貝塚市

第71号 近木川河口

■近木川の河口には干潮時に干潟ができます。干潟環境は、多様な生物を育む場であるとともに、水質の浄化作用といった大きな役割を果たしています。現在、河口周辺で約70種の貝類の生息が確認されており、ウネナシトマヤガイ・ヒメシラトリガイ・シラトリモドキ・マテガイ・クチバガイなど、大阪では生息数が減少している種が多くみられます。魚類ではマハゼやミミズハゼ・クサフグ・ボラ・スズキが主に生息しています。また、クロダイやシマイサキ・コトヒキなどの幼魚も目立ち、川と海の境界あたりの塩分濃度の低い水域は、海産稚魚の暮らす揺りかごにもなっています。カニ類では1995年に、環境庁レッドデータブックで希少種に指定されているハクセンシオマネキが発見され、その個体群は確実に定着しています。 河口に近いヨシ原では、1998年に府下では17年ぶりにイセウキヤガラ(カヤツリグサ科)が確認され、ハクセンシオマネキの分布にも影響を与えているものと考えられています。 これらの多様な生きものの生活の根源は、近木川が運んでくる豊富な養分に支えられていると言えます。
(平成19年6月掲載)