風量をコントロールできるものとする。
　
３） 炉内圧力制御システム
　炉内圧力制御システムは、インバータを用いて排風機の回転数を連続制御し、炉内圧制御ダンパと組み合わせて2つの火葬炉の炉内圧を制御する。

5-4 防音防振装置
　各送風機類（燃焼用空気送風機、冷却用送風機、熱交換器用送風機等）は、できるだけ低騒音、低振動タイプを使用する。
　また、防音壁、防音扉にて外部への騒音・振動の伝達を防止する。

5-5 付帯機器
１） 柩運搬車
　バッテリー駆動の自走式運搬車とする。
　運搬車の走行、柩の昇降は電動式とし、遺族及び会葬者の目に触れるものであるため、美観的に優れた材質を使用する。
　
２） 残灰吸引設備
　残灰用、飛灰用で各1系統設置し、直接手にふれることなくダストを吸引して残灰室まで真空輸送する設備とする。
　
３） 火葬台車
　臭い及び汚汁の浸透を防止し、かつ、長寿命のキャスタブル（耐火物）構造とする。
　車輪及び軸受には耐熱性に優れた材質を使用し、台車車輪冷却装置を設置する。
　　　
　　　
４） 収骨用台車運搬車
　火葬台車を収骨室まで運搬する設備であり、収骨の雰囲気に調和した構造及び材質とする。
　　　
５） 燃料タンク及び燃料ポンプ（自家発電機用）
　自家発電機への燃料供給を安定的に行えるものとし、消防法等に適合したものとする。
　































第6章 斎場施設整備
6-1 新斎場整備における基本的な考え方と施設整備の構成
　施設整備は、以下に示す基本的な考え方で立案する。
　・無煙、無臭化を図る等、機能と設備に最新の技術を取り入れ、環境保全を最重点に
　　考える。
　・周辺の自然環境と調和のとれた建物とする。
・建物は、全体に明るく清潔であると同時に、内部が厳粛な雰囲気をもったものとし、参列者が来場から収骨後の退場までスムーズに利用できるように配慮する。
・また、火葬から収骨までの時間の流れの中で、静的な雰囲気を保つとともに、遺族のプライバシーが保たれる配置とする。

１） 施設整備の構成
　斎場は、大きく分けて、火葬、待合、管理の3部門から構成される。各部門の概要を以下に示す。
　
(1) 火葬部門
　火葬部門は、斎場施設の主となる施設であり、入場から告別・収骨までの火葬業務を行う場所である。
　施設は、エントランスホール、告別室・収骨室、霊安室、その他（通路・階段等）等から構成する。
　
(2) 待合部門
　待合部門は、告別の後、遺族等の会葬者が収骨までの間一時的に休憩を行う場所であることから、遺族の悲しみをやわらげるような雰囲気を醸し出す質の高い空間構成が望ましい。施設は、待合ホール（待合コーナー）、待合室、湯沸室、キッズコーナー、トイレ、倉庫、業者控室、その他（通路・階段等）等から構成する。
　
(3) 管理部門
　管理部門は、火葬作業、火葬場の管理・運営を行う場所である。
　施設は、炉室、炉機械室、残灰室、台車庫・倉庫、電気室、発電機室、空調機械室等、事務室、制御室、更衣室、トイレ、湯沸室、その他（通路等）等から構成する。
　近年はコンピュータ化された受付・運営支援システムの導入等により事務処理の効率化を図る。




