現在の位置

近木川河口の説明

更新日:2010年06月08日

近木川河口の景観(干潮時)

 近木川の河口には干潮時に干潟ができます。干潟環境は、多様な生物を育む場であるとともに、水質の浄化作用といった大きな役割を果たしています。このような河口の環境は、塩分濃度をはじめ、絶えず変化しており、それに適応できる生きものだけが生息しています。

 現在、近木川河口周辺で約70種の貝類の生息が確認されています。その中には、ウネナシトマヤガイ、ヒメシラトリガイ、シラトリモドキ、マテガイ、クチバガイなど、大阪では生息数が減少している種が多くみられます。最近では、近木川河口でヨコヤアナジャコに寄生するマゴコロガイという珍しい二枚貝が発見されました。

 魚類ではマハゼやミミズハゼ、クサフグ、ボラ、スズキが主に生息しています。また、クロダイやシマイサキ、コトヒキなどの幼魚も目立ち、塩分濃度の低い汽水域は、海産稚魚の暮らす揺りかごにもなっています。

 カニ類では1995年に、環境庁レッドデータブックで希少種に指定されているハクセンシオマネキが近木川河口で発見されて以来、その個体群は確実に定着しています。

 そのほか、ヤマトオサガニやオサガニ、チゴガニ、コメツキガニなどのスナガニ科の仲間や、ケフサイソガニ、ヒライソガニ、カクベンケイガニ、タイワンヒライソモドキといったイワガニ科の仲間が、これまでに確認されています。また、河口から少し上流にあるヨシ原にはクロベンケイガニ、ハマガニ、アシハラガニ、アカテガニなどが生息しています。

 甲殻類はそのほかにも、ユビナガホンヤドカリやイソコツブムシ、アナジャコ、ハサミシャコエビなどが確認されています。

 また、ハクセキレイ、ヒヨドリ、ムクドリ、コサギなどの留鳥、セッカ、ツバメ、コアジサシなど夏鳥、カンムリカイツブリ、ヒドリガモ、ホシハジロ、ツグミなどの冬鳥がみられます(河口付近で見られる鳥類のリストに関しては、近木川河口の動物のページにpdfファイルを用意しました)。

 河口に近いヨシ原では、1998年に府下では17年ぶりにイセウキヤガラ(カヤツリグサ科)が確認されました。このイセウキヤガラやヨシの分布域の変動が、ハクセンシオマネキの分布に影響を与えているものと考えられ、植物と動物の種間関係という観点から、興味が持たれます。そして、これらの多様な生きものの生活の根本は、近木川が運んでくる豊富な養分に支えられていると言えます。

この記事に関するお問い合わせ先

教育部 自然遊学館

電話:072-431-8457
ファックス:072-431-8458
〒597-0091
大阪府貝塚市二色3丁目26-1 自然遊学館

メールフォームによるお問い合わせ