貝塚市

第64号 蕎原の宮座と燈明

■蕎原では、菅原天神や春日神社など6つの社を鎮守の森に合祀(ごうし)し、宮座という組織を中心に神事が行われてきました。宮座には氏子の中でも多くの経験や年齢を重ねた限られた人が選ばれるため、神事ごとだけでなく、その村の取りまとめ役としての働きもしてきたそうです。 今も残る宮座の行事の一つに葛城山の雨乞があり、蕎原では地域の人々が山の神に限りない感謝をこめて参拝を行います。 ほかにも、各家庭が輪番で鎮守の森にある6つの社を毎夜参拝し、常夜灯をともしてきました。現在、この燈明は83世帯のかたが行っていますが、その順番を記したのが「燈明板」と呼ばれている30センチ〜40センチ四方のヒノキの木でできた板です。今まで何度か作り変えられ、現在の燈明板は昭和34年製。かなり年季が入り程よいツヤが出ています。この行事の始まりは定かではありませんが、先祖から私たちへと受け継がれてきたそうです。 これからも燈明板がバトンのような役目を果たしながら、人々の感謝や畏敬(いけい)の念とともに子孫へ伝えられることでしょう。
(平成18年11月掲載)