6-2 火葬部門及び待合部門の整備の考え方
　火葬部門と待合部門の整備の考え方を以下に示す。
　
１） エントランスホール
　エントランスホールは、火葬が重複した場合に混雑が予想されるため、可能な限り広いスペースを確保する。
　
２） 告別室・収骨室
　一般的に告別室・収骨室は、施設の効率的運営の観点から炉2～3基で１室（告別室兼収骨室）、7～10基で5室程度配置される。今回の計画では、告別室・収骨室は、炉数2基に対して、1室配置を基本とする。
　
３） 待合ホール（待合コーナー）
　待合ホールは、厳粛な空間構成であるばかりでなく、会葬者に充分な憩いと休息及び安らぎを提供する場である。このため、できる限り広い空間を確保する。
　
４） 待合室
　近年の新設火葬場では、60～80分で火葬が終了しており、遺族は収骨までの時間を待合室で過ごすことになる。通常、待合室は、清掃時間も考慮して必要炉数と同数が設置されることが多い。本計画では、近隣市のヒアリング結果も参考に待合室数を設定する。
　
(1) 　近隣市の状況
　近隣市の待合部門の概要を表 6-21に示す。
　各市とも、待合室数は火葬炉数以下となっている。
表 6-21　近隣市の待合部門状況
　
　
　近年、火葬時間の短縮、「家族葬」の増加等により、待合室利用者は増加傾向にある。
　本計画では、他市の状況や、火葬の重複が最大6件であることを勘案し、火葬炉数の80％の6室と設定する。その他、子どもが快適に過ごせるようキッズコーナーを設置する。
6-3 式場の検討
　近年の新たな葬儀形態として、「家族葬」及び「直葬」が増加している。
　「家族葬」は、近親者のみで執り行う葬儀であり、その内容は一般的な葬儀と大きく変わらないが、小人数による小規模な通夜・告別式を行う。
　「直葬」は、通夜・告別式を省き、火葬のみを執り行う葬儀である。死亡場所から斎場へ直接搬送する場合のほか、一度自宅を経由する場合がある。
　「家族葬」及び「直葬」が増加した場合、新たに生じる利用者ニーズへの対応が必要となる。特に通夜・告別式を省略し、火葬直前において十分な最後のお別れ時間を希望する葬家に対しては、こうした行為に伴う時間及びプライベート空間を準備する必要がある。
　本計画では、両市域に十分な数の民間式場があることから、式場は設置しないが、多目的室を設置し、増加している直葬や市に申し込んで行う簡易な葬儀を執り行える場所を提供する。
　
6-4 建築物規模の設定
１） 施設面積の設定条件
　施設面積は、マニュアルを参考に、以下の条件で設定する。
　①　風除室は、柩台車等の長さを考慮し、奥行きを3.0ｍとする。
②　エントランスホールは、風雨時の利便性及び通路としての利用を考慮し、奥行きを4.5ｍとする。
③　待合室面積は、１会葬あたりの会葬者数を概ね30人と想定し、１人あたりの面積を1.5㎡（マニュアル1.3～1.5㎡）として設定する。
　④　1階炉機械室寸法は、炉芯間を3.0～3.3ｍとし、奥行きを10ｍとする。
⑤　1階炉機械室上部は、高性能集じん器の設置を前提に、奥行きを15ｍとする。

２） 配置形式・主要構成の設定
　配置形式・主要構成は、マニュアルの基数別の配置形式・主要構成を参考に設定する。
　
　
　
　








6-5 平面図案
　平面図案を図6-5-1から図6-5-2に示す。 

































図 6-51　1階平面図案


































図 6-52　2階平面図案
6-6 建築面積案
　建築面積案を表 6-61に示す。
表 6-61　建築面積案

































6-7 動線の考え方
　建物は告別、火葬、収骨を行う火葬部門と待合のための待合部門に大別されることから、動線の想定は、以下の点に留意する。
　①　告別前の会葬者、遺族等と収骨後の会葬者、遺族等が交錯しないように配慮する。
　②　火葬部門と待合部門の間には、会葬者の緊張を和らげるような空間を設ける。
　③　待合室は、グループ別に火葬が終了するまで待てる広さとする。
④　管理事務室は、敷地内における会葬者の出入り、葬送の動線が把握でき、火葬許可証の受取りがしやすい位置に設ける。
⑤　高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律及び大阪府福祉のまちづくり条例に定める基準（移動と円滑化基準）に適合したものとする。

6-8 建築構造案
１） 耐震性能
　斎場の耐震性能については、建築基準法以外、法令上の規定がない。そこで本計画では、耐震安全性の分類を「官庁施設の総合耐震・対津波計画基準（国土交通省）」を適用することを前提とし、その適用する建築物の分類と耐震安全性の目標を、危険物を貯蔵又は使用する建築物に位置づけられた施設として下記のとおり設定する。
　　
対象部位耐震安全性の分類構造体Ⅱ類建築非構造部材A類建築設備甲類　　
２） 基礎構造
　基礎構造は、今後の地質調査結果により、最適な形式を設定する。
　また、基礎構造は、その損傷等により、鉛直力、水平力、地盤の液状化等による影響に対して十分安全な構造とする。さらに、大地震動に対して鉛直方向の耐力低下がなく、上部構造の機能に有害な影響を与えないものとする。

