当館は、江戸時代の科学者 岩橋善兵衛(いわはしぜんべえ)の功績をたたえ平成4年に建てられました。 善兵衛の生家は脇浜新町の魚屋でしたが、手先の器用さを生かし眼鏡の玉磨きで独立。家業のかたわら望遠鏡の研究を重ね、やがて、竹筒で舶来品に劣らぬ望遠鏡を数多く製作しました。その性能の高さから幕府や諸大名から愛用され、伊能忠敬(いのうただたか)の日本地図作製にも大いに役立ったそうです。また、地球・月・太陽・星の位置や時刻、潮の干満が一目でわかる「平天儀(へいてんぎ)」も彼の独創性を象徴するものです。 岸和田藩家老の中盛辰(なかもりたつ)の随筆「伽李素免獨語(かりそめのひとりごと)」では、善兵衛の興味深いエピソート゛が紹介されています。内容は、若い頃読み書きが苦手だったが独自に大変な努力を重ね、晩年には国内にその名が知れわたる優れた科学者になったというものです。 館内では、天文資料や各種観測機器を備え、観測会や講習会を行っています。主望遠鏡は、口径60センチメートルの反射ニュートン・カセグレン式大型望遠鏡で、府下最大級。また、夜だけでなく昼の観測を常時体験できるのは、府内ではここだけです。 夏は流れ星が多く見られる季節です。みなさんも、善兵衛の心をとりこにした空の神秘に触れてみませんか?
(平成13年8月掲載) |