３） 構造形式
　施設の構造形式は、防火区画を形成しやすいこと、建築物内各種振動・騒音の伝搬を抑えやすいことに留意し、他の火葬場において採用実績の多い、鉄筋コンクリート造とする。





6-9 建築電気設備
１） 受変電設備
　受電設備は、電気事業法等関係法令を遵守し、適切な規模のものを設置する。また、保守点検、維持管理が容易となるよう計画する。
　
２） 発電設備
　災害時等、インフラ途絶となった場合に対応するため、非常用の発電設備を設置する。発電設備の能力は、関係法令等に定めのある機器類の予備電源装置として設置するとともに、施設内の重要負荷への停電時送電用として設置した上で、火葬炉設備と火葬業務遂行のために最低3日間以上、施設を稼働できる容量とする。
　
３） 誘導支援設備
　エレベーター、トイレ等に、異常があった場合に表示窓の点灯と音等により知らせることのできる呼出ボタン等の設備を設置する。事務室への移報・表示を行うことで、安全性を確保する。

6-10 建築機械設備
１） 空調設備
　空気調和設備は、建築基準法、消防法、エネルギーの使用の合理化等に関する法律等の関連法令の定めるところにより、熱環境・室内環境及び環境保全性が図られるよう計画する。
　また、特に告別室兼収骨室、エントランスホール、霊安室、炉室等は、焼香及び火葬に係る臭気等に配慮する。
　炉室は、室内温度が高くなることから良好な室内作業環境を確保する。
　
２） 換気設備
　換気設備は、建築基準法等の関係法令の定めるところにより、各室に必要な換気設備を設置する。
　特に、告別室、収骨室、霊安室、炉室等は、火葬場の特性を考慮して換気量の設定及び脱臭設備の設置等を検討する。
　外気取入口及び排気口の位置は、周囲への影響等を考慮し、各室について臭気、熱気等がこもらないよう、また、騒音についても十分配慮する。
　
３） 排煙設備
　自然排煙を基本とし、建築計画に応じて必要箇所に機械排煙を設ける。


４） 自動制御設備
　集中監視盤（建築設備用、空調・換気等）は、1 階事務室に壁掛けタイプ（総合盤埋め込み）を計画する。

５） 給水設備
　給水設備は、建築基準法、消防法等の関連法令の定めるところにより、施設利用者の安全及び環境保全性が図られるよう計画する。
　
(1) 水道引込管の検討
　水道引込管の口径は、時間平均予想給水量から設定する。
　時間平均予想給水量Qh(L/h)＝Vd/T
　Vd：1日使用水量(L/日)
　T：1日使用時間（ｈ/日）（9とする。）
　
① 1日使用水量の計算
　1日使用水量は、給水器具数から算出する。
　算出は「建築設備設計基準　平成30年度版」（国土交通省、公共建築協会著）およびメーカーカタログ値を参考に行う。
　計算の結果、1日平均使用水量は14.5m3/日と試算された。
　
　参考までに他市同規模斎場の上水道使用水量実績値のヒアリング結果は以下のとおり。
　・小田原市　（炉　９基、葬儀場なし）3.5m3/日
　・盛岡市　　（炉１０基、葬儀場なし）2.8m3/日
　
② 水道引込管径の設定
　水道引込管径は、硬質塩化ビニル管で40Aとなる。本検討では、引込管径は40mmと試算された。
　一方で、現斎場の給水は給水管50mmを引いて利用している。このことから、新斎場の上水は、この給水管を利用する形で供給することを基本とする。
　
(2) 雨水利用設備
　屋根面などから採水される雨水は、水質も良好であり、低廉な設備費で雑用水や水景施設用水として利用可能である。したがって、雨水利用は雑用水の水源として最も経済的で、かつ省資源として有効な設備である。
　本計画でも、計画地の安定的な給水や防災等のために雨水利用設備を検討する。
　なお、雨水は、環境負荷低減のために便所の洗浄水として利用する他、防火水槽のバックアップ用などとして計画する。
　
① 雨水集水量
　a.計画時間最大雨水集水量
　岸和田市の年間降水量を1,175.5mm/年、1時間最大降水量を20mm/h、（2019年アメダス堺データ）屋根面の流出係数を0.9とする。
　　1,900m2×20mm/h×0.9×10-3≒34m3/h
　b.年間雨水集水量
　　1,900m2×1,175.5mm/年×0.9×10-3≒2,010m3/年
　　
６） 給湯設備
　給湯方式は、給湯箇所が少なく建物内に分散しているため、局所給湯方式とする。対象室は給湯室、休憩室・ユニットバスルームとする。

７） 排水設備
　屋内の排水は、分流（汚水系統、 雑排水系統）とし、下水道に放流する。また、屋外の排水は、分流（雨水系統、生活排水系統）とし、生活排水系統は下水道に放流する。
　通気方式はループ通気とし、臭気の影響の無い部分で排気する。
　　　
6-11 消防設備
１） 消火設備
　消火設備は、消防法等の関係法令に基づき、設置する。岸和田市の場合、開発行為等に関する技術基準に準拠して、消防水利施設を設置する必要がある。
　本計画では、岸和田市消防本部との事前協議により、80m3の防火水槽を１基、敷地中央に設置する。
　
２） 火災報知設備
　安全に避難及び消火活動が行えるよう、関係法令等により必要となる火災報知設備を設置する。
　自動火災報知設備は、受信機を事務室に設置し、感知器は設置環境に合わせて適切な種別を選択し、有効となる感知区域に設置する。
　
３） 危険物保管設備
　火葬炉設備燃料及び発電設備燃料等、消防法で定められた引火性の高い危険物を一定量保管し、取り扱う場合は、消防法に基づき、保管庫を設置する。
　　
　　
　　
　　
6-12 外構・景観計画
　外構・景観計画は、地形や植生の保全に配慮しつつ、造成計画、建築物の配置・デザイン、緑化計画、その他の外構を含め総合的に計画を行い、周辺に調和した景観形成を目指す。
　
6-13 防災計画
１） 停電時への対応
　停電時でも火葬業務（火葬炉と火葬業務遂行のために最低限必要な設備）を行うことが可能な発電機設備を導入する。また、火葬炉設備の燃料（非常時ＬＰガス又は灯油）を必要量備蓄しておく。
　　
２） 断水時への対応
　受水槽に緊急遮断弁を設置し、災害時等で断水が生じた場合の給水量を確保する。
　　
３） 豪雨時への対応
　雨水流出抑制のため、貯留施設を計画する。
　計画地の現況雨水排水は、場内の側溝から、計画地西側にあるφ600の暗渠配管を経て小渕川へ放流されている。開発後の雨水排水量は、貯留施設を設置し、現況以下に抑制する。なお、放流はこの暗渠配管を利用する。
　貯留施設の容量は、調整池等流出抑制施設技術基準（平成7年10月）（大阪府）に準拠して計算する。
　計算の結果、本計画では775m3の調整池を計画地西側に設置する。
　貯留施設等雨水排水設備の検討は、別添資料参照。
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
6-14 駐車場規模
　駐車場の規模（必要台数・面積）は、マニュアル及び葬儀業者ヒアリング結果を参考に、図 6-141に示すとおり算出した。
　必要駐車台数は57台、面積は約2,400m2となる。
　
図 6-141　駐車台数及び駐車場面積


6-15 周辺整備計画
　周辺整備計画は、本計画とあわせて計画地への主なアクセス道路の拡幅等周辺整備に係る検討が必要である。詳細については、今後、関係各所と調整を図りつつ、検討していく予定である。
　
6-16 敷地造成案
１） 造成案
　P30の表 6-61に示す建築面積、P36に示す駐車場面積、概算外周道路等面積から、新斎場敷地造成の必要面積をまとめたものを表 6-161に示す。
　なお、新斎場建設後、既設斎場は解体する計画である。
表 6-161　新斎場敷地造成面積
必要面積本計画案建築物約1,900㎡外周道路等約2,900㎡駐車場約2,400㎡計約7,200㎡
(1) 造成案の設定条件
　本計画候補地における造成案の検討は、当該地の特徴から以下に示す条件により行う。
・当該地の造成は、切土が中心となることから、処分対象となる残土量を抑える計画とする。
・切土のり面は、建物との離隔（建築基準法）を十分確保するとともに、切土のり面にT型擁壁あるいは盛土工（勾配30％）を計画する。
　・新施設建設中は、既存施設を利用するため、既存施設との離隔を十分に確保する。
　・市道、墓苑道路から接続可能な計画地盤高さ設定とする。
　・既存施設の場内道路へ接続可能な計画地盤高さ設定とする。
　　　　
(2) 造成案
　造成案は、切土、盛土のバランスを調整するため、現況施設の地盤との高低差を4ｍと設定し、計画構造物の南側及び北側にT型擁壁（ｈ＝5ｍ）を設置する。
　
　造成想定図は次ページ図 6-161及び別添資料参照。
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　

　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
図 6-161　造成想定図
　
　
　
(3) 敷地造成の概算工事費
　敷地造成の概算工事費を表 6-162に示す。
表 6-162 敷地造成の概算工事費
















6-17 緑化計画
　計画候補地は風致地区に指定されており、建築物の新築、宅地の造成の際、敷地の面積に応じた緑化率の基準に準拠しなければならない。（大阪府風致地区内における建築物等の規制に関する条例）
　本計画では、敷地面積が1,000㎡以上であるため、緑化率は30％以上を確保する。
　緑化計画図を図 6-171に示す。図中の○番号が緑化位置を示している。
　なお、緑化率等、計画の詳細は別添資料参照。
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
図 6-171　緑化計画図
6-18 全体配置図案
　以上、緑化計画を含めた全体配置図案を図6-18-1に示す。



































図 6-181　全体配置図案（縮尺フリー）

6-19 既存斎場解体撤去
　ここでは既存施設の解体に係る解体工事フロー、事前調査の項目について整理する。
　
１） 解体工事フロー
　一般的な解体工事フローを図 6-191に示す。
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
図 6-191　解体工事フロー
　
　
　
　
　
　
２） 事前調査が必要な項目の抽出
　解体工事に先立って調査が必要な項目を以下に示す。ここに示した項目以外のものについても、今後の現地調査により、追加調査が必要であることに留意する。
　
(1) ダイオキシン類調査
　廃棄物焼却施設内作業におけるダイオキシン類ばく露防止対策要綱（第３ ３ （4）イ）では、炉内焼却灰、煙道内付着物等を調査する旨の記載がある。サンプリング採取箇所（例）を表 6-191に示す。
表 6-191　ダイオキシン類サンプリング採取箇所（例）
採取箇所採取内容火葬炉炉内壁付着物火葬炉炉内床堆積物排気ファン付着物（飛灰）防じんフィルター付着物（飛灰）煙道付着物（飛灰）　
　表 6-191に示す事前調査結果から、各設備及び各室内の管理区域を要網に基づき設定する。空気中のダイオキシン類については、作業単位の決定後に測定する。また、設定した管理区域ごとに、各施工段階における保護具のレベルを設定する。
　
(2) 重金属類調査
　有害物質である重金属類調査は、建設当初の設計図書及び竣工図等の既存資料を精査し、重金属に汚染されているおそれのある箇所を踏まえた上で、サンプリング箇所を選定する。サンプリング採取箇所（例）を表 6-192に示す。
表 6-192　重金属類サンプリング採取箇所（例）
採取箇所採取内容火葬炉主灰排気ファン付着物（飛灰）防じんフィルター付着物（飛灰）煙道付着物（飛灰）







　表 6-192に示す事前調査結果から、特別管理産業廃棄物の有無を確認する。

(3) アスベスト調査
　アスベスト調査は、建設当初の設計図書、竣工図等の既存資料を精査し、アスベスト含有の疑いがある場所及び建築材料の商品名を踏まえた上で、サンプリング箇所を選定する。
　アスベストの存在を確認した時には、各設備及び各室内の管理区域を石綿障害予防規則に基づき設定した上で解体しなければならない。
　　　　　　
　　　　　　
　　　　　　
　　　　　　
　　　　　　
　　　　　　
　　　　　　
　　　　　　
　　　　　　
　　　　　　
　　　　　　
　　　　　　
　　　　　　
　　　　　　
　　　　　　
　　　　　　
　　　　　　
　　　　　　
　　　　　　
　　　　　　
　　　　　　
　　　　　　
　　　　　　
　　　　　　
　　　　　　
　　　　　　
　　　　　　
　　　　　　
　　　　　　
　　　　　　
　　　　　　
　　　　　　
6-20 概算工事費
　排ガス処理2基1系統の場合の、概算工事費を表 6-201に示す。
　工事費の詳細は資料編参照。
　
表 6-201　概算工事費
　
6-21 ランニングコストの検討
　ランニングコストは、既存施設の実績値及びメーカーヒアリング価格を参考に20年間について算出した。なお、点検・補修費等は、2基1系統のメーカーヒアリング値を参考に算出している。
　維持管理費算出結果を表 6-211に示す。維持管理費の詳細は資料編参照。
　
表 6-211　維持管理費（単位：円）


6-22 事業工程案
　斎場の建設工程について、事業方式が従来方式の場合とＰＦＩ方式の場合を整理した。
　工程は事前調査から工事完了までの一般的なものとした。
　従来方式及びＰＦＩ方式の事業行程案をP49～50に示す。
　
　
　
１） 従来方式の事業工程案
　　　従来方式の事業工程案を表 6-221
　　　に示す。
表 6-221　従来方式の事業工程案
　　　
　　　
　　　
　　　
　　　
　　　
　　　
２） PFI方式の事業工程案
　　　PFI方式の事業工程案を表 6-222に示す。
表 6-222　 PFI方式の事業工程案


第7章 環境対策の検討
7-1 環境基準等環境保全目標値の検討
　斎場では、特に施設から発生する大気汚染物質の排出基準等の規制基準が定められていない。このため、本計画では、火葬炉設備の選定にかかるガイドライン作成に関する研究（平成2年度厚生行政科学研究）、火葬場から排出されるダイオキシン類削減対策指針（平成12年3月厚生省生活衛生局）、火葬場の建設・維持管理マニュアル-改訂版-（特定非営利活動法人日本環境斎苑協会）を参考に、保全すべき項目を抽出し、以下の自主目標値を設定する。
　なお、騒音、振動については、「大阪府生活環境の保全等に関する条例に基づく規制」を参考に設定する。
　
１） 大気汚染
　大気汚染対策の自主目標値を表 7-11に示す。
　近隣市町の事例を参考に設定する。
表 7-11　大気汚染対策の排出ガス濃度に係る自主目標値
項　目環境保全に係る目標値※（本計画）自主目標値硫黄酸化物30ppm以下30ppm以下ばいじん0.03g/?N以下0.01g/?N以下塩化水素50ppm以下（酸素濃度12%換算）50ppm以下（酸素濃度12%換算）窒素酸化物250ppm以下250ppm以下出典：（平成2年度厚生行政科学研究）火葬炉設備の選定にかかるガイドライン作成に関する研究

２） ダイオキシン類
　ダイオキシン類の自主目標値を表 7-12に示す。
　近隣市町の事例を参考に設定する。
表 7-12　ダイオキシン類濃度に係る自主目標値
項　目環境保全に係る目標値※（本計画）自主目標値ダイオキシン類濃度1ng-TEQ/N?以下0.1ng-TEQ/N?以下
　出典：（平成12年3月厚生省生活衛生局）火葬場から排出されるダイオキシン類削減対策
　　　　指針
　
　
　
　
　
３） 悪臭
(1) 悪臭物質
　悪臭物質の自主目標値を表 7-13に示す。
表 7-13　悪臭物質濃度に係る自主目標値
項　目環境保全に係る目標値※（本計画）自主目標値アンモニア1ppm以下1ppm以下メチルメルカプタン0.002ppm以下0.002ppm以下硫化水素0.02ppm以下0.02ppm以下硫化メチル0.01ppm以下0.01ppm以下二硫化メチル0.009ppm以下0.009ppm以下トリメチルアミン0.005ppm以下0.005ppm以下アセトアルデヒド0.05ppm以下0.05ppm以下スチレン0.4ppm以下0.4ppm以下プロピオン酸0.03ppm以下0.03ppm以下ノルマル酪酸0.001ppm以下0.001ppm以下ノルマル吉草酸0.0009ppm以下0.0009ppm以下イソ吉草酸0.001ppm以下0.001ppm以下
出典：（平成2年度厚生行政科学研究）火葬炉設備の選定にかかるガイドライン作成に関する研究

(2) 臭気
　臭気の自主目標値を表 7-14に示す。
表 7-14　臭気濃度に係る自主目標値
項　目環境保全に係る目標値※（本計画）自主目標値臭気濃度（排気筒出口）悪臭防止法第２号規制に相当する値以下悪臭防止法第２号規制に相当する値以下臭気濃度(敷地境界)10以下10以下出典：火葬場の建設・維持管理マニュアル-改訂版-（特定非営利活動法人日本環境斎苑協
会）








４） 騒音・振動
　本計画候補地は市街化調整区域となっている。騒音・振動の環境保全目標値は、大阪府の該当区域の規制基準を参考に設定する。
　騒音、振動の自主目標値を表 7-15～表 7-18に示す。
表 7-15　騒音に係る自主目標値
時間の区分と基準値昼間朝・タ夜間午前8時から
午後6時まで午前6時から午前8時
午後6時から午後9時午後9時から
翌日午前6時まで55デシベル50デシベル45デシベル






表 7-16　振動に係る自主目標値
時間の区分と基準値昼間夜間午前6時から
午後9時まで午後9時から
翌日午前6時まで60デシベル55デシベル






表 7-17　大阪府騒音にかかる規制基準（参考）







表 7-18　大阪府振動にかかる規制基準（参考）






7-2 その他特に留意すべき環境対策
　本計画候補地は風致地区内にあり、また岸和田市景観計画において「里の景観区」に位置していることから、地形や植生の保全に配慮し、周辺に調和した景観形成を目指す。心安らかに過ごせる空間となるよう、適切に視点場を設定し、造成計画、建築物の配置・デザイン、緑化計画、その他の外構を含めて総合的に計画を行う。

7-3 環境影響評価の実施方針案の検討
１） 環境影響評価の実施方針案
　斎場の再整備に係る事業を進めるにあたっては、本計画候補地の周辺環境保全の見地から、斎場から発生する汚染物質が周辺環境にどのような影響を及ぼすかについて検討しなければならない。
　計画段階において環境影響評価を行うことが重要であり、前項で設定した環境保全項目について、環境影響評価を行うことを基本とする。また、施設稼働後においては、施設の性能を把握する上で、周辺の環境調査を実施し、周辺環境に影響を及ぼしていないかチェックをすることが必要である。

２） 工程スケジュール
　環境影響予測・評価の工程スケジュールを表 7-31に示す。
表 7-31　環境影響評価の工程スケジュール

















第8章 事業手法の検討
8-1 斎場の事業方式の特徴
　本事業において採用が可能と見込まれる事業方式を抽出・分類し、各事業方式の特徴を表 8-11に整理した。事業方式は、両市で最適な事業方式について調査を実施し、決定する。
　
表 8-11　斎場の事業方式の特徴
区分公設公営公設民営民設民営運営委託方式
（従来方式）DB＋O方式DBO方式PFI方式
(BTO方式)設計設計企業共同企業体
（JV）等
（※基本設計、火葬炉のみ別発注の場合あり）共同企業体
(JV)等事業者
(SPC)建設建設企業火葬炉火葬炉企業
(事前に炉選定)運営・維持管理運営・維持管理
企業運営・維持管理
企業事業者
(SPC)発注方法個別発注
仕様発注設計・建設：一括発注、性能発注
運営・維持管理のみ別途一括発注一括発注
性能発注一括発注
性能発注選定方法個々に競争入札等で選定設計･建設、運営・維持管理について、別々に技術提案等を評価して選定設計・建設～運営・維持管理までの技術提案を評価して選定設計・建設～運営・維持管理までの技術提案を評価して選定運営･維持
管理の期間複数年
(3～5年程度)複数年
(3～5年程度)15年～20年程度15年～20年程度民間資金の活用無無無有・個別発注：設計、建設、運営・維持管理の業務ごとに個別に発注する方式をいう。
・一括発注：設計、建設、運営・維持管理の業務について、全体もしくは一部（設計・建設等）を1つの業務として発注する方式をいう。
・仕様発注：公共入札において、発注者が発注内容及び実施内容について詳細に仕様を決定してから発注する方式をいう。
・性能発注：公共入札において、事業者が満たすべき要件及びサービス水準を発注者が規定する発注方式をいう。